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2023-03-16 15:23 | カテゴリ:未分類

このブログで、これまで何回かイチゴの帯化や帯化奇形植物について紹介してきた。このブログのキーワ-ド検索コーナーで「帯化」と入れていただくと10個以上の記事が出てきます。
例えば直近では、

• 2023/02/03 : 帯化とちおとめ

今回思い切って、生産農協の担当者に、この帯化イチゴの形成に関して、電話で話を聞いてみた。

イチゴのハウス栽培の現場は何度も見てきたが、ハウス栽培にもっていくまでに半年かけて苗を野外で育てる苦労の現場は見たことがなかった。

そこで「とちおとめ」の生産を仕切っていると思われる「JAはが野」をネットで検索すると、苗を育てる現場から温室栽培に至る全工程のそれぞれが非常にわかりやすく写真で紹介されていた。

そこで、JAはが野の営農部に直接電話してみた。専門の人(よしたけさん)が出てきたので、帯化奇形イチゴについて、その発生の詳細を聞いてみた。以下の話が聞けた。

「奇形イチゴ(乱形果と呼んでいるらしい)は、おもに主茎に出る。栽培条件では、栄養が効きすぎる(いき過ぎる?と聞こえた)ときに発生しやすい。全株の初期のころは1%-数%ぐらいも発生する。

これをそのままにしておくと栄養が全部乱形果に取られるので他の茎からのイチゴの成長が悪くなるので、乱形果は必ず摘み取る。

大型の帯化奇形が出るイチゴのランナーを特別に育てるようなことはしていない。あくまで帯化イチゴは偶然の変異の産物である。それの発生率を減らす工夫はしている。

この乱形果を集めて、パックして、個数ではなく重さでそろえて出荷している。店が値段をつけるので一概にいえないが値段は普通の正常果よりも、20-30%安いのではないだろうか。

農薬は「対温室コナジラミ剤」と「防カビ剤」を混合して年4回散布している。イチゴ果実の抜き打ち検査がたびたびあり、これまで農薬の基準値をオーバーしたことは一度もない。

今回台湾で摘発された日本から輸出したイチゴは他社の者であり、「JAはが野」は台湾に輸出はしていない。」

とのことであった。

今年も、大型の帯化イチゴの「あまおう」が九州から出荷されて文京区の店頭に並んでいた。出だしのころは、相変わらず1パック900円程度の高価なものであった。しかしその後、「あまおう」の帯化イチゴはすぐなくなり、「あまおう」は急激に値段が下がり、600円程度になった。関東勢や静岡勢がどんどんのしてきたので、値段を下げざるを得なくなってきたようだ。それでも「あまおう」は今でも一番値段が高い。

栽培現場では、帯化奇形イチゴはいくらでも大きくできるが、それを大きくすると、他の茎への栄養の分配が悪くなるので、一株全体のイチゴの成長が抑えられるのでコスト的にはマイナスになる。だから、帯化イチゴは摘果するとのこと。数年前の手のひら大の「あまおう」は、ワンパック1000円以上したが、そのころは非常に珍しかったので、生産コストに見合った高値で儲けが出たのだろう。大きくて食べ出があったのだ。
 
読者にはWINEPブログの

• 2014/09/20 : 巨大イチゴと巨大タンポポは同じ機作の変異であると思われる

をぜひ再読をお願いします。
  
(森敏)
2023-02-21 06:09 | カテゴリ:未分類
ウクライナ戦争でウクライナの東部戦線が膠着状態と伝えられる中、アメリカのバイデン大統領がキーウを電撃訪問した。

これは世界のだれもが予想しなかった事態ではないだろうか。

NATOの首脳がグダグダとウクライナへの軍事支援に躊躇している中で、イギリスとアメリカがいつも先陣を切って、ウクライナのゼレンスキー大統領の意向を汲ん軍事支援の雰囲気づくりに動いてきた。

これを契機に、NATOやアメリカは戦闘機の支援に近い将来踏み出すのではないだろうか。何しろ、ウクライナ周辺の境界周辺には最新鋭の戦闘機を狂犬プーチンが配置しており、本格的な空からの爆撃を開始する態勢だ。そうなったら戦局は大転換する。

諸外国がウクライナに戦闘機を大量に供与しなければ、いくら多くの迎撃ミサイルを供与しても防空し仕切れないのは明らかだ。
ロシアの戦闘機による制空権を取られたウクライナの国土は、1945年終戦間際の目も当てられない雨あられと降り注ぐ焼夷弾にさらされた東京大空襲や、広島長崎への原発投下時代と同様の爆撃機による都市炎上時代に突入する。今の遠方からのミサイル攻撃以上にロシア航空隊のやりたい放題になるだろう。

バイデンのウクライナの直接訪問は、アメリカとロシアの直接対決を世界に可視化したものである。

これでロシア国民も本腰を入れてプーチンの戦時体制を受け入れるかもしれない。間違った愛国心を煽られて積極的にプーチンのために死ぬ奴が出てくるかもしれない。アメリカ国民もEU諸国民も電気代が値上がって「もうウクライナにはうんざりだ」と厭戦気分などと言っていられなくなるだろう。

絶対ウクライナを勝たせねばならない。


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バイデン米大統領、5億ドルの新たなウクライナ軍事支援発表

20.02.2023 14:40
バイデン米大統領がゼレンシキー宇大統領とのキーウ市内での共同記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
バイデン氏は、「私たちは、同盟国とともにすでに(ウクライナに)700両の戦車、数千台の軍用車、1000の火砲システム、200万以上の火砲弾薬」などの武器の提供にコミットしたと述べ、さらに「そして、それは、私が今日、明日に発表する5億ドル(の支援)は含んでいないものだ」と発言した。
同氏はまた、新たな軍事支援には、とりわけハイマースやジャベリンの弾薬、さらなる機材が含まれていると伝えた。
その他同氏は、今週末に米国はロシアによる制裁回避を支援する中国の個人と企業に対する追加制裁を発表すると発言した。
また同氏は、ウクライナが戦争で失っている資金と犠牲者は甚大だとし、米国民はこの残虐な戦争で身近な人を失った人々と気持ちの上で共にあると伝えた。
加えて同氏は、「私たちは、あなた方の前に非常に困難な日々、週、年があることを知っている。しかし、ウクライナを地表から消し去るのがロシアの目的だ。プーチンの侵略戦争は敗北を喫しており、ロシア軍はもう侵略開始後に制圧した多くの領土を失った」と発言した。
同氏は、多くのロシア国民がロシア領を離れたことを喚起し、それは自国の未来が見えず、ロシア経済が弱まり続けていくからだと指摘した。
そして同氏は、「プーチンは、ウクライナが弱いと思っていたし、西側が分裂していると思っていた。しかし、彼は間違っていたのだ」と強調した。
同氏はさらに、ゼレンシキー氏に対して、ウクライナは米国を頼って良いし、NATOもウクライナの側で団結し続けていくと伝えた。
そして同氏は、「私たちは、必要な限りずっとあなた方の側に居続ける」と強調した。

2022-11-02 13:58 | カテゴリ:未分類
スライド1

図1 小鳥の巣材(台座の側)

スライド2

図2 図1の放射線のポジテイブ画像

スライド3

図3 図1の放射線のネガテイブ画像


  
上記は長泥曲田の某氏宅に設置した鳥の巣材を2022年8月16日に採取した放射線像です。

某氏宅は長泥でも南端にあり、線量が高い浪江町の赤宇木とかの山に面した場所にあります。

某氏宅家屋は現在は解体し周囲も除染していますが、家周囲の山の除染は、山際から恐らく10m程だと思われます。

除染でその辺りの苔がなくなり、小鳥は汚染がまだ高い山中の苔を集めているのだと予想します。

その放射線の絶対値は
Cs137: 37187 (Bq/kg)
Cs134: 1075 (Bq/kg)

で、表面放射線量は420cpmであった。まだ野鳥が利用する林床のコケは非常に放射能が高いことが分かります。

下記のwinepブログに掲載している、一年前の長泥地区の巣材のものと比較してみてください。

  2021/11/15 : 福島県飯舘村長泥地区の現在の鳥の巣材の放射能



(森敏)
付記:この巣材は関根学カメラマンから提供され、採取時の附近の状況も同氏から提供されたものです。
小生は足腰が劣化して現地調査が出来なくなっております。
2022-10-17 14:34 | カテゴリ:未分類
  今から38年前のチェリノブイリ原発暴発事故で、その後の生態系の変化を研究している研究者が、現在のチェリノブイリ周辺のアマガエルの分布を調べて、黒いアマガエルが放射線耐性種として生き残り緑色のカエルが放射線に感受性で、高い放射線環境の中で世代交代の中で淘汰されていったのだろうと結論している。

  詳細に観察すれば同じことが福島県内の高線量地域でも検出されるのではないだろうか?


カエルの適応変移



(論文の題目)
チョルノブイリ産アマガエルにおける電離放射線とメカニズム

(掲載雑誌) Evolutionary Applications. 2022;15:1469–1479. 
(著者)Pablo Burraco, Germán Orizaola

Pablo Burraco, Doñana Biological Station (CSIC), 41092 Seville, Spain.
Email: burraco@ebd.csic.es

上図の説明
(a) チョルノブイリ事故警戒区域の内側(CEZ)と外側(CEZ)の放射線勾配を横切って生息するヒガシオオアマガエル(Hyla orientalis)のオスの背部皮膚輝度。
(b) H. orientalisオスの背部皮膚輝度の範囲(左から5、20、30、40、60の輝度値)。

論文の概要
人間の行為によって、世界中の生態系が変化している。
人間が放出した汚染物質の中で、電離放射線はまれではあるが、自然システムに対して壊滅的な脅威となる可能性がある。
チョルノブイリ事故(1986年)は、環境中に放出された放射性物質の中で最大のものである。
我々の目的は、チェルノブイリ事故による放射線被曝がイースタンツリーフロッグ(Hyla orientalis)の雄の背部皮膚の色彩に及ぼす影響を調べることである。
我々は、カエルの皮膚の色彩(イオンに対する防御機構として機能する)と
皮膚の色調(電離放射線に対する防御機構として機能する)と放射線条件、酸化ストレスレベルとの関係を評価した。
事故当時、放射線量が高かった地域に近い地域ほど皮膚の色が濃かったが、現在の放射線量では皮膚の色には影響がないようだ
チョルノブイリ産のツリーガエルでは、現在の放射線量は皮膚の色調に影響を与えないようである。
チェルノブイリ事故後の立ち入り禁止区域内に生息するアマガエルは、区域外のアマガエルに比べ、背面の皮膚の色が著しく濃くなった。
暗い皮膚色の維持は、カエルの体調や酸化状態などの生理的コストとは関連がなく、カエルの色調の短期的な変化も検出されなかった。
暗色化は、フリーラジカルの中和やDNA損傷の軽減によって、さまざまな放射線源から身を守ることが知られており、特にメラニン色素は電離放射線に対する緩衝機構として提唱されている。
今回の結果は、事故当時と思われる高レベルの電離放射線への被ばくが、チョルノブイリ産ツリーガエルのより濃い色調を選択した可能性を示唆している。
今回見つかったパターンの基本的なメカニズムと進化的な帰結を明らかにするためには、さらなる研究が必要である。

(結論)
メラニンの保護的な役割は、これまでチョルノブイリで発見された菌類などばかりでなく電離放射線に曝された野生の脊椎動物にまで及んでいる可能性がある。
歴史的に放射線量が高く、ユーメラニン系色素の生産コストが高くないために、チョルノブイリ産ツリーガエルにおける暗色色素の選択と維持を促進した可能性がある。
今後、放射能汚染環境における黒色色素の原因と結果を明らかにするためのさらなる研究が必要であり、それは長期間の電離放射線被曝が野生生物に及ぼす生態進化的影響についてより深い理解を得ることにつながるだろう。

2022-09-10 14:02 | カテゴリ:未分類
下水汚泥資源「利用拡大を」 首相指示、化学肥料高騰で「国産化」
2022年9月10日 9時00分(朝日新聞)
 
岸田文雄首相は9日、化学肥料の高騰に対応するため、「下水汚泥」など国内資源の利用を拡大するよう農林水産省に指示した。同省は、秋にも見込まれる補正予算案に盛り込むことを視野に具体策をまとめる。
 食料安全保障などについて議論する「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」の初会合が首相官邸で開かれ、岸田氏は「下水汚泥など未利用資源の利用拡大により、肥料の安定供給を図ること」と述べた。
 人のし尿など、下水にはリン…


    
  ウクライナ戦争でロシアが化学肥料の輸出に制限をかけ、石油や天然ガスなどの流通の不安定さから、輸送費用が高騰し、日本への輸入化学肥料の値段が高騰しているようだ。
 
  これでは日本の稲作や畑作農業、園芸、畜産業はやっていけない、ということで、政府が活性汚泥の活用に本腰を入れ始めるようだ。
 
  活性汚泥は平たく言えば我々人間の糞尿が主体である。1960-70年代に公害問題が活発な頃、企業や自治体や個人が無処理の下水を河川に放流していたので赤潮などが発生して、日本の河川と沿岸は臭気ふんぷんたるものがあった。その後環境庁が出来て、河川の富栄養化を阻止するために活性汚泥処理場からのリンや窒素などの排水基準値が厳格化され、活性汚泥の菌体が毎日大量に回収されている。
 
  この活性汚泥が家畜糞尿未熟堆肥と一緒に混合されて好熱菌などの投入で発酵されて、衛生的で有用な堆肥として自治体では他の民間肥料と競合しない値段で販売し活用されているところもある。
 
  下水汚泥の用途は多岐にわたる。このことは以下の下水道事業団のホームページに詳しい。
 
  https://www.jswa.jp/recycle/data/
 
  今回の岸田首相の方針は活性汚泥を肥料用の利用資源として従来よりも加速化しようというものである。
 
  しかし農水省のホームページに詳しいが、活性汚泥堆肥の最大の問題は、その中に含まれる重金属の濃度である。とりわけカドミウム(Cd)が最も問題になる重金属である
 
  活性汚泥堆肥を土壌に連用すると、微量の重金属などが植物に吸収されて我々の口に入るのだが、同時に作物によって吸収されなかったものは間違いなく土壌に徐々に蓄積していくのである。そこで農水省は汚泥中のCd含有量の上限を 5ppm と定めている。

  最近は上水道の鉄管や下水道の排水管をプラスチック管に変えたりしているので、昔のように重金属が溶けだしてくることがなくなっているかもしれないが、日本全域がそうなっているのではなく、まだまだ自治体においては配管改修過程と思われるので、この活性汚泥の重金属汚染問題は自治体によっては現在も続いているはずである。

  また、このWINEPブログでも、かつて東電福島第一原発爆発問題の時に、しつこく統計をあつかったことがあるが、全国の活性汚泥の中には、バセドー病などの医療用に使われた放射性ヨード(I-131)が病院の排水に含まれている場合が多いので、使用には注意を要する。このような病院の排水系の末端にある下水処理場の汚泥は、いまでも病院によっては厚生省の排水基準を守らずに排出されて活性汚泥の中に放射性ヨードが汚染されていると考えられる。だから、この汚泥を使った堆肥の場合は、I-131の半減期(8.04日)の少なくとも10倍以上の時間をかけたの減衰後に使用すべきと思う。

  以下の福島の下水処理場での活性汚泥中の131-I含量の推移グラフを参照してください。

    放射能は降り続けているのだろうか?連載(6ー1):2014-2015年の県中浄化センターの脱水汚泥中の 131I、137Cs、降雨量の推移について再検討する
  
  
(森敏)
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