2011-08-15 09:43 | カテゴリ:未分類

   

やっと、本格的に樹木の放射性セシウム汚染が問題になってきた。

   

福島の現地で放射能の空間線量が高い理由に、樹木の存在がある。土の表面を剥いだり道路の表面を削ったりしてセシウム除染しても、空間放射線量値が一定程度以下に決して下がらないのは、付近に樹木や森林があるからである。現地ではだれもが森林や樹木の汚染を心配している。しかし、東電福島原発から遠く300キロもはなれたところの人たちは、お茶や牧草が薄く放射能汚染していることが明らかであるにもかかわらず、一般の樹木の汚染はあまり気にしていないのかもしれない。

 

今回京都の「五山送り火」のために、津波でなぎ倒された越前高田市の名勝・松原の松を加工して薪にしたものに、放射能が検出された。京都市が「薪の表皮と内側を削って調べた結果、表皮のみ1キログラム当たり1130(Cs-134が542、Cs-137が588)ベクレルの放射性セシウムが検出された」という。

    

    この結果を受けて林野庁が初めて、「調理用の薪や木炭、キノコ栽培に使うおが屑と原木の管理状況を調査するように」と指示した。これまでだれの目にも広範囲の森林汚染が明白であるにもかかわらず、林野庁をはじめ誰も正式な測定を行っていなかった。少なくとも林野庁のホームページには東電福島原発放射能汚染問題では樹木の汚染に関してこれまで何の調査報告も掲載されていない。

      

    この林野庁のきわめて鈍い動きに関しては、林学関係の知人によると、「正直言って、林野庁は汚染の規模が膨大すぎて、なにをどうしていいかわからずお手上げなんじゃないか」ということである。

      

    今回の京都市のデータは、小生の知るところでは、樹木の放射性セシウム汚染を正式に測定した最初のデータだと思う。新聞記事だけでは詳しいことがさっぱりわからないのだが「松の表皮」というのは<がさがさした樹皮(バーク)>のことなのだろうか? それともその樹皮を剥いだ内側の部分なのだろうか? どちらにしても今回測定された放射線量は直接原発から飛んできた降下物が直接付着したものであろう。

      

    この松は津波の時の倒木であると記事には書かれているから、東電福島原発暴発時にはすでに倒れており、放射性降下物が降り注いだときにはすでに形成層(師管や導管の部分)は働きが弱まっていただろう。だからその<表皮の内側部分>にはセシウムはあまり移行せず、セシウムは検出限界以下であったのかもしれない。実は記事での「内側」というのはどこの部分を示しているのかよくわからないのだが。

       

    放射性降下物を浴びた種々の樹木の体内を現在放射性セシウムはいったいどのような濃度でどのような速度で師管転流しているのだろうか? すでに葉や樹皮や腐葉土などから体内に放射能が吸収されていれば、師管のある形成層が多少は汚染されているはずで、小枝を全部剪定しても、樹木本体の汚染はなくならないことになる。

      

    樹木の除染は可能だろうか?

      

    林学関係者には現地で数本の種類の異なる樹木を丁寧に解体して、各部位のセシウム汚染の濃度を一度は明らかにしてもらいたいものだ。その研究の中から、樹木の除染、ひいては森林全体の除染のヒントが得られるかもしれない。

   

 

       

(森敏)

付記:福島県農業総合センターでは樹木のうちでも果樹について、ウメ、ビワ、イチジク、モモ、サクランボ、ブドウなどの果実の測定は行っている。そのうちウメ、ビワ、イチジクに関しては、一部の地区では出荷停止になっている。

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