2015-04-29 10:34 | カテゴリ:未分類
以下書いているうちについつい論文調になってしまいました。



表1.「世界の原子力発電開発の動向 2015年版」(原子力産業協会刊)。ホームページから転載
 

 
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経産省試算。原発のコスト優位性再確認 1キロワット時当たり10.1円

経済産業省は27日、電源別の経済性を計る発電コストについて新たな検証結果を明らかにし、原子力が2030年時点で1キロワット時当たり10.1円とすべての電源で最も低くなった。火力や再生可能エネルギーと比べたコスト面での優位性が改めて裏付けられた形だ。政府が試算を発表するのは11年12月以来。28日に政府案を示す30年時点の電源構成比に反映するため、再計算を進めていた。

 原子力は東日本大震災後に取り組んだ安全対策を追加コストで乗せたものの、安全対策で将来的に事故が起きるリスクが下がり、賠償などの想定費用が低下することも考慮。発電コストは前回試算(8.9円)から1.2円増加した。

 再生エネでは急速に普及が進む太陽光(メガソーラー)を前回試算(12.1~26.4円)から12.7~15.5円に変更した。太陽光パネルなどの価格低下を織り込んだ。

 一方、二酸化炭素(CO2)を排出する火力発電は、排出権の取引価格や燃料価格の変動を踏まえ、液化天然ガス(LNG)火力が2.5円増の13.4円、石炭火力が2.6円増の12.9円と前回試算より引き上げた。
   

以上は資料である。さて、ここからが本論である。

上掲の表1はいろんなことを考えさせてくれる重要な基本データであると思う。このそれぞれの国のデータを、その国の国土面積や、人口や、その他の数値で割り算してみると、何か新しいことが見えてくるのではないだろうか。

 

表1によると明らかに欧米諸国は原発建設を停止や廃炉の方向にあるが、中国・インドなど人口増大国は建設ラッシュである。核廃棄物処理や事故後の膨大な住民対策や廃炉処理費用など後世代に回された電力コストを計算に入れていないで、原発事故は起こらない、起こっても人の命や環境汚染など大したコストではないと考えているのかもしれない。石炭排気ガスに苦しむこれらの国では建前上は地球温暖化に原発は優しいエネルギー源であるというふれこみである。

 

上に掲載した産経新聞の記事のように、日本でも経済産業省は事故対策費用を含めて原発の電力コストを冷静に(?)計算し始めた。計算の詳細な根拠がよくわからないが、ほかのもろもろの新聞報道では、日本での原発大事故の発生頻度を野田政権の時は40年に一度と考えていたが、安倍政権では80年に一度と考える(これを裏返せば、原発事故は100%おこりうるということを認めているということである)。その「期間延長」の理由は「日本では原子力規制員会による新規制基準が以前よりも厳しくなったので、格段に原発の安全性が高まった。従って原発事故発生の確率が下がったため」と述べている。なんとも表現のしようがないどんぶり勘定ではある。

 

そこで、この経産省による80年に一度原発大事故が起こるという仮定を採用して(つまり表1の日本では48基が稼働中と考えて)、世界での原発事故の発生頻度を計算すると(表1の一番下の欄に書かれている世界では431基が稼働中と考える)、

48基:431基=1/80:1/X

X=8.9

すなわち、世界では約8.9年に一度世界のどこかで原発大事故が起こるということになるだろう。これが表1の下の欄のように数年から10数後には世界の新原発が将来計画通りに建設されて607基が全部稼働することになると、単純計算でその後は約6.3年ごとに一度は世界のどこかで原発大事故が起こるということになる。 どうせ経産省による原発事故の発生頻度などどんぶりの仮定だから、これぐらいの大まかな外挿計算は許されるだろう。

 

 そのうえ、原発もドローンの様な航空機テロや、意図を持ったドイツ航空機事故のパイロット場合のように、原発の場合もオペレーターによる意図的なヒューマンエラー(誤操作)などが起こりうるだろう。こんなことなどは、日本の原子力規制委員会は全く考慮していないだろうから、実際の原発事故の発生確率はもっと高いかもしれない。スリーマイル原発事故もチェリノブイリ原発事故も本当は天災ではなくオペレーターによるヒューマンエラーによるものであったことを忘れてはならない。日本では天災ばかりが原発事故の要因として喧しいのであるが。
  
      このように、表1は今後もいろんな議論のたたき台になる重要なデータである。
           
(森敏)
追記:以下の産経の記事には田中委員長が原発上空の警備強化を文書で原発業者に要請したとあった。田中委員長の感度はいいのだが、業者に要請さえすれば規制委の役割を果たしたということにはならないだろう。審査基準として法制化しなければ全く意味がない。立法府による法文としての罰則規定がない「要請」は何の意味ももたないだろう(2015.5.1.)
      
   

原発上空の警備強化、規制委が要請 (2015.4.28.産経ニュース)

原子力規制委員会の田中俊一委員長は28日の定例記者会見で、首相官邸屋上で小型無人機「ドローン」が見つかった事件を受け、原発を持つ原子力事業者などに対し、原発上空の警備強化を要請したことを明らかにした。

 規制委によると、対象は原発のほか、使用済み核燃料再処理工場など核燃料サイクル関連施設や研究用原子炉など。官邸屋上でドローンが見つかった翌日の23日、文書で求めた。

 威力業務妨害容疑で逮捕された山本泰雄容疑者(40)のブログによると、昨年10月、「偵察」と称して九州電力川内原発(鹿児島県)を訪れ、ドローンを飛ばして撮影を試みていた。

 規制委事務局の原子力規制庁の担当者は「今回の事件で、類似のものが原発に飛来する事態が現実味を帯びてきた。警備員が巡回する時間帯など情報の断片を集め、悪用される恐れもある」と警備強化の必要性を説明した。