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2014-07-08 06:52 | カテゴリ:未分類

以下は理研の「STAP細胞」問題に関して毎日新聞記者による理研の高橋政代プロジェクトリーダーに対するインタビューである。
 

高橋プロジェクトリーダーは基礎研究者が基礎の基礎である研究成果を今にも応用可能なごとく過大に世間に誇示することの危険性を強く危惧している。 ここで論じられているのはSTAP細胞が仮にあるとしても、それが医療という臨床現場への問題に結びつくまでには、まだまだはるかな距離があるということをわきまえて記者会見しなさいという指摘である。
 

ひるがえって、われわれ植物科学の分野でも基礎の基礎の研究が直ちに農業の増収やバイオマスエネルギー問題や生態環境改善や人の健康に貢献するような言い方をする基礎研究者が日本ばかりでなく世界にもわんさといる。しかし日本では近年の植物の遺伝子レベルの基礎研究が実用化にまで至った研究は未だ皆無である。農業生物資源研究所の「スギ花粉症緩和米」の開発が先陣を切って大変な努力をしているが、いまだに実用化に至っていない。遺伝子組み換え隔離圃場での実験の困難なバリアをクリアして、次に動物実験による安全性の検定をクリアして、という長い長い工程があることを余りよく理解していない植物基礎科学の研究者が、基礎の基礎の研究成果を安易に応用に結び付けて誇示することはやめた方がいい。

 

(森敏)

  

(以下は非常にインパクトのある毎日新聞の記事です。無断引用しました。)



理研:iPS臨床・高橋氏との一問一答詳細

20140704

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の高橋政代プロジェクトリーダーとの主な一問一答は次の通り。
 

 −−1日付のツイッターで「理研の倫理観にもう耐えられない」とつぶやいた真意は? 「倫理観」とは何を指すのか?

 ◆理化学研究所が「何が良くて何が悪いのか」を態度で示せていない。理研がどう考えているのかが一貫して分からない状態ですよね。恐らく、外から見えているものと実際とがずれていると思う。それも恐らく「倫理観をきちんと示せていない」ことから、理研も誤解を受けていると思う。そういう意味でした。それを発信できていないと思う。CDBでお世話になり、この(iPS細胞の臨床研究の)プロジェクトを育ててくれた。私の場合は愛情があり、批判をしたくないから抑えていた部分なのですが、ツイッターで書いたように(iPS細胞を使った世界初の)臨床研究を落ち着いてできる環境ではなくなってきた。白黒はっきりというか、何が悪いかがまだ数カ月は出ないことがはっきりした。処分などが片がつかず落ち着かない。まだまだ事態の収束がずれこむことが分かったので、このまま臨床研究に突入するのは危ないと思ったわけです。

 −−何が悪いかはっきりしないまま、小保方晴子氏が検証実験に参加していることが問題なのか?

 ◆それもありますが、参加していることというよりも、片がつくのが遅れるということです。状況が改善されない、ということが分かったので、「私は違う考え方をもっている」ということ、「困っている」ということを声を上げないといけないと思ったわけです。今回のSTAP細胞問題に関しては、私は最初から「理研の対応はおかしい、遅い」と言っていました。その危機管理の対応が、病院の危機管理に慣れている者にとってはとても違いました。この対応の遅さでは、臨床研究の出来事に対する対応は無理だろうと思いました。もちろん臨床研究自体は先端医療センターで実施し、理研は「細胞作り」に責任を持っているのですが、理研は統括を担っていますから責任はとても重い。臨床現場で何かが起こったときの対応、これでは無理だなと思ったわけです。

 −−理研は新たな疑義の調査を始めると言っているが、これも遅いですか?

 ◆私は遅いと思います。なぜしないんだろう、皆が疑問に思っていた部分ではないのか、と。今言っても仕方がないので、今回声を上げたのは「臨床研究をできる環境ではない」ということから、「臨床研究はきちんとやりたいので、環境を整えてください」ということを伝えたかった。

 −−臨床研究に遅れは生じていますか?

 ◆そういうことはないです。科学的、医学的にはものすごく順調です。臨床で何が決め手になるかというと信頼感なんです。「倫理がしっかりしている」という信頼感がないと、少しのことが大きな問題になってしまうのは臨床の現場でよくあることです。ですから、今理研への不信がある中で、同じことが起きても大きく悪いことであると捉えられてしまうだろうという心配がある。今まで私はiPSの臨床研究というものすごく新しいことをやるために慎重に進めてきましたし、本当に静かなところで大事に作った船をそっと置いて、波風立たないようにそれに神経を使ってきた。ところが、横で起こったことでものすごい荒波の中にさらされている。この状況で実施すると、波がかかってきて大事になってしまう。こういう状況を改善してほしい。そのためにSTAPの問題を早く収束させてほしいというのが願いで、ずっと早く対応してくださいとお願いしてきましたが、まだ(時間が)かかるということで、「ちょっとこれは」と思いました。

 −−STAP問題が収束しなければ臨床研究を始められないのですか?

 ◆そうではないです。できますが、ものすごく困難なかじ取りを強いられるわけです。困難なかじ取りにならなくてもいいように、いろいろな調整をしてきて、何年もかかって環境を整えてきたものを、いきなり壊されたということにいら立ちがあります。

 −−「複数の人から臨床研究を中止しては」という意見を聞いたというのは、具体的にどういうことでしょうか?

 ◆STAPの問題があるので、私たちの研究にも疑いの目が向けられています。本当にちゃんとしたデータなのかという疑いですね。その対応に追われたりもしています。いろいろなことがSTAPで止まってしまって手続きが進まない、などです。ツイッターで答えたのは、「こんな状況だったら中止されたらどうですか」というツイートがあったので、「それも含めて考えましょう」と答えたのですが、それが「中止」と伝わってしまいました。真意は、「慎重に検討しなければいけない状況である」という意味でした。

 −−患者さんからそのような声はありますか?

 ◆それはないです。患者さんとの信頼関係は壊れていません。ですからそれは大丈夫です。ただし、「こんな荒波でかじ取りさせないでくれ」と。「せっかく整えた静かな海をもう一回返してくれ」という思いです。「もう一回、環境を整えていただきたい」ということが一番お願いしたいことですね。

 −−繰り返しだが、一定のけじめや懲罰がなければ静かな海は返ってこないと考えているのか?

 ◆実際は、懲戒委員会が検討して結論を出さなければいけないということは分かりますが、理研がどこを問題だと考えているか、どちらの方向へ進もうとしているのかが伝わってこない。そして大事にすべきことがずれている。検証実験も(STAP細胞が)できることを期待しているのか。何のためにやるのかよく分からない。そういう説明が足りないような気がしますね。

 −−理研に対して、この問題に対するメッセージをもっと出してほしいと考えているのか?

 ◆はい。何が良くて何が悪いか、という判断がされないままきていると思います。もっと早くけじめをつけられたと思いますが、まとめると、けじめがつかないまま結論が延びていることによる環境です。さらに、ここまで遅らせてしまう対応は、もし臨床研究の際に何か起きた場合に対応できないであろう、という点から「臨床研究が困難ではないか」と感じました。私たちの責任が非常に重くなっている気がします。

 −−理研の外部識者による改革委員会が出した(CDB解体などの)提言への評価は? それに対する理研のアクションはどうでしょうか?

 ◆アクションはないです。それ(提言)をどう思っているのかというアクションがないのです。「CDB解体」という言葉は衝撃的ですね。CDBはすごくいい研究所だったんです。いい実績を上げていた。ただし、本気で臨床につながることをやっているという覚悟が少ないような気がしていましたので、今後はそこを改善してほしい。

 −−「解体」という言葉に内部の反応は?

 ◆私自身はそうでもないが、若いPI(研究室主宰者)たちは動揺しています。

 −−このような提言も予想していたのか?

 ◆そこまではありませんでしたが、「臨床のことをしっかりやってほしい」と思っていたので、変わるべきところはあるとは思っていました。「消滅させてはいけない研究所」だと私は思っています。それでもアクションが遅いですね。

 −−改革委の提言は理解できるか?

 ◆「消滅させよ」ということであれば納得できません。変わらないといけない部分があるということなら「アグリー(賛成)」です。

 −−もう少し応用を意識した研究に、組織として力を入れるべきだということですか?

 ◆力を入れてほしいと思います。

 −−さかのぼって、どの時点で理研の対応が遅いと感じられたか?

 ◆最初です。3月初めくらいでしょうか。これは病院でやっている危機管理と全然違う、遅いと思いました。もう少し「重大事だ」という認識を持たないといけない、という気がしました。

 −−重大という認識が理研にもCDBにも感じられなかった?

 ◆そうなんです。

 −−それが対応の遅れにつながった?

 ◆そう思います。病院の危機管理は、実際に起きたことや一般に思われているよりも、より深刻にものごとをとらえて対処するということを心掛けます。それを、私はやってきました。それが今回の理研は逆になっています。社会が思うよりも低く見積もり、世間が怒る、という悪循環で、事態がどんどん拡大していったと思います。

 −−最初に最悪のケースを想定するのが危機管理ということですか?

 ◆それが基本だと思います。

 −−一つの研究の問題が、CDB全体、日本全体の信用を失墜させていると思いますか?

 ◆そう思います、再生医療に関しても、STAPはとても再生医療につながるようなものではなかったわけです。(細胞が)あったとしてもです。まだまだ「再生医療」という言葉を口にしてはいけない段階だったのに、それにつなげて説明したことも問題だったと思います。

 −−まだ赤ちゃんのマウスの細胞からしか作れない、という説明だったからですか?

 ◆それもありますが、安全性もまだ分からない段階でした。だから医療のことは口にしてほしくなかった。(記者会見などで)患者さんのことに言及されたのは、本当に怒りを覚えました。

 −−再生医療に使えると期待させるような広報が問題だったのでしょうか?

 ◆はい。

 −−臨床研究のプロジェクトで高橋先生が最も気をつけてこられた点ですね。

 ◆そうです。患者さんに過大な期待をさせない、ということをずっとやってきましたから。STAP細胞の説明では、基礎研究と応用研究との距離感が分かっていないと感じました。あくまで「基礎の基礎」の「始まり」の段階だったものなのに、「応用研究」のような顔をしてしまった。

 −−発表時に小保方氏とシニアの研究者がそういう発信をしましたが。

 ◆基礎研究と臨床の距離を分かっていない人が発表すると、そうなるということですね。

 −−小保方氏や笹井芳樹副センター長の対応について、どう思いますか。

 ◆「真摯(しんし)」かもしれませんが、遅いと思います。私は調査結果全体を把握しているわけではありませんが、事実はどうあれ責任があるということを、もっと早く自分たちで表明すべきだったと思います。

 −−論文の撤回も含めて遅いということですか?

 ◆そうですよね。遅いですよね。それが環境の悪化を招いたと思います。

 −−臨床研究のスタッフに動揺はありましたか?

 ◆昨日ツイッターが、あそこまで報道されるとは思わなかったので、スタッフや他の方たちに迷惑をかけました。私たちのラボや臨床チームには動揺はありませんが、私たちのチーム以外の人に動揺を与えてしまって、それは大変申し訳なかったと思っています。

 −−臨床研究は、当初の予定通りですか。

 ◆そうですね。だから声を上げようと考えました。このままでは「荒れた海」なので、今から抑えなおしておかないと、と考えました。理研の信頼を早く回復してほしい。

 −−より少数例になる可能性はありますか?

 ◆いろいろな可能性があります。(再生医療などの)法律も変わりますし、いろいろな可能性が想定できます。臨床としては必ずやります。

 −−「遅れては困る」という患者さんはいますか?

 ◆一刻も早く治療してほしいという思いはあると思う。昨日私が駄目だったのは、「中止」という言葉を出したため、あたかも「臨床研究を中止する」というような報道になってしまった。「検討する」という言葉が「中止」と受け取られてしまったことが、動揺を広げてしまい、ご迷惑をおかけしたと思います。

 

2014-05-12 21:10 | カテゴリ:未分類

去る20142月に、北関東地方周辺などで記録的な降雪や雪害が起こった。27日から9日、次いで11日、14日から16日にかけてと降雪が続き、関東平野で数十センチ、内陸部では1メートルを超す積雪となり、多くの森林の樹木が倒れた。その結果東電福島第一原発からの放射能で被爆していた樹皮から放射能が物理的に解離したり、放射能被ばく土壌が動きそれらが湖沼に流れ込んだ可能性が高い。以下の事変は、まだまだ自然条件の激変(かく乱要因)によって、環境の残留放射能が予測不能な動きをするので、3年たったからと言って生物体内の放射能汚染が十分低下し定常化したと考えるべきではないことを強く示している。 

 今後もダムや堰やため池などに豪雨天変地異によって濁流が流れ込むことがありうることを十分に警戒しておく必要がある。その意味においてため池の除染は個々の条件を慎重に検討すべき難題である。

  


  

 

北茨城のヤマメ セシウム基準超え 県が販売自粛要請

(東京新聞2014.3.21.)

 

県は20日、北茨城市の花園川水沼ダム上流で16日に採取したヤマメが、基準値(一キロ当たり100ベクレル)を超える同110ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。 県は大北川漁協(北茨城市)に、水沼ダム上流で採れたヤマメの出荷、販売を自粛するよう要請した。4月1日の渓流釣り解禁を検査用の採取のため、ヤマメは流通していない。この地点のヤマメは昨年3月から出荷、販売の自粛が解除されていた。

   

赤城大沼ワカサギ再び持ち帰り禁止 群馬県が要請 

(東京新聞2014年3月21日)

 

放射性セシウムが検出されていた赤城大沼(前橋市)のワカサギの持ち帰りを14日に解禁した群馬県は21日、再び持ち帰らないよう釣り客などに求めた。期間は21日から氷上穴釣りのシーズンが終わる31日まで。 県によると、ワカサギのセシウム濃度は今年に入り、一キロ当たり100ベクレルの食品の基準値を8週連続で下回った。しかし、20日に水産庁から、最近の検査でも80ベクレルを超えており、持ち帰り解禁には50ベクレルを安定的に下回る必要があるとの指導を受けた。県は「安全性は損なわれていない。事前に水産庁に相談せず、地元に迷惑をかけた」と謝罪。赤城大沼漁業協同組合の青木泰孝組合長は「安全を第一として我慢したい」と話した。

 
 
 

(森敏)

付記:この東京新聞の2本の記事は読者からの紹介で、転載するものです。
2014-03-30 16:34 | カテゴリ:未分類

原子力政策の弊害を指摘 学会事故調が最終報告

 日本原子力学会(堀池寛会長)の「春の年会」は26日、東京・東京都市大で開幕し、同学会の原発事故調査委員会(学会事故調)の最終報告書が説明された。東京電力福島第1原発事故の背景について「過酷事故が起こり得ないという(誤った)予断が、地元への説明や訴訟対策、安全規制の一貫性といった(原子力政策を進めるための)理由で正当化されてきた」として、安全神話に立脚した原子力政策そのものの弊害を指摘した。
 原発事故対策について、欧米は事故が起きた場合の住民避難など被害を最小限に食い止める原子力防災の考え(深層防護)が一般的なのに対し、日本は事故が起きないようにする対策にとどまっていたと指摘。原子力災害を特別視せず、台風などの自然災害などと合わせた統合的な防災対策が必要と提言した。
(2014年3月27日 福島民友ニュース)

 
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泉田裕彦 新潟県知事は
「福島第一原発事故の根本的な技術的な解明ができていない上に、今後の事故発生時の住民避難対策ができていない。なのに、なぜ柏崎刈谷原発が東電の再稼働候補なのだ」
と東電や国の動きに対して激しく反発している.
 

原発暴発3年たって結論が出された原子力学会の事故調の報告書が、全面的に原子力学会会員に支持されているのならば、泉田新潟県知事の抵抗に対して、大いに原子力学会は支援のエールを送るべきではないだろうか? 現在進行形の原子力行政に対して組織として積極的に発言すべきではないのか? 自分たちの組織の自己弁護ばかり述べるばかりが能ではないだろう。政府による原子力政策は時々刻々進行しているのだから。
 

原子力基本法と共に共棲している原子力学会は3年たってやっとこの結論に達したということだ。「原発暴発時の実行可能性のある住民避難対策の必要性」に関しては、早くから政府事故調(平成24年7月23日に最終報告を提出している)の委員であった柳田邦男氏が叫び続けていることである。
 

原子力基本法は今だにもたもたして本質的な改訂が行われていない。原子力学会はいろんな意味で戦前の巨大技術の結晶「戦艦大和」的な組織体だ。融通の聞かない戦艦ヤマトは時代に遅れて、死出の旅に出てレダー探知などの近代技術を駆使した空爆で撃沈れさたが、重厚長大の原子力発電は地震津波という天災で自爆自沈した。
  

この原子力発電を推進してきた原子力学会は、
「原発事故時の住民避難対策を確立して住民被害を最小限に食い止める体制の整備さえできれば、原子力規制委員会の条件をクリアした原発再稼働は否定すべきでない」という立場を崩していないのかもしれない。原子力学会は自沈(自壊)を恐れて組織の再生に賭けているのだろうが、組織の中から当該組織自身を自己否定することは不可能だということだ。

 

原子力学会のホームページには中間報告書は開示されているが最終報告書がなぜかまだ開示されていない。原子力学会の報告会では冊子体で配布されたらしいが。
 
    
(管窺)
 

追記:その後福島民報にこんな論説が出ました。以下転載です。核心を突いていると思います。(森敏)
 

 【原発再稼働】本県の教訓生かせ(4月5日)
 
原子力規制委員会は原発の再稼働で、九州電力川内[せんだい]1、2号機(鹿児島県)の審査を優先して進めると決めた。3日には地震、津波対策の状況を確認する現地調査を終えた。川内原発が最初に審査に合格し、新規制基準に基づく再稼働第一号となる公算が大きい。電力需要が高まる夏までに運転の可能性もある。
 基本となる地震や津波など立地の問題は一応、基準を満たしたという。ただ、東京電力福島第一原発のような過酷事故の備えは不十分との指摘もある。住民が安全に避難できるか疑問だ。本県の教訓をしっかり生かすべきだ。
 原発の新規制基準は、原発事故の反省を踏まえて従来の規制基準を大幅に厳格化し、昨年7月に施行した。過酷事故対策や航空機による衝突などテロ対策が加わり、地震・津波対策を強化した。川内を含む6原発の再稼働に向けた審査が先行している。審査が終われば原発が次々に動きだす可能性もある。
 昨年12月現在、原発30キロ圏21道府県の135市町村のうち、策定を義務づけられている住民避難計画ができたのは、4割の53市町村だけだ。専門家の試算では、原発で事故が起きた場合、圏内の住民がマイカーやバスで圏外に避難するのに8時間から2日半ほどかかる。
 共同通信社のアンケートでは、30キロ圏の道府県と市町村156自治体のうち、規制委が審査を終えれば原発の再稼働を「容認する」と答えたのは、条件付きを含めても約2割の37自治体にとどまった。地元は不安なのだ。
 元政府事故調委員長の畑村洋太郎氏は、避難困難な事例に事故当時の富岡町の渋滞を挙げ「(避難)計画の正当性が確認されてから再稼働の議論をすべき」と指摘する。
 国会事故調委員長だった黒川清氏は、国際原子力機関(IAEA)が提唱する「五層の多重防護」について「(国内の原発で)やっていない所はたくさんある。3年たっても何も変わっていない」と批判する。元民間事故調委員長の北沢宏一氏は「原発事故の確率を減らすだけでなく、事故の拡大防止もしっかり検討すべき」とする。
 安倍晋三首相は原発の新規制基準で「世界最高水準の安全性」を何度も強調するが、新たな「安全神話」に聞こえる。事故拡大防止策を規制委任せにし、避難計画策定を自治体に丸投げしてはいけない。安全の掛け声だけでは、人は守れない。県民が「あの日」から味わった恐怖や不安を、二度と誰にも、体験させたくない。(小池 公祐)

2014/04/05 08:48 カテゴリー:論説

2013-10-15 09:35 | カテゴリ:未分類

焼却灰からセシウム分離 県とIAEA 来年中にも実証実験

 県と国際原子力機構(IAEA)は平成26年中にも、ごみ処理施設などで出る焼却灰から放射性セシウムを分離する実証実験に入る。県内では現在、約13万トンに上る焼却灰の受け入れ先が決まらず、今後も増える見通し。自治体などは保管場所確保に苦慮しており、昨年締結した両者の国際協力プロジェクトの一環として取り組む。セシウムを焼却ガスに取り込み、灰に残さない焼却法を確立する。実現すれば、埋め立てや工業用資材としての再利用が進むと期待される。
 県とIAEAが検討する処理工程は【図】の通り。可燃ごみなど廃棄物を焼却する際に温度調整し、セシウムが動きやすい状態とする。さらに、薬剤でセシウムを化学反応させ、焼却により発生するガスに濃縮して含ませる。ガスはフィルターで捕捉され、冷めて燃え残りとなる。炉内の焼却灰にセシウムはほとんど含まれない。
 IAEAは放射性物質の研究を積み重ねており、県内のごみ処理施設で実施することは十分、可能とみている。県は今月末、担当者をウィーンのIAEA本部に派遣し具体的な協議に入る予定だ。26年中にも県内のごみ処理施設で実証実験に入り、成果が出れば本格実施に移行する。
 この焼却法では、全体量の7割が焼却灰に、3割がセシウムを含む燃え残りとなる。
 放射性物質汚染対処特措法の規定で、セシウムが1キロ当たり8000ベクレル以下の焼却灰は、埋め立て処分やアスファルト材などへの再利用が可能だ。8000ベクレル超~10万ベクレル以下は富岡町の管理型処分場に運び込む計画となっている。
 県は市町村と連携し、焼却灰の安全性を訴え、埋め立てや再利用を加速させる。燃え残りはセシウム濃度が8000ベクレルを超えるとみられ、中間貯蔵施設か富岡町の管理型処分場に搬入することを想定している。
 県によると、県内の自治体や衛生処理組合などの約20のごみ焼却施設では8月末現在、13万2000トンの焼却灰が処分できず、施設内などに保管されている。
 内訳は8000ベクレル以下が4万7000トン、8000ベクレル超~10万ベクレル以下が8万5000トン。
 放射線の影響を懸念し、建設資材として引き取る業者は極めて少ない。一方、富岡町は搬入に同意しておらず、比較的放射線量が高い県北や県中地区のごみ処理施設を中心に焼却灰がたまり続けている。
 県とIAEAは、こうした現状を打開しようと、今後の焼却処分の過程で発生する焼却灰からセシウムを取り除く技術を開発する。
 廃棄物処理が専門の高岡昌輝京都大大学院地球環境学堂教授は「分離操作が実現できれば、灰の処理はしやすくなる」とした上で、「わずかにセシウムが含まれる灰の処分に向け、住民理解を進めることも重要」と指摘している。
  ◇    ◇
 これまでに、ごみ処理施設にたまった13万2000トンからセシウムを分離する方法は見いだされておらず、県生活環境部は「国も処分に協力してほしい」としている。

2013/10/14 08:56 福島民報 )

 
 

 
以上の記事は、福島県として放射性焼却灰の減容化に向けての非常に重要な動きなんだが、いかんせん、記事の記述内容が、科学的に不正確で、言っていることに矛盾があり、細かいところでは正確に理解できない。(2つの赤字を比べてください)

そこで、ここで提案されている除染技法を自己流に、好意的に解釈すると、これは従来のごみ処理施設から出て埋せつ基準値オーバーのために大量に保管されている放射性焼却灰を、燃焼助剤として塩化カルシウムや廃塩化ビニルを用いて、超高温(1300度以上)で熱し、ほぼ100%揮散した放射性セシウムを排気口に設置したバグフィルターで捕捉して、ほぼ100%回収するというものだと思われる。この手法は以前にも口を酸っぱくしてこのブログでも何回か紹介されている。基本的に一番最初に「太平洋セメント」が開発している技法である。 まだスケールアップに至っていないようだが。
 
2013/06/24 : 研究者は環境放射能の除染廃棄物の減容化研究をもっと真剣にやるべきだ

IAEAがこの技術を持っているとは思われないが、福島県はIAEAの権威を借りて、住民の理解を得たいのだろうと思う。日本で開発されつつある技術にもかかわらず、なぜかIAEAの権威を使いたがるのも、少し情けないことである。 
  
 
事故の当初から、IAEAのメンバーは何度も、福島を訪れているが、具体的に廃炉技術や除染技術で貢献できたとういう話を聞いたことがない。IAEAとしても福島でよく勉強しておきたいのだろう。なぜか日本のマスコミはIAEAを持ち上げるので、国民も信頼しているようだ。

IAEAは核査察には権威があるが、廃炉や除染にはあまり役に立つとは思えない。基本的立場が原発推進なんだから。天野事務局長の話を虚心に聞くと、言葉の端々に、「世界の原発稼働の安全安心のために廃炉技術や除染技術の開発が必要である」と強調していることがわかるだろう。
  
この太平洋セメントが開発した技法は、他のゼネコンの技術開発が遅れているので、ほかのゼネコンの実力が向上して共同歩調をそろえるまで、経産省(か環境省)がゴーサインをなかなかださないでいるといううわさを聞いている(あくまでうわさだが)。 ごみ処理施設は膨大な焼却灰の減容化に困っているのだが、農地や宅地をゼネコンとしては、ちんたらと除染しておいたほうが、黙って長期にわたって膨大な棚ボタ式に除染のための復興予算が年間何千億円も入ってくるので、ゼネコンの本心としてはそんなに減容化を急がなくてもいいのである。
 

(管窺)

追記:たとえば以下に示すイランの核開発査察などに関しては、IAEAは権威を確保している。

IAEAがイラン重水施設を査察 合意を一部履行
(12/08 16:19)

 【テヘラン共同】国際原子力機関(IAEA)は8日、イラン西部アラクで建設中の実験用重水炉に使う重水の生産施設を査察した。同施設への査察は2011年8月以来。イランとIAEAが11月に合意した内容の初めての履行で、IAEAはイランの核兵器開発疑惑の全容解明に向けた一歩にしたい考えだ。

 今回の査察は、IAEAの天野之弥事務局長が11月11日にイランの首都テヘランを訪問し、サレヒ副大統領兼原子力庁長官との間で合意した。

 

2013-09-20 08:05 | カテゴリ:未分類

    以下の原子力規制委員会の提案は、小生が201157日に東大の生産技術研究所の浦環教授に提案したものと同じである。それが2年たってやっと技術的に実現可能な段階に来たということである。水中放射能検出器が作成されたからである。測定はやるなら東電福島第一原発周辺海域から早くやるべきです。複数の船で並行してやれば、すぐにでも詳細なデータが得られるだろう。

 

 

福島沖1千平方キロの海底調査 規制委、汚染状況把握へ

2013918 1814

 原子力規制委員会は18日、東京電力福島第1原発事故による海底の汚染状況を把握するため、福島県沖の約1千平方キロで海底の放射性セシウム濃度の測定調査を始めた。周辺海域ではこれまで研究機関などが地点ごとの調査を実施したことはあるが、規制委はセシウムの拡散状況を面的に分析することで、魚介類の安全性を判断する際の基礎データとする狙いがある。


(森敏)

付記:この間の経緯は以下の通りです。
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