2011-04-13 15:37 | カテゴリ:未分類

東電福島原発由来の放射性ストロンチウムのデータが出始めた -1分析化学者からの視点

 
     

分析科学者である某○○氏から以下のメールが届いた。今回はじめて発表されたストロンチウム(Sr90)値に関して、分析化学者がどう考えているかに関して、きわめて有意義なので、本人の許可を得てここに転載したい。後半にはこのメールに関係する朝日新聞の朝刊記事を転載した。 この具体的数値に関しては、文中に記載している文科省のホームページも参照していただきたい。
   

「森様

朝日新聞の朝刊記事について
  


ストロンチウム、小さい値でよかったと思う反面、このデータからは殆ど何もいえないと思います。(文部科学省のHPデータ
  
福島第1原子力発電所の事故に係る陸土及び植物の放射性ストロンチウム分析結果について:文部科学省
  

も見ながら書いています)。
   

一般に、「高い濃度が出た」と言うのは少ないサンプルについて言っても、ある程度信用できますが「低い値である」「問題ない」と言うためには、もっと沢山のデータが必要です。これだけで言われても安心できないですね。

  
なお、下のような疑問がわいてきます。
  


1.
サンプルは何点とって何点分析したか?土壌の番号が31,32,33ですが・・・残りの地点のデータは?
  
2.
バックグランド値を差し引いた値か生データか?
(朝日新聞の記事・農環研によると過去の核実験で1.2Bq/Kg程度とあります。この値を差し引いたのでしょうかね)
  

3..
野菜の試料は「提供」とあり、名前を示されないのは何故か?
  

4..
分析に使った試料の量、処理法、測定誤差、倍率をかけるなどのデータ処理の方法(これは分析屋の最も聞きたいことで、測定値の評価に必要ですが、新聞記事には難しいと思いますがトレースできるようにどこかに公表して欲しいです)
  

5.
測定日とデータをどの時刻の値に換算したか(I-131の半減期が短いことなどあり、どの時点での値かが、相対的な比を調べるために必要です)
  

6.
 農環研谷山氏がコメントに当たって見た資料はこれだけなのか?NHKの山崎解説員は今朝のニュースで「低い値ではあるが、かなりの範囲まで広がっているので今後のきめ細かい調査が必要」というようなことを言っておりこの方が穏当だと思います。
  

7.
農環研や地方自治体に過去の(1960年代の)データが蓄積されていると思います。それとの比較などの調査が行なわれているか(他の核種とに相対比など)
  
このほかに、大気への放出が少なかったとしても、海洋へ投棄している液体の中のデータは是非必要です。文部科学省の測定項目に是非、Sr-90の値を入れるように(海水は難しくても海産物は必ず)してもらいたいものです。
   

炉心から海へ流れるとすると大気中よりもずっとSr-90の割合が大きくなると思われます。分析が大変なのは分かりますが(どうも最近は本当にSr-90の分析をやれる人は数ええるほどしかいないのではないか心配しています。少なくともビキニの頃はSr-90のデータがすぐ出てきました。この技術がなくなるのは怖いことなので、分析技術者の養成についても、今後の重要課題ですね。 

   
当面上のような疑問を持ちました。この問題は今後もマスコミにはぜひ、しつこく追跡してもらいたいものです。
   
高濃度Sr-90が出てきはじめたらいよいよ原子炉の崩壊(再臨界のはじまり)ですからね。
   

○○
より

    
  

以下朝日新聞の記事を無断で添付します。
  
福島の土壌から微量ストロンチウム 水溶性の放射性物質
2011/4/12(朝日新聞朝刊)
文部科学省は12日
福島県で採取した土壌と葉物野菜からストロンチウム89と90を検出したと発表した。福島第一原発から放出されたとみられるが、半減期が約29年のストロンチウム90はセシウム137に比べ約1千分の1以下の量だった。今回の原発事故でストロンチウムの検出は初めて。
 発表によると、土壌のサンプルは3月16、17日に浪江町で2点、飯舘村で1点が採取され、分析された。この結果、ストロンチウム90は最大で土壌1キロあたり32ベクレルだった。半減期が約50日のストロンチウム89は最大で260ベクレル。同時に分析されたセシウム137は1キロ当たり5万1千ベクレルで、ストロンチウム90の値は、この0.06%の量だった。
 測定に1〜4週間かかるため発表が遅れていた。
 農業環境技術研究所によると、1960年代の核実験などの影響で、通常でもストロンチウム90は土壌1キロあたり平均1.2ベクレル程度、検出されるという。
 葉物野菜は3月19日、大玉村や本宮市などで採取された4点が分析された。ストロンチウム90は最大で1キロあたり5.9ベクレル検出された。これもセシウム137に比べて、0.007%の量だった。いずれも食品の扱いではなく、洗わずに試料として分析された。
 国内では飲食物に関するストロンチウムの基準はない。ただし、原発事故ではストロンチウム90が放出されることは想定されており、セシウム137の基準は、ストロンチウム90が10%含まれる前提で算定されている。
 米国の食品基準はストロンチウム90で1キロあたり160ベクレル、欧州連合(EU)は1キロあたり750ベクレル。今回はいずれの基準も大きく下回っている。
 ストロンチウム90は、化学的性質がカルシウムと似ていて水に溶けやすく、人体では骨にたまる傾向がある。土壌では深い場所まで届き、植物に吸収されやすい。海に放出されると、魚の骨などに取り込まれ蓄積する可能性がある。

    

  
(森敏)

秘密

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