2011-06-15 08:08 | カテゴリ:未分類

生重あたりと乾燥重あたりの放射能の違いについて

      
     

読者から以下の感想をいただいた。

     

 お茶の問題ですけど、生茶も荒茶も同じ基準と言う事は、お茶だけが特別扱いされているような気がします。生茶も荒茶も同じ扱いするのであれば、生のわかめと乾燥わかめも同じ扱いをしなければならないはずです。わかめだけではなく、その他の生食品と乾燥食品等は全て同じ基準で扱かわなければならないはずですが、そこら辺りが私には聞こえてきません。

     

    これはもっともな意見だと思う。農水省の生産者側に立った意見と、食品安全委員会の消費者側に立った意見とで、いろいろのことが議論されていることと考えられるが、素人が口出しして、行政をかく乱したくないので、この件では小生も発言を慎んでいる。

 

    これに関連して、

これまで何回となく紹介してきた土壌から作物の可食部への移行係数(:transfer factor)の定義でも、農水省の今回の発表では、

  

            食品の可食部新鮮重1kgあたりの放射能(Bq)

(1) TF= ----------------------------------------  
           土壌の乾燥重1kgあたりの放射能(Bq)

    

と定義しているが、各国では

 

            食品の可食部乾物重1kgあたりの放射能(Bq)

(2)TF= -----------------------------------------  
       土壌の乾燥重1kgあたりの放射能(Bq)

   
         

と定義している。しかしこれまでの試験場や農水省の実測の放射能値をみると、食品を新鮮重あたりで測定したのか、乾燥重あたりで測定したのか不明なものが多い。また、土壌の放射能測定値も乾燥重あたりばかりではなく、生重あたりの測定値も散見される。
    
  葉物野菜は90%以上が水分であるから、上の(1)式の値は、(2)式の値よりも約一桁低くなる。すなわち世界で発表されている値よりも一桁低くなる。あたかも放射能が非常に移行しにくいように誤解されかねない。
     

        

現在科学研究費の特別推進費で文科省と農水省で福島県下での詳細な土壌調査(土壌の放射能汚染マップの作成)が行われているはずなのだが、土壌を表土から何センチ下までサンプリングするかで両者の方法が異なるようである。前者は主として健康被害に対して、後者は主として農産物の作付けに適している程度の汚染かどうかの観点から、ということらしい。実に馬鹿げていると思う。両者ともに断じて土壌学者の定義する同じ深さで掘りとるべきだと思う。そうしないと大金と労力と時間(つまり税金)をかけてサンプリングした貴重な土壌を放射能値測定したあとに再利用ができないだろう。

        

    放射能測定行為はあくまでサイエンスの立場から行ってほしい。そうしないと日本でやっていることが、世界には通じない。世界共通の財産にならない。科学者は「世界標準」(International Standard)ということをいつも判断基準にして行動してもらいたいと思う。省庁の利害から判断するのではなく。

      

(森敏)

秘密

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