2011-06-18 16:23 | カテゴリ:未分類

自然エネルギー観を一層強力に科学技術政策に反映してもらいたい

 
    

東電福島暴発原発の原子炉冷却システムが未だに恒常運転までにはほど遠い状態だが、いずれ空気中への放出は少なくなっていくので、土壌汚染はこれ以上極端な増加はなく落ち着くかも知れない。そして広大な土壌が非可逆的な放射能汚染地として残されたままになってしまうだろう。このまま無策では避難民は復帰が困難だろう。

    

一方、原発原子炉からの超高濃度汚染水の海洋への放射能放出は、いつ何時人目をかすめて東電が垂れ流すか、全く油断ができない。厳しい監視の目が必要である。しかし、海洋の放射能汚染に関しては一般人が、いちいち魚を捕ってきてガイガーカウンターではかれるわけではないないので、現地漁民は生殺しの死ぬ思いを味わっていても、国民は少しずつ熱が冷めていくだろう。

 

そうするとどうなるかというと、<原発叩き>の熱が冷めていって、エネルギー問題に対する国民の意識が少しずつ遠のいていくだろう。何しろ我が輩も含めて自戒の念を込めて云うのだが日本国民はなんでもあきらめと忘却が早い。

 

オバマ政権が登場したときは、自然エネルギー発電を強力に推進するのかと思ったらCO2削減のためになんと原発を選択してしまった。民主党の「25%CO2削減宣言」(鳩山元首相の国連演説)は良かったのだが、実行のためには原発増設を民主党政権も選択してしまった。つまり民主党政権もオバマ政権とおなじ拙速な同じ道を歩み始めていた。

 

国民にとって民主党政権の魅力がどんどん低下していったのは、結局民主党も自民党もおなじ穴の狢(むじな)で、「民主党は本気じゃない」「エネルギー政策は変わらない」というあきらめもあったのだと思う。とくに我々科学者にとっては、この点がどんどんグレーゾーンになりかけていたのだ。

    

そこへ来て今回の地震・津波・東電福島原発暴発である。

  

暴発メルトダウンした原子炉の今後の冷却・廃炉までのプロセスを考えると、なんとお金がかかることかと、国民の誰もが気が遠くなってため息をついているだろう。超国家的予算規模である。放射能汚染土壌の徐染対策も本気でやるつもりならこれまた超国家的予算が必要だろう。原発1基がメルトダウンしたら、国家が解体しかねないことがはっきりしたのである。いやほんとうに日本国家は財政的にメルトダウンするかも知れないのだ。

    

それにもかかわらず、「いや原子力は必要悪だ」という論理を述べている国民や政治家がいる。

   

現在、菅直人首相は、太陽光や風力などの自然エネルギー普及促進のための再生可能エネルギー電気調達特別措置法案の成立に強い意欲を示している、ということである。そしてこの法案には自民党と公明党が抵抗している。そこで首相周辺からは「法案否決なら即日解散すればいい。自然エネルギー派と自然エネルギー撲滅派で分かれれば、(小泉純一郎元首相当時の)「郵政解散」の再現で250議席ぐらい取れる」との声も聞かれる。(2011.6.18.10:45)

 

 

と、報じられている。これは、なかなかの卓見である。いつになるか予測がつかないが、震災復興予算のめどがついたら、同じ解散総選挙をやるならば、エネルギーに対する価値観の違い(つまり、「原発の可否」)を選挙の中心テーマとして、政界再編をしてもらいたい。
  
実際にドイツではそれがどの国よりも現実に先行しているではないか。6月13日イタリアでは、脱原発の国民投票で 投票率56.99%の中でなんと94.53%が脱原発に賛成だった。エネルギー革命へのパラダイム変換が起こっている。

      
          

(管窺)
   
追記:ドイツの先行例は以下の記事である。

ドイツ緑の党、初の州首相 福島原発事故後、支持を拡大

ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州で12日、緑の党と社会民主党(SPD)の連立政権が成立し、緑の党のウィンフリート・クレッチュマン氏(62)が州首相に就任した。同党からの州首相選出は1980年の党創設以来初めて。

 福島第一原発事故を受け、原発政策が最大のテーマとなった3月の州議会選挙で、緑の党は得票を前回選挙から倍増させ、第2党へ躍進。第3党のSPDと連立を組んだ。同州ではこれまで半世紀以上にわたり、メルケル首相の政権与党・キリスト教民主同盟が政権を担ってきた。

 両党は連立合意文書で「バーデン・ビュルテンベルクを今後のエネルギー供給のモデル州にする」として、州内の古い原発2基の廃炉や2020年までの再生可能エネルギー中心の電力供給をうたった。また、「州民は新しい政治と新しい政治スタイルを選んだ」として、住民投票の積極的な導入などを盛り込んだ。

 公共放送ZDFの全国世論調査(6日)では、緑の党の州首相誕生に56%が賛成し、63%が新政権に期待していると答えた。(2011.5.12.朝日新聞:ベルリン=松井健)

 



2011-05-17 07:03 | カテゴリ:未分類

その意気やよし:玄葉大臣の発言に思う
 

 

玄葉光一郎科学技術政策担当大臣は科学新聞で以下のように述べている。
  

「チェリノイブイリやスリーマイルで、旧ソ連やアメリカは後処理をして土地を放置したが、日本は土地を放置しないための科学技術を進めていくことが極めて大切だ。被災者の皆さんの気持ちに応えることになり、また克服して見せたら、世界から改めて一目も二目もおかれる日本になるはずだ」

    

    実にその意気やよし、である。

    

    何よりも、すべては溶融炉心が核爆発に至らないように封じ込められるかどうかにかかっている。素人目には事態は悪化の一途をたどっているように見える。

    

    核爆発に至らなくても原発三基の炉心溶融した原発は安定冷却まで数十年はかかるだろうから、すでに排ガスと冷却水との両面からの確実な環境(大気圏、土壌圏、水圏)放射能汚染が、ずっと続くことを覚悟しなければならないだろう。

    

  放射能と共存する生活というものはありえない。
 
  それでも、玄葉大臣が言うように<土地を放置しないための科学技術を進めていく>つもりならば、膨大な資金的な負担が必要になるだろう。

    

  玄葉大臣は、普通の科学者なら思考停止してしまう<奇想天外な大命題>を提示している。これを、自然科学に無知な大臣の大見得だと一蹴するのは簡単だ。せせら笑うのは簡単だ。

     

  しかし、研究者や技術者たちは、環境の隅々にまで浸透してしまった放射能を取り除くどのような技術があるのだろうか、今回は本気で真剣に考えてみる必要があるのではないだろうか。ウルトラCの技術があるのだろうか? なにを開発すべきだろうか? それぞれの専門分野の人たちがよく考えれば、いろいろな課題がきっと見えてくるはずである。

   

  それが、直接大命題の解決に役に立たなくても、将来の科学技術の発見や開発に、必ずつながるのである。

   

  すでに課題は出てきている。放射能が薄く降りそそぐ中で本当に住環境を確保しようとするならば、小生の乏しい構想力の中でも以下の課題があり、そのいくつかはすでに喫緊の課題として走っている。

    

1.超高濃度放射能原子炉汚染水を沈殿(凝集剤?)吸着濃縮 (膜の開発)する技術

(とくに健康影響の大きいSr90を強力にトラップして海水に漏出させない技術)

2.すでに漏出させた原発周辺の濃厚放射能汚染水を、原発周辺海域にとどめて拡散させない技術(吸着撒布剤の開発)

3.人が往来する道路の除染、道路の拡幅や防護壁の作成、居住区域の完全除染など、汚染のない隔離住環境区域の制度設計。

4.土壌汚染放射能を軽減する土木技術

5.土壌の放射能を有効に収奪する(ファイトレメデイエーション)植物の開発

6.土壌の放射能を可食部に吸収しない作物の開発

7.汚染建築資材や汚染植物を焼却するための放射能を拡散しない低温焼却炉の開発

8.高濃度放射能濃縮活性汚泥やその焼却灰を保管する方法や保管場所の確保

9.生物濃縮した放射能汚染野生動物の拡散を防止する方策

10.放射能汚染海底の汚染マップの作成。

11.放射能汚染海底を掃海除染する技術

12.。。。。。。

 

と、人に笑われるような課題を考えてきたが、どれも解決困難な課題ばかりだ。

      

賢明な強制避難させられている被害地域の住民は、もっともっと切実な課題を提示するだろう。
 
  
   

(森敏)

2011-05-04 16:04 | カテゴリ:未分類

東北大震災の日本経済への影響は総額何兆円か?

    
  

以下のように、ウサマ・ビンラデインがアメリカ経済に与えた損失は約200兆円という試算がなされている。

   

米国の経済的影響200兆円=ビンラディン容疑者-CNN【ワシントン時事】CNNテレビは3日、国際テロ組織アルカイダの指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者が米国にもたらした経済的影響は2.5兆ドル(約200兆円)に上ると報じた。
 この中には、同容疑者が首謀した2001年9月の同時テロの損失やアフガニスタン戦争の戦費のほか、テロ防止に向けた国土安全保障省を含む省庁の新設費、空港での警備強化費などが含まれている。(2011/05/04-12:10

   
      

さて、今回の東北大震災の日本経済への影響は何兆円になるのだろうか?
   

現在いろいろな機関がまず被害総額を検討していると思われる。しかし最も信頼できる被害総額は、各省庁が集約したデータだと思う。まだまだ原発による避難や農業被害などは現在進行形であるが、そろそろ、大枠のシミュレーションの結果が各省庁から出てもよい頃ではないだろうか。ぜひ詳細な開示をしてもらいたい。項目毎の被害額がいくらか? 再建にはいくらかかるのか?

   

報道を見ていると管政権は何でもかんでも「最後まで政府が面倒を見ます」と、災害住民に対して口約束をしているが、それでは国家財政が破綻するだろう。美濃部都政で東京都が破綻したことを繰り返してはならない。今は誰も、そのことを言い出せないかも知れないが、経済学者ぐらいは、積極的に冷静な発言すべきではないだろうか。

   

今後数年間はまごうかたなく多大な税金を東北地域に投入せざるを得ないのだから、それが日本経済の再建と連動した、大胆な政策を、「復興会議」などは打ち出してもらいたいと思う。昔の生活の原風景を取り戻せばよいという、消極的な政策ではなく、まずは地方自治体からの切実な企画をボトムアップで汲み上げて、あとはどうか大胆な構想をしてもらいたいと思う。

    

東北災害地の復興と再建にはいくらかかるのか? という命題は日本国の将来のエネルギー・環境・食料・科学技術政策と強く連動されたものでなければならない。そのためには災害現場からのボトムアップばかりではなく、全国から、様々な階層からの意見を汲み上げる必要がある。

   

日本学術会議も近くビジョンを「提言」として準備しているようである。ぜひ政策に取り入れてもらいたいものだ。
    
     
(喜憂)
  
追記1:以下に、農水省による水産被害白書が出たようである。(5月27日 森敏記)
         

 震災の水産業被害、総額8952億円 水産白書 2011.5.27,12:17農林水産省は27日、東日本大震災の津波による水産業の被害額(16日現在)が、8952億円にのぼったとする2010年度の水産白書を発表した。岩手、宮城、福島3県を中心に、319漁港で約6400億円の被害が出るなどした。

 漁船は、津波で2万隻余りが陸に乗り上げたり海に流されたりして、約1300億円の被害。水産加工施設も、宮城県で429工場のうち半数以上が全半壊するなど、生産基盤の多くが失われた。漁港被害は、復旧・修復すると仮定し、それにかかる金額をはじいた。

 青森県から千葉県にかけての太平洋側の漁業・養殖業は、全国の生産量の24%(127万トン)を占めており、農水省は早期の復興が重要だと指摘している。

2011-05-03 08:10 | カテゴリ:未分類

科学技術基本計画に土壌浄化

 
 

玄葉光一郎科学技術政策担当大臣は、2日の閣議後会見で、今後5年間の科学技術政策の指針となる「第4期科学技術基本計画」の柱に、放射能に汚染された土壌の浄化や汚染水処理のための技術開発を盛り込む意向を示した。菅政権は基本計画を8月までに見直すことにしている(朝日新聞5月3日朝刊)

  
 

  玄葉氏は福島県が選挙地盤なので、放射能汚染土壌の浄化には、誰よりも思いが強いものがあるだろう。
 
  しかしセシウム汚染土壌の浄化は容易でない。
 
  しかし、不可能を可能にすることが科学的挑戦である。大いにやる意味がある国家的課題だと思う。
 
 

  
(森敏)

2011-04-04 18:44 | カテゴリ:未分類

共産党の志位和夫委員長も入閣しろ!

  
      

菅直人首相が共産党の志位委員長と会談したことが先日報じられた。どういう会談が行われたのか分からないが、志位氏は東大の物理の出身の、理系の出自である。したがって、今回のような、東電原発事故にかかわるいろいろの物理科学用語には、普通の国家議員よりも長けているだろう。

      

東電原発事故に関しては、菅内閣は連日かなり専門的な判断が要求されているものと思われる。その際、文科系出自の議員には、いくら頭が良くても、会議で出てくる専門用語に、即座にはついていけないので、科学者も担当官僚も、そういう国会議員に対して、科学的知識の伝達には相当の時間がかかっているものと吾輩は思料する。

       

これまでの枝野官房長官の記者会見は、事態を科学的によく理解していて、国民に対して比較的よく説明をしていたと思う。しかし彼の科学技術に対する理解力は、文系出自の国家議員の中ではまれの部類に属すると思う。

       

その点理系の出自の議員は理解が早いだろう。これまで外野席でぐちゃぐちゃ文句をつけるしかやることがなかった、志位共産党委員長にも、今回は災害担当関連の閣僚のポストを提供して、救国内閣の一員として働いてもらってはどうだろうか? それで彼の判断が党派性を帯びるようであったら、すぐ首を切ればよいのである。

       

今は戦争状態なのであるから、あらゆる勢力を結集しなければならない。非常時にマスゴミの無節操な内閣批判の跳梁を気にすべきではない。菅直人首相には、大胆な驚天動地の内閣人事を行って大胆な救国政策を展開してもらいたい。

       

右の自民党の谷垣総裁がぐちゃぐちゃ言っていつまでも入閣を固辞ているようであれば、この際左の共産党委員長を取り込むことも、手ではないか? 呼びかければ志位氏は理系であるから少しはやる気があるかもしれない。

       

菅直人も理系であるので、科学技術では志位和夫と意見が合わないはずがないのである。

       

中国は、日本の東電原発爆発事故に即座に応答して、エネルギー政策の見直しを行っているようである。中国の政治局員は首脳の胡錦濤、温家宝、習近平をはじめとして8割がたが理系の出自だから、科学技術政策に対しては理解が早いことは確実である。今後は原子力エネルギーから自然エネルギーに対する政策転換も日本よりもはるかに臨機応変にやってのけるかもしれない。

  
 

以下のANNニュース 2011/04/03 が流れている

中国では、政府の科学技術部門トップが、現在運用中の原発についても安全性の再確認などが必要だとの認識を示しました。

 中国科学技術部・万鋼部長:「現在運用中の原発について、さらに綿密な安全性の分析が必要で、福島第一原発事故の処理経験と照らし合わせながら、綿密な監視を行わなければいけません」

 中国政府は先月、新たな原発の建設計画の審査と承認を一時的に停止することを決めています。科学技術部長の会見は、運用中の原発についても安全性を再点検する必要があるという認識を示したもので、国内で広がる不安を受けた対応とみられます。

 
     
  
(喜憂)

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