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2023-05-09 13:58 | カテゴリ:未分類
「脳内エコー・チェンバー化」と日本特有の「空気」 宮台真司氏の抵抗

という見出しで朝日新聞ネットが、先日都立大学構内で何者か(犯人はその後自殺)に襲われた、社会学者宮台真司氏のインタビューを載せている。

「::::::::: 分断や孤立が社会に影を落としています。親しい仲間と深い議論ができなくなり、考えが間違っていても正されなくなった結果、素っ頓狂な考えが脳内を残響し続ける「脳内エコー・チェンバー化」が蔓延(まんえん)しています。
 人は、他者に諭されたり叱られたりして思い込みを正されて、初めて妥当な政治的・哲学的な意見を持てます。それができずに見たいものだけを見る人がたどり着くのが「他責化」と「他罰化」。「自分の不幸は〇〇のせい」と思い込み、〇〇を攻撃し「ショボイ」自分を補完するのです。:::::::」
  
  この脳内エコー・チェンバーという言葉は小生は初めて聞く言葉なので、さっそくgoogleやチャットに聞いてみた。この言葉は社会学では今や常識的な言葉になっているのか、いろいろな説明がなされているのだが、簡略すると以下のとおりである。

::::::::エコー・チェンバー現象(エコー・チェンバーげんしょう/反響室現象、英: echo chamber)とは、自分と似た意見や思想を持った人々が集まる場(電子掲示板やSNSなど)にて、自分の意見や思想が肯定されることで、それらが正解であるかのごとく勘違いする、又は価値観の似た者同士で交流・共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅する現象。閉鎖空間で似た者同士で意見をSNSで発信すると自分と似た意見が返ってきて増幅していく状況を、閉じた小部屋で音が反響する物理現象から例えたものである。
また、「エコー・チェンバー」という比喩表現は、インターネット時代となる以前の1990年にデビッド・ショー(英語版)が記事の中で用いたとされる。インターネット時代におけるエコー・チェンバー現象に関しては、2001年にはキャス・サンスティーンが、著書『インターネットは民主主義の敵か Republic.com』で言及していたが、この表現の普及が特に進んだのは、2016年アメリカ合衆国大統領選挙が契機であった。::::::::::

  というわけで、このエコー・チェンバーという言葉自体は宮台真司氏の発明ではないようだ。しかし彼が「脳内エコー・チェンバー」と「脳内」という言葉を付加したことは、我々素人にはわかりやすい試みだと思う。

  問題は「脳内エコ―・チェンバー人類」が増殖する現状の危険な流れを、だれがどういう仕掛けで制御するか、であろう。マスコミ人や人文社会科学者の社会貢献が問われていると思う。

(森敏)
追記: 日本語で エコ―チェンバー と書くと、エコチェンバー(環境にやさしい部屋)みたいな意味に読み間違えそうなので、上記文中ではすべて エコー・チェンバー と中点を入れた。