2011-04-04 11:19 | カテゴリ:未分類

土壌の放射能汚染に悩む農家のかたへ(提案3)

   
   

以下に本WINEPブログの読者を介しての、小生と福島の果樹農家との問答を紹介する。少しでも判断の参考にしてくださればありがたい。

   
        

果樹農家からの問い
   

現在、本格的な土壌調査が進められていて、表土を取り去る必要があるのか、そ
れともこのまま耕作が続けられるのか、近々結果が出るものと思われま す。空
中放射線量の高い飯舘村や、ダッシュ村のある浪江町・津島などは、桁違いのと
んでもない高い放射性物質が土壌から検出されています。
ご紹介いただいたWINEPブログの記述にあるような、敷き藁によるマルチング
は、マルチングする面積の4-5倍の面積で栽培した稲藁を必要としま す。そ
のような大量の稲藁は、入手は不可能で、現実的ではない対応策と思います。放
射性物質も、既に降り積もっているわけですし・・・。
キュウリ畑に使う稲藁は保存してありますが、とても全ての面積に使用する量に
は足りません。
当面、黙々と農作業を続ける以外にありません。毎日、一日中畑に出て、桃の摘
蕾をしています。放射線など、作業上は気にしていません。このまま長 期間、
少しずつ放射性物質が飛来し続けるとなると、多少は気にしなくてはなりません
が・・・。
今、心配しているのは、果樹に施す肥料(追肥)についてです。桃や柿に今の時期
に追肥をした場合に、土壌に固定化されている放射性物質を溶出させ て、根に
吸収を促す結果になるのではないかと・・・。

 
  

小生の回答
   

水稲による特異的セシウムの吸収機構
天正清・葉可霖・三井進午 土肥誌324号139-144(1961)
    
という論文に、アンモニア系肥料(硫安,塩安、硝安)が、植物体へのセシウム吸収を35倍に促進すること。カリウム系の肥料(塩化カリ、硫酸かり)が植物体へのセシウム吸収を26-41%に抑制すること。(実験データは追ってこのブログの追記でお示しいたします)

   
  
などがわかっています。
ですから、使うならカリ肥料と硝酸肥料を使うべきです。硝酸カリがいいかもしれません。

   
  
アンモニア系肥料(硫安,塩安、硝安)が、植物体へのセシウム吸収を35倍に促進する理由は、土壌中でセシウムが粘土鉱物と吸着しているのをアンモニアイオンがセシウムイオンとイオン半径が似ているために、セシウムイオンを粘土鉱物から溶出させるため、セシウムが植物根から吸収されやすくなることによるものです。
   

またカリウム系の肥料(塩化カリ、硫酸かり)が植物体へのセシウム吸収を26-41%に抑制することの理由は以下の通りです。カリウムイオンは、今日の分子生物学の知見では、稲の根で吸収されてから、導管に放出されて地上部に移行するときにカリウムイオンの細胞膜輸送体(トランスポーター)を使うので、根にカリウムがたくさん吸収されると、この膜輸送の時にカリウムがセシウムと拮抗して、セシウムの根から地上部への移行が阻害されるからです。
   


   
また、これまでもくりかえし述べてきましたが、肥料を漉き込むことは土を荒らすことになるので極力避けたほうがいいです。土を荒らすと、現在は表土5センチ以内にほとんどのセシウムが分布しているのですが、これがさらに地下部に入るので、後々、汚染表土をえぐって、新鮮な汚染していない山土などで客土すべき場合には、土壌の量が膨大になり、それだけ費用負担が増えるからです。したがって施肥は根回しの半径の円の細い範囲に限定すべきかもしれません。今年も昨年と同じような果実収量を得たいなどとお考えにならずに、やむを得ないこととして、今年は放射能を果樹に極力吸収移行させない農法に徹すべきではないでしょうか。
   

   
(森敏)



秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/1014-89ad6453