- 2022/08/22 : 放射性セシウムや放射性ヨウ素に関する19の研究課題の紹介
- 2021/11/15 : 福島県飯舘村長泥地区の現在の鳥の巣材の放射能
- 2021/11/02 : シンポジウム「原発事故から10年~これまで・今・これからの農業現場を考える」
- 2021/10/04 : いじけたヨモギ の放射線像
- 2021/08/16 : 東電福島第一原発由来の放射能汚染に関する研究内容のタイトル(日本土壌肥料学会北海道大会より抜粋)
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東電福島第一原発事故以降10年以上経過した今も基礎から応用に至るまで放射能による農地汚染の研究が続いています。
奇しくも現在ウクライナのザポロジエ原発がロシア軍の占領で大惨事を起こすの危機に陥っています。事故後の農地汚染の後始末はいつも農民や農学者に放り投げられてきました。絶対にそんな事態が起こらないように切に祈りたい。
放射性セシウム補足ポテンシャルの溶液条件は移行リスクの推定に最適か?
宇野浩一郎・・・矢内純太
ダイズのCs体内分配に関わるミネラルネットワークの経時的変動
村島和樹・・・信濃卓郎
ポジトロンイメージング技術によるリンゴ樹体内セシウム動態の可視化
野田祐作・・・・・河地有木
シロバナルーピンのセシウム吸収・分配における元素間相互作用
菅あやね・・・・・信濃卓郎
ミミズが土壌表層の放射性セシウムの垂直分布に及ぼす影響
田中草太・・・佐藤 孝
原位置モデル水田実験による灌漑水田由来137Csの影響評価
Anastasiia Klevtsov・・・・・・・原田直樹
多地点の農家圃場で生産した玄米と大豆子実の放射性セシウム濃度の比較
藤村恵人・・・・・・・鈴木政崇
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第57報)
ラッカセイの放射性セシウム吸収特性
平山孝・斎藤正明
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第58報)
低カリ条件下での水稲ポット栽培3作から評価した土壌改良資材の放射性セシウム吸収抑制効果の持続性
松岡宏明・井倉将人
草地更新時に施用した金雲母とゼオライトの放射性セシウム移行への影響
山田大吾・・栂村恭子
ヘアリーベッチおよびクリムゾンクローバーへの放射性セシウムの移行性
久保堅司・・・・佐藤 孝
農耕地土壌および作物における129I 濃度について
塚田祥文
福島県東部を対象とした灌漑水による水田へのカリウム供給量マップ
錦織達啓・久保田富次郎
福島第一原発事故除染後農地における緑肥作物の春季播種が緑肥の開花期・窒素集積量に及ぼす影響
佐藤 孝・・・・・・・高階史章
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第56報)
玄ソバへの放射性セシウム移行特性への解析
斎藤正明・・平山 孝
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第59報)
籾殻くん炭を活用した塩化カリ代替効果の検証
浅枝諭史・・・・・三本菅猛
ポジトロンイメージング技術を用いたダイズ根系内のセシウム輸送における共存元素の影響解析
井倉将人・・・・・河地有木
A study on potassium application’s effect on cesium and strontium uptake in soybean
Muhamad Syaifudin・・・・・・・Takuro Shinano
機械学習を用いた福島県内農地土壌中非交換性カリ含量の空間分布推定―教師データ拡充の効果と除染後農地に対する適用可能性
矢ケ崎泰海・・・・・矢内純太
(森敏)
それと同時に2013年以来、長泥地区の各地に巣箱を設置して、シジュウガラや、ヤマガラの巣材を、小生のところに送って、放射能の測定依頼をして来ている。
今年も送って来たので、それを関根氏の同意を得て、以下に紹介した。
今回送付していただいた2つの巣材は主がシジュウガラかヤマガラか不明であるが、長泥地区でも空間線量が高い飯館村に近い高台の民家(長泥ー1)と低い地区(長泥ー2)だということである。両者ともに周辺の林縁などは昨年から今年にかけておおがかりな除染をおこなっていたとのことです。
関根氏のホームページでは巣材の小鳥の動画が掲載されているのでぜひ見てあげてください。
https://www.manabusekine.com/portfolio2

図2.図1のオートラジオグラフ。図1と比べて図2の放射能の濃い汚染物質がどれがどれとは同定できないが、粒状に分布しているので、根についた汚染土の成分と思われる。ぼやけた部分がコケの本体。拡大すると繊維状にも見えるところがある。台座の部分はくぼんでいるので、強く圧着してもIPプレートから少し浮いているので、薄く写っている。

図3。図2のネガテイブ画像

図4。長泥ー2の鳥の巣材 台座は少しくぼんでいる。主成分はコケと樹皮を解体した繊維成分である。
図6。図5のネガテイブ画像
表1。図1と図4に示す長泥地区の異なる2か所の巣材の放射能

ちなみに2013年に関根学氏から送られてきたシジュウガラの巣材の測定データは
Cs-134 511,000 (Bq/kg乾物重)
Cs-137 1,057,000 (Bq/kg乾物重)
と、べらぼーに高かった。このCs-137値を表1の 長泥ー1 の巣材のCs-137の放射能と子細に比較してみると、今年の巣材の放射能は、2013年当時の約10分の1強にまで減少していることがわかる。放射性セシウムの半減期減衰による効果と、道路端除染による効果の両者によるものと思われる。
除染すればそこのコケなどの植生の放射能はゼロにならなければならないが、表1の今年の巣材のコケ類はそうなっていないので、この巣材に使われた苔の一部は未除染の森林から運ばれてきたものであることが明らかである。
(森敏)
以下、転載です。
日本土壌肥料学会主催、学術会議、農研機構、福島大学共催:
シンポジウム「原発事故から10年~これまで・今・これからの農業現場を考える~」(2021.11.5)
の参加登録は11月2日まで。
東日本大震災と、それに伴う原子力発電所の事故から10年が経過した節目に標記のシン
ポジウムを開催します。シンポジウムでは、農業現場に発生した問題に対して、土壌肥料
学会の基盤的な知識と経験に基づいて多くの解決策を示したことを総括するとともに、今
後の学術的な貢献の道筋や課題についても展望します。
貴重な機会ですので、是非とも皆様のご参加、会員以外の皆様への周知をお願いします。
詳細は学会HP(下記URL)を参照ください。
http://jssspn.jp/event/symposium/2021102021115.html
参加申込は、11月2日までに以下のサイトから申込ください。
https://forms.gle/XXHvmB9AWfAc5STR6
講演者は以下の通りです
◇プログラム:
「日本土壌肥料学会・日本学術会議からの挨拶」;波多野隆介(北海道大学・日本土壌肥料学会前会長)
「はじまりは地震と共に-成果を繋ぐ研究の進展」;塚田祥文(福島大学)
「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」;前島勇治・高田裕介・神山和則(農研機構)
「除染後農地の問題点と農業復興に向けた取り組み」;齋藤 隆(福島県農業総合センター)
「動きにくいセシウムの3つのかたち」;山口紀子(農研機構)
「作物を放射能汚染から守る黄砂の力」;中尾 淳(京都府立大学)
「カリウム肥料を撒くことの効果-水稲―」;藤村恵人(農研機構)
「ダイズの放射性セシウム濃度が高い理由」:二瓶直登(福島大学)
「水稲におけるセシウムの吸収と体内での動き」;古川 純(筑波大学)
「これから歩む道-日本土壌肥料学会・日本学術会議の役割」;信濃卓郎(北海道大学)
「総合討論(パネル形式)」;司会 信濃卓郎・中尾 淳
「閉会の言葉」;妹尾啓史(東京大学・日本土壌肥料学会会長)
以下に示すのは、2018年10月13日に双葉町で採取したヨモギの一種である。(通常のヨモギの葉のようには葉が割れていないので、ヒメムカシヨモギと思われる)
道端を歩いていると、一見して妙に枝分かれが非対称でいじけた、40センチばかりと背が低く、矮性化したまま花器を着けていた様子だったので目に留まった(図1)。この植物は正常なものは1.5mぐらいの高さに花を着けるはずのものである。
もしかしたら、ギンギンに土壌からの放射能を種子発芽の時から浴び続けていたから生長がひねくれたのではないかと思った。
研究室の持ち帰って測定したら、ガイガーカウンターで各組織を平均しておよそ1010cpmもあり、実に驚いた。NaIスぺくトロメーターで詳細の部位ごとに分解して測ると 表1 のように、花器では1キログラム乾物重あたり Cs-137が 374000ベクレルもあった。測定した4つの組織部位で花器が一番放射能が高かった。これは図2、図3のオートラジオグラフの像と比較するとぴったり一致することがわかる。
道端の落ち葉や流砂が集積したホットスポットの腐葉土から、直接可溶性放射性セシウムを吸収したものと思われた。
図1 いじけたヒメムカシヨモギ

図2 図1のオートラジオグラフ

図3 図2のネガテイブ画像
表1 ヨモギの部位別放射能

(森敏)
来る2021年9月14日(火)~9月16日(木)間において、日本土壌肥料学会2021年度北海道大会が開催される。
そこで発表される”東電福島第一原発由来の放射能汚染に関する研究内容のタイトル”
について、以下に紹介します。日本土壌肥料学会誌に掲載されているプログラムから無断で抜粋しました。
研究発表者氏名は筆頭著者(first author)と最終著者(last author)のみを記しています。子細にタイトルを読んでいただければ、原発事故後10年が経過しても、農業現場での問題は山積しており、農水省や大学を中心に、多彩な研究が継続して行われていることが分かります。
これらの実際の研究内容は、口頭発表はZoomウエビナーで、ポスター発表は LINC Bizによって、北海道大会当日ウエブで配信されるそうです。
「公開シンポジウム」は当日参加が可能だそうです。
日時:2021年9月16日(木)13:00~16:30
(大会に事前参加登録済の方も専用フォームでの参加登録が必要です)
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『公開シンポジウム』から
避難地域における帰還意識を高める農家との協働。環境再生実証事業における農家意識の変化
万福裕造
生産現場から『食べる』までの農産物に関する情報発信 ―放射性セシウム低減技術の情報発信の取り組みより―
八戸真弓
放射能汚染対策10年の総括と新たな産地形成への展望。マイナスからプラスへの転換は可能か
小山良太
『口頭発表』から
安定同位体セシウムを用いたセシウム固定容量値とRIP値との関係
野中成耕・・・加藤 拓
水稲のOsHAK1変異体のカリウムイオン吸収能について
頼泰樹・・・・・・松本武彦
ダイズのセシウム吸収に関するカリウム以外の関連遺伝子の探索
二瓶直登・斎藤正悟
福島県内河川からの氾濫堆積物中のセシウムとカリウムの存在形態
原田和花・・・・・矢内純太
水稲栽培の持続的な放射能対策の構築に向けた灌漑水カリウム濃度のマップ化
錦織達敬・・・遠藤若菜
Uptake of radiocaesium by brown rice from soils and irrigation water
NGUYEN THO・Hirofumi Tsukada
原発事故の影響を受けた圃場一筆内における土壌の放射性セシウム濃度の変動解析
藤村恵人・久保堅司
機械学習による福島県内水田の土壌中非交換性カリ含量および交換性放射性セシウム濃度の空間分布の推定
矢ケ崎泰海・・藤村恵人
放射性トレーサー添加法を用いたリン酸施肥が牧草への放射性セシウム移行性に与える影響評価
海野佑介・・・高久雄一
放射性セシウムで汚染した落葉の漉き込みによる土壌および牧草への影響
塚田祥文・・山口紀子
更新済み草地における放射性セシウム移行の変動要因の解明
山口大吾・・・・・海野佑介
コナラ・スギ幼齢林のリターおよび土壌におけるセシウム・カリウム深度分布
井上美那・・・赤間亮夫
シロバナルーピンの放射性セシウム吸収特性と根圏土壌中元素動態の関係
浅枝諭史・・・・・・信濃卓郎
異なる圃場におけるダイズへの放射性セシウムの移行比較
鈴木政崇・・・・・・・信濃卓郎
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第53報)除染と保全管理後の水田での家畜糞堆肥連用による地力回復技術の実証
松岡宏明・・・・永田修
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第55報)低カリウム条件下における各種野菜中Cs137移行リスク評価
根本知明・・・・丸山隼人
籾殻燻炭の施用が作物への放射性セシウムの移行性に及ぼす影響の解析
久保堅司・・・・藤村恵人
『ポスター発表』から
コマツナの放射性セシウム吸収におよぼす土壌化学性およびカリウム施肥の影響
丸山隼人・・・・・・・信濃卓郎
畑地土壌における溶存態放射性セシウム量の季節変動要因
井倉将人
玄米への137Cs分配割合の現地水田における変動要因の解析
石川淳子・・・・・近藤始彦
請戸川水系の農業用水路内植生が保持する137Csストック量の推定
柿畑仁司・・・・・・・原田直樹
避難指示解除区域における自家消費作物の放射性セシウムと内部被ばく線量
菊池美保子・塚田祥文
(森敏)
追記:鉄栄養関連の発表テーマは、別途WINEPホームページに掲載しております。
http://www.winep.jp/news/391.html