2011-06-05 15:57 | カテゴリ:未分類

塩がトマトの糖度と酸度を増す根拠データ 

   
以下のニュースが流れた。

   

「塩トマト」で塩害農地の復興目指す 宮城・岩沼

 津波で浸水した畑で塩分に強いトマトを栽培し、農地の復興につなげる試みが宮城県岩沼市で始まった。4日、東京から来たボランティア47人が、約500株の苗を植えた。

 岩沼市は総面積のほぼ半分が浸水し、田畑1240ヘクタールが塩水につかった。トマトは塩分が多い土壌でも育ち、熊本県の干拓地で栽培されたものは味の濃い「塩トマト」として知られている。市は塩トマトの栽培を復興策の一つに位置付け、4日は市内2農家の計20アールに苗が植えられた。

 岩手県陸前高田市矢作地区の田畑16ヘクタールでも4日、塩害に強いトウモロコシとヒマワリの種まきがあり、住民ら約300人が参加した。トウモロコシなどは田畑の塩分除去効果があるという。

 

 

    以下に、この報道で述べられている3つの試みのうち、トマトに関して、それを支持する小生の過去の研究データを参考のために紹介したい。(単行本の図を写真にとってブログに転写しているので、図が暗くて申し訳ないですが)

 

    図1と図2は、化学肥料、化学肥料+NaCl、有機質肥料、有機質肥料+NaCl の4つの区を設けて、トマト苗のポット栽培試験を行った。生育にしたがって、同じ段位のトマトを採取し、その糖度(図1)と酸度(図2)を測って比較したものです。
 
 
IMG_8999-.jpg 
  (図1)各種施肥条件がトマトの屈折糖度に及ぼす影響

有機質肥料+NaCl 有機質肥料> 化学肥料+NaCl> 化学肥料

の順に糖度が高い。
  
IMG_9000-.jpg

(図2)各種施肥条件がトマトの酸度に及ぼす影響

有機質肥料+NaCl> 無機質肥料+NaCl> 有機質肥料> 無機質肥料

の順に酸度が高い。
 
 

  以上の結果に見られるように、トマト栽培では、有機質肥料が化学肥料に対して糖度を1%、酸度を0.1%上げました。NaCl(食塩)が添加されれば、化学肥料区の糖度は約0.5%上昇していますが、有機質肥料区では顕著な効果がみられません。一方、NaCl処理によって有機質肥料区、化学肥料区共に約0.2%ばかり酸度が上がります。

 

  つまり、海水に浸かって塩が抜けていない土壌で酸度は上がりますが、その際有機質肥料と併用すれば、なお味の濃いトマトが生産できる可能性があります。(この実験では土壌の電気伝導度に対するNaClの寄与が3.5mΩ/cm 程度のものです。)

  

  トウモロコシによる塩分除去効果に関しては、小生は不勉強でそういう論文を読んだことがありません。
     
(森敏)
 
付記:参考文献

「野菜の成分とその変動」-土壌環境からのアプローチ- 。吉田企世子・森敏・長谷川和久  学文社 (2005年)


 
追記: 高知県では、フルーツトマトと呼ばれて糖度が10度近くあるトマトが、高知城横の日曜市でも出回っている。これまで値段が高いので手がでなかったのだが、今回思い切って買ってみた。うまい、食べるとだれでもやみつきになるだろう。このトマトのビン詰めが「もんどセレクション」国際金賞を獲得している。高付加価値の商品である。
 
IMG_9746-.jpg 
 フルーツトマトの瓶詰め
IMG_9745--.jpg 
もんどセレクションの金賞を得たそうだ
  (2枚の写真は高知龍馬空港にて)  

秘密

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