2011-04-07 08:25 | カテゴリ:未分類

137Cs(または134Cs)イオンに関する2つの常識(提案4)

     
           

  今回の放射性セシウムイオン(Cs137, Cs134)による土壌汚染に関しては以下の一、二の2つの視点を明確にして、対策に取り組まなければならない。

    

  その際に、セシウムイオンとほかのイオンとの相互作用に関する以下のA,Bの基本常識を忘れてはならない。
 

 A.アンモニアイオン(NH)は137Csイオンを土壌吸着しにくくする。

 B.カリウムイオン(K)は植物への137Csイオン吸収をおさえる。逆にカリウム欠乏で植物の地上部への137Csイオンの移行は促進される。

   
         

  そこで提案です。 
   

一.放射性セシウムによる濃厚汚染地帯では、土地の農用地としての早期の再生を目指して、1か2の方法で放射能の除染を目的とした対策を行う

1.可能な限り
客土する。放射能汚染していない山の崖などの土を用いる。

  2.客土ができない場合は、ファイトレメデイエーション(ヒマワリなどのセシウムやストロンチウムなどの高集積性の作物を連作あるいは輪作して土壌のセシウムを早期に植物体に収奪すること)する。この場合は、無カリ肥料で育てたほうがよい。カリ欠乏は植物によるセシウムの吸収を促進すると同時に地上部への移行も促進するからである。日本の土壌はカリ欠乏が起こりにくいので、無カリにして生育させても、極端な生育阻害は起こらない。もちろん収穫物は、食用には供しない。

    

.放射性セシウムの弱汚染地帯では、低放射能含有作物を目指して、極力放射性セシウムを吸収させない農法を行う。その場合以下の2点に留意する必要がある。
  

1. 非アンモニア系肥料(硝酸系肥料または尿素系肥料)を用いる。
2.湛水すると、土壌の還元が進んで、アンモニアの放出が始まるので、収量が多少は落ちても我慢して、極力水を落とした栽培を行う。
3.カリウムは、植物根からの放射性セシウムイオンの吸収を抑制し、地上部への移行を阻害するので、積極的に使用したほうがよい。

  

        

  上記のAとBを主張する根拠データは以下のとおりである。下に掲げた第1表と第2表を見てもらいたい。

     
   


       第1表

小麦幼植物地上部の土壌からの
137Cs吸収に対する

各種陽イオン共存の影響

 

      乾物あたり137Csの

         含量指数

無添加100100
NaCl134122
KCl3126
K2SO44131
NH4Cl402558
(NH4)2SO4332481
NH4NO3255                     -
MgCl211592
CaCl2117102
Ca(NO3)2                  -110

塩類添加量は1me(ミリ当量).
   
この第1表の黒い太文字はカリウム(K)系肥料
によって、セシウムの地上部への移行量が抑え
られていることを示している。
  

また、赤い太文字は、アンモニア(NH4)系
肥料によってセシウムの地上部へ移行量が
促進されていることを示している。
 
      
   

第2表

水耕栽培の水稲による134Cs

の吸収に対するKの影響

 

水耕液のK濃度

(KO ppm)

部位

含量(対風乾物)

134Cs(cpm/g)

5

上位葉

1730

下位葉

2200

茎および葉鞘

1850

63040

20

上位葉

1300

下位葉

1200

茎および葉鞘

1410

61470

80

上位葉

576

下位葉

629

茎および葉鞘

794

9460

    
 第2表は培地のカリウムの濃度
(ここではK2Oであらわしている)が
5ppmから80ppmになると極端に
セシウムの吸収量が約16.6%まで抑えられている
ことがわかる。  
  

  

(森敏)

 
付記:
  

出典:天正清・葉田可霖・三井進午:水稲による特異的セシウム吸収の機構。日本土壌肥料学雑誌 32巻4号139-144

       
    

 
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