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2023-07-03 11:22 | カテゴリ:未分類
スライド2
表1。市販のあんぽ柿の放射能(ベクレル)/1kg生体重)。 生産者の氏名は〇でぼかしている
    
    2022年の11月9日に、福島県丸森町の耕野地区で育てられた干し柿用の柿が、奇形を起こしていることをTBSが報じた。奇形果が発生した原因はいまだに究明されていないようである(下図1)
    
    過去の文献には32年前の平成2年(1990年)に、福島県北の平坦部で同じような現象があり、アンポ柿の原料となる「蜂屋」に多く、「平核無」では少なく、 「会津見不知」ではほとんど発生しなかった、と報告されている。
naro.affrc.go.jp2. matome.eternalcollegest.com3. pref.fukushima.lg.jp
    
    今回のTBSの放送ではカキの異常果が発生した品種名の詳しいことはわからなかった。しかしアンポ柿の放射能汚染が友人からと、WINEPブログの読者からも懸念がコメントされてきた。なので、文京区のスーパーと青果店に出回っている「アンポ柿」を8点買い求めた。
    
    残念ながら小生は現在足腰が弱って福島県丸森町での現地調査ができないので、東京で手に入れることができる、福島県のほかの地域のアンポ柿を購入した次第です。
    
    東大農学部RI測定室のゲルマニウム半導体測定器で金曜日から土日月にかけて、1サンプルに付き61時間もかけて精密測定してもらった。(上図1)。全部で8点測定するのに3か月もかかった。
    
    測定結果は見ての通りで、2011年に東電福島第一原発から放出されたはずのCs-134は検出限界以下であったので表1には示していない、Cs-137が数ベクレル以下とごくわずかな値が検出された。この値は現在でも日本の各地の森林植生のほとんどの部分から検出される値に近く、37年前の1986年4月のチェリノブイリ原発事故で飛んできて土壌に残留する放射能由来と東電福島第一原発からの土壌や柿の木に残留する放射能由来が合算されたものと思われる。
  
    表1に示すK-40の250ベクレル前後の値は、天然の土壌粘土鉱物由来の放射能であり、我々は果物から絶えずこの濃度のカリウムの放射能を体内に取り込んでいるので、本来問題にすべき放射能ではない。
   
    表1に示すように測定したサンプルの6個入りとか、4個入りの袋には、この表の最初の2点を除いて生産者の氏名が明記されていたので、生産者は自信満々(放射能汚染はないものとして)市場に出しているものと思われた。だから当初から放射能を測るのは徒労と思われたのだが、結果はその通りになった。まずはめでたしめでたしである。
   
    さて、肝心の福島県丸森町の耕野地区の奇形カキの問題は、あくまで推測の域を出ないが、放射能以外の何らかの外的環境要因で、カキの実の胚の発生段階で帯化遺伝子に異常が起こったがゆえのものと思われる。
   
    これは小生が今でもしつこく追いかけている「タンポポの帯化奇形」や、「帯化巨大イチゴ」などと同じ現象と思われる。専門用語でいえばepigeneticな変異と思われる。同じカキの木で今年も同じ現象が起こるかもしれないが、次第に頻度が低くなり収束していくのではないだろうか。
   
スライド1 (2)
図1。カキの奇形果の種類(テレビからの転載)
  
  
(森敏)
2023-05-17 16:40 | カテゴリ:未分類

スライド2
左がスエ子の墓、右が富太郎の墓。

スライド1 (1)
富太郎の墓の拡大図

「牧野富太郎自叙伝」(講談社学術文庫)を買って読んだのだが、当然といえば当然だが富太郎自身のお墓のありかは書かれていなかった。

次に朝井まかての小説「ボタニカ」(洋伝社)を買って読んでいたら、富太郎の妻である壽衛子や富太郎の臨終の場面が出てくるのだが、お墓のありかは、書かれていなかった。

大原富枝の小説 「草を褥(しとね)に 牧野富太郎」(河出文庫)を図書館から借りて読んでいたら、富太郎の妻である壽衛子の享年56歳の臨終の場面が出てきた。そこに、下谷 谷中の天王寺墓地にある壽衛子の墓石には富太郎の二句

家守りし妻の恵やわが学び
世の中のあらん限りやスエ子笹


が刻まれている、という文章があった。

谷中の墓地は2011年の福島第一原発事故以来、小生が毎年奇形タンポポ調査を続けている勝手知ったる場所なので、天気が快晴ですがすがしい日であったので、のこのこと出かけてみた。

あらかじめgoogle mapでお寺の位置を調べていたので、お寺にはすぐに到達したのだが、お寺の中をさまよってもお墓がなかった。そこでお寺で花束を持っていたおばさんに、「牧野富太郎のお墓をご存じでしょうか?」と聞いてみたら、「知りません。お寺の窓口で聞かれたらいかがですか」というので、窓口へ行って、とんとんとたたいたら、中から若いお坊さんが窓を開けてくれたので「牧野富太郎のお墓はどこでしょうか?」と尋ねたら、「ちょっとお待ちください、」と言って、玄関から下駄をはいて出てきてくれた。

「ちょっとわかりにくいところにありますので、案内いたします」と言ってお寺の門を出て谷中のお墓群のなかに誘導して場所を特定してくれた。この辺りは護国山天王寺のお墓の敷地と谷中墓地の敷地が複雑に入り混じっているんだそうで、とても素人がみつけるのは難しいと思ったことです。谷中の墓地にはお墓の番号の柱が立っているので比較的わかりやすいのですが。

牧野家のお墓には富太郎(右)のお墓と、スエのお墓(左)に花が添えられていた。
スエのお墓の左側面には上記の富太郎による有名な二句が刻まれており、右側面には、

牧野富太郎妻 小沢一政二女 牧野スエ子 享年56歳 昭和三年二月二十三日卒
と刻まれていた。しかしお墓の正面の墓碑銘は風化していて小生には判読できなかった。

富太郎の墓の正面には

結網学人 
牧野富太郎 
TOMITARO MAKINO DrSc.

APRIL 26.1826-JAN.18.1957


と書かれており、朝比奈泰彦氏による謹書としてお墓の裏面に富太郎の履歴が連綿と刻まれていた。

その中から栄誉を拾うと、朝日文化賞(1937・1・25)、日本学士院会員(1950・10・6)、第一回文化功労者(1951・7)、1957・1・18に没後 従三位勲二等旭日重光章並文化勲章と書かれている。

お墓の左側面には昭和三十三年一月建之
お墓の右側面には昭和三十二年一月十八日没 浄華院殿富嶽頴秀大居士 行年九十六歳

と刻まれていた。

(森敏)
 
付記1:本日玄関を出ようとしたら、杖がない!
急いで、タクシーで谷中霊園に向かったら、あったあった杖が。
不思議なことに、富太郎と壽衛子の墓には昨日あった生け花がなくなっていた。お坊さんが花を撤去しに来たけれども、小生の杖は、また本人が回収に来るだろうと、気を利かせて、隣のお墓の横に立てかけてくれていたようだ。

付記2:富太郎は妻スエ子に死なれて、あと40年間も孤高の独身を貫いている。その間、離婚して戻ってきた2人の娘たちや孫たちにも、全面的に家事ばかりでなく押し葉の作成など研究面でもおんぶにだっこだったようだ。

  
付記3:後日友人にお墓を案内した。前回は妻スエ子のお墓の戒名が汚れていて判読できなかったので、持参したテイシュペーパーに水を含ませて、失礼ながら、表面を洗わせてもらったら、何とか文字が判読できた。

妙徳院慈音貞観大姉

というのが、スエ子の戒名である。

まきのすえこのはか
2023-05-05 15:43 | カテゴリ:未分類
ウクライナ産蜂蜜

 
2022年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻があって、それ以降ずっとウクライナの農産物が大丈夫かなと心配していたら案の定、黒海がロシア艦隊によって封鎖されて、ウクライナからの小麦の輸出が出来なくなった。その後紆余曲折があり輸出が解除されているようだが、コムギの収穫作業や貯蔵作業が危険や不安定になり、その後、次の小麦の播種も困難になっているようだ。そういう映像がテレビでもネットでもほとんど出てこない。メデイアが戦場ばかりに撮影を特化しているからなのだが。

とにかく肥沃な小麦畑(チェルノゼム土壌:黒色土壌)が重戦車が入り乱れ、数限りない地雷が埋められているうえに、塹壕も何十キロにもわたって掘られている最中である。これから本格的なウクライナ側からの反転攻勢が始まると、ゼレンスキー大統領が宣言しているんだから。近い将来戦車や砲弾爆発によってウクライナの豊かな黒色土壌がますます無茶苦茶にかき回されるであろうことは必定であろう。

ところで我が家の食品棚には、上掲の写真にあるように、ウクライナ産の蜂蜜がもう、一年以上置いてあった。それは、これを購入した2022年3月ごろには全く蜂蜜が固まっていて、中身を押し出せなかったからそのまま放置していたということなのである。

先ほど気が付いて、棚から取り出してプラスチック容器をひっくり返して、容器を押してみたら、少し蜂蜜が溶けて出てきた。室温がこのところ25度以上になってきたからだと思われる。まだ容器の底には3分の1ぐらいが固化したままであるが。

容器には賞味期限が2024年4月1日と刻印されている。ウクライナの国旗の絵もたなびいている。

遅くてもこの来年の賞味期限の日までには、戦争が「ウクライナの勝利」で決着していてほしいものだ。

ウクライナの農産物支援をしたいのだが、今日では残念ながらスーパーの棚にはウクライナ産の物品があまり見当たらないようだ。

  
(森敏)

付記:Bingに聞いてみたら、

「ウクライナが日本に輸出している農産物は、小麦、トウモロコシ、大豆、バラ、リンゴ、キャベツ、ニンジン、玉ねぎなどが含まれます。 ただし、輸入量については明確な情報がありませんでした。」

という返事が返ってきました。Bingは詳しい貿易統計にアクセスできないようです。


追記1:またしても三度目のロシアによる輸出妨害

ロシア、再び黒海を通じたウクライナ農産物の輸出を妨害

20230805:16:57 ウクライナのマルチメディア報道プラットフォーム

ウクライナの地域発展・インフラ省は8日、ロシア連邦がウクライナ海洋港からの農産品の輸出のための黒海海上の「穀物回廊」を利用する船舶の登録と調査を拒否することで、同回廊の使用を再び妨害していると伝えた。
地域発展・インフラ省がフェイスブック・アカウントにて報告した。
発表には、「ロシア連邦は、船舶の入港登録とそれら船の調査を拒否することで、『穀物イニシアティブ』を再び実質的に停止させた。そのようなアプローチは、現行の合意の条件に完全に反している」と書かれている。
同省は、本来は毎日出入港する船舶の調査計画が共同調整センターの全ての当事者によって合意されるのだが、ロシアの政策によってこの調査計画を立てることが不可能となっていると指摘した。
また同省は、2023年5月8日時点で、トルコの領海にて、90隻の船が調査を待っていると伝えた。
その上で同省は、「ウクライナは、現行イニシアティブの観点から行われるべき入港船の登録と調査を止めようとするロシアの試みを断固として受け入れない。私たちは、パートナーである国連とトルコの立場(表明)を待っている」と強調した。
なお、3月18日、ウクライナ、国連、トルコは、黒海を通じたウクライナの農産物の安全な輸送イニシアティブの効力延長に合意していた。クブラコウ復興担当副首相兼地域発展・インフラ相によれば、120日間の延長に合意したという。
ロシアは、4月にこの「穀物回廊」の使用を3回にわたり妨害しており、4月の同回廊を通じたウクライナの農産物の輸出量は、300万トン未満まで落ち込んでいた。

追記2: 後日試しにこのウクライナ産ハチミツ瓶(プラスチック製)を600Wで20秒恐る恐る電子レンジで温めたら、少しづつハチミツが解けてきた。あまりやるとびんが破裂しそうなのでやたらには推奨できませんが。

2023-04-25 12:56 | カテゴリ:未分類

先日

(公財)農学会-公開シンポジウム「食の未来-タンパク質食品-」
日時 2023年4月23日 01:00 PM 大阪、札幌、東京

というのが東大農学部の弥生講堂で開催された。この講堂の硬い椅子に長く座ると腰が痛くなるので、小生はZOOMで事務所からWEB拝聴した。

シンポジウムのコンセプトは、近い将来世界の人口が100億人以上になって、食品中の「タンパク質が足りないよ!!」という時代が来るので、それに備えて日本でも何をすべきか、という話題提供であった。従来の食糧危機は穀類などの糖質の不足を意味しているが、今回は、3大栄養素であるタンパク質もそのうち足りなくなるよ、というわけで、これを「プロテイン・クライシス(Protein crisis)」と呼んでいた。

背景には、家畜などの動物性タンパク源である牛・豚・鶏などの濃厚飼料(大豆やトウモロコシ)が、ヒトの食糧とバッテイングする上に、大動物のげっぷがメタンなどを生産し、糞尿が炭酸ガスやN2Oなどの温暖化を促進する、ということでSDGs(持続可能な開発目標)や、COP(気候変動枠組条約締約国会議)などに動物の肉を食べ続けることは、これらに敵対する、という側面があるからということらしい。

細胞培養筋肉や昆虫食(フタホシコオロギ:Cryllus mimaculatus)や大豆タンパクからの加工肉に関わっている研究者や業者が登壇してこれらのタンパク食品の日本での社会実装の困難さを紹介していた。

すでに述べたように、食品業界や環境問題専門家の間ではこの問題を「Protein crisis(タンパク危機)」と呼ぶのだそうである。

欧米での世論調査では、植物由来などの人工肉を食べるか?という質問に対して、「食べる」という賛成者が40%以上いるが、日本では極端に少ない(5%以下?)、ということである。
これは
① 日本人が地球環境問題に対して、まだまだ鈍感であることと、
② 日本人が味(や風味)に対して、高い感受性を有している(あたまでわかっていても体が受け付けない)ので、人工肉の製品が自然の風味に追い付いていない、
からではないかということであった。

そこで、シンポジウムの後、ネットで検索するとオランダの研究機関からの報告で、以下の文章が出てきた(要旨だけ翻訳した)。

「世界人口を養うという課題の高まりと、私たちの食の選択が気候変動に与える影響を最小限に抑えるという意識の高まりから、より植物に近い食事が人気を集め、市場に出回る植物性食品の数も増加しています。
長期的な健康増進にもつながる植物性食生活を刺激するためには、これらの製品が動物性食品に代わる健康的な代替品であるかどうかを監視するためのデータが必要です。
そこで本研究では、オランダのスーパーマーケット8店舗で販売されている916種類の植物由来の肉、魚、乳製品の代替品を調査した。各製品の栄養品質は、(1)オランダの食品ベースの食事ガイドライン、(2)Nutri-Scoreによって評価された。
その結果、70%以上の肉、魚、乳製品の代替品は、Nutri-ScoreがA/B(高い栄養品質を示す)であるが、オランダの食事ガイドラインに適合していないことがわかった。これは主に、塩分が高くビタミンB12や鉄分が少ない(肉や魚の代替品)、またはタンパク質やカルシウムが少ない(乳製品の代替品)ことが原因です。
結論として、植物由来製品の大半は、栄養学的に動物由来製品の完全な代替品ではありませんが、まだ改良の余地があります。消費者が健康的な植物性食品を選択できるようにするためには、Nutri-Scoreと推奨される食事ガイドラインをより適切に調整する必要があります。」


シンポジウムの議論を聞いていていろいろ考えるところがあった。

実は1960年代に石油タンパクのプロジェクトが発足して、石油から酵母を作って、そのタンパクを食しようという動きがあった。しかし、当時これは製品から石油の香りを抜ききれないとか、石油をたべるというイメージが悪くて、消費者運動に抵抗されて日本では認可されなかったと記憶している。当時のソ連圏では石油発酵技術が進歩して、酵母が食品に使われているという噂であったが。

実は、このブログでも紹介したことがあるが、これまで3回ばかりスターバックの人工肉ハンバーグ入りサンドイッチを食したことがある。素直に、「これはいけるかもしれない」と味覚に鈍感な小生は思った。そこで興味をもってダイズタンパク由来のすでに市販されているあちこちのスーパーの肉のコーナーを徹底的に物色したのだが、その十数種類の袋の裏書を見て添加物の多さにうんざりした。天然肉の味やテクスチャーを出すために、涙ぐましい努力が感じられるのだが、ハムやソーセージとどっこいか、それ以上の添加物の多さである。元来味覚が鋭い健康志向のわが女房殿は、添加物だらけのハムやソーセージを決して食べないので、小生は今も買うのを控えている。値段もまだ結構高いし。

本当に人工肉が環境負荷の削減に寄与しているかもまだ疑問だ。環境「産業連関表」を使って、天然肉100グラムと、人工肉100グラムについて、生産から店頭に並ぶまでのCO2やNOxの排出量を、計算してみてくれませんかね。農水省か経産省の誰かが計算をしているだろうか?シンポジウムではこの点でのデータが示されなかったと思う。

(森敏)

追記1:本日以下の記事が、放映された。肉ではなく卵ならこれなら受容されるんではないか?

植物性由来の「代替たまご」とは?鳥インフルで卵不足のなか発売

卵の供給が安定しないなか、植物性由来の「代替卵」が4日に全国のスーパーで発売されました。 植物性食品を扱う「2foods」と大手食品メーカーの「カゴメ」は、常温で長期保存が可能な代替卵を開発しました。 植物性由来の代替食品では一般的な大豆を一切使わず、ニンジンや白インゲン豆から作ることで、卵の「ふわとろ感」を再現しているのが特徴です。 去年秋から過去最多の規模で発生している鳥インフルエンザの影響で国内の卵の安定供給が難しくなるなか、卵の新たな選択肢を提供したいとしています。
2023-04-20 15:38 | カテゴリ:未分類
以下は開業医さんから小生に寄せられた、実に実に深刻な医療の現状報告です。
文京区でも散歩していると、ビルをレンタルしている個人医院がコロナ禍を境にして、つぶれているところや長く休診中のところがあるように見受けられる。医師が過労でくたばってしまっているのではないだろうか。
   
:::::
5歳の娘が先日、「医師になりたい」と将来の夢として幼稚園で書いていたようですが、もう医師もブルーワーカー以下に成り下がってしまい、医師の時代ではないので、やりたいことをさせて、しっかりと自分で税金が払える子になってもらいたいです。

医学部の偏差値はまだとてつもなく高いようですが、現状はそれにみあった労働条件、給料ではないと思います。国家と患者さんの奴隷として働き、勤務医も開業医も過労死レベルで勤務をさせられているのが現状です。

医師の働き方改革は果たしてうまくいくのでしょうか。主治医が無料で夜間かけつけるシステムは確かに異常ですが、この医師の自己犠牲のもと安い医療費でここまで来ていました。今後相当医療費をあげないと、夜間対応できる医師がいなくなり、夜間救急外来がつぶれて死人が増えるような気がしてなりません。それも厚労省の考えなのでしょうか。

しかし勤務医は働き方改革で守られますが、開業医は朝2時までレセプト業務をやったり夜間往診にいったりしても、すべて自業自得なので大変つらいところがあります。

経営者には労災などありませんので、自分の身は自分で守るしかありません。働きすぎないようにしたいですが、この安い医療費ではたくさん患者さんをみないと消費税、固定資産税、急騰する電気代、人件費、高額な医療器材が払えないのも事実です。

私もすっかり経営者になりました。(笑)今は薬剤師、薬局経営が一番楽でたなぼた式に儲かると思います。医師の診察代よりもシップ1袋処方してもらうほうが高いのですから。おかしな時代になりました。

:::::::


(森敏)

追記: この記事を書いた2日後のきょう【4月22日】の朝日新聞にこんな記事が載った。4月17日にすでにネットでは掲載されていたものらしい。このままだと勤務医の過労死が増えるだろう。日本は医療崩壊の深刻な事態に追い込まれている。大学病院では若い医師たちが速足で廊下を走っている姿を見ることがある。このままでは医師の未来は決して明るくない。

大学病院の医師3割、残業960時間超の見込み 研究の時間不足
 2024年度から始まる医師の働き方改革を前に、全国医学部長病院長会議は18日、全国の81大学病院の医師の勤務実態に関する調査結果を公表した。医師の3割に「過労死ライン」を超える時間外労働が見込まれることが判明。同会議は労働時間を短縮するための待遇改善や人材確保、業務の移管・削減が必要だと訴えている。
 文部科学省の委託事業として昨年、全国の81大学病院にアンケートを行った。
 医師の働き方改革では、医師の休日・時間外労働は原則年960時間まで、地域医療に貢献する病院などは特例として年1860時間までとする残業規制が24年度から始まる。
 アンケートでは、各大学病院に勤務実態の把握状況や、そのための対策などを聞いた。その結果、大学病院に勤務する医師の約3割にあたる最大約1万5千人について、24年度の時間外労働が年960時間を上回る見込みとなった。過労死ラインとされる「月80時間」を超える水準で、すべての大学病院が特例の適用を求める申請を予定しているという。
 医師の多くは、大学病院以外でも週数日勤務するなどして地域医療を担っている。一方、労働時間の実態把握は十分ではなく、長時間勤務が常態化していた。医師の睡眠時間が減ることなどで、医療事故が増える懸念もある。
 また、労働時間の短縮が教育・研究の質の低下や成果の減少などにつながる懸念も示された。大学病院の医師981人への調査では、研究の中心となる「助教」の医師の15%が、研究に割く時間が週0時間、約半数が1~5時間程度にとどまっていた。少ない人数で当直を回すため、診療の時間が多くなる一方、教育・研究にあてる時間が不足する状況になっている。
 同会議は、診療や研究をサポ…

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