2011-04-13 11:10 | カテゴリ:未分類

誰の目にも明確に見えてきた原発放射能汚染からの今後の課題
 

未曽有の東電原発事故(原子力安全委員会と保安院による事故評価尺度レベル7!)の処理が、今後もいつになったら解決のめどがつくのかさっぱりわからない。

めどがつかないのは、今回のような

一.津波→電源喪失 (→炉心冷却水の循環機能の喪失→水の沸騰→原子炉圧力上昇→水素発生→ヴェント(放射能の放出)→大気広域汚染→土壌汚染→今後の農作物汚染)

二.津波→格納容器や原発敷地の亀裂発生(→超高濃度放射性冷却水の漏出→地下水へ→広域海洋汚染)

などということを、原発設計者が全く想定できていなかったからである。

 

これらは、原子炉設計の根幹にかかわる材料開発に大きな課題を投げかけている。材料に関してはこの程度の耐圧性、水素脆性でよいなどという惰性が原発関係者全体に働いていたのではないかと思料する。これは研究者・産業界・通産省に一貫した固定観念にもなっていたのでないか。燃料棒の新規材料開発への意欲が低下していたのではないだろうか。したがって、もし原発をエネルギー源として採用し続ける政策を維持しようとするならば、

1.    原子炉材料の新規開発

がこれまで以上に拍車をかけなければならない最重要の研究課題となるだろう。

つぎに、現在すでに事故のあとに起こりつつある大気・土壌・海洋にわたる広域放射能汚染に対する対策は如何にあるべきなのだろうか。

これまでは、今回のように汚染が拡大持続するなどとはだれにも想像力が湧かず、汚染拡散を未然に防止し、放射能汚染環境を修復する技術開発を研究する者は実に希少だったのだ。

 

これまでは、いつ起こるかわからない未曽有の異常事態に対して、国家予算を投入する余裕はないし、仮に研究者もそんな原発事故の尻拭い的架空の研究テーマを国家プロジェクトとして与えられても、ファイトがわかなかったであろう。また、「こんな起こりえない研究をして何になる」、などという考えから、研究評価者の問題意識も高くないので、研究成果にたいする評価も高くつけられなかったかもしれない。(現に、これまでも、放射性降下物fall-outの研究で、価値の高い賞を受賞したということを聞かない(小生が知らないだけかもしれないが)。

しかし今や事態は急変したと思う。

喫緊には原発からの放射能汚染拡大阻止技術や、汚染土壌の修復の技術などが強く求められている。農学の分野では

2.放射能汚染土壌からの放射能除去技術

3.放射能汚染水からの放射能回収技術

が最重要の技術的課題であろう。

これに関しては実に意外なことに、原子力関係機関からの特許で、「除染」関連のものが皆無に近かったことである(これは読者からのメールでの連絡で知った)。ウランなどの核燃料材料の海水からの濃縮技術の開発は行われている(高崎原子力研究所)。つまり核燃料材料開発は評価されても、冷却水や海水などに拡散したウラン核分裂放射能を吸着回収する技術には全く目が向けられていないことがわかった。したがって、現在原子炉内に再循環すべき超高放射能汚染冷却水からの放射能除去技術がないので東電や政府が四苦八苦しているのである。これまでは、原子炉から必然的に発生する低線量の放射能レベルのものは、回収せずに大気や海水へ垂れ流していたのであろう。

一方汚染土壌から放射能を除去する技術は、チェルノイブイリ原発爆発からの研究が諸外国では延々と続いている(これもいくつかの読者からさまざまな文献の提供を現在も受けつつある)。日本では、わが恩師の東京大学肥料学教室(現植物栄養・肥料学教室)の三井進午教授一派の研究がビキニ環礁の水爆実験以降に本格的に開始されて1955-1965年まで10年間続いていたが、それ以降は研究が終息している。三井先生の研究は当時IAEA(International Atomic Energy Agency)からの強力な資金供与によって推進されたと記憶している。三井先生はIAEAの理事を10年以上勤められていた。

この当時の先輩の研究を解き明かすことによって、いくつかの推進すべき技術的課題が今や明確になってきている。それをいくつかこれまでのWINEPブログで紹介してきたが、農水省も(文科省はもとより)まだ全く反応が鈍いようである。

近く体系的な課題解決型の研究課題を提示したい。
  
  すでに土壌・肥料・植物栄養関連の若手研究者が動き始めていると聞いているが、水産研究者の動きは全く小生には伝わってこない。

 

(森敏)
 
付記:以上の提案は、すべて、原子炉がいずれ収束するという大前提で行っている。
 

 

秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/1027-cd574076