2011-06-08 22:52 | カテゴリ:未分類

いわゆる師管転流について

 
 

「梅の実」「タケノコ」「お茶の新芽」などが放射能汚染されているということで、この放射能が、土から根を経由して来たものであるか、葉に降り注いだものが直接転流してきたものであるかについて、さまざまな意見が分かれている。

   

そこで具体的にお茶の場合は、放射能汚染葉から放射能が直接新芽(一番茶)に転流したため高濃度汚染したと考えて、今度は古い葉を徹底的に刈り込んで、汚染していない2番茶を期待した技法が行政サイドから奨励されているようである。
 
  もしその技法が成功すれば、予測がある程度は当たったことになるだろう。過去の文献からは、お茶に関して放射性セシウム
(Cs137,Cs134)が古い葉から転流して新芽に移ったという報告を小生は、残念ながら見つけることはできなかった。

 

ただし、この「旧葉刈り込み技法」の場合、刈り込んだ放射能汚染葉が膨大な量になるので、処理に困って、そのまま畝間に放置しているのだそうである。これから梅雨で大雨が降れば、葉が腐って、少しずつ土壌に放射能が溶出するだろう。そうすると放射能の経根吸収も無視できなくなるから、刈り込み汚染葉はあまり長くは放置しない方がいいのではないだろうか。(それとも、まだしばらくは福島原発原子炉が安定冷却せずに放射能を放出し続けているだろうから、毎日薄く飛んでくる放射性降下物を、刈り込んだ葉で受けて、土壌に直接ふれさせないマルチングの機能をさせているつもりなのだろうか。)

 

一方、タケノコなどは放射性降下物が降っているときには完全に地中に芽があるので、タケノコ自体は放射能を浴びていないので、もしたけのこの内部が放射能を浴びていたのなら地上部の葉が浴びた放射能が直接転流してきたと考えるのが妥当だろう。(ただし細かく考えれば、土中にいるときのタケノコの皮から吸収された放射能が、可食部に同化されている可能性もぬぐいきれない)

 

しかし、梅の実の放射能汚染などについては下の葉から実への直接の転流が正しいか、果樹の上根が放射能を吸って実にいったのか、どちらが正しいのか、今のところ判定できないのではないだろうか。これも、直接転流試験をやった文献データを小生は知らない。

 

ビキニの水爆実験の放射性降下物を、日本に帰ってきた被ばくマグロ漁船からこそぎとって、それをカボチャの葉に塗り付けて、転流を見た実験が三井・天正らの論文(土壌肥料学雑誌)にある。展着剤を入れて塗布すると、容易に葉に放射能が吸収されて、添付葉の上の葉にも下の葉にも、根にも移行している。ただしその実体成分がSr90,Sr89I131Cs137,Cs134かなどはこの時点では解明されていない。しかし、放射性降下物が沈着葉から植物体の他の組織に転流しうることは早くから証明されている。

 

実は植物の根にCsを吸収させる実験は山ほどある。Csは簡単に根から吸収する。 しかし、地上部へはSrに比べればはるかに移行しにくい。小生はまだ、Cs137Cs134を用いて、さまざまな作物の葉に塗布試験をやった実験データは見たことがない。
 
  だから、いろいろなストレス条件下での
Cs
師管転流の様相を調べるのも、植物栄養学に課せられた、実用的課題である。
 
 
(森敏)
 
追記:上の記事の「茶葉の深刈り」は、個人的なメール情報でしたが、6月10日に以下の記事が載りました。2番茶が基準をクリアして師管転流の予想が正しかったことを祈りたい。
 
このお茶の例に見られるように、放射能汚染は、生産者にとって未知の即断即決を迫る技術解を要求している。生産者にとってはなかなかつらい、厳しい試練である。


 

足柄茶の収穫断念し、「深刈り」・・・セシウム除去で

神奈川県西部の「足柄茶」の産地では、今年の収穫を断念し、茶葉を「深刈り」する動きが広がっている。

 茶葉のほぼ全量を刈り取る深刈りは、本来、弱った木を若返らせるために行われるが、今回は茶葉に吸収された放射性セシウムを取り除き、来年の収穫に影響を残さないための措置。

 県によると、5月の一番茶(生茶葉)の検査で放射性セシウムの暫定規制値(1キロ・グラム当たり500ベクレル)を超えた6市町村のうち、小田原、南足柄市、愛川町、清川村の茶畑の7割ですでに深刈りをしているという。

 茶の規制をめぐっては、生茶葉も、乾燥させた荒茶も同じ規制値が適用されている。荒茶では生茶葉の約5倍の数値が検出されるとされ、一番茶の生茶葉で規制値を超えた場合、今月下旬から収穫の始まる二番茶でも、荒茶が規制値を超える可能性が高いとみられる。

20116101014  読売新聞)

 

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