2011-04-15 21:40 | カテゴリ:未分類

樹木の放射能汚染が製材汚染につながらねばよいが

 
  

以下に,本日小生にとどいた木材業者からのメールを一部掲載します。

 

「森先生

ついに原木シイタケの出荷がストップしました。いよいよ、林産物にも影響が出始めました。シイタケほだ木には、タンニン分の多いコナラ・クヌギ・クリ等が利用されているのも、一因かもしれません。原発周辺のスギ山林が、放射能をかなり吸着した可能性は、大です。塙町には、日本最大級のスギ製材工場があり、東京市場に出荷しています。

 某より」

   
  

 

昨日の朝日新聞には、チェルノイブイリ近辺の樹木の葉のラジオオートグラフの写真を掲げた研究者の写真が掲載されていた。小生は若い時から植物の葉や根や茎から放射性化合物を与えて、植物体のラジオオートグラフ(X線写真)を取るという実験を長年やっていた経験がある。学生実験でも、農芸化学の3年生に放射性同位元素施設で32P,45Ca,42Kなどの植物への吸収実験をし、ラジオオートグラフの取り方などX線フィルムを用いて指導していた(いまはBASで簡単にオートグラフは取れるが)。なので、このロシアの研究者のラジオオートグラフの画像をみて、学問的なインパクトを感じた。と同時に、この地区にはやはりすごいすごい残留放射能があるんだということを実感した。

 
cyerinoibuiri.jpg  

(樹木の葉のオートグラフ。朝日新聞からの無断拡大転写)
  
     

チェルノイブイリ原発の爆発以降20年が経過しているにもかかわらず、この樹木の葉は鮮明に葉脈に放射性物質を集積している。おそらく、核分裂の半減期の短いものはすべて消滅しているので、この像は90Sr(半減期29年)と 137Cs(半減期30年)の合量のイメージと思われる。強烈に放射能汚染された土壌から根を経由して吸収されたこれらの放射性元素が確実に樹木の幹の道管を経由して葉に移行したことを示しているわけである。

   

さて、東電福島原発周辺の山林はいまギンギンにもろに放射能汚染されているだろう。放射能は、樹木の樹皮のタンニンや葉のクチクラ層とまず結合して、徐々に細胞内に取り込まれていくだろう。樹木の代謝は草よりも緩慢なので、まだ全身には放射能が回ってはいないだろうが、時間がたつにつれて、全身にゆっくり回り始めるだろう。そして、形成層などから放射能の沈着が始まるだろう。何年かたって、木を輪切りにすれば、今年の年輪には確実に放射能が高濃度に集積していることが明らかになるだろう。いまは一番外側の樹皮や樹液が一番しっかり汚染しているかもしれない。だから製材所では、木を切り出したり製材するときには、こういったことに気を付ける必要がある。

     

(森敏)

 
   
追記1:綿貫礼子女・吉田由布子女史らの直近の論文
「放射能汚染が未来の世代に及ぼす影響」
が掲載されている「現代化学」誌が友人から送られてきた。その表紙に、野村大成先生の撮影されたという、チェリノイブイリでの植物の放射能(17500Bq/kgの137Csを含有とコメントされている)をおそらくBAS(
イメージングプレートで感光させたと思われる以下の写真が載っている。ハレーションを起こしている(over exposure?)が、なかなか迫力があると思う。

(2011.4.17.)
 
科学同人 
 
 
追記2: ちなみに日本で最初にイネの放射性Csのラジオオートグラフヲとったのは、我が恩師の三井進午先生グループの以下の写真である。これは、根から134Csを吸収させて、葉の部分をX線フィルムに画像が全部はいるように折り曲げて感光させたものである。葉の中心の葉脈(中肋)が心なしか濃く感光している。ここには示していないが放射性核種42Kのばあいは均一に分布しているので、葉脈から、葉肉細胞に積み下ろされるところが、周期律表上の同族元素であるK(カリウム)の場合と異なると思われる。イネの場合はここが律速になって、地上部には移行しにくくなっているように思われる。
  
 
IMG_5935--.jpg 

天正清・葉可霖・三井進午:水稲および陸稲による土壌よりの134Cs及びKの吸収と作物体内の分布。日本土壌肥料学雑誌30,253-258(1959)

 
秘密

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