2011-05-05 08:30 | カテゴリ:未分類

読者からの質問に答える

     
     

  読者から質問が来ましたので、その日のやり取りの欄には、小生からの返事を載せていますが、ここでは、それを再録させていただきます。その際多少資料に基づく厳密な意見を付け加えておきましたので、以下興味のある方は参考にしてください。

    
    
ご質問1

  
セシウムの土壌(粘土鉱物)への吸着力が非常に強くて、水ではなかなか溶け出さないということであれば、畑などでは単純に、表土と下の土を入れ替えれば、地下水への影響もなくて、そのまま放っておいて問題ないということなのでしょうか?
   
  
回答1

   
セシウムに関しては、畑地ではやはり50センチ以上の土の下に表土を今ならあまり表土を撹乱していないでしょうから10センチも削って「天地返し」することがいちばん有効な手段と思われます。個人や国がどれだけお金をかけてやるかです。又そんな深いところまで天地返しをやれない土壌もありますので、注意が肝心です。相手は放射能汚染した土壌ですから、農水省が厳重な作業マニュアルを作成して、放射能除染の訓練を受けた専属の業者がやる必要があると思います。そうしないと、放射能汚染を拡散させる恐れがあります。
   

ご質問2

   

水田はどういう方法になるのでしょうか。もしかしたら、粘土なので、水を入れたときに積極的に流してしまえば、ある程度流出してしまうというようなこともあるのでしょうか?

           

回答2.
   

水田に関しても全く同じです。セシウムはいくら湛水して掛け流ししても下方に実にゆっくりにしか移行しません。
   

以下の図は、1955-1975まで原水爆実験が行われて世界の土壌がセシウム汚染したのですが、その後耕作し続けた土壌でも表土50センチ以下までセシウム汚染しているところがないことを示しています。ですから50センチ以上掘って、天地返しすることは、放射能汚染を人間環境から完全に隔離するという点からは技術的にはベストな方法です。(上図が未耕地土壌、下図が耕作地土壌です。縦軸が土壌の深さです。)
   
  

おせんver2土壌---- 


       

土壌汚染---  

    

実は国はカドミウム汚染水田土壌の客土事業に20年ぐらいかかっています。今回はそれ以上の面積の水田が放射能汚染しています。農家自身や国がどれだけ「天地返し」にお金をかけられるかです。一方、今回は客土は絶対に無理でしょう。放射能汚染表土を削ってもどこにも捨てる場所がないからです。
     
ファイトレメデイエーション(植物による土壌浄化)は、まだ東電福島原発由来の放射能が降り注いでいるし、放射能が降下直後なので、しばらくはヒマワリやスベリヒユを播いて、土壌吸着を少しでも回避させようという提案です。土壌の種類(主として雲母の含量が多いか少ないかなど)によってはすでに降下した放射性セシウムの90%以上が強固に土壌吸着(固着)されている可能性が高いです。
  

もちろん生産者が「口に入れる食べ物を、いったんでも放射能汚染した土壌で作られてもそれは心理的に受け入れがたいと消費者が思うだろう」という判断になれば、作目を変えて、食べ物ではなく、バイオヂーゼルやバイオエタノール生産に本気で取り組むという、農家や農水省の政策転換もありうると思います。
   
その場合は、油糧種子としてのヒマワリ、ナタネ、アルコール発酵原料としてのサトウキビやイモなども選択肢となるでしょう。それがコストとして成り立つかどうかは、今後の日本国のエネルギー政策の転換と、強く連動しています。
 
  
  
(森敏)

 

秘密

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