2017-01-04 11:50 | カテゴリ:未分類
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図1。直径10センチのキノコ。山土が砂質土壌で、ミネラルの吸着力が低いと思われる。地表面の放射線量は 毎時7.79マイクロシーベルト(ビニールが反射して見にくいですが)。 津島高校分校校庭にて。

 

 

キノコは放射性セシウムの吸収蓄積能力が高いので、いまでも福島とその隣県の自治体では野生のキノコは100ベクレル/kg新鮮重 以上のものが検出され続けており、販売は禁止されている。(付記1)

    

チェリノブイリ原発事故以降の文献でもヨーロッパばかりでなく、その後25年経った日本でもCs-137が有意に100ベクレル/kg新鮮重 を越えるものが、今回の福島原発事故が起こる以前にもあった。このようにキノコの自然環境の中でのセシウム吸収力はしぶといのである。

      

その一方では、放射性セシウム吸収力の強いキノコは原発事故由来の放射性銀(Ag-110m)の吸収力も強いことがチェリノブイリ以降の文献でもいくつか実証されている。(付記2)

        

小生らは、ずっと昆虫を中心に放射性銀(Ag-110m)の動向を追跡調査している。(付記3)

2016年には、ジョロウグモ以外のほとんどの昆虫では、放射性銀(Ag-110m)は消滅している。それは物理的な半減期減衰によるものと、銀の土壌への吸着不溶化によるものである。(付記3)

        

しかし、昨年2カ所でサルの糞を偶然採取したのでそれを測定したら、いずれも放射性銀(Ag-110m)を含んでいた。いったいサルは何を食べているからその糞に放射性銀が多いんだろうか?と、ずっと疑問に思っていた。
        
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図2. サルの糞を乾燥させたもの (加賀谷雅道カメラマン提供)(表1 サルの糞 昼曽根 に対応)
 
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 図3. 上:図2のオートラジオグラフ(ポジテイブ画像)。下:図2のネガテイブ画像
               
        最近浪江地区の松を採取した津島高校分校のグランドにあちこちはえている大きなキノコ〔図1〕を2日間にわたってゲルマニウム半導体で測定したら、わずかであるが放射性銀(Ag-110m) が検出された (表1。最下段の赤字)

               

  そこで思うのだが、猿は無意識にビタミンDの供給源としてキノコを大量に食べるのではないだろうか?(猿のクル病って聞いたいたことがないですよね。) しかしサルは消化しきれなくて繊維質を大部分排泄する。そのとき不要な放射性銀(Ag-110m)も吸収されずに濃縮されて排泄されるのではないだろうか? 図3の上下のオートラジオグラフを見ると、サルの糞 (表1 サルの糞 昼曽根 に対応)の中にはいくつかの際だって放射能が強いたべものの残査があることがわかる。これが野生のキノコかもしれない。
                   
       一度、いたずらに、どこかの動物園でサルにキノコを投げて、嗜好性を見てみようと思う。
       
      
         
      表1.各所のサルの糞とキノコの放射能 
糞とキノコjpeg 

     
(森敏)
           
    

(付記1)2013/11/23 : 放射能汚染キノコ2態 (クリックしてください)

(付記2)それはおそらくキノコの持つカリウムトランスポーターのどれかがごく微量のセシウムも吸収するためであるとおもわれる。(ただし、キノコからこの特異的な高親和性のカリウムトランスポーターをクローニングしたという例は小生は知らない)

(付記3)Hiromi Nakanishi et al . Proceedings of Japan Academy  Ser. B 91 (2015)160-174
      

 

 

2016-12-20 16:25 | カテゴリ:未分類

   放射能汚染地域では、避難して人が入らないので、森林では樹木に様々なツル性植物が自由自在に繁茂しています。このツル性植物は、何らかの遺伝子が欠損しているために単独では重力に抗して空に向かって屹立できないので幹木に着生して上に伸びていくものと思われます(図1、図2)。(おそらく野生のツル性植物は宇宙線やトランスポゾンによる自然突然変異で、ジベレリン生合成系の遺伝子の変異株だろうと思われます。)       

              
  「
このツルアジサイは、名前のようにツルになってのびるアジサイで、貧弱ですがガクアジサイに似た花を咲かせます。付着根という細い根で、高木の幹や岩などにくっついて上っていきますが、付着根は水を吸う働きは無く、吸水はふつうの植物と同じに、地中にのびた根が行います」と言うことです。(付記1)
   

   現地の藪の中で、松の幹木に張り付いて高く高く昇っているいくつかのツル性植物をみて、これが松の木の樹皮などの表層に高濃度で付着している放射能を吸収しているのかどうかを知りたいと思いました。そういえば、これまで小生は着生植物などにあまり着目していませんでした。(よく言われることですが風景は本人がその気にならなければ{見れども見えず}ですね)

     

   そこで、このツルアジサイを松の木から丁寧に引っぺがして、実験室に持って帰り、押し葉乾燥後、オートラジオグラフを撮像しました。
  


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図1.ツルアジサイ。ツルのあちこちに細い着生根がでている。下から上に向かっている。
    
    
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 図2.図1のオートラジオグラフ

   
   

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 図3.図1の同じツルのもっと上の部分。下部に新芽が見られる。右上の部分は樹皮ごとはがれたもので、そこに着生根が食い込んでいる。ツルは左下から時計回りに先端に向かっている。
 
   
    

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図4.図3のオートラジオグラフ。新芽や着生根が放射能で内部被曝(すなわち内部標識)されていることがわかる。
 

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 図5。樹皮に食いついたツルアジサイの細い着生根部分の拡大図
    
    
  
   

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 図6.図5のオートラジオグラフ。図4のネガテイブ画像の右うえの部分の拡大図。着生根はあまり強くは感光していない。樹皮は外部被曝の証拠であるホットパーテイクルが付着してつぶつぶに光っている。

    
     
 
 
表1 ツルアジサイの組織部位別放射能: Bq(ベクレル)/kg乾物重
ツルアジサイの放射能jpeg 
   
 

表1や図2,図4で見るように、ツルアジサイではツル性茎の部分の放射能濃度が最も高く、これは全部内部被曝によるものです。また、主ツルや分枝ツルから少しばかりちょろちょろ出ている付着根は葉やツル性茎と比べて圧倒的に放射能が低い。これらのことは、ツルアジサイが着生した松の樹皮から水やセシウムを吸収しているのではなく、松の根元の土壌からたちあがっている主ツル性茎の根そのものから、放射性セシウムを吸収して地上部に移行していることを意味しています。あちこちの付着根はただ我が身を松の幹に支えてもらうための「取っ手」にすぎないことを意味しています。

      

表1に見るように、ツルの放射能濃度が斯くも高いのは、降雨の時の松の樹幹流から松の根元の土壌や落ち葉や腐植層に流下拡散する放射能を、ツルアジサイが吸水とともに効率よく吸収するためではないかと思われます。ツル性植物は一般に鳥の巣材にも使われます。このようにしてツル性植物は放射性セシウムの森林での循環にゆっくりと人知れず関わっていくのだと思われます。

      

 
     
       

(森敏)
  

 付記1ミツバウツギの同定とコメントは若林芳樹(株アスコット)氏によるものです。ありがとうございました! 


 

2016-12-15 12:21 | カテゴリ:未分類
 

以前に、原発事故1年後のヒノキの放射能汚染について外部被爆を中心に報告しました。

   2012/05/24 : ヒノキの放射能被爆像

           

 原発事故後5年半以上経った現在のヒノキはどうなっているのでしょうか?
 

       現地で観察すると1本のヒノキのある枝には時々異常な数の種子を付けています(図1)。事故以来あちこちのヒノキをずっと観測しつづけているのですが、その法則性が今ひとつつかめていません。本来栄養組織である葉になるべきものが、発生の途中で何らかのきっかけで分裂異常が起こり、生殖器官である球果になる確率が高まったのではないかと思われます。
 



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図1.異常な数の球果を付けたヒノキの枝(浪江町大堀地区)

   


     図2をみると、この2つの枝全体には、どこにも外部被爆を思わせる、放射能の黒い斑点がみられないので、このオートグラフの画像は全部内部被爆のセシウムによるものです。つまり原発爆発時に降下したセシウムが付着した樹皮から吸収されたものが、ヒノキの体内のどこかにストックされたものからと、当時土に降下したり、木の地上部全体が放射能によって被曝した、その放射能が、降雨による溶脱や樹幹流やで土に浸透した。そのセシウムが根から吸収されて、この枝にはるばると転流してきたものとしか考えられません。
   


 
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 図2.図1.のオートラジオグラフ(ポジテイブ画像) 球果が強く内部被曝している。球果の中には種子が含まれているのでその放射能も積算されて感光している。(表1.参照ください)

 
 
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  図3.図1のオートラジオグラフ (ネガテイブ画像)
 
  
  
 
   


表1.図1の植物を解体して部位ごとの放射能の濃度を測定したもの

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  この枝全体を細かく解体して、組織ごとの放射能の濃度を測定すると、上記表1のようになりました。放射能濃度の強い順に 球果の殻>新葉>種子>枝>旧葉 となりました。種子の値が結構高いことに驚かされます。ヒノキは旧い葉から枯れていくので、その過程で、旧葉のセシウムがカリウムとともに徐々に枝を通って新葉や種子に転流していると考えられます。(今はやりの「オートファジーという現象」ですね)

     

球果は種子が中で育成されていく容器なので、そこにいったん入ったセシウムは殻を形成して固着して再度動くことはありません。ですので、この殻の部分はセシウムがたまる一方であると考えられます。だから一番放射能濃度が高いのでしょう。一方、種子はセシウムをため込みながら(実際にはカリウムをため込んでいるのですが、セシウムがあるとそれも間違ってため込んでしまうのです)同時に来るべき種子発芽の時の栄養源として、でんぷんやタンパクを合成してため込んでいく必要があるのでので、セシウムの濃度が次第に薄まるものと考えられます。

    

どんどん細胞が分裂と伸張を繰り返して組織を大きくしている新葉もカリウムの要求量が高いので同じ挙動を示すセシウム濃度も高くなっているのです。

   
 
(森敏)

付記:ヒノキの2014年の像については
「放射線像 放射能を可視化する」(皓星社)の92ページ-94ページに載せています。この像では、被曝初期のものであるので、枝の基部の外部被曝が顕著です。 


2016-12-08 14:14 | カテゴリ:未分類
  小生は年のせいで(:今年末から後期高齢者なかまに突入した)、放射能汚染現地調査の途中では、結構頻繁に水分を補給している。そうしないと、足の筋肉への血流が悪くなるためか、時々足がしびれるからである。だから、必然的に頻繁に尿意をもようすので、自動車を降りて道ばたから少し林内に入って、尾籠(びろう)な話で恐縮だが、立ちションベンをする羽目になる。そのときは、必然的にあたりの植生をじっと眺めることになる。もちろんかなりの放射能を浴びながら。そういうときにも結構あたらしい発見がある。
  
     
       飯舘村の 「あいの沢」 は、本来はキャンプ場であったのだが、いまは人っ子一人いない。昨年夏にここでやっと除染作業が行われた。除染といっても道路と道の両側の20メートル幅の山林の下草や土を深さ15センチばかりをとりのぞくのだから、どうしても地下茎で連なっている一部のシダ類などは、のぞき切れていない所がある。そこまで徹底的にやると作業に時間がかかって、だから除染作業員の労賃がかかるので、しかたがないからだろう。一応地表面が毎時0.23マイクロシーベルトにまで低下することを目指しているようではあるが。
  
  昨年の春、例によって小便をすべく林内に入った。数メートル入った林の中の空間線量は毎時4.5マイクロシーベルトであった。そこでは芽を出し始めたばかりの丈の低いワラビが群生していた。
      
  ワラビのいくつかを根から切り取って研究室に持ち帰って、ガイガーカウンターで測定してみると、意外に葉のベータ放射線量が高いので、それをオートラジオグラフに取ってみた(図2)。また、組織を各部位にわけて放射能を測定した(表1)。
 

 
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 図1.春先の若いワラビの写真

 
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図2.図1の若いワラビのオートラジオグラフ
   
 
 


  表1 ワラビの各部位の放射能(ベクレル/Kg乾物重)
 ワラビjpeg  



       図2で定性的に,表1で定量的に明らかなように、シダも未展開葉では若干放射性セシウム含量が高い。しかし、次の図3のように葉が全面展開したものでは、図4、図5で見るように、枝の最先端の葉は少し他より放射能が高いようだが(図5のネガテイブ画像で特に理解されると思う)、比較的放射能は全葉に均一に分布しているように見える。また、一見、左側の茎のみの部分が強く感光しているように見えるが、これは茎が葉に比べて数倍の厚みがあるので、放射能が重なって感光しているためである。


  
 
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 図3.浪江町で採取したシダ
 
スライド2 
 
 図4.図3のシダのオートラジオグラフ ポジ画像
 
 
スライド3 
 図5.図3のートラジオグラフ。ネガ画像
 
 
  
地下茎の多年生のシダ類(ワラビはシダ類の一種)はタケノコと同じように地下系が土壌の表層直下数センチあたりを縦横にうねっていて、根がそのあたりまでに大部分が集積している「土壌の可給態の放射能」を吸収して地下系を通じてあちこちの新芽に直ちに分配輸送されるので、いつまでも地上部の放射能が高く推移する可能性が高いのである。


  

 
(森敏)
 
付記1:タケノコについては以下のブログを参照ください。
 
 2016/05/20 :
まだタケノコは要警戒: 給食のタケノコご飯から基準超のセシウム

 
付記2:シダ類の同定には 「フィールド版 写真でわかるシダ図鑑  池田怜伸 著」 トンボ出版 を参考にした。


 
 
 
  
2016-10-06 15:40 | カテゴリ:未分類

20161016日午前4時30分から放送
「福島 被曝に挑む科学者たち ~野生動物の危機~」

さる 

    ニホンザル


  

東京電力福島第一原発事故は、未だ収束が見えないまま。
人の住めなくなった街では人と野生動物たちの境界が崩れ、生態系のバランスが変わってしまっている。広大な大地に拡散した放射能汚染は、果たして生態系にどんな影響を及ぼしているのか?被ばくした多くの野生動物たちに、今後どんな健康被害が起きるのか?未体験の疑念を抱え、現地に赴き調査を続ける科学者たち。
それぞれの専門分野からアプローチする科学者たちを追う。

ナレーター:中里雅子
制作:テレビ朝日
    


    
(森敏)
付記:小生も少し登場するそうです。

 


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