fc2ブログ
2022-07-12 11:21 | カテゴリ:未分類
  ずっとザポロジエ原発がどうなっているか心配していたのだが先ほどニュースが飛び込んできた。
  
  やはりロシアはこの原発を手放さない決意のようだ。
    
  ウクライナ軍が原発奪還に向けて進軍しても、この6機もある原発が東電福島原発のように誘爆すると、世界の大惨事になるので、ウクライナ軍側はなかなか手が出せない。原発周辺に地雷を敷き詰めるという野蛮なことがなされているようだからなおさらだ。
      
  素人が詳細に空想しても、このザポロジエ原発の奪還のプロセスがなかなか困難になったようだ。
   
  この原発の現在の稼働状況や、ロシアへの送電が可能なのか、また、現在すでに送電が行われているかなどについての情報がなかなか開示されていないのがもどかしい。送電線がロシア側につながっていない、というような噂だったが。
   
  チェリノブイリ原発の占拠は被爆したロシア軍兵士の「無知」ゆえに撤退したが、ザポロジエ原発はロシアから原発運転技術者が来ているのかもしれない。この戦争の最中に、熟練した運転要員のローテイションの確保、安全を維持する緊張感の維持など、原発現場の人たちは実に多難だと思われる。家族や親類に戦死者も出ていることだろうし。
    
  いつの日にか、ロシア側が敗戦段階に追い込まれたときに、狂犬プーチンの指示で『ザポロジエ原発自爆テロ』に追いこまれないことを切に祈る。

  これは冗談ではない。その時「ウクライナ側が自分でやったのだ」ときっと狂犬プーチンは宣(のたま)うだろう。とにかく狂犬プーチンは「核」を手玉に取って世界を脅し続けているのだから。
    
  今や「自暴自棄」の「意地」になった「狂犬プーチン」が次に何をするか、世界中の誰にも「予測不能」なので、ここでは最悪のシナリオを書き記しておくことにする。
   
           
              
ロシアが欧州最大級原発を軍事化 ウクライナの反攻困難に
共同通信社 2022/07/12 06:40
  

 【キーウ共同】ウクライナ南部にある欧州最大級のザポロジエ原発を占領中のロシア軍が軍事基地化していることが11日までに分かった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が伝えた。原発を基地化することで、ウクライナ側の反攻を困難にする狙いがあるとみられる。

 ザポロジエ原発は3月以降、ロシア軍の占領下にある。ドニエプル川沿いに位置し、対岸のニコポリからウクライナ側が監視している。

 同紙によると、ロシア兵約500人は原発の周囲にりゅう弾砲など重火器を配備、対人地雷を敷設している。欧州連合当局者は「ウクライナ軍が反撃してこないことを理解している」と話した。


   
  
(森敏)
2017-07-23 22:25 | カテゴリ:未分類

  以下は我が家(文京区)の通気口フィルターの放射能汚染のオートラジオグラフです。
          
  2011年3月11日以降の数日間にわたる東電福島原発事故以来、そこから飛来した放射能雲(プルーム)は、茨城、東京、横浜を席巻していったのですが、その時我が家も確実にプルームに見舞われていました。そのことは以前にも、窓ガラスの外側が放射能粒子(ホットパーテイクル)で汚染している事で可視化して証明しておきました。以下のブログの放射線像の一つに紹介しています。
       
  http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1825.html
            
  実は2014年に我が家の各部屋の通気口を取り替えるにあたって(図1)、それをオートラジオグラフにとっておいたのが以下の図2です。我々はすでに横浜の民家のサンプルでもでもそういうオートラジオグラフ像を取っています。
          
  このオートラジオグラフからは、リビング(居間)の空気は台所のレンジから吸気しているのでリビングの東側にある通気口から放射能のホットパーテイクルが吸引され。、そのときにこのスポンジ樹脂フィルターにそれらが吸着したことが見て取れます。多くは2011年3月15日の福島第一原発2号機爆発由来の放射能と思われます。
               
スライド1
図1.我が家の通気口のフィルター

  
  

スライド2

図2.家の通気口図1のオートラジオグラフ(上)がポジテイブ像、(下)がネガテイブ画像。両者を一枚に作図した。
    
  2011年3月以来ご自宅のフィルターを交換されていない方で、オートラジオグラフにご興味のある方は小生あてにフィルターを送っていただければ、ガイガーカウンターの測定値いかんですが、バックグラウンドの放射能よりも少しでも高いフィルターの場合はオートラジオグラフを撮像するのにやぶさかではありません。
    
  
(森敏)
付記: 放射能の絶対値(ベクレル:Bq)は測っておりません。東側通気口はガイガーカウンターで50cpmレベルです。

2016-06-20 06:46 | カテゴリ:未分類

   
焼却処理が完了 放射性物質汚染の下水汚泥 2016/06/01 11:02 福島民報 )

 郡山市の県県中浄化センター下水汚泥仮設焼却施設で31日、東京電力福島第一原発事故による放射性物質に汚染された下水汚泥の処理が完了し、施設の運転が終了した。
 施設は環境省が整備し、平成25年9月に1キロ当たり8000ベクレルを超える放射性セシウムを含む「指定廃棄物」の汚泥約1万1千トンの焼却を開始した。26年4月からは同8000ベクレル以下の汚泥約2万7千トンを県が処理した。
 汚泥は全て同センターでの下水処理の過程で発生した。焼却前、フレコンバッグ(除染用収納袋)に入れられ、センターの敷地内に山積みされていた。
 焼却灰約7500トンはフレコンバッグと貨物コンテナに入れて敷地内で保管している。このうち約7千トンは指定廃棄物で、国有化された富岡町の管理型処分場に搬入される見込み。8000ベクレル以下の残る約500トンは埋め立て処分できるが、県は環境省と対応を協議している。県は29年3月までに施設の解体を完了する予定。費用は東電に請求する。
   
   

去る20151121()午後900分~949分 に放映された
NHKスペシャル シリーズ「東日本大震災追跡原発事故のゴミ」
に関しては、このWINEPブログでも紹介したのだが、読者はすでに忘却の彼方だと思う。
   
     このときの現地の映像がすこし放映された『福島県・県中浄化センター』について、「放射能汚染した活性汚泥の焼却を終えた」という由の記事が、上記「福島民報」に掲載された。小生はこのNHKテレビクルーの取材のときに、頼まれて福島県郡山にある「県中浄化センター」に同行したので、今回の新聞記事には感慨深いものがある。小生自身もこの時カメラ撮影したので、以下に施設を簡単に紹介しておきたい。最近の義務教育では生活科学科での環境教育の一環として <下水道施設の見学> などが組み込まれているようなので、若い世代には以下の内容はめずらしくもないかもしれない。しかし60歳以上の日本国民は下水道施設を見学された経験のない方が多いと思うので。


  
スライド1

 図1.福島県「県中浄化センター」本館の最上階のガラス窓越しに北側の 微生物による汚泥処理施設 を俯瞰した光景。 画面中央部全面は広大な開放型の曝気槽。 
  
     
  図1の手前の暗渠(あんきょ)から下水を取水し、画面中央部の開放系の曝気(ばっき)層で好気的に菌体を培養して汚水成分を栄養源として吸収させて増殖させて、左上方の白い建家(図2)の中に生じた菌体(汚泥成分)を回収し、汚泥脱水機(図3、図4)で、水分を絞って濃縮汚泥とし、これを回収し(ここに菌体に取り込まれた放射能が回収される)、きれいになった:(生物的酸素要求量(BOD)が低下した)水は向かいの山がわの下を流れる阿武隈川に放流される。
 
  原発事故以来この県中浄化センターでは濃縮汚泥の一部を掻き取って1リットルのプラスチック容器に入れて(図5)、放射能測定器で放射能を測定している(図6)。以前にもWINEPブログで紹介したように、主としてI-131、Cs-134、Cs-137が現在でも検出され続けている。

 

 

 

odeisyoritou.jpg   
 
図2.汚泥処理棟

 


 
 

10%汚泥脱水機 

図3.汚泥脱水機 


 
 

 

dassuisyoricyuu 10 

図4. 汚泥脱水機の横のふたを開けたところ。フィルター越しに絞り水がでている。

 


 
 

odeisokuteiyouki.jpg 
図5.汚泥脱水機から掻き取った汚泥が入ったの測定用容器
 

 

 

 

10%bekurerumonita 

図6.放射能測定器。このなかに図5の容器が入っている。測定値が机上のコンピューター画面上上でピークパターンとして表示されている。 

 

 
スライド3 
図7. 奥の赤い建物が本館。玄関南正面に汚泥が入ったフレコンバックががずらりと約1万袋並んでいる。写真右の空き地は、これまでに焼却処理にまわされたフレコンバックがあったところ。図1の写真はこの本館最上階から北の山側を俯瞰したもの。 

 

  図7にみられるフレコンバック内の汚泥を順番に高温で燃焼して減容化していっているのだと所員に説明された。高温燃焼は民間業者が請け負っており、「平成27年までに終了すべし」という地域住民との契約であるので、その時点で解体するとのことであった(今回の福島民報での報道は、その住民との約束を忠実に実行している、ということの表明なのだろう)。この高温燃焼炉なるものは建屋全体が全面的に高い塀に覆われたもので、中身は残念ながら見学させてもらえなかった。高温燃焼で出てきた線量の高い飛灰を付着したバグフィルターや、高濃度に濃縮された焼却灰の取り扱いをどのように行っているのか非常に興味があったのだが、現在あいにく工事中という理由で見学は断られた。映像がテレビで放映されて、クレームがくるのをおそれたのかもしれない。この燃焼施設などの建設や運転費用なども教えてもらえなかった。上記の記事では汚泥焼却にかかった費用は東京電力に請求すると報じられている。当然だろうが、いつ実現するのだろうか? 

スライド2 
図8.燃焼した灰やバグフィルターなどの保管庫エリア。奥の方にももう一か所山積みされている。あと2カ所別のところにも。
 
    

  放射線量が高い焼却灰などはフレコンバックに詰められて、それらがこの時点ではステンレス製(?)の20トンコンテナに内蔵されていた。図3.の写真に見るように、このコンテナが20(横)x3(横)x4(高さ)x(2カ所)=480個ばかり集積されており、まだ増える様相であった。写真のコンテナを囲む緑のフェンスの脇で放射線量を所員に測定してもらうと毎時0.23マイクロシーベルトで、そこからはなれるごとに線量は低下していったが5メートル離れても 毎時0.12マイクロシーベルトあった。コンテナの中身は相当な放射線量と思われる。我々が訪問した昨年10月の時点では、このコンテナに収蔵された高濃度放射能含有廃棄物はこれをどこに持っていって貯蔵するかあてがないようであった。しかし今回の新聞報道では「このうち約7千トンは指定廃棄物で、国有化された富岡町の管理型処分場に搬入される見込み」とある。実際にはいつになることやら。
        
  
現在も発生し続けている低濃度放射能汚染汚泥は、許容基準が8000Bq/kg以下という暫定基準を満たしているかぎり、従来通りの扱いになるのだろう。しかしいくら合法的だと言っても、従来通りのルートで埋め立てや従来通りの燃焼炉での焼却にただちに持っていけるかどうか、不透明なところがある。しばらくはまだ敷地内に集積保管されるのではないだろうか。
             
  以前にも述べたように、福島県ではこの県中浄化センターと県北浄化センターは原発事故以来、忠実に活性汚泥の放射能値を毎日測定し毎月ごとにホームページ上に開示している。このモニタリング事業は地味だが非常にすばらしい活動だと小生には思える。なぜなら、もし東電福島原発が廃炉工程で再度爆発したりして放射能が飛び散れば、それが直ちに活性汚泥に反映されることが今や明らかになっているからである。このモニタリング事業は一種の原発の監視機構として機能しているのである。したがって福島第一原発の廃炉が続くまでずっと続けるべき事業だと思う。
 
      
(森敏)
付記:濃縮汚泥にいまだにI-131が検出され続けている理由については、別の機会に紹介したい。
追記:以下の記事です。ご参照ください。
福島県では依然として下水に放射性ヨウ素(I-131) が放流されている 
  
 


  
 
  



     

  


2016-03-28 10:20 | カテゴリ:未分類

中西友子東大教授(農学生命科学研究科)が2016年度のヘベシー賞を受賞した。

「生物学分野でのラジオアイソトープ・イメージングの研究」と「東電福島原発の事故の農学関連への主導的役割」が授賞理由である。授賞式はハンガリーのブダペストで4月10日から15日に開催されるInternational Conference on Radioanalytical and Nuclear Chemistry (RANC-2016)で行われる。

    

ヘベシー(Hevesy)はハンガリー出身の科学者で1943年ノーベル化学賞を受賞している。この賞は Hevesyの栄光を記念して1968年に創設されたものである。この賞はこれまで日本人としては Suzuki Nobuo氏 が受賞しているのみで、中西友子教授の受賞は2人目である。

   

私見では2つの授賞業績理由のうちの後者(社会貢献)に関しては下記の2冊をSpringer社から編集刊行し、これを無料でダウンロードできるようにしたことも大きい理由ではないかと思われる。世界のジャーナリズムや研究者がこれらの英文の著書を通じて、東電福島第一原発事故で飛散した放射能の農業へ影響の実情をまとまって知ることができる。他にこれまで膨大な数の原著論文が日本からは英文で発信されているが個々の専門的研究分野の雑誌に限定されているものが多い上に、事件発生当初は、緊急性にかんがみ、日本人に向けての日本語の論文が非常に多かったからである。
     
     

1.Agricultural Implications of the Fukushima Nuclear Accident .(Tomoko M Nakanishi, Keitaro Tanoi 編集.  Springer Open Access 全204) 2013年刊行

2.Agricultural Implications of the Fukushima Nuclear Accident. The first three years.(Tomoko M Nakanishi, Keitaro Tanoi 編集. Springer  Open Access 全203頁) 2016年刊行

     

実におめでたい。

 

   

(森敏)
 
付記1: 以下に学会事務局から広報されている。
 
ANNOUNCEMENT OF THE HEVESY MEDAL AWARDEE 2016

The Hevesy Medal Award Selection Panel 2016 (HMASP-16) is pleased to announce that Professor Tomoko M. NAKANISHI (atomoko@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp) of the Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo, Japan, has been selected to receive the Hevesy Medal Award 2016 (HMA-16) in recognition of her work in radioisotope imaging in botany and her leadership in the agricultural consequences of the Fukushima nuclear accident.

The Hevesy Medal and a Scroll will be presented to Professor NAKANISHI at the International Conference on Radioanalytical and Nuclear Chemistry (RANC-2016) to be held in Budapest, Hungary during 2016 April 10-15.

::::::

The George Hevesy Medal Award is the premier international award of excellence in radioanalytical and nuclear chemistry. It is named after George de HEVESY (1885-1966) who received the Nobel Prize for Chemistry in 1943 for his work on the use of isotopes as tracers in the study of chemical processes. The George Hevesy Medal is awarded to an individual in recognition of excellence through outstanding, sustained career achievements in the fields of pure as well as applied nuclear and radiochemistry, in particular applications to nuclear analytical chemistry. Established originally in 1968 by Professor Tibor BRAUN, Editor-in-Chief of the Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry (JRNC), the Hevesy Medal Award was given 19 times during 1968-86. This Award was reactivated in 2000 by Professors BRAUN and CHATT. It is sponsored by JRNC, administered as well as adjudicated by the JRNC Board of the Hevesy Award. The Award has no monetary value. The George Hevesy Medal Award comprises an engraved bronze medal in a presentation case and an ornamental scroll, which are presented at a major international radiochemical conference being held in the year of the award.

 

付記2:中西友子教授は今年3月末で定年退職される。 

付記3:みなさま、タンポポの奇形観察お忘れなく。
2016/03/10 :
タンポポの奇形をお見逃しなく :観察次第ご連絡ください (クリックどうぞ)

 

2016-01-12 21:33 | カテゴリ:未分類

   小生らは2011年秋にジョロウグモに東電福島原発事故由来の110mAgを発見して以来、執念深くジョロウグモを採取して放射能の変遷を追跡している。その結果の一部が図1である。
      


ジョロウグモの110mAg,134Cs,137Cs jpeg--


   図1.ジョロウグモの体内放射能の年次変遷
 
   
        

  放射能値(ベクレル/キログラム乾物重)を測定したのは図1に示すように、110mAg(赤色)、134Cs(空色)、 137Cs(青色)である。当初(2011年から2014年まで)は主として飯舘村で採取していたが、2014年夏ごろからから除染業者による水田や牧場の表土剥離という手荒い手法の放射能除染活動が猛烈なスピードで始まって、生態系が無茶苦茶にかく乱されることになったので、それ以降は主として浪江町のほうで採取してきた。浪江町は除染活動が今でもまだ本格化していない。
      
  第1図では横軸に採取順に番号が振ってある。採取順位の1番~10番,13番は飯舘村のジョロウグモで、11番,12番,14番,15番,16番は浪江町のジョロウグモである。大体採取時期は各年次の晩夏から晩秋にかけてである。煩雑になるので細かい採取地区はここには記載していない(付記の論文には記してある)。
      
  結果は半減期が30年の137Csの値を見ると、ジョロウクモたちの採取時点での空間線量(煩雑になるので表には書き込んでいない)とジョロウグモの137Csの値とがごく大まかにではあるが、比例相関にあった。110mAgは半減期が250日であり、134Csは半減期が2年なので、まずジョロウグモの110mAgの値が急速に低下し、次に134Csの値も徐々に低下していることがわかる。しかし浪江町で採取したジョロウグモは微量だが2015年秋の段階でもまだ110mAgが検出される場合がある。
      
  浪江町でのジョロウグモでの134Cs 137Csは依然として高い値を示している。飯舘村でのジョロウグモの放射能値がかなり減少しているにも拘わらず、いまだに浪江町のジョロウグモが高く推移しているのはなぜだろうか? (最初から浪江町のジョロウグモを採取していれば、ジョロウグモのすべての放射能値が飯舘村のジョロウグモよりもはるかに高い値として検出されたであろうが、この避難区域には容易に調査に入れなかったのが悔やまれる)
       
  浪江町では本格除染が始まっていないので、今日に至るまで道路端の樹木や民家の庭や田畑で棲息している ≪ジョロウグモが食する食物連鎖の下位の小動物≫ がいまだに高い放射能を含んだまま棲息していると思われる。われわれは無断で森林に入ったり民家の庭に奥深く入ったりできないので(自警団や警察に警告される!)、やむなく道路端の主としてサクラの木などからジョロウグモを採取している。
      
  だから、民家とその周辺や道路と周辺森林を優先的に土壌剥離除染する現行方式によっていちばん明快に放射能含量の低下が認められる小動物は、食物連鎖の比較的上位にいるジョロウグモではないだろうか。飯舘村がそのよい例なのだろう。言い換えれば、ジョロウグモの放射能値の増減の傾向はそこの生態系の中で循環して生物が使いうる放射能の増減の傾向を示していると思われる。ジョロウグモは有力な「除染効果の指標生物」になりうると思う。
      
  たかがジョロウグモ、されどジョロウグモ、である。
         
(森敏)
付記:2011年から2014年までのジョロウグモとその他の全35種類の小動物の放射能測定データはこれまでも何度か紹介しているわれわれの以下の論文に収録しています(無料でダウンロードできます)。本日の紹介はその後の考察を兼ねた追加報告です。
Hiromi Nakanishi et al.  Discovery of radioactive silver (110mAg) in spiders and other fauna in the terrestrial environment after the meltdown of Fukushima Dai-ichi nuclear power plant. Proc. Jpn. Acad., Ser. B 91 (2015)160-174.

FC2 Management