2008-05-12 07:55 | カテゴリ:未分類

硫化水素中毒自殺

 

洗剤を使った硫化水素中毒が流行している。我々の身の回りには便利さを売りものにして、さまざまな化合物で満ちあふれているので、その気になればいくらでも自殺用の毒物を発生させることができるだろう。現代社会では市場から自殺用の商品を撤去することは不可能だろう。

 

硫化水素はそもそも火山の噴火口からも絶えず出ているものなので、時々火口で人が死んだりしている。火山性の温泉も硫化水素がたえず出ているので、要注意である。実際にどこかの大学の教員家族全員が山中のひなびた温泉で死亡した悲劇が数年前にもあった。

 

これまで幾度となく所用で東北の有名な温泉に宿泊したが、そこの温泉は非常にリラックス効果があるものであった。難点は強烈な硫化水素のにおいが、夜間に部屋に侵入してくることであった。硫化水素ガスは空気よりも重い(1.19)ので、風がないときは庭や廊下に次第に滞留して濃度が濃くなっていく。縁側のドアやふすま障子をきっちり閉めて部屋の中で空気をゆっくり扇風機でかきまわしながらも硫化水素の匂いが感じられたので、畳の上ではいつも安心して眠れなかった。

 

残念ながら食塩泉や鉄泉など塩濃度が濃い温泉よりは硫化水素が出るぐらいの強烈な皮膚刺激のある温泉のほうが小生には効果が感じられるので、なかなか悩ましいところである。近々研究室旅行があるのだが、学生はそこの温泉がどのような性質の温泉であるのかには、あまり関心がないようである。

 

いわゆる老朽化水田からはメタンガスばかりでなく硫化水素も発生している。それを発生させないためには鉄資剤の投入が不可欠である。ここら辺の知識は水田土壌科学の常識であるのだが、現在最先端の植物分子生物学の研究者は、実際の農業技術の現場から遠ざかっているので、そういう事実さえ習っていない学生も多い。「老朽化水田」という言葉さえも知らないかも知れない。折につけてそれを伝えるのは、われわれ老人の役割なのだろうが。

 

(森敏)

追記:

以下に「肥料の用語」から引用する。

硫安は速効性の窒素肥料であり,元肥にも追肥にも用いられます。また硫酸根を含み,植物に窒素のほかに硫黄も供給します。土壌に硫安を施用するとアンモニアのほうが硫酸より速やかに吸収されて硫酸根が土に残ります。これらは土壌を酸性化する原因ともなるので,硫安は酸性肥料とされます。また水田では硫酸根が還元されて硫化水素になりやすいので,鉄分の少ない老朽化水田ではイネに害を及ぼします。硫化水素の発生による被害は,水田の還元が進む夏以降のイネの出穂から稔実期に多くなるので,いわゆる「秋落ち」の原因となります。硫安は生理的酸性肥料なので,施用にあたっては土を酸性化しないように石灰肥料も併用しますが,両者を直接混合すると,アンモニアの揮散が生ずるので注意が必要です。

秘密

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