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2022-11-02 13:58 | カテゴリ:未分類
スライド1

図1 小鳥の巣材(台座の側)

スライド2

図2 図1の放射線のポジテイブ画像

スライド3

図3 図1の放射線のネガテイブ画像


  
上記は長泥曲田の某氏宅に設置した鳥の巣材を2022年8月16日に採取した放射線像です。

某氏宅は長泥でも南端にあり、線量が高い浪江町の赤宇木とかの山に面した場所にあります。

某氏宅家屋は現在は解体し周囲も除染していますが、家周囲の山の除染は、山際から恐らく10m程だと思われます。

除染でその辺りの苔がなくなり、小鳥は汚染がまだ高い山中の苔を集めているのだと予想します。

その放射線の絶対値は
Cs137: 37187 (Bq/kg)
Cs134: 1075 (Bq/kg)

で、表面放射線量は420cpmであった。まだ野鳥が利用する林床のコケは非常に放射能が高いことが分かります。

下記のwinepブログに掲載している、一年前の長泥地区の巣材のものと比較してみてください。

  2021/11/15 : 福島県飯舘村長泥地区の現在の鳥の巣材の放射能



(森敏)
付記:この巣材は関根学カメラマンから提供され、採取時の附近の状況も同氏から提供されたものです。
小生は足腰が劣化して現地調査が出来なくなっております。
2022-10-17 14:34 | カテゴリ:未分類
  今から38年前のチェリノブイリ原発暴発事故で、その後の生態系の変化を研究している研究者が、現在のチェリノブイリ周辺のアマガエルの分布を調べて、黒いアマガエルが放射線耐性種として生き残り緑色のカエルが放射線に感受性で、高い放射線環境の中で世代交代の中で淘汰されていったのだろうと結論している。

  詳細に観察すれば同じことが福島県内の高線量地域でも検出されるのではないだろうか?


カエルの適応変移



(論文の題目)
チョルノブイリ産アマガエルにおける電離放射線とメカニズム

(掲載雑誌) Evolutionary Applications. 2022;15:1469–1479. 
(著者)Pablo Burraco, Germán Orizaola

Pablo Burraco, Doñana Biological Station (CSIC), 41092 Seville, Spain.
Email: burraco@ebd.csic.es

上図の説明
(a) チョルノブイリ事故警戒区域の内側(CEZ)と外側(CEZ)の放射線勾配を横切って生息するヒガシオオアマガエル(Hyla orientalis)のオスの背部皮膚輝度。
(b) H. orientalisオスの背部皮膚輝度の範囲(左から5、20、30、40、60の輝度値)。

論文の概要
人間の行為によって、世界中の生態系が変化している。
人間が放出した汚染物質の中で、電離放射線はまれではあるが、自然システムに対して壊滅的な脅威となる可能性がある。
チョルノブイリ事故(1986年)は、環境中に放出された放射性物質の中で最大のものである。
我々の目的は、チェルノブイリ事故による放射線被曝がイースタンツリーフロッグ(Hyla orientalis)の雄の背部皮膚の色彩に及ぼす影響を調べることである。
我々は、カエルの皮膚の色彩(イオンに対する防御機構として機能する)と
皮膚の色調(電離放射線に対する防御機構として機能する)と放射線条件、酸化ストレスレベルとの関係を評価した。
事故当時、放射線量が高かった地域に近い地域ほど皮膚の色が濃かったが、現在の放射線量では皮膚の色には影響がないようだ
チョルノブイリ産のツリーガエルでは、現在の放射線量は皮膚の色調に影響を与えないようである。
チェルノブイリ事故後の立ち入り禁止区域内に生息するアマガエルは、区域外のアマガエルに比べ、背面の皮膚の色が著しく濃くなった。
暗い皮膚色の維持は、カエルの体調や酸化状態などの生理的コストとは関連がなく、カエルの色調の短期的な変化も検出されなかった。
暗色化は、フリーラジカルの中和やDNA損傷の軽減によって、さまざまな放射線源から身を守ることが知られており、特にメラニン色素は電離放射線に対する緩衝機構として提唱されている。
今回の結果は、事故当時と思われる高レベルの電離放射線への被ばくが、チョルノブイリ産ツリーガエルのより濃い色調を選択した可能性を示唆している。
今回見つかったパターンの基本的なメカニズムと進化的な帰結を明らかにするためには、さらなる研究が必要である。

(結論)
メラニンの保護的な役割は、これまでチョルノブイリで発見された菌類などばかりでなく電離放射線に曝された野生の脊椎動物にまで及んでいる可能性がある。
歴史的に放射線量が高く、ユーメラニン系色素の生産コストが高くないために、チョルノブイリ産ツリーガエルにおける暗色色素の選択と維持を促進した可能性がある。
今後、放射能汚染環境における黒色色素の原因と結果を明らかにするためのさらなる研究が必要であり、それは長期間の電離放射線被曝が野生生物に及ぼす生態進化的影響についてより深い理解を得ることにつながるだろう。

2022-09-28 15:25 | カテゴリ:未分類
NATOの核戦略体制が具体的にどのようになっているかは、アメリカやNATOの当事者だけしか知らないことである。だから、ウクライナの人民が狂犬プーチンの繰り返し唱える戦術核に対する恫喝におびえるのは当然だ。

  長距離の戦略核についてはその準備の動向が宇宙の人工衛星から常時偵察で監視されているはずだから、先手必勝(専守防衛?)でNATOやアメリカはそのミサイルの発射拠点をつぶすことができるかもしれないが、短距離の戦術核については準備動向の正確な検知が困難と思われるので、ロシアが先制攻撃に成功する可能性が高いと思われる。

  ロシアによる核攻撃が実践された場合に、それに対抗してアメリカやNATOがどう振舞うのかが、これまでのところ、まったく開示されていないのは、「”核戦略をあいまいにしておく” ことを身上とするのが相手に恐怖を与える最大の抑止力になる」、というのがこれまでの練りに練られた”核戦略指針”ということらしいから、素人が口出しできないところだ。

  しかし、少なくとも戦術核に関しては、ロシアがそれを実践した場合には、NATOやアメリカがどのように反撃するかを今から世界に向けて明確にしておく必要があると思う。

  ロシアが戦術核でウクライナの土地や海上のどこかに局所的な放射能汚染を出した場合は、ウクライナやNATOやアメリカはどこまでその屈辱に耐えるのだろうか?

  戦術核が発射されて、数分遅れても直ちに、同規模の戦術核をモスクワに向けて発射するのか、それとも同規模の戦術核をロシアの地方都市に落とすのか、などなど明確にすべきではなかろうか?。これは決して素人が考えるばかげたシミュレーションではないはずだ。狂犬プーチンとその取り巻きが、しばしば「核による恫喝」をしていることだから、絶対に軽く見てはいけない。

  小生が思うに、以前にも述べたが、核に関して一番採用されうるロシア側のシナリオは、ウクライナの原子炉1基をまず通常兵器で爆発させることではないだろうか。この際狂犬プーチンは必ずや「ウクライナ側が自分で原子炉自爆テロをした」とでっちあげのプロパガンダを行うだろう。

  この場合は、具体的にロシアが戦術核を撃ち込んだのではなく、高性能ロケット砲を原子炉に命中させて、原子炉を危機に陥れたわけだから、ロシア側が最初に核を使った、という非難は一見当たらないことになる。

  だから今からウクライナやNATOやアメリカは、ロシアがウクライナの原子炉を破壊して放射能をまき散らした場合は、戦略核をロシアがウクライナに打ち込んだと同等の行為とみなす、と宣告しておく必要がある。

  そう宣言しておかないと、NATOやアメリカがその後のどんな巧妙な反撃のための核戦略を行使しても、世界は「反撃のためとはいえ積極的に核を最初に使ったのはNATOやアメリカ側である」という非難を国連などで轟轟(ごうごう)と受けかねないことになる。この非難決議には、ロシア側にもウクライナ側にもいつも立場をあいまいにしてきた狡猾な数十か国の第三者国群を、親ロシア側になびかせることは必定だと思われる。





米国防総省「ロシアに核戦力の態勢を変えるほどの変化見られず」[2022/09/28 04:50]
ロシアがウクライナに対し、核の脅しをちらつかせるなか、アメリカ国防総省は核兵器の使用を巡ってロシア側に変化は見られないとの認識を示しました。

 ロシア前大統領のメドベージェフ安全保障会議副議長は27日、ロシアには核兵器で自衛する権利があり、ウクライナを核兵器で攻撃してもNATO=北大西洋条約機構は介入しないだろうと自身のSNSに投稿しました。

 プーチン大統領も21日、ウクライナでの「住民投票」に関連して、「我が国の領土の一体性が脅威にさらされる場合に、ロシアが保持するすべての手段を利用する」と述べ、核兵器使用の可能性に言及しています。

 アメリカ国防総省のライダー報道官は27日、ロシアによる一連の核の脅しを真剣に受け止めているとしたうえで、ロシア側にアメリカの核戦力の態勢を変えさせるほどの変化は見られないとの認識を示しました。(C) CABLE NEWS NETWORK 2022

    
(森敏)
追記1:この原稿とは関係ないが、下掲の写真は、放送から切り取ったものである。破壊しつくされたウクライナの村の現状を背景に嘆く辛くも生き延びたオバーさんの悲嘆。この地方では最近、国連食糧援助機構から村人たちは食料を差し入れされている。狂犬プーチンはウクライナ人を人とも思っていないのだろう。うちつづくロケット砲によって、家屋が破壊されて、衣食住がはく奪されて、本当に自尊心がくじけそうな疲れ切ったオバーさんの顔だ。
AFP BBNews
「悲惨ですよ。村中が破壊されました。以前はとても素敵な村だったのに、破壊されてしまいました。」

 
 
追記2. 実にしつこく危険なロシア軍のザポリージャ原発攻め
ザポリージャ原発に新たに砲撃と爆発…タービン建屋の窓ガラス割れる

読売新聞2022/09/28 17:54
 【ベルリン=中西賢司】国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は27日、ロシア軍が占拠するウクライナ南部ザポリージャ原子力発電所の敷地内で、26~27日に新たな砲撃と爆発があったと明らかにした。
 発表によると、ザポリージャ原発で26日夕、配電施設付近に砲撃があった。被害の報告は受けていないという。27日朝には、原子炉建屋に冷却用の水を送る水路付近で爆発が2回発生し、2号機のタービン建屋の窓ガラスが割れた。爆発の原因は調査中という。
 グロッシ氏は声明で、「(原発の)全体的な状況は依然として不安定だ。重大事故のリスクを減らすために早急な行動が必要だ」と述べ、原発周辺での「安全保護地帯」の設置を改めて訴えた。


2022-08-05 12:16 | カテゴリ:未分類
世界が危惧してきたように、無知で非常識極まりないロシア軍によって占拠されているウクライナのサポリッジャ原発が、制御不能の暴発の危機にさらされている。
 
これはウクライナとロシアだけでない人類存亡の危機だ。
 
国連やIAEAだけではなく、ウクライナとロシアがテーブルについて、危機の打開を図る必要に迫られている。
食料危機でウクライナからの小麦の輸出以上に、人類に与える影響は計り知れない。
 
サポリッジャ原発が制御不能であるので、いずれ暴発すれば狂犬プーチンのいるモスクワも、風向きや降雨によって放射能雲プルームに襲われる可能性大である。
  
ウクライナとロシアの小麦や肥沃なチェリノーゼム土壌も放射能汚染で全滅となるだろう。


以下全文転載です。


ウクライナ南東部の原発は「完全に制御不能」=IAEA
BBC News 2022/08/04 16:00
AP通信によると、グロッシ事務局長はサポリッジャ原発で点検と修繕を行う必要があると述べた。
「いかなる原子力施設でも決して起きてはならない事が存在する」と、グロッシ氏は述べた。
ウクライナ南東部にある欧州最大のザポリッジャ原発は、ロシアとウクライナの戦闘が起きている場所から近く、危険な状態にある。
アントニー・ブリンケン米国務長官は今週初め、ロシアが同原発を、ウクライナ軍への攻撃拠点として利用していると非難した。
ウクライナ当局は、ロシアがウクライナ南部のドニプロ川沿いにある原発の敷地内に軍隊を駐留させ、軍用機器を保管しているとしている。
しかし、ロシアに任命された同地域の当局者はロイター通信に対し、ウクライナ軍が西側諸国から供給された武器を使って原発を攻撃していると語った。
ザポリッジャ州のロシア占領地を統括するエフゲニー・バリツキー氏は、ウクライナ軍の攻撃からロシア軍がいかに原子力施設を守っているかをIAEAに示す用意があると述べた。
「非常に脆弱な状況」
サポリッジャ原発では3月、ロシア軍の砲撃を受けて火災が発生し、国際的な批判が沸き起こった。鎮火後にロシア軍は原発を制圧した。
現在もロシアの支配下でウクライナ人スタッフが原発の稼働を続けている。
米ニューヨークの国連本部で開かれた記者会見で、グロッシ氏は、「非常に脆弱(ぜいじゃく)な状況にある。原子力の安全に関するあらゆる原則が何らかの方法で破られ、それが続くことを我々は許すことはできない」と述べた。
グロッシ氏は、原発に送る視察団をできるだけ早急に結成しようとしているが、戦闘地域を訪問するリスクを考慮すると、国連の承認だけでなくウクライナ側とロシア側の同意も必要だとした。
ウクライナの原子力発電公社は6月、IAEA視察団が訪問すれば原発におけるロシアの存在を正当化することになるとして、IAEAを招かないとした。
調査必要な核物質
グロッシ氏はAP通信に対し、IAEAとサポリッジャ原発のスタッフとの連絡は「途切れ途切れ」の状態で、機器などのサプライチェーンは寸断されていると説明。調査が必要な核物質が大量にあることも明かした。
「この戦争が激化する中、何もせずにいるというのは容認できない」とグロッシ氏は述べた。「ザポリッジャ原子力発電所で事故が起きたら、天災のせいにはできない。対応するのは我々のみだ。みんなのサポートが必要だ」
ロシアが原発を「核の盾」として利用していると非難するブリンケン米国務長官は、「当然、原発が絡む恐ろしい事故が起きないよう、ウクライナ側は反撃できずにいる」と述べた。
ウクライナでは1986年、北部チョルノービリ原子力発電所の原子炉が爆発し、世界最悪の原発事故が発生した。
ロシア軍は2月24日の侵攻開始から間もなくチョルノービリ原発も占拠したものの、5週間後に撤退した。敷地内のコンピューターは略奪されたり、破損されたりしたが、廃炉作業が進む原発の設備自体に被害はなかった。



付記:
朝日新聞が半ページを使って「ロシア原発を軍事基地化」という報道をしている。その中で米紙ウオールストリートジャーナル紙を引用し、「ザポリージャ原発には500人以上のロシア兵と重砲が展開し、原子炉の冷却に使う貯水池のそばに地雷も仕掛けている。ブリンケン米国務長官は今日1日、ロシアが同原発の一帯からウクライナ軍を攻撃していると指摘。ウクライナが反撃できないことを利用し、同原発を『核の盾』に使っていると非難した。」


追記1:
実にきわどい事態が進行している!
原発攻撃で原子炉停止 ロシアとウクライナ、互いを非難
AFPBB News 2022/08/06 04:48
【AFP=時事】ウクライナ南東部でロシア軍に占拠されている欧州最大のザポリージャ原子力発電所が5日、攻撃を受け、原子炉1基が停止した。ウクライナとロシアはいずれも、相手側による攻撃だと非難している。
 ザポリージャ原発は、ロシア軍がウクライナ侵攻の初期に占拠していた。ウクライナ政府は、ロシア軍が原発内に重火器を保管していると非難。一方のロシア政府は、ウクライナ軍が原発を攻撃していると批判してきた。
 ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトムは、原子炉がある建物の近くで3回の攻撃があったと説明。「水素漏れや、放射性物質飛散の恐れがあり、火災の危険性が高い」とした。死傷者への言及はなかった。
 同社によると、ロシア国営原子力企業ロスアトムの職員は攻撃前に原発から避難。攻撃により電力ケーブルが破損し、原子炉1基が停止した。ウクライナ外務省は、稼働中の原子炉への攻撃は「原子力爆弾の使用と同等の結果」をもたらす恐れがあると批判した。
 一方、ロシア国防省は、ウクライナ側の主張を否定。ウクライナ部隊がザポリージャ原発と同原発のあるエネルゴダル市に対し3回の砲撃を行ったとし、ウォロディミル・ゼレンスキー政権の「核テロ行為」を非難するよう国際機関に要請した。


追記2:以下、報道がかなり錯綜している。危険な情報戦が続いている。
欧州最大級・ザポリージャ原発に新たな砲撃…核の大惨事回避「奇跡は永遠には続かない」
読売新聞2022/08/08 00:51
 ウクライナの国営原子力企業「エネルゴアトム」は7日、ロシア軍が占拠する南部ザポリージャ原子力発電所に6日夜、露軍が砲撃し、使用済み核燃料の貯蔵施設付近に着弾したと発表した。ロシア通信によると、地元の親露派勢力は7日、ウクライナ軍がロケット弾で原発を攻撃したと主張した。原発には5日も2度にわたり砲撃があったばかりで、欧州最大規模の原発を巡る緊張が高まっている。
 エネルゴアトムによると、6日夜の砲撃で、放射性物質を監視するセンサー3基が損傷した。貯蔵施設には使用済み核燃料を収容する174の容器が置かれていた。エネルゴアトムは、センサーの損傷で「異常の迅速な発見と対応は不可能になった」と説明し、「核の大惨事は奇跡的に回避できたが、奇跡は永遠には続かない」とも強調した。砲撃の影響は約800平方メートルに及び、作業員1人が負傷したという。
 原発を占拠している約500人の露軍兵士や露側の原子力企業関係者は事前にシェルターに退避していたとしている。
 一方、地元の親露派勢力は、ウクライナの部隊が多連装ロケットシステムで使用済み核燃料施の貯蔵エリアを攻撃したと主張している。
 5日の砲撃でも、ウクライナとロシアが互いに相手の攻撃だと非難していた。
 露軍は原発に重火器を持ち込むなどして軍事拠点化を進めている。

2022-05-21 16:55 | カテゴリ:未分類
「NHKスペシャル 被爆の森 2021 変わりゆく大地」が JST優秀賞を受賞した。

http://ppd.jsf.or.jp/filmfest/63/pdf/63chirashi.pdf
http://ppd.jsf.or.jp/filmfest/63/pdf/63sakuhin.pdf

第63回 科学技術映像祭審査委員会
副委員長 高橋真理子 氏による講評は以下のとおりです。

 「NHKスペシャル 被曝の森 2021 変わりゆく大地」は、福島原発事故により無人となり、野生動物が闊歩する地域の現状、そして研究者たちの地道な研究をリポートした。シリーズ3作目で、東日本大震災から10年の貴重な記録になっている。これからも取材を続けてほしい。



日本放送協会 チーフ・ディレクター 苅田章氏による受賞解説と感想は以下のとおりです。

製作意図
 史上最悪レベルの福島第一原発事故によって大量の放射性物質が拡散した大地。住民は避難を余儀なくされ、里山や森からは人の営みが消えた。あれから10年、動物や植物の生態系はどのように変化するのか?長期にわたる放射線の被曝は、どんな影響を与えるのか?「被曝の森」は、世界でも類を見ない場所である。住民と研究者が協力して行われる研究、そして、大地を定点観測的に記録していくことで見えてくるものを番組化、後世に残したいと考え、番組制作に至った。今回がNHKスペシャルのシリーズ3作目である。
 
シノプシス
 無人となった「被曝の森」では、水田や畑が荒れ果て草原や林となり、イノシシやアライグマ、キツネなどの野生動物が闊歩。森の奥ではこれまでいなかったツキノワグマが進出するなど、大きく変貌した。科学者と住民たちによる地道な調査・研究から、マツの形態異常が放射線によって起きるメカニズムの一端が初めて解明。被曝によって、イノシシやネズミ、そしてサルの体内で何が起きているのか、細胞・遺伝子レベルで、徐々に見えつつある。未曾有の災いがもたらしたものの実像に迫っていく。
  
受賞に際して

 今回の受賞は、住民や研究者の皆様のご協力のたまものであり、スタッフ一同あらためて厚く御礼申し上げます。取材開始以来、ほぼ同じメンバーで現地に通い続けてきました。人々のふるさとへの愛着や、事実を追究する科学者たちの執念に、いつも突き動かされてきました。10年が経ち、かつて人と自然が共存していた里山の崩壊は止めようもなく、帰還を待ちわびる人々の老いも感じざるを得なくなっています。放射能汚染からの再生はいまだ困難ですが、わずかながら希望の芽も見えてきました。最新の科学的知見や長期にわたる客観的な記録は、後世に伝えなければならないと信じています。今回の受賞は、今後も継続取材すべきという叱咤激励だと受け止め、引き続きこの仕事に取り組んでいく決意です。     (日本放送協会 チーフ・ディレクター 苅田章)

作品情報 
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/
bl/pneAjJR3gn/bp/paX1p0ynQP/
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