2016-08-26 11:52 | カテゴリ:未分類

浪江の農業用水路に野生の水生「セリ」が生え始めていたので、長靴で降りて、丁寧に数株を採取した。根は用水路の放射能汚染土壌によって直接外部汚染しても仕方がないけれど、地上部は水にたえず洗われているので、葉は外部被曝はなく内部被爆だけだろうと思って、それを確認したかったからである。

 

セリは水にぬれて新聞紙にびったりとくっついてきれいに葉の形状を保存するための乾燥が難しかったが、何とかやり遂げて(図1)オートラジオグラフを撮像した(図2)。

(図1) ミズセリ(原図)反射しているのはセロテープです。
スライド1

  
 (図2) 図1のミズセリの オートラジオグラフ (上から4分の3が撮像されています)
スライド2

結果は、根に付着した土壌が一番濃く撮っているが、予想外にセリの体のあちこちにも用水路の放射性土壌粉末がこびりついた汚い画像になった。もちろん葉の部分も内部被曝している。新聞紙による乾燥作業中、どうも「乾きにくくて、新聞紙からはがしにくいなー」と思っていたのだが、どうやらセリの葉の表面は粘土などを粘着する分泌物質によって目に見えないくらい薄く覆われているのかもしれない。

 

農業用水には大雨が降ったときに森林の表土や、溜め池などから、いつも細かい泥や砂が流れ込んでいるので、いくら用水の泥を掻き出して除染しても無駄である。これらはいずれ下流の阿武隈川から海に流れ出ているのである。

 

用水の上流の森林を除染しない限り、用水から田圃に汚染土壌が流れ込むので、水田の除染後の用水管理が重要である。過去の鉱山廃液からのカドミウム汚染土壌では、水田の土壌を剥離したあと山土で客土しても、また何十年かのちには、鉱山採掘残土の堆積場などから用水を通じてカドミウムが水田に蓄積していくだろうという確実な試算がある。放射性セシウムの場合でも、たとえイネ(水稲)には吸収されにくい「土壌固着」の放射性セシウムになっていても、水田稲作栽培期間中に農業用水が水口(みなくち)から順次田面に拡散していく過程で放射能が集積していく可能性が高い。福島県や農水省ではこのあたりの長期観測体制はできているのだろうか? 是非モデル圃場を数カ所確保して長期にわたる実証試験をしてほしいものである(ひょっとして、もうしているのかな?)。

    

     

 (森敏)
追記:このセリの根の部分を切りはなして、葉の部分のみを測ったら、以下の放射能値であった。
Cs-134:  25 Bq/kg
Cs-137:  153 Bq/kg
合計:   178 Bq/kg
ということで、食べられない。