2011-08-08 05:14 | カテゴリ:未分類

 

千葉の早場米が収穫されている。いよいよこれから全国でのお米の収穫が始まるだろう。これに対して、玄米や白米の放射性セシウム(Cs137+Cs134)汚染の有無が消費者から注目されており、生産者ばかりでなく、米殻商、JA、試験場、農水省など関係諸機関がぴりぴりしているようだ。

 

これまでのWINEPの以下のブログ(1)~(6)で述べてきたように、日本の土壌の場合、土壌からお米(玄米または白米)への放射性セシウムの移行係数(TF)0.01-0.001の間にある。

 

であるから、土壌の予備調査で、放射性セシウム濃度が<5000ベクレル/kg土壌>以下、という暫定基準で、国や県から水稲耕作の許可を受けた農家の水田では、まず放射性セシウム汚染度は出荷基準の500ベクレル/kgを越えるものはなく、ほとんどが50ベクレル/kg以下と予測される。これがこの件に関する科学的な考え方の基本である。

 

しかし、農水省(または食品衛生調査会?)は何の科学的根拠もなく危険率を10100倍掛けて、イネのセシウムの移行係数を0.1とした。消費者サイドにおもねた数値と云うべきであろう。これは政策的な移行係数である。しかしこの政策決定を小生は非難することはしない。

 

なぜなら、田植えをはじめる今年の4月上旬―5月上旬当時には、まだ放射性セシウム測定器の数が足りなかったりして、個々の農家の田んぼ一枚ごとの放射能をまったく測定できていない状況のなかで、田植えを焦る農家に行政がゴーサインを出さざるを得なかったところもあったからである。だから、行政が局所的に高濃度汚染田んぼを見逃している可能性がゼロとは云えないと云うことである。政府はその危険性を考慮して0.1という一桁も二桁も高い政策的な移行係数を定めたのである。

 

その後、お茶の葉や牧草が予想外の広範囲(原発から南と北に各300キロ)に放射性セシウムが拡散していることが明らかになったので、この事実をお米に置き換えてどう考えるかという問題が生じている。この広範囲にわたるうっすらとした放射能汚染は、稲の栽培期間である4月中旬以降にうっすらとふりそそいだもの(あるいは現在も降り注いでいるかもしれない)も含まれる値なのだろうか? (いつも文科省などで発表される空間線量値は土壌への集積線量を意味してはおらず、あくまで大きく揺れ動く誤差の大きい<低い値での瞬間値>である。だから、今まだ放射能が東電福島原発から降り注いでいるのかどうかの判断基準には全く成り得ない。)

  

もしそうだとするならば、稲は、本番の3月中旬の東電福島原発の水素爆発で降り注いだ放射能の汚染土壌からの放射能を直接経根吸収したものばかりでなく、その後の放射性降下物の葉や茎への吸着物からのお米の種子への転流が起こりえた可能性を否定できない。(直接葉にかかった放射能の種子への転流と根からの転流のいずれが容易であるのかはまだ植物生理学的には解明されていない。)

  

下記の本WINEPブログを読んで頂ければ理解して頂けると思うが、稲作での施肥条件や水の駆け引きや土壌の攪拌の度合いなどによっても、経根吸収のセシウムのイネ種子へ転流量は一桁ぐらい変わる可能性がある。

 

個々の農家が実際にどういう技術を採用したか、又それが無意識にセシウムの種子への転流を促進する技法であったのかどうかが、行政官の側にはブラックボックスである。ましてや栽培期間中の空からの新しい放射性降下物がどれほどの量あったのかも行政官にはわからない。なので、行政当局は0.1という移行係数を採用し、なお、収穫前後の2段階でのお米の放射性セシウム含量をチェックするということにしたようである。やむを得ないことと考える。

  

この放射能分析作業は99%が実に徒労で国費の無駄使いを強いることになることが予想される。実に実に東電の大罪である。

 

再度ご紹介しておきますがお米のセシウム汚染に関しては根拠データを掲載した以下の過去のWINEPブログをご参照頂けたらありがたいです。読者にはなかなか昔にさかのぼってブログの内容を読んでいただけませんのでここには主要なものだけをリストアップしております。
 

1)2011.4.09. 「農水省によるイネの作付禁止解除」に関する読者の疑問に答える

2)2011.4.16. 放射能汚染土壌から放射能を吸収させない施肥法について。(提案6)

3)2011.5.01. 白米のセシウム含量は玄米の5分の一である

4)2011.5.07. 水稲は陸稲(おかぼ)の20倍の放射性セシウム(Cs)吸収率を示すことの化学的意味について

5)2011.5.28. 農水省が移行係数を公表

6)2011.6.21. 表土を削れば放射性セシウムは白米にはほとんど移行しないはずである

    

  

(森敏)
    
追記1:本日(8月9日)千葉の早場米は放射能を含んでいなかった、との報道があった。よかったですね。
   

千葉の早場米、放射性物質検出されず(朝日新聞)
千葉県は9日、同県多古町の水田で玄米を検査した結果、放射性物質は検出されなかったと発表した。同町は早場米の産地として知られ、各地に先んじて国の検査方針に沿った検査を4日に実施していた。

 国は収穫前の予備検査と収穫後の本検査の2段階でコメの検査を実施する方針を示している。今回の検査は収穫の1週間~10日前に実施する予備検査で、県が町内の5地点の水田で実施。セシウム濃度が玄米1キロあたり200ベクレルを上回ったら本検査で重点調査区域となるが、いずれの地点の玄米も放射性物質は検出されなかったという。

 予備検査は、高い数値の空間放射線量が測定された市町村を対象に実施。本検査を終えるまで各農家は出荷自粛を求められる。本検査で1キロあたり500ベクレルを上回った場合、当該の市町村のコメは出荷停止になる。
 
  
追記2:8月19日に以下のデーがでて茨城県知事の会見があった。ここの空間線量や、土壌の放射線量が知りたいところだ。
     
  

 茨城 玄米から微量放射性物質819 1311分)

茨城県は鉾田市で行った収穫前のコメの検査で、玄米1キログラム当たり52ベクレルという微量の放射性セシウムが検出されたと発表しました。これは食品の暫定基準値の1キログラム当たり500ベクレルを大きく下回っていますが、茨城県は今後、鉾田市で、収穫後のコメの放射性セシウムの検査を行い、詳しく調べることにしています。

茨城県は空気中の放射線量が比較的高い13の市町村で、収穫前の稲の一部を刈り取って放射性セシウムの量を調べる「予備検査」を行っています。今月16日に鉾田市の3か所で収穫前の稲を採取して玄米を調べたところ、1か所の玄米から1キログラム当たり▽セシウム134が23ベクレル、▽セシウム137が29ベクレルの合わせて52ベクレルの放射性セシウムが検出されたということです。国の暫定基準値は1キログラム当たり500ベクレルで、今回の値はこれを大きく下回っています。茨城県は今後、鉾田市で収穫後のコメの放射性セシウムの検査を行い、詳しく調べることにしています。農林水産省では「国の暫定基準値である1キロ当たり500ベクレルを大幅に下回る数値で、食べても健康に影響がないレベルだ。収穫後にも改めて検査を行って、安全性を確認したい」と話しています。 
 
追記3: 

福島産米、放射線検出せず 収穫前の千葉産は微量

福島県は25日、県内で今年初めて収穫された早場米について、放射性物質は検出されなかったと発表した。検査したのは同県会津坂下町の水田で収穫された玄米。一方、千葉県は同日、白井市で栽培されたコメの収穫前の予備検査で、一部のコメから1キログラム当たり47ベクレルと微量の放射性セシウムが検出されたと発表した。東京電力福島第1原発の事故後、コメからの放射性物質検出は、茨城県鉾田市に続いて2例目。

 

早場米の出荷準備を進める「会津みずほ農場」の従業員(25日、福島県会津坂下町)

 福島県の佐藤雄平知事は同日、「検出されず、胸をなで下ろしている」と記者団に語った。千葉県は、検出された放射線量が、第2段階の収穫後検査に移行する目安として国が提示した1キログラム当たり200ベクレルを大幅に下回ったため、「全く問題はない」(安全農業推進課)としている。

 収穫後のコメについて、国が定めた放射性セシウムの暫定規制値は玄米1キログラム当たり500ベクレル。福島県は22日に収穫した早場米から、24日に4つの検体(計2000グラム)を採取。25日に県農業総合センター(郡山市)で検査した結果、いずれも検出限界値(同5~10ベクレル)を下回った。

 同町は県西部に位置し、福島第1原発から西へ約100キロメートル離れている。同県の鈴木義仁農林水産部長は「会津地方は放射線量が低く、初めての検査結果としてはよかったが今後もしっかり検査したい」と話している。

 福島県は早場米について、20市町村の107カ所で検体を採取し、順次検査する。26日に県中部の郡山、本宮、二本松市のコメを調べ、9月9日までに検査を終える予定だ。一般米は9月中旬から10月初旬に検査する。

 千葉県の今回の検査は空間放射線量が高い地域で収穫前のコメを対象とした予備検査。同県は今月22日、白井市内の2カ所で玄米を採取し、このうち1カ所の餅米「コガネモチ」からセシウムを検出した。

 今月末までに行う本検査で放射性セシウムが1キログラム当たり500ベクレルを下回れば、出荷、販売が可能となる。

    
追記4: 白米にすると検出されなかった? 白米と糠(ぬか)のセシウム含量の分布比は約1対1なので、白米のセシウムはこの機械の検出限界10-20ベクレルギリギリの濃度だったと予想される。
   

福島の玄米から微量のセシウム 二本松市、白米は検出されず(08/26 21:30) 福島県は26日、同県二本松市で収穫された早場米の玄米1検体から、暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を大幅に下回る22ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。福島県のコメからセシウムが検出されたのは初めてで、全国では3例目。

 この地域の検査対象は1カ所で、基準値を下回ったことから県は早場米の出荷を認めた。玄米を白米の状態にして検査したところ放射性物質は検出されず、「食べるのには全く問題がない」としている。

 同時に検査された郡山市と本宮市の早場米の玄米4検体からはセシウムは検出されなかった。3市はいずれも東電福島第1原発から60キロ前後。
    
追記5:

福島県で早場米を出荷 放射性物質は不検出

 福島県によるコメの検査で放射性物質が検出されなかった同県郡山市の農家で29日、早場米の出荷が始まった。

 東京電力福島第1原発から約60キロ離れた郡山市喜久田町の稲作農家佐久間俊一さん(55)宅では同日朝、集荷業者が倉庫から早場米「瑞穂黄金」約4トンを搬出。

 佐久間さんは、収穫した玄米を検査のため福島県に提出。26日の検査で放射性セシウムなどは検出されず、出荷が認められた。今年は比較的好天の日が多く、コメの出来は良いという。

 福島県は29日、福島市など6市町の早場米15検体を検査。放射性物質が暫定基準値を下回れば出荷を認める。同県によると、県内の早場米出荷は例年8月中下旬という。(2011年8月29日)
 

 千葉のコメから再び検出、微量のセシウム 2011/8/28 0:10

千葉県は27日、市川市で栽培された収穫後のコメの本検査で、国の暫定規制値(1キログラム当たり500ベクレル)を大幅に下回る46ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。「健康に問題ないレベル」として、同日以降の出荷を認めた。

 東京電力福島第1原発の事故後、千葉県では白井市の収穫前のコメから微量のセシウムを検出しており、今回で2例目。全国では茨城県鉾田市、福島県二本松市に続いて4例目となった。〔共同〕




 


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