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2023-08-09 22:18 | カテゴリ:未分類
  最新の學士會会報(No.961号)に、土屋直嗣氏(ツチヤナオツグ:現オーストラリアモナッシュ大学心理科学部教授)の

最新の脳科学と意識の理論から予測する、
   人工知能(AI)の意識の可能性について


という7頁にわたる解説記事が載っていた。いきなり、 「AIは意識を持つか?」というサブタイトルが掲げられて文章が始まっていたので、食いついてみた。

読んでいて「クオリア」という言葉や、「意識とは何ぞや」とか「知能とは何ぞや」という分野は、認知機能が急速に衰えつつ合う小生にとって、少し腰を据えて、もっと理解してみたいな、という魅力に駆られた。

文中で
:::詳細は割愛しますが、:::::興味を持たれた読者の方には、日本語の入門書として拙著の「クオリアはどこから来るのか―統合総合理論のその先へ」を参考図書として挙げておきます。::::

という記述があった。學士会報の専門家諸氏の記事は、他分野の人にもわかる様に、比較的かみ砕いてくれている文章がほとんどなので、ふつうはじっくり読めば少しは理解度が進む文章が多い。しかし、この土屋氏の文章は、「です」「ます」調で書いてくれているのだが、全体として、この分野の研究が現在急速に進行形であるためか、まだまだ明快な理論として組み立てられているわけでないので、未消化の感を否めなかった。基礎的用語の概念の解説をしていたら、話が前に進まないのであろう。だから自著を読んでくださいというわけである。

そこで、土屋直嗣氏本人の著書

クオリアはどこからくるのか? 統合情報理論のその先へ (岩波化学ライブラリー:電子書籍版)

を早速、紀伊国屋書店から購入して、基礎から読むことにした。読み始めて、すぐに、これは相当腰を据えて時間をかけて読む必要があると、いやでも気付かされた。

それでも純粋に哲学者が書くような、こねくり回した、入れ子のような持って回った構造の文章ではなく、主語述語修飾語の比較的簡明な論理展開であるので、途中までは何とかついていけたが、最後までいちおう字面(じずら)は読めたが、よく理解ができなかった。電子辞書なので文字を思いきり拡大して、間欠的だが、1週間かけて読んだつもりなのだが。

やはりこの年(新老人)になると、新しい専門用語の概念や定義がなかなかつかみにくい上に、読んでいて次の日にはうすぼんやりとして定義を忘れていくので、能率の悪いこと悪いこと。。。。。

この本で特徴的だったのは、本のなかに7カ所で、QRコードが埋め込まれていて、それをスマホで読み取ってその動画の内容を見ることにより、読者に論理の展開の理解を深める手法を採用していることであった。これはなかなか斬新な現代的な手法だと思った。

小生はスマホをやらないので、ここのユーチューブ動画はスキッップせざるを得なかった。つまりその情報量が得られなかったので理解がすこし不足したことは否めなかったわけでもあった。小生が知らなかっただけなのだろうが、なかなか手の込んだ形式の本が出てきたと思う。著者には申し訳ないが、この書籍製本手法が一番小生には印象に残った。

「クオリア」概念の時空を含めた立体構造の解明に期待したい。「クオリア」は揺らぐ実体と呼ぶべきか。
  

(森敏)

付記:漠然とした稚絶なレベルでの印象で恐縮だが、この著者の研究グループは「クオリア」の概念創成に関して、物理学の「不確定性原理」や物質が波動でありかつ量子であるという量子力学の影響を強く受けていると思った。