2011-05-24 10:20 | カテゴリ:未分類

再論:セシウムの移行係数(TF値)は土壌によって異なる
 

      

  放射性核種であるセシウム(Cs)の土壌から植物の可食部位への移行係数に関しては、多くの報告がある。

       

  すでにこのWINEPブログでは3月28日付けの
     

土壌汚染核種の作物の可食部への移行係数を用いて、次作の汚染度をシミュレーションする方法について 
 
    
において、このTFについて説明し、内田氏のデータを紹介した。

      

  その後このWINEPブログでは3月28日付けの
      
原発から200キロも離れても、セシウム900ベクレル以上の牧草汚染とは
       

において、塚田氏のデータを紹介した。

           

  今回は、IAEAのデータを紹介する。言うまでもなく移行係数(TF値)は、作物の種類、土壌の種類、栽培地の気候によって少しずつ異なる。このIAEAのデータは世界の各種の土壌から集めたものであるので、上記の2氏の日本の土壌の値も考慮に入れているものとおもわれる。残念ながらこの本では温帯の野菜についてのTF値が掲載されていなかったので、亜熱帯の野菜についてのTF値を追加掲載しておいた。温帯の日本ではこの値よりも少し移行係数が低いかもしれない。

      

  一見してわかることは、有機質土壌> 砂土> 壌土> 粘土 の割合で移行係数が高いことである。これは本質的には粘土鉱物の中の雲母とセシウムの結合が強固であるために、植物にすわれにくいのだというのが定説になりつつあるようある。

       

  であるから栽培者は、今後は自分の土壌の性質をよく把握して栽培植物を選ばなければならないだろう。もちろん可能ならばその前に土壌の放射能汚染表土3-5センチを、ガイガーカウンターで詳しくチェックして、丁寧に剥離しておくことが強く望まれる。その後を客土するしないにかかわらず。
 
  下表で赤字で示したように、おしなべて、どの土壌でも牧草の移行係数が高いことがわかる。ここでも 牧草の土壌からの放射能収奪(ファイトレメデイエーション:phytoremediationへ)の有用性が示されている。

    
   
  

温帯条件下でのCsの移行係数(TF値)

作物の分類

部位

土壌の種類

分析数

TF値

根系

すべて込み

12

3.5x10-2

砂土

3

1.1x10-1

壌土

2

2.6x10-2

粘土

7

2.6x10-2

すべて込み

138

5.6x10-2

塊茎

塊茎

砂土

69

9.3x10-2

壌土

40

3.5x10-2

粘土

21

2.5x10-2

有機質

7

5.8x10-2

葉物

茎葉

すべて込み

64

6.3x10-2

砂土

41

8.4x10-2

壌土

10

4.8x10-2

粘土

9

1.2x10-2

有機質

4

2.8x10-1

マメ科飼料

茎葉

すべて込み

85

1.6x10-1

砂土

29

2.4x10-1

壌土

51

1.5x10-1

粘土

4

4.6x10-2

牧草

茎葉

すべて込み

401

2.5x10-1

砂土

169

2.9x10-1

壌土

124

1.9x10-1

粘土

75

1.8x10-1

有機質

31

7.6x10-1

薬草

茎葉

すべて込み

4

6.6x10-2

その他の作物

すべて込み

9

3.1x10-1

亜熱帯条件下でのCsの移行係数(TF値)

作物の分類

部位

土壌の種類

分析数

TF値

葉物野菜

すべて込み

35

3.8x10-2

砂土

6

1.0x10-2

壌土

22

4.1x10-2

粘土

1

8.0x10-3

   
すべて込みというのはすべての土壌の平均値ということである。
    
付記: 参考文献
Handbook of Parameter Values for the Prediction of Radionuclide Transfer in Terrestrial and Freshwater Environments.  IAEA(International Atomic Energy Agency). Techinical Report Series no.472

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