2011-04-16 12:44 | カテゴリ:未分類

放射能汚染土壌から放射能を吸収させない施肥法について。(提案6)

   
     

鉱滓による農作物の90Srおよび 137Csの吸収抑制に関する研究 (米沢茂人・三井進午 日本土壌肥料学雑誌36巻135-139、1965年)において、放射能汚染土壌から放射能を吸収させない施肥法が研究されている。

  
  最初に断わっておくが、この方法は万全ではない。過去において、核実験でビキニ環礁などから日本に飛んできた放射性降下物(fall-out)で汚染した土壌から、放射能が稲の可食部(玄米)に入らないための研究である。
  

  この研究結果を参照にして、有効な資材を使って、農水省が栽培禁止汚染度として暫定的に定めた土壌汚染濃度 5000ベクレル/kg土壌 を上回る放射性セシウム(137Cs)汚染土壌で、水稲の栽培実験をしてみることは非常に有効であろう。うまくやると、1万ベクレルの汚染土壌で栽培しても、収穫した玄米を摂取制限値の500ベクレル/kg の玄米値に余裕をもって抑制することができるかもしれない。
     
       

ここでは、この論文の中から以下の表1、表2、表3にセシウムに対する研究だけを抜粋して紹介した。

 
        

 

表1.水稲幼植物による137Csの吸収に及ぼす各種添加剤の効果

処理区

137Cs吸収率

地上部風乾物中の

   (%)

  137Cs含有比

対照区

0.36

100

炭酸カルシウム

1.09

306

ケイ酸カルシウム

0.5

115

スラッグ

0.99

251

セメントダスト

0.36

75

大谷石粉末

0.11

25

注)添加材は田無火山灰土壌で、風乾土100gに対し20g添加した。各数値は3連の平均値で示した

      
   

 

表2.水稲の137Cs吸収と玄米への含有量に対する各種添加剤の効果

添加剤

137Csの吸収率

玄米中の137Cs含有比

(%)

(a)田無土壌

無添加

1.1

100

炭酸カルシウム

1.1

109

ケイ酸カルシウム

1.12

112

スラッグ

1.18

113

セメントダスト

0.52

62

大谷石粉末

0.42

37

富士見土壌

無添加

1.1

100

炭酸カルシウム

1.5

122

ケイ酸カルシウム

1.6

164

スラッグ

3.6

284

セメントダスト

0.1

15

大谷石粉末

0.6

45

注)資材は風乾土壌に対して1%添加している。数値は3連の平均値で示している。

 
 
  

 

表3. 各種抑制剤の単独及び併用による137Csの吸収抑制効果

抑制剤及び組み合わせ

137Csの吸収率

玄米の137Csの含有比

(%)

無添加

1.08

100

炭酸カルシウム

1.34

157

ケイ酸カルシウム

1.5

153

スラッグ

1.71

169

セメントダスト

0.42

43

大谷石粉末

0.45

42

硫酸カリ

0.53

49

炭カル+大谷石粉末

0.64

57

炭カル+セメントダスト

0.59

51

炭カル+硫酸カリ

0.56

55

珪カル+大谷石粉末

0.78

83

珪カル+セメントダスト

0.64

58

珪カル+硫酸カリ

0.56

55

スラグ+大谷石粉末

0.56

63

スラグ+セメントダスト

0.44

42

スラグ+硫酸カリ

0.42

48

大谷石+セメントダスト

0.4

30

注)田無火山灰土壌に対して1%添加している。数値は一区3連の平均値で示している。

    
   

この結果によれば、水稲の放射性セシウム吸収を抑制し、セシウムの玄米への移行を抑制するためには、農業上単独施用する資材として、大谷石粉末、セメントダストがよいということである。

    

元来137Csの吸収に対してはカリが著しく抑制効果があることがわかっている。上記の実験で大谷石とセメントダストが効果があるのは、両者ともにカリ成分を含有することから、カリの共存によって。137Csの土壌固定を増大させ、土壌溶液中の137Cs/K比が低下したためと考えられる。また大谷石粉末にあっては、その塩基置換容量が大きいことによる、強いセシウム置換吸着力の結果と考えられる、と著者たちは結論している。

   
  これらは東電福島原発事故を経験した今日から見ると実に先駆的な研究である。
    

よく調べてみると、大谷石(おおやいし)は天然ゼオライトの一種だということである。
    
     

(ここでは複雑になるので詳しく表では紹介しないが、137Csばかりでなく将来原発炉心溶融爆発で問題になるかもしれない90Srの吸収も抑制しようと思えば、大谷石粉末+セメントダスト、スラグ+セメントダスト、スラグ+硫酸カリが推奨されている。)

         

直近の情報では、ゼオライトがセシウム吸着力が強いということで、東電福島原発海洋汚染水の除去剤として投入されたようである。多分大谷石粉末も海水中でのセシウム吸着に効果があるだろう。

      

逆に、合成ゼオライトを土壌に混ぜればセシウム吸収抑制効果が出てくるかもしれない。これは農学者研究者が、放射能除染の目的ではまだ誰もやっていない研究と思う。 大谷石よりも強力なセシウム吸収抑制効果が出てくるかもしれません。
       
  また、炭に関しても、セシウム吸収抑制効果が出てくるかもしれません。
         
  だれか早急に実験をやって、施肥法の開発に貢献してみませんか?

           
   
 

  
(森敏)

秘密

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