2008-05-09 15:52 | カテゴリ:未分類

syuufuku


icyou

樹の自己修復

 

近所の児童公園にある楠(Cinnamonum camphora L. Presl) は公園の周囲に巡らされている鉄柵にもたれかかってきて、ついに鉄柵が食い込んだ悲惨な姿を呈していた。このニュースが写真で新聞の東京地方版に載っていたのは、もう20年以上前であるが、鮮明に覚えている。10年前にその近くに引っ越してきて、公園を通りかかったときに偶然その樹の姿を見た。ああこれがあのとき報道された木だったのだ! その時にはすでに樹に食い込んだ部分の鉄柵(鉄パイプ)は切り取られていた。新聞に載った後ですぐに保護のための処置が執られたのだろう。樹の真横に腹を切ったようにパイプのあとが残っていた。小生が最初に見てから10年たったいまの状況は写真のごとくである。向かって右の部分から徐々に樹が腹(おなか)の皮を貼るように、または左から唇を閉じるように自己修復し始めている。(写真上の組み写真)

 

  写真下は東京の六義園に近い不忍(しのばず)通りと本郷通りの交差点にある銀杏(Ginkgo biloba L)の樹である。目の高さの位置の樹の皮がざっくりとえぐられている。まだ樹が若いときにナイフか何かで皮をめくられたのが樹が生長してきて傷口がますます広がったのであろう。

 

この切り傷に似た症状をオーストラリアのユーカリ(Eucalyptus glubulus Labill.)の高木でよく見かけたものである。最初はなぜあちこちにそんな樹があるのかよくわからなかったが、ガイドの説明によると、昔原住民であるアボリジニが短刀でユーカリの皮を切り取って燃料や加工品や薬剤の材料に使った、その傷あとがユーカリが大きくなってさらに拡大したものであるということであった。

 

    実に痛々しいが、同時にたくましい樹の生命力を感じる。樹はひっそりと人が付けた傷を年月をかけて自己修復している。

 

 

(森敏)

追記:日光の「竜頭(りゅうず)の滝」付近で、ミズナラ(Quercus mongolica Fisch.)の樹が無惨にもコンクリートの橋のガードレールに食い込んでいた。こちらの方は樹の傷害が現在進行形で、今まさに橋と樹の両者がすざましい格闘を演じている。

 kinikuikomu1.jpg

kinikuikomu2.jpg


 

秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/109-f6b7a016