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2013-05-24 10:58 | カテゴリ:未分類

 中国でカドミウム米が流通

土壌汚染拡大

 【北京共同】中国広東省で重金属のカドミウムに汚染されたコメが流通していたことが分かり、波紋を広げている。汚染米は広東省のほか湖南省や江西省からも出荷されており、農地の土壌汚染は各地に広がっているようだ。

 中国は最近もネズミの肉を羊肉に偽装して販売していた事件が発覚するなど食の安全をめぐる問題が後を絶たない。当局の公表遅れを批判する声も出ている。

 広東省広州市の食品薬品監督管理局によると、今年1~3月に市内で流通する「コメ及びコメ製品」を調べたところ、18サンプルのうち半数近くの8サンプルから基準値を超えるカドミウムが検出された。

(2013/05/22 16:28)

   

中国では日本で何十年もかかって起こした「公害」を10倍のスピードの短期間で起こしている。単純に言えば人口が10倍だからでもある。上記の共同通信の記事にあるカドミウム汚染米が、中国の全土に出回っている可能性は、日本の農学研究者では早くからうわさが流れており、最も危惧されていたことである。外国の隣人がそんなことを摘発すると、中国人のプライドをいたく傷つけるので、露骨には言わなかっただけなのである。しかし、今回は中国当局自身が分析して発表したので、この科学的態度は評価すべきであると思う。中国が世界標準の食品衛生行政に向かっている一証拠であるかもしれない。

単に日本の国内対策ばかりでなく、そういう世界規模でのカドミウム汚染土壌の拡大に伴うカドミウム汚染米の出現の可能性をも考えて、農水省と東大を中心とする農学研究者たちは、低カドミウム米の開発の必要性を早くから提案してプロジェクトを推進してきた。その結果最近農水省は「低カドミウム・コシヒカリ」そのものの重イオンビーム育種での実用品種化に成功した。この成果は「WINEP」のホームページに紹介している。 (コメのカドミウム汚染をなくす遺伝子を発見http://www.winep.jp/news/155.html , ついに成功! 低カドミウムコシヒカリhttp://www.winep.jp/news/153.html  )
 
小生はこの成功はノーベル賞クラスの研究だと賞賛してきた。しかしなかなか日本人はこのような先駆的な世界的な研究の価値をきちんと評価 しない。

アジアの各国が加速度的に工業化しているので、アジアの中進国も、きちんと調べれば、高カドミウム米を生産しており、そういうカドミウム汚染コメを食する潜在的なイタイイタイ病の患者を発生させていることを否定できない。
 
      今後は急速に国際化がすすむミャンマーなども気を付けないと諸外国の猛烈な工業投資で、無処理で劣悪な排煙や排水が、水田に流れ込んで、急速にお米の質を劣化させる可能性が高い。ミャンマーはお米が主要な輸出国なのでこの点では非常に神経質になるべきである。すでにそういうお米がタイ米やベトナム米などに混入して世界規模で輸出され流通しているかもしれない。
 
       だからこれらの中進国は工業化のためには日本の高度な「公害防止技術」をどんどん導入するべきである。同時に、すでに汚染した水田には「低カドミウム米」を普及してほしいと思う。低カドミウム米は日本の農水省が世界に打って出るべき最先端の育種技術である。
  
(森敏)

追記:

中国農地6分の1が汚染 発がん性のある重金属「カドミウム」 世界平均の2・5倍

(2013.05.27 ZAKZAK)

 環境破壊や公害が問題となっている中国で、発がん性のある重金属「カドミウム」による被害が深刻化している。広東省では汚染米が流通していたことが発覚。現地メディアが、「中国国内の全農地の6分の1がカドミウムを含む重金属で汚染されている」とする専門家の調査結果を伝え、波紋を広げている。

 衝撃的な汚染実態を報じたのは、26日付の中国紙、光明日報。同紙は、カドミウムなどの重金属で汚染された農地の面積がすでに2000万ヘクタール(北海道の面積の約2・4倍)に達し、中国の全農地の6分の1を占めているとする専門家の調査結果を伝えた。汚染は鉱山や工場、都市の周辺などでひどく、経済発展が進んでいる地域はより深刻だとする専門家の分析を紹介。別の専門家は汚染の原因として世界平均の2・5倍に上る過剰な農薬使用を挙げている。

 カドミウムは、戦前から戦後にかけて富山県で起きた「四大公害病」のひとつ、イタイイタイ病の原因物質。工業製品などに利用されるが、強い発がん性を持つ。

 専門家は農地が工場排水などで汚染されたのが原因とみられると指摘しているが、カドミウムの排出源はいまだ特定されていないとみられる。

 カドミウムをめぐっては、広東省広州市の食品薬品監督管理局が、今年1~3月に市内で流通する「コメおよびコメ製品」を調べたところ、18サンプルのうち半数近くの8サンプルから基準値を超えるカドミウムが検出されたと今月中旬に公表した。

 地元メディアによると、汚染米は、広東省のほか湖南省や江西省からも出荷されており、流通ルートに乗っていたことが判明。「毒米問題」として現地で不安が広がっている。

 輸入食品の10%を中国産に頼る日本もひとごとではない。

 防波堤となるべき検疫検査のシステムはあるものの、専門家の1人は「検査が行われるのは全輸入量のわずか10%に過ぎない。残りの90%は検疫をスルーして国内に入ってきている。輸入量は増えているのに検査機関数は横ばいでマンパワー不足も深刻だ」。

 

2012-10-03 09:18 | カテゴリ:未分類

  

福島県産の「新米」から放射性セシウム
 

  

というタイトルで「週刊現代」(10月13日号)に長崎大高辻俊宏准教授らの研究が紹介されている。
 

要点箇所をコピーすると、
 

  

昨年、試験的に採取された米からは、1kgあたり357Bqという高い放射性セシウムの数値が検出された。厚生労働省が定める規制値は100Bq/kg。およそ3.6倍もの高濃度汚染である。」

  

という内容である。つまりこの記事は今年の新米について述べているのではない、ということに注意すべきである。この点では大きな誤解を生む過剰宣伝記事のタイトルといえよう。まだ現時点では、幸い今年の産米から100Bq/kg以上の汚染米を検出していない福島県にとっては、大迷惑な風評被害になりうる記事である。
  

  

それはそれとして、この研究は、総量36グラムのお米を、ずっと2分割法で篩い分けていって、3粒まで追い詰め、最後にわずか1粒のお米が2.9Bqという高濃度の汚染をしていた(ほかの2粒は合計でも0.0048Bq)ということを見出したという内容である。
 
  なので、その発見自体は、いろいろな意味で示唆的である。精密測定のためにはゲルマニウム半導体での計測時間が、延べ1週間以上はかかったと思われる。

   

こういう汚染米が出る理由について、小生の仮説を提唱する。こういう特殊解から一般解を導くのが科学であるからである。

   

この特殊な1粒の汚染に関して、高辻準教授は「外部から飛来してきた放射性物質がイネに吸着した」という可能性を指摘している。

   

このことを証明するためにはつぎの方法がある。一つはこの1粒(2.9Bq)をていねいに精米して、白米の放射能が他の2粒の白米濃度以下になるかどうか調べることである。
 

  

    もし両者が同程度ならば、前者は内部汚染ではないので、このお米がついていた稲株の穂の一部に汚染物質が飛来して、それが直接玄米の外がわの糠層のみを汚染したのである。

   

もしこの1粒の精白米が同じ0.0048を示したお米の精白米よりもはるかに高い値を示すならば、内部汚染なので、このお米は穂についた放射能を直接もみ殻から吸収して白米部分にも移行したのである。
 

  

この記事にも、汚染の可能性として議論されているのだが、これまでの土壌や玄米の測定データからは放射性セシウムの根圏から吸収した放射能が2.9Bq/kg14Bq/kg)にもなることはまったく考えられないので、問題はこの放射能がどこから飛来したのかが問題である。
 

  

分析したのはあくまで去年の段階のお米であるから、このお米を採取した田圃の付近に森林があればその葉などに付着したりしたものが飛来してきた可能性を否定できない。

   

    しかし、小生はこの放射能の起源は土壌だと思う。いわき市志田名地区はホットスポット地区であると記事には書かれているから、この汚染土壌に直接穂が浸漬した可能性はないだろうか? 昨年の観察でも、多くの福島県の田んぼが大雨や台風で倒伏していた。

   

さらに、このようなイネが倒伏した田んぼは、刈り取り時には稲刈り機が使えずに、手狩りで収穫した可能性がある。そうすると、いったん刈り取った稲の地上部を地面に置いて、後で乾燥のための“はざかけ”に回収するという作業工程になる。
   
 

  そうすると、多くの穂が土壌に触れての濃い放射能で汚染した可能性がある。昨年のこの地区での農家がそういう汚染防止対策の細かな神経を使った作業を行ったとは思えない。乾燥後の脱穀の工程で土壌汚染もみ殻から玄米糠層にセシウムの外部汚染をさせた可能性があるのではないだろうか。

    

  こういうことがありうるから、小生は最近のwinepブログでは、倒伏イネについて警告を発しているのである。手狩りであろうが、稲刈り機であろうが、イネの刈り取り収穫、脱穀時に決して地面に穂を接触させてはならない。

    

これが今回の週刊誌の記事から学ぶべき教訓だと思う。
  

 

     

(森敏)

 

2012-06-29 10:17 | カテゴリ:未分類

先日は

というブログを掲載しました。

 

    それを書いていて、突然ひらめいたことがあります。今日はそれについて述べます。

 

    世界のどこかで鳥・豚・人などのインフルエンザなどが毎年のように頻発しています。インフルエンザの遺伝子はその変異カ所まで正確にわかっていてタイプわけされています。現在もH5N1型が世界的に流行しているようです。

 

    このように詳細なインフルエンザの遺伝子解析が進んでいる一方で、なぜこれらの遺伝子変異が起こるのかに関しては、原因不明の環境要因による突然変異ですませています。一方で、

 

「遺伝子の複製過程で、1万~2万回に1回ほどの確率でミスが発生する。この確率はヒトの生物などと比べると非常に高く、新たな特徴を持つウィルスが生まれやすい原因となっている」という複製酵素によるエラー説も有力です。

 

    また一方では、変異ウイルスの人への伝搬の要因としては、アジアや中近東の人と鳥や動物との濃厚な接触の多い生活環境の地方で流行しはじめるというのが定説です。特に豚は新インフルエンザの生きた複製器といわれているようです。

 

  

  ここで述べたい小生の仮説は、世界の高自然放射線地域では生物は高頻度の遺伝子変異を繰り返しているので、インフルエンザの場合も感染力や致死性などの高いインフルエンザウイルスへの変異確率が高いのではないだろうかというものです。その根拠試料は以下のとおりです。(断っておきますが、ネット検索でヒットしたもので原資料にあたっていません)

  

- 世界の高自然放射線地域の健康調査より -

http://www.taishitsu.or.jp/genshiryoku/gen-1/1-ko-shizen-2.html
 

 という報告書を読むと、以下の図が載っており、以下のように放射線が高自然放射線地域では染色体に対照地域より多くの傷をつけているということが確認されました。」::::「放射線の染色体異常誘発線量には閾値が無いことを示しています。」と断定的に書かれてあります。
(放射線障害に関してとても有名らしいこの報告書は、他の文章部分はなぜか意識的に素人にはきわめてわかりにくく書かれているとしか思えないですが、ここの2カ所だけは明解に断言しています)。
 


いきち---
  


リンパ球中の--- 



    以下の文章です。上図中HBRAというのは高自然放射線地域のことです。曰く、

    

 2動原体は括(くび)れが2箇所にあります。異常染色体で、放射線に特異的な異常です。図92動原体の解析結果を示しています。高自然放射線地域の住民が対照群に比べて被曝線量が多くなっており染色体異常も多くなっていることが判ります。横軸に年令をとってみると(図10)、子供の頃には被曝期間が短いので両群であまり差が出ていないが、年をとると共に差が大きくなってきます。中年以降になると有意差が出ます。これにより、放射線が高自然放射線地域では染色体に対照地域より多くの傷をつけているということが確認されました2動原体と環状染色体の分析により、高自然放射線地域で2動原体の頻度が増加している事が分かりました。この地域の被ばく線量は年10mSv以下程度ですが、普通の地域は年2.4mSvで、それは体中の全ての細胞が一年に約一飛跡の放射線に当たる線量率となります。10mSvはその4倍位です。ため、高自然放射線地域の線量率ではどの細胞も数ヶ月に1飛跡しか放射線を浴びない程度です。これは観察された2動原体のほとんどが1飛跡の放射線により出来たことを意味し、放射線の染色体異常誘発線量には閾値が無いことを示しています。」

 

(注:二動原体染色体 逆位転座などが原因となって動原体結合部位を2箇所にもつ染色体で、分配が正常に起こらない:Wikipedia)。

 

つまり、世界の高放射線量地帯では人(生物一般と言っていいと思います)には染色体変異が常時高頻度で起こっているということです。もちろんここでいう高放射線の原因は宇宙線ではなく、土壌の構成成分の放射性トリウム、ラジウム、ウランが原因です。つまり地面からの放射線です。イランのラムサールや中国の陽江などの高放射線地域は渡り鳥の生息地ではないかと思います(渡り鳥の専門家に聞かねばなりませんが)。

この図9と図10を見て、普通の生物学研究者なら、「年間100ミリシーベルトが疫学的に癌発生率の閾値だ」といわれても、逆に疫学調査そのものを信用しないのではないでしょうか。”染色体異常が起こる閾値がない”ことがわかっていて、「放射線を正しく怖がりましょう」という言辞はなかなか信じがたいことです。
 

(ついでに言うと、先進国以外は、流産、死産、奇形児などの統計が完備されていないので、嬰児が闇に葬られて統計に載っていない可能性があります。そこが疫学調査のむつかしさです。少し前までは中国は一人っ子政策であったので、文革以降の人口統計を信用することには危険性があります。ところで、この論文で述べられている世界の高放射線地域はそういうところが多く、外国人が数年行って調査しても、正確なデータが提供されるとは、なかなか考えにくいです。日本は世界に冠たる統計先進国ですが、世界はまだまだです。日本の感覚で調査すると危ない。)。
  

ひるがえって、太平洋上の過去の原水爆実験の諸島や、チェリノブイリ原発汚染地域や、東電福島第一原発汚染地域では、世界のどこの高自然放射線量よりも空間線量が高い土壌汚染地域ができてしまっています。以上の世界の調査例から考えれば、これらの新しい人為放射能汚染地域では地面からの放射能で人獣感染性ウイルスの遺伝子変異が起きやすくなっているのではないでしょうか。

 

そういう観点から考えてみると、日本の獣医師達が、東電福島第一原発暴発後、直ちに警戒区域に入り野生化した家畜の殺処分・消石灰まぶしの埋葬に迅速に立ち上がったのは疫学的観点から敬意を表したいと思います。主として口蹄疫の発生を恐れたと聞いています。ですが、今後は野生化したイヌ、ネコ、豚や、イノシシやクマなどは特に要注意かも知れません。肝腎の野鳥の捕獲や殺処分は不可能です。警戒区域などは今や野鳥のサンクチュアリになっているのではないでしょうか。我々には中に入れないので何とも実情を知ることはできませんが。

 

以上、放射能汚染地域ではあらゆる自然の生命体の遺伝子変異の集積が進行しやすくなっているという観点から、放射能汚染を考え直す必要があります。野鳥の聖域(サンクチュアリ)が流行性病原菌のサンクチュアリになる可能性を秘めています。生態のいろんな角度からの継続的なモニタリングが重要です。

 

たとえば、現在、複数の研究者が、福島の汚染地域で大気中の微粒子からの被爆量を測定しています。その結果、年間推定0.14-0.17マイクロシーベルトの吸引による内部被爆になるだろうということで、それは「年間1ミリシーベルト」という被曝線量基準値からはるかに低い、だからマスクなどは必要ないのではないかという方がおられます。しかしそうでしょうか。さすがに放射能汚染花粉の飛散に関しては、林学関係者はマスクをする必要はない、などとは云っていないようですが。(付記2参照)

 

今後、年月が経つに連れて、生物の染色体変異が集積していくのは確実ですから、人の高濃度汚染地域への立ち入りを、直接の放射線被曝ばかりでなく、病原菌による感染症の面からも警戒すべきではないかと思います。 安全のためにマスクや消毒はこれからはむしろますます必要ではないかと思います。

 

この小生の危惧に対して、疫学や放射線影響の専門家でもない素人がなにをいうのか、と猛然とその道の専門家から反論が出ることが予想されます。あくまで仮説として、提唱するものです。除染作業マニュアル作成者や、住民復帰政策担当者は、こういう考え方もあるのだと、ぜひ気にとめておいて頂きたいと思います。(そんなことわかっている! とお叱りを受ければ幸いです)

 

実に驚いたことに、同じような考えをしている方がおられるようです。以下に全文を引用します。いつもWINEPブログで引用している本の283頁です。(すみません。英語を訳すと誤訳する可能性があるので、どうかご興味のある方はぜひ読みください。)

 

    

All microorganisms (viruses, bacteria, fungi,

and protozoa) and microbiological communities

as a whole undergo rapid changes after any

additional irradiation. The mechanism of such

changes is well known: inclusionand increase in

the frequency of mutations by natural selection

and preservation of beneficial novel genes that

for whatever reason appear more viable under

the new conditions.This microevolutionary

mechanism has been activated in all radioactively

contaminated areas and leads to activation

of old and the occurrence of new forms

of viruses and bacteria. All but a few microorganisms

that have been studied in Chernobylaffected

territories underwent rapid changes in

heavily contaminated areas.

Our contemporary knowledge is too limited

to understand even the main consequences

of the inevitable radioactive-induced genetic

changes among the myriad of viruses, bacteria,

protozoa, and fungi that inhabit the intestines,

lungs, blood, organs, and cells of human beings.

The strong association between carcinogenesis

and viruses (papilloma virus, hepatitis virus,

Helicobacter pylori, Epstein–Barr virus, Kaposi’s

sarcoma, and herpes virus) provides another

reason why the cancer rate increased in areas

contaminated by Chernobyl irradiation (for a

review, see Sreelekha et al., 2003).

Not only cancer, but also many other illnesses

are connected with viruses and bacteria. Radiologically

induced pathologic changes in the microflora

in humans can increase susceptibility

to infections, inflammatory diseases of bacterial

and viral origin (influenza, chronic intestinal

diseases, pyelonephritis, cystitis, vaginitis,

endocolitis, asthma, dermatitis, and ischemia),

and various pathologies of pregnancy.

The long-term consequences for microbial

biota may be worse than what we understand

today.

 

Chernobyl Consequences of the

Catastrophe for People and the Environment

ANNALS OF THE NEW YORK ACADEMY OF SCIENCES

Volume 1181
 


(森敏)
付記1:小生は若い時は、1970年代初頭に日本で大流行した原因不明の牛の流産・死産・奇形による大量死事件で、原因究明のために全国を疫学調査したことがあります。アカバネウイルスが原因であったのですが。このことは、以前にも紹介したことがあります。以下の文をご参照ください。
 
2010/05/20 : 宮崎県の口蹄疫に思う
 

付記2:竹中千里・清野嘉「花粉飛散による放射性物質再拡散を考える」 森林技術 840,18-23(2012)

2012-04-30 07:31 | カテゴリ:未分類

森林の放射能汚染にどう対処すべきかが住民復帰や水田農地再生への最大の課題である、ということが現在大方の現地からの避難住民や、水田農家の共通の認識(コンセンサス)になってきたと思う。
          

     以下に示すようにチェリノブイリのデータでは森林の松の幹(wood)や枝(branches)への土壌からのCs-137の移行係数は12年間ほぼ一定であった。むしろ枝には少しずつ移行係数が高まった。これは土壌からのセシウムが樹に吸収されて移行しやすくなっているということである。

          

ここで示すチェルノブイリの土地と日本とは雨量や、地形や、土壌の性質が違うので、断言はできないが、それでも黙って何も土壌の除染活動をしないと、樹木の体内放射能は何十年も減らないことが予想される。 
       
  森林を放射能除染するにしても、落ち葉掻き、土壌剥離、樹木伐採、などの、どこまで除染すべきか、まだ手法が確立してるとはとても言い難い。日本のような傾斜地では下手に手を付けると、保水力がなくなって土砂災害が起こったり、一気に貧栄養の森林の養分の溶脱が起こったりするからである。
          
  以下の記事に示すように、福島県に「森林除染推進協議会」なるものができたようだ。だが、限られた予算で、どの森林から手を着けるべきか、よほどの検討の後に、地域に優先順位を着けて行うことが肝腎であろう。
    
         
       
  

樹木の放射能  

 
 
 

図1. 松(Pinus silvestris)Cs-137の枝や幹への移行係数はおおむね、測定期間の12年間一定である。
    
移行係数(transition coefficient)103xBq/kg植物バイオマス)/(kBq/1平方メートル当たりの土壌汚染放射能量)
      
で表される。図の縦軸が移行係数である。
   
ちなみにチェルノブイリ原発の暴発は1986年4月26日である。
   

     
 

森林除染:福島に推進協議会

森林の除染を進めるため、福島県内の林業関係6団体が22日、森林除染推進協議会を設立した。林野庁が4月にも森林の除染マニュアルを策定するのを受けて、除染の事業主体になる。

 会員は、県林業協会や木材協同組合連合会など6団体で、福島市内であった設立総会には林野庁、県の担当者も出席した。協議会の役割として▽除染技術の講習会開催▽除染業務の人員確保▽関係機関への働きかけ--などを確認した。

 会長に選ばれた浅和定次・県林業協会長は「森林から流れ込む放射性物質を除染しなければ民家の安全確保にもつながらない。早期の森林除染が必要」と話した。【深津誠】毎日新聞 2012322日 2219

   

 汚染林伐採で放射線量8~9%減 農水省が試算

農林水産省は27日、放射性物質で汚染された森林について、伐採による除染効果を調べた実証試験の結果を公表した。伐採の前に比べ、空間放射線量が8~9%下がることが確認されたという。

 実証試験は、1~3月にかけて東京電力福島第一原発に近い福島県広野町で行われた。スギの人工林で4本に1本の割合で間伐したところ、空間線量が8%下がった。主にアカマツと広葉樹の混合林では皆伐の効果を調べ、9%の減少率だった。

 除染作業は人が住む住居区域を優先させることになっている。住居近くの森林については今回の実験と別に、住居から約20メートルの範囲の落ち葉を取り除けば空間線量が約3割下がるとの結果が出ている。今回の実験で林野庁は「間伐を組み合わせることでさらに効果を出せる」としている。

 



(森敏)
付記1:参考文献はいつも示している以下の本です。
   

Chernobyl Consequences of the Catastrophe for People and the Environment

ALEXEY V. YABLOKOV, VASSILY B. NESTERENKO, ALEXEY V. NESTERENKO

Consulting Editor JANETTE D. SHERMAN-NEVINGER

Published by Blackwell Publishing on behalf of the New York Academy of Sciences


 

付記2: 上記農水省のデータから単純に計算すると、民家付近の森林では、皆伐と落ち葉掻きで、理論的には 9% x 4(本)+30% =66% 民家側の空間線量は減少することになる。

2012-02-25 07:58 | カテゴリ:未分類

ファイトレメディエーション用カドミウム高吸収イネの開発に成功

―イネのカドミウム集積を決めるキー遺伝子を発見―

 
   東京大学と石川県立大学は、独立行政法人農業生物資源研究所、独立行政法人農業環境技術研究所との共同研究によりイネのカドミウム集積を決める鍵となる遺伝子を発見しました。この遺伝子の発現を減少させることで、従来のカドミウム高吸収品種イネの約4倍のカドミウムを集積するイネの開発に成功しました。カドミウム汚染土壌を浄化するために必要な期間を大幅に短縮することが可能です。
 イタイイタイ病の原因として知られるカドミウムは人体への毒性が高い有害物質です。農地が汚染されると作物が土壌中のカドミウムを吸収して蓄積します。このような作物由来の食品を摂取することによってカドミウムは人体に取り込まれます。食品からのカドミウム摂取量を減らすためには作物のカドミウム量低減が求められています。
 私達は、作物のカドミウム量低減のために2つのアプローチから研究を進めてきました。ひとつはカドミウム汚染土壌で栽培してもカドミウムを吸収しない「低カドミウム作物」の開発です。もうひとつは今回発表する、植物の力でカドミウム汚染土壌を浄化するための「カドミウム高吸収イネ」の開発です。土壌中のカドミウム濃度が下がればイネや野菜など農作物のカドミウム含量が低下し食の安全に貢献します。
 ここで用いられた研究手法と成果は、東日本大震災に伴う東電福島第一原発事故による放射性物質の土壌汚染と食品汚染の問題解決に向けても重要な示唆を与えるものです。



以上は2月23日の記者会見の内容です。


詳細はWINEPホームページをクリックしてご覧ください。

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