2011-05-03 20:17 | カテゴリ:未分類

某先生への回答
 
 

某先生から鋭いご質問をいただいた。以下のように、これまでの知見からお答えできることだけ回答した。実は現場での未解明の部分があまりにも多い。まさにこれからの課題が山積しています。それでも各界の英知を集めれば、放射性セシウム土壌の浄化が数年以内ぐらいには短縮できるのではないか、という希望を持っております。

 


ご質問1.
   
植物への土壌からのセシウムの移行は、肥料分としての選択的な吸い上げと、蒸散による水溶性成分の無差別な吸い込みによる蓄積の2つで考えることができるのでしょうか?(ゴーヤ等はどんどん水を蒸散させますが、潅水、蒸散でも、早い時期なら効果があるのではないでしょうか?)

 

回答1:

植物による水溶性のセシウムの無差別な吸い上げということはあり得ません。セシウムの植物根による吸収は、セシウム固有のトランスポーターがあるのか、カりウムの輸送体(トランスポーター)のみを使っているのか、ほかのトランスポーターを使っているのか、現在分子生物学で議論のあるところです。植物によって、多様な可能性があります。また、根に吸収しても、地上部へ行くとき(導管に積み下ろされるとき)の排出のトランスポーターはカリウムのトランスポーターのみを使っている、という報告もあります。しかしカリウム欠乏にすると、根吸収の高親和性のカリウムトランスポーターが強く発現するので、セシウムがよく吸収されるという現象は、どの植物も共通の現象です。

 

ファイトレメデイエーションのためには、土壌からの収奪量の大きい植物を選抜したり、吸収移行に関係する遺伝子を同定して、遺伝子導入したり、放射線(量子ビームなど)育種で、偶然出てくる変異株から選抜するとう方法がありますが、詳細はあまりにも専門的になりすぎますので、ここでは省かせていただきます。

 

ご質問2
  
芝の直播播種+芝刈り+土壌付の芝はぎによる浅い表土付の撤去という手法を2~3回行ってははどうだろうかと考えてみたのですが、畑地など場所によっては使えないでしょうか?

  

回答2:

 

使えると思います。非常に良いアイデアではないかと思います。露地でもハウスでも、使える方法だと思います。問題は農家にそれをする経済的な余裕があるかどうかです。どうしても自分の得意な商品性の高い作物を作りたがるものですから、そのために深く耕作してしまって、かえって土壌からの放射性セシウム収奪がおくれて、解決を長引かせかねません。
 
  
ご質問3
      
土壌鉱物からの強固に結びついた放射性セシウムのイオン交換ですが、アンモニア水溶液中で放射性セシウムを吸着した土壌に超音波や超振動といった振動を与えてアンモニウムイオンと土壌鉱物が接触するチャンスをより多くしてみてはどうだろうか?などと考えてみましたが、そういった実験の結果はないでしょうか?これは、メタン発酵の消化液など、アンモニア濃度(1000~3000ppm程度)含有液と土壌の効果的な接触で液層へのセシウムイオンの移行が可能であろうかと考えた為です。(ただ、仮に可能であっても、実際の土壌の量を考えると現実的な手法とはならないかもしれませんが、何か可能性はないだろうか?と考えてみました。)

  

回答3:
   

セシウム降下直後の土壌吸着、つまり放射性セシウムと粘土鉱物のセシウム吸着座とを接触させない、という意味では、アンモニアと振盪するのは、原理的にはいいアイデアと思います。しかしそういう in vitro 実験はないと思います。ですから、小生は,水田の場合は田植えができなければ、硫安を大量に (0.01N ぐらい大量に)まいて、セシウム吸収力の強い雑草(たとえばタチスベリヒユ)を積極的に繁茂させたらいいのではないかと、考えているところです。土壌によりますがこれで10-20%ぐらいは吸着を抑えられる、すなわち植物に吸収される場合もあるのではないかと期待しています。 どなたか実践農家の汚染圃場を提供していただいて現場のフィールドでやるのが一番ですが。これは風評被害などがあるので、なかなかやりにくいのが現状です。

  
 
(森敏)

 

秘密

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