2011-03-31 19:21 | カテゴリ:未分類

東電福島原発事故でストロンチウム90の測定データが発表されないゆえんについて

 
   

  ウランが崩壊するとヨウ素-131(I131),セシウム-137(Cs137),のほかにストロンチウム-90(Sr90)が生じてくる。にもかかわらず、現在新聞紙上ではI131とCs137だけが、データーとして報じられている。それは何故だろうか。
 

  理由は簡単で、前二者は半導体検出器で特性ガンマ線を検出できるのだが、Sr90はベータ線を出すので、ベータ線だけを測ってもそれがSr90由来であると特定できないからである。日本分析センターのホームページにはこのことがわかりやすく以下のように解説されている。
  

ストロンチウム90の放射能測定の要点 ほとんどの放射性物質は 壊変 したときにガンマ線を放出します。ガンマ線はそれぞれ物質に固有のエネルギーを持っているので、ガンマ線を測れば含まれる放射性物質が何であるか、また、どの程度含まれているかを知ることができます。
しかし、ストロンチウム90は、ガンマ線が放出されないで、ベータ線のみが放出されます。ベータ線はガンマ線と違って、固有のエネルギーを持っていないため、どの放射性物質から放出されているかを決めることはできません。このため、化学的にストロンチウムだけを分離精製する必要があります。ストロンチウムだけになった後に、ストロンチウム90のベータ線を測るわけですが、実際には、ストロンチウム90
壊変 して生成されるイットリウム90のベータ線の方がエネルギーが大きく測りやすいため、このベータ線を測定し、その結果からストロンチウム90の放射能を算出する方法をとります。

 

  つまり、Sr90だけを分離精製するのに1週間ぐらいかかる。だから東電や行政当局はこの核種を測っている余裕がないのである。

 

  しかし、Sr90は体内に入ると電子配置・半径が似ているため、骨の中のカルシウムと置き換わって体内に蓄積し長期間に亘って放射線を出し続ける。このため大変危険である。原発事故で放出される量はCs137と比較すると少ない、とWikipediaでも解説されているのだが、今回の東電福島原発事故に関しては放出されている両者の存在比は全く不明である。。
 

  そうであるから、今回我々は、Sr90も東電福島原発事故の大気から摂取し続けており、Cs汚染地域ではSr90でも土壌も常に汚染され続けていることを忘れてはならない。将来は当然汚染土壌からSr90も作物に移行し、可食部にも移行する。Sr90の半減期も28.9とCs137(半減期30年)と同様に長いので、決して無視してはいけない。今年の産米では、きちんとSr90とCs137を測定しなければならなくなるだろう。

     

Sr90の水や野菜の摂取基準は決められているのだろうか? 小生は知らないのだが。 誰か教えてくれませんか?
         

 (森敏)
      
付記:先にWINEPブログで紹介している、小生の恩師の三井進午教授一派の研究論文では、土壌や植物からCs137と同様Sr90をも丹念に分別して、分析している。論文を読んでいて実に頭が下がる思いである。 
 
追記: 以下のように、ストロンチウム90のデータがはじめて発表された。ただし3月16,17日のサンプルである。東電福島原発の水素爆発直後なので、まだ雨による濃厚な放射能降下物で土壌が汚染していない可能性が高い。
    


福島の土壌から微量ストロンチウム 水溶性の放射性物質
2011.4.12.23:16
 文部科学省は12日、福島県で採取した土壌と葉物野菜からストロンチウム89と90を検出したと発表した。福島第一原発から放出されたとみられるが、半減期が約29年のストロンチウム90はセシウム137に比べ約1千分の1以下の量だった。今回の原発事故でストロンチウムの検出は初めて。

 発表によると、土壌のサンプルは3月16、17日に浪江町で2点、飯舘村で1点が採取され、分析された。この結果、ストロンチウム90は最大で土壌1キロあたり32ベクレルだった。半減期が約50日のストロンチウム89は最大で260ベクレル。同時に分析されたセシウム137は1キロ当たり5万1千ベクレルで、ストロンチウム90の値は、この0.06%の量だった。

 測定に1~4週間かかるため発表が遅れていた。

 農業環境技術研究所によると、1960年代の核実験などの影響で、通常でもストロンチウム90は土壌1キロあたり平均1.2ベクレル程度、検出されるという。

 葉物野菜は3月19日、大玉村や本宮市などで採取された4点が分析された。ストロンチウム90は最大で1キロあたり5.9ベクレル検出された。これもセシウム137に比べて、0.007%の量だった。いずれも食品の扱いではなく、洗わずに試料として分析された。

 国内では飲食物に関するストロンチウムの基準はない。ただし、原発事故ではストロンチウム90が放出されることは想定されており、セシウム137の基準は、ストロンチウム90が10%含まれる前提で算定されている。

 米国の食品基準はストロンチウム90で1キロあたり160ベクレル、欧州連合(EU)は1キロあたり750ベクレル。今回はいずれの基準も大きく下回っている。

 ストロンチウム90は、化学的性質がカルシウムと似ていて水に溶けやすく、人体では骨にたまる傾向がある。土壌では深い場所まで届き、植物に吸収されやすい。海に放出されると、魚の骨などに取り込まれ蓄積する可能性がある。

 チェルノブイリ原発事故ではセシウム137の10分の1程度のストロンチウム90が放出された。

 この結果について、農業環境技術研究所の谷山一郎研究コーディネータは「今回の数値はかなり低い。農作物に吸収される割合はセシウムより高いが、この程度の値なら、問題ないだろう」と話している。

 


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