2011-05-12 22:02 | カテゴリ:未分類

放射性活性汚泥生成の意味



下水処理施設の汚泥から高濃度の放射性物質 福島・郡山
2011.5.2.3:1 

::::::福島県郡山市にある下水処理施設の下水汚泥と、汚泥を燃やしてできる砂状の「溶融スラグ」から高濃度の放射性セシウムが検出された。:::施設は郡山市日和田町高倉の県中浄化センター。県によると、4月30日に調査したところ、汚泥から1キロあたり2万6400ベクレル、スラグから同33万4千ベクレルの放射性セシウムが検出された。スラグの数値は、福島第一原発事故の前の約1400倍だった。県は、地表面の放射性物質が雨などによって流れ込み、下水処理の過程で濃縮されたとみている。 県によると、汚泥は1日80トン発生し、70トンは施設内の溶融炉で燃やすことでスラグ2トンになる。残り10トンはセメントの材料としてセメント会社に送るという。原発事故後、計約500トンの汚泥がセメント会社に搬出されたといい、県が追跡調査をしている。スラグは施設内でビニールシートをかぶせて保管している。:::::県が1日にセンターの敷地周辺で測定した放射線量は毎時1.8~3.4マイクロシーベルトと、約10キロ離れた郡山合同庁舎付近の約1.6マイクロシーベルトより高かった。::::::::::::(矢崎慶一、北川慧一)

 

このニュースは2つのことを意味している。

  活性汚泥漕の微生物が低濃度のセシウム流入水から
セシウムを高濃度に濃縮した。

  この活性汚泥を高温焼却して溶融スラグを作る過程
でセシウムの約半分以上が飛散した(?)

 

最初に②について考察したい。

計算上では

26400ベクレルx(70トン/2トン)=
92.4万 ベクレル 

のスラグが発生するはずであるが、これが実際には
33.4万 ベクレルのスラグであった。ということは
 92.4万 ベクレル-33.4万ベクレル=59万
ベクレルが高温焼却 の過程でどこかに飛散したという
ことである。それがこの処理 場周辺を再汚染している
のかもしれない。 

  

次に①について考察したい。

郡山周辺の雨水から流れ込む汚水の放射性セシウム
が仮に 50ベクレル/Lぐらいだとすると、活性汚泥
では 26400/50=約530倍に濃縮されたこと
になる。 このことに関しては、先日読者から、
三菱重工が考案開示している以下の特許を紹介された。
その内容を一部紹介する。 (この特許の手法が
日本のどこかの原発排水処理に実用化されているか
どうかはわからないのだが。)

 

セシウム吸着剤と放射性核種除去方法 
特開2007-271306(P2007-271306A)

::::::::

【0005】
本発明で用いる脱窒菌は、特開平9-234492号公報に記載
されているように、排水中のアンモニウムイオンを窒素ガスに
分解する生物化学的方法として、硝化菌と組み合わせて用いら
れる公知の微生物である。
好気性硝化菌がアンモニウムイオンを酸化して硝酸イオンとし
た後、嫌気性脱窒菌は、水素供与体の存在下で硝酸イオンを還
元して窒素にする。水素供与体としてメタノールを用いると、
下記式(1)で表される。
NO3- 5/6CH3OH → 5/6CO2 1/22 7/62O+OH- (1)
この反応には脱窒菌が作用し、また充分なるメタノールが必要で
ある。水素供与体は、炭素源して微生物の栄養ともなるが、メタ
ノールに限らず、メタノール以外のアルコール、糖類、有機酸が
用いられる。
本発明者らは、脱窒菌がセシウムの吸着剤として効果があるこ
とを見出したものである。   

【0006】
本発明に用いるセシウム蓄積菌(Rhodococcusロドコ
ッカス)は、土壌中や活性汚泥中に広く存在する公知の微生物で
ある。従属栄養細菌であり、有機物を好気的に資化して増殖する。
微生物が一般的に有するカリウム輸送ポンプ(微生物が生育の
必須元素であるカリウムを菌体内に取り込む機構)を介してセ
シウムが微生物内に蓄積されることがTomioka et al. Appl. Environ. Microbiol., 60, 2227-2231, 1994に示唆されている。:::::

                             
とみおかプレゼンテーション1   
 

上記のTomiokaらの論文から。2種類の微生物がセシウムを菌体内に
取り込んでいることを示す吸収カーブ。0.05mMまでは濃度依存
的に直線的に取り込まれている。

   
 

           

要するに、活性汚泥の重要な機能である
脱窒作用
(窒素 成分を空気中に窒素ガス(N2
として逃がす作用
) を持つ微生物が、セシウムイオン
をカリウムの代わりに体内に吸収して、生体濃縮する
のである。当然放射性同位体である 137
Cs
134
Csも濃縮する。以上が、今回の郡山事件で
活性汚泥が放射性セシウムイオンを高濃度に
濃縮したゆえんである。

 
  東電福島原発から、気流に乗って飛んできて、
地面に 薄く広がって降り注いだセシウムを、
雨水が汚泥処理場に流し込み、それを脱窒菌が
濃縮したのはいいのだが、汚泥処理場では
出来上がった汚泥を焼却できずに、処理に
困っているわけである。
   
  この汚泥の中に多分存在
しているであろうストロンチウム
(90Sr)は焼却
してもあまり飛ばないのだが、セシウムは沸点が
低いので飛びやすいのである。処置なしである。

 
    ところで、ヒマワリを土壌汚染した放射性
セシウムの除染に使う場合でも、種子の油成分
にはほとんどセシウムはいかないだろうが、
ほかの葉や根や茎には集積する。
 
  それを、 たい肥として発酵させれば、
窒素(
N2ONO2N2
や炭酸ガス(
CO2
や亜硫酸ガス(
SO2)
として空気中 に有機成分は揮散して、
乾物重で5%ぐらいまでは 減量できるだろう。
それを土に埋めるのである。
発酵温度は、高熱菌で発酵させた場合でも
200度以下なので(通常は100度以下)
セシウムは空気中には飛ばない。

    
  重金属をろ過するフィルターのついた、
乾燥植物のみを燃やす
一定温度以下で燃やす低温焼却炉
みたいなものが あれば、堂々と燃やせるので、
放射能汚染拡散防止には好適だろう。
   
  誰か開発しないだろうか? この焼却炉は、
ヒマワリ作戦が始まれば、収穫物の終末処理が
一番問題になるので絶対に必要になると思われる。

  この点が農水省が「ヒマワリ作戦」を現時点で
推奨できない所以であろう。技術がないのに
推奨すれば、結果責任を問われるからである。
  

  しかし「窮すれば通ず」で、だれかが妙なる
技術を開発してくれるような気がする。
  
  原子力研究会のバックエンド部会なども、
原発爆発による「放射能汚染土壌の浄化に使っ
た汚染植物の廃棄処分をどうすべきか」
という
事態は全く想定していなかっただろう。だから、
「放射性廃棄物の低温焼却」は今後の重要な研
究課題として浮上してきたと思われる。

 

 
 
       

(
森敏)

 
追記1:<校庭の放射能汚染表土の剥離>を、
文科省の指示がない段階で、父兄につきあがら
れて自治体が率先してやったことに対して、そ
のあと自治体が右往左往して、結局文科省の指
導で「天地返し」という手法で、暫定的な決着
が行われた。これとて、再度原発が爆発すると、
もうほかの手法がない。(5月15日) 


 

 

秘密

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