- 2022/11/02 : 現在の長泥地区の小鳥の巣材の放射能汚染
- 2022/08/22 : 放射性セシウムや放射性ヨウ素に関する19の研究課題の紹介
- 2022/07/13 : 約13兆3200億円賠償命令…東京地裁
- 2021/11/15 : 福島県飯舘村長泥地区の現在の鳥の巣材の放射能
- 2021/11/02 : シンポジウム「原発事故から10年~これまで・今・これからの農業現場を考える」
WINEPブログ
「飯舘村のカエルの放射能汚染」
WINEPブログ内で「 除染 」を含む記事
(5件づつ表示されます)
2022-11-02 13:58 |
カテゴリ:未分類

図1 小鳥の巣材(台座の側)

図2 図1の放射線のポジテイブ画像

図3 図1の放射線のネガテイブ画像
上記は長泥曲田の某氏宅に設置した鳥の巣材を2022年8月16日に採取した放射線像です。
某氏宅は長泥でも南端にあり、線量が高い浪江町の赤宇木とかの山に面した場所にあります。
某氏宅家屋は現在は解体し周囲も除染していますが、家周囲の山の除染は、山際から恐らく10m程だと思われます。
除染でその辺りの苔がなくなり、小鳥は汚染がまだ高い山中の苔を集めているのだと予想します。
その放射線の絶対値は
Cs137: 37187 (Bq/kg)
Cs134: 1075 (Bq/kg)
で、表面放射線量は420cpmであった。まだ野鳥が利用する林床のコケは非常に放射能が高いことが分かります。
下記のwinepブログに掲載している、一年前の長泥地区の巣材のものと比較してみてください。
2021/11/15 : 福島県飯舘村長泥地区の現在の鳥の巣材の放射能
(森敏)
付記:この巣材は関根学カメラマンから提供され、採取時の附近の状況も同氏から提供されたものです。
小生は足腰が劣化して現地調査が出来なくなっております。
2022-08-22 11:47 |
カテゴリ:未分類
以下は来る9月13日から14日まで東京農業大学で開催される日本土壌肥料学会での約400の講演題目から、放射性セシウムや放射性ヨウ素に関する19の研究課題を抜き出し紹介したものです。(発表者名は筆頭と最後尾のみ記載しています)
東電福島第一原発事故以降10年以上経過した今も基礎から応用に至るまで放射能による農地汚染の研究が続いています。
奇しくも現在ウクライナのザポロジエ原発がロシア軍の占領で大惨事を起こすの危機に陥っています。事故後の農地汚染の後始末はいつも農民や農学者に放り投げられてきました。絶対にそんな事態が起こらないように切に祈りたい。
放射性セシウム補足ポテンシャルの溶液条件は移行リスクの推定に最適か?
宇野浩一郎・・・矢内純太
ダイズのCs体内分配に関わるミネラルネットワークの経時的変動
村島和樹・・・信濃卓郎
ポジトロンイメージング技術によるリンゴ樹体内セシウム動態の可視化
野田祐作・・・・・河地有木
シロバナルーピンのセシウム吸収・分配における元素間相互作用
菅あやね・・・・・信濃卓郎
ミミズが土壌表層の放射性セシウムの垂直分布に及ぼす影響
田中草太・・・佐藤 孝
原位置モデル水田実験による灌漑水田由来137Csの影響評価
Anastasiia Klevtsov・・・・・・・原田直樹
多地点の農家圃場で生産した玄米と大豆子実の放射性セシウム濃度の比較
藤村恵人・・・・・・・鈴木政崇
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第57報)
ラッカセイの放射性セシウム吸収特性
平山孝・斎藤正明
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第58報)
低カリ条件下での水稲ポット栽培3作から評価した土壌改良資材の放射性セシウム吸収抑制効果の持続性
松岡宏明・井倉将人
草地更新時に施用した金雲母とゼオライトの放射性セシウム移行への影響
山田大吾・・栂村恭子
ヘアリーベッチおよびクリムゾンクローバーへの放射性セシウムの移行性
久保堅司・・・・佐藤 孝
農耕地土壌および作物における129I 濃度について
塚田祥文
福島県東部を対象とした灌漑水による水田へのカリウム供給量マップ
錦織達啓・久保田富次郎
福島第一原発事故除染後農地における緑肥作物の春季播種が緑肥の開花期・窒素集積量に及ぼす影響
佐藤 孝・・・・・・・高階史章
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第56報)
玄ソバへの放射性セシウム移行特性への解析
斎藤正明・・平山 孝
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第59報)
籾殻くん炭を活用した塩化カリ代替効果の検証
浅枝諭史・・・・・三本菅猛
ポジトロンイメージング技術を用いたダイズ根系内のセシウム輸送における共存元素の影響解析
井倉将人・・・・・河地有木
A study on potassium application’s effect on cesium and strontium uptake in soybean
Muhamad Syaifudin・・・・・・・Takuro Shinano
機械学習を用いた福島県内農地土壌中非交換性カリ含量の空間分布推定―教師データ拡充の効果と除染後農地に対する適用可能性
矢ケ崎泰海・・・・・矢内純太
(森敏)
東電福島第一原発事故以降10年以上経過した今も基礎から応用に至るまで放射能による農地汚染の研究が続いています。
奇しくも現在ウクライナのザポロジエ原発がロシア軍の占領で大惨事を起こすの危機に陥っています。事故後の農地汚染の後始末はいつも農民や農学者に放り投げられてきました。絶対にそんな事態が起こらないように切に祈りたい。
放射性セシウム補足ポテンシャルの溶液条件は移行リスクの推定に最適か?
宇野浩一郎・・・矢内純太
ダイズのCs体内分配に関わるミネラルネットワークの経時的変動
村島和樹・・・信濃卓郎
ポジトロンイメージング技術によるリンゴ樹体内セシウム動態の可視化
野田祐作・・・・・河地有木
シロバナルーピンのセシウム吸収・分配における元素間相互作用
菅あやね・・・・・信濃卓郎
ミミズが土壌表層の放射性セシウムの垂直分布に及ぼす影響
田中草太・・・佐藤 孝
原位置モデル水田実験による灌漑水田由来137Csの影響評価
Anastasiia Klevtsov・・・・・・・原田直樹
多地点の農家圃場で生産した玄米と大豆子実の放射性セシウム濃度の比較
藤村恵人・・・・・・・鈴木政崇
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第57報)
ラッカセイの放射性セシウム吸収特性
平山孝・斎藤正明
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第58報)
低カリ条件下での水稲ポット栽培3作から評価した土壌改良資材の放射性セシウム吸収抑制効果の持続性
松岡宏明・井倉将人
草地更新時に施用した金雲母とゼオライトの放射性セシウム移行への影響
山田大吾・・栂村恭子
ヘアリーベッチおよびクリムゾンクローバーへの放射性セシウムの移行性
久保堅司・・・・佐藤 孝
農耕地土壌および作物における129I 濃度について
塚田祥文
福島県東部を対象とした灌漑水による水田へのカリウム供給量マップ
錦織達啓・久保田富次郎
福島第一原発事故除染後農地における緑肥作物の春季播種が緑肥の開花期・窒素集積量に及ぼす影響
佐藤 孝・・・・・・・高階史章
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第56報)
玄ソバへの放射性セシウム移行特性への解析
斎藤正明・・平山 孝
福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第59報)
籾殻くん炭を活用した塩化カリ代替効果の検証
浅枝諭史・・・・・三本菅猛
ポジトロンイメージング技術を用いたダイズ根系内のセシウム輸送における共存元素の影響解析
井倉将人・・・・・河地有木
A study on potassium application’s effect on cesium and strontium uptake in soybean
Muhamad Syaifudin・・・・・・・Takuro Shinano
機械学習を用いた福島県内農地土壌中非交換性カリ含量の空間分布推定―教師データ拡充の効果と除染後農地に対する適用可能性
矢ケ崎泰海・・・・・矢内純太
(森敏)
2022-07-13 16:09 |
カテゴリ:未分類
この速報は快挙である。
あれだけ大きな原発事故を起こしながら、関係者の誰もが民事でも刑事でも責任を取らない日本の法体系は異常としか思えない。
私見では、昔の公害問題でも、今回の原発事故裁判でも、東京地裁はこれまで様々な被害者に対して体制擁護の厳しい判決を繰り返してきたと思う。 今回は異例である。
福島第一原発事故・東電株主代表訴訟、旧経営陣に計約13兆3200億円賠償命令…東京地裁
読売新聞
2022/07/13 15:19
© 読売新聞 東京地裁
東京電力福島第一原発事故で東電に巨額の損害が生じたとして、同社の個人株主が勝俣恒久・元会長(82)ら旧経営陣5人に対し、22兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟で、東京地裁は13日、5人のうち、勝俣元会長ら4人の責任を認め、計約13兆3200億円の支払いを命じる判決を言い渡した。
追記1:
東電旧経営陣4人、13兆円余賠償命令 過去最高額か
株主代表訴訟で東京地裁判決
2022年7月13日 15:08 (2022年7月13日 19:05更新)日経新聞
東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、同社の株主らが旧経営陣5人に計22兆円を東電に支払うよう求めた株主代表訴訟の判決で、東京地裁は13日、旧経営陣4人に計13兆3210億円を東電に対して支払うよう命じた。朝倉佳秀裁判長は巨大津波の予見が可能だったと判断した。賠償額としては国内史上最高とみられる。原発事業者の経営責任を重く捉えた司法判断といえる。
事故を巡り最高裁は、法人としての東電に賠償を命じる一方で国の賠償責任を否定する判決を出した。旧経営陣の個人責任を認めた判決は初めてとなる。
4人は勝俣恒久元会長(82)、清水正孝元社長(78)、武黒一郎元副社長(76)、武藤栄元副社長(72)。賠償額は①廃炉にかかる1兆6150億円②被災者への損害賠償費用の7兆834億円③除染・中間貯蔵対策費用の4兆6226億円――の3つを合計して算定した。
訴訟は事故翌年の2012年3月に東電の株主らが起こした。争点は政府機関が02年に公表した地震予測「長期評価」に基づき巨大津波を予見することが可能だったかや、浸水対策などで事故を防げたかどうかだった。
判決は長期評価について「科学的信頼性を有する知見」と認めた上で旧経営陣の過失の有無を検討した。東電は08年、長期評価に基づき福島第1原発に最大15.7メートルの津波が到達すると試算しており、勝俣氏らは「最低限の津波対策を速やかに指示すべき取締役としての注意義務を怠った」と指摘した。
さらに、主要な建屋などで浸水を防ぐ対策を実施していれば「重大な事態に至ることを避けられた可能性は十分にあった」と結論づけた。
5人のうち、10年6月に常務に就任した小森明生氏(69)は「対策を講ずることができたとはいえない」と賠償責任は認めなかった。
東電は判決後、「個別の訴訟に関することの回答は差し控える」とのコメントを出した。
刑事裁判では、勝俣氏ら3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された。一審は無罪で、刑事と民事で判断が分かれた。23年1月に控訴審判決が予定されている。
追記2:
本日(7月14日)の朝日新聞での小さな囲み記事で以下の内容が紹介されていた。
裁判官が現地視察することは非常にまれで、日本の裁判では裁判官が現地を見ない書面審査で判決を下す場合が主である。現地の状況は検察や原告自体が証拠書類を出しているはずだからそれで充分であるというのが言い分である。
実況見分の報告書がいくら精緻に描かれていても、これらはいわば二次情報である。実際の被害の現場で感じる被害の状況は写真や言葉では表現尽くせていない。
「現地進行協議」を受け入れたこの裁判官には人としての誠意が感じられる。
上昇志向が強い東京地裁の裁判官では、彼は珍しい存在かもしれない。
裁判長福島第一を視察(朝日新聞囲み記事7月14日)
今回の判決を言い渡した朝倉佳秀裁判官(54)は1993年に判事補佐官。今回の株主代表訴訟は2012年3月の提訴時から数えて4人目の裁判長として担当した。21年10月には「現地進行協議」を実施。原発事故をめぐる関連訴訟で裁判官として初めて福島第一原発の構内まで視察した。
あれだけ大きな原発事故を起こしながら、関係者の誰もが民事でも刑事でも責任を取らない日本の法体系は異常としか思えない。
私見では、昔の公害問題でも、今回の原発事故裁判でも、東京地裁はこれまで様々な被害者に対して体制擁護の厳しい判決を繰り返してきたと思う。 今回は異例である。
福島第一原発事故・東電株主代表訴訟、旧経営陣に計約13兆3200億円賠償命令…東京地裁
読売新聞
2022/07/13 15:19
© 読売新聞 東京地裁
東京電力福島第一原発事故で東電に巨額の損害が生じたとして、同社の個人株主が勝俣恒久・元会長(82)ら旧経営陣5人に対し、22兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟で、東京地裁は13日、5人のうち、勝俣元会長ら4人の責任を認め、計約13兆3200億円の支払いを命じる判決を言い渡した。
追記1:
東電旧経営陣4人、13兆円余賠償命令 過去最高額か
株主代表訴訟で東京地裁判決
2022年7月13日 15:08 (2022年7月13日 19:05更新)日経新聞
東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、同社の株主らが旧経営陣5人に計22兆円を東電に支払うよう求めた株主代表訴訟の判決で、東京地裁は13日、旧経営陣4人に計13兆3210億円を東電に対して支払うよう命じた。朝倉佳秀裁判長は巨大津波の予見が可能だったと判断した。賠償額としては国内史上最高とみられる。原発事業者の経営責任を重く捉えた司法判断といえる。
事故を巡り最高裁は、法人としての東電に賠償を命じる一方で国の賠償責任を否定する判決を出した。旧経営陣の個人責任を認めた判決は初めてとなる。
4人は勝俣恒久元会長(82)、清水正孝元社長(78)、武黒一郎元副社長(76)、武藤栄元副社長(72)。賠償額は①廃炉にかかる1兆6150億円②被災者への損害賠償費用の7兆834億円③除染・中間貯蔵対策費用の4兆6226億円――の3つを合計して算定した。
訴訟は事故翌年の2012年3月に東電の株主らが起こした。争点は政府機関が02年に公表した地震予測「長期評価」に基づき巨大津波を予見することが可能だったかや、浸水対策などで事故を防げたかどうかだった。
判決は長期評価について「科学的信頼性を有する知見」と認めた上で旧経営陣の過失の有無を検討した。東電は08年、長期評価に基づき福島第1原発に最大15.7メートルの津波が到達すると試算しており、勝俣氏らは「最低限の津波対策を速やかに指示すべき取締役としての注意義務を怠った」と指摘した。
さらに、主要な建屋などで浸水を防ぐ対策を実施していれば「重大な事態に至ることを避けられた可能性は十分にあった」と結論づけた。
5人のうち、10年6月に常務に就任した小森明生氏(69)は「対策を講ずることができたとはいえない」と賠償責任は認めなかった。
東電は判決後、「個別の訴訟に関することの回答は差し控える」とのコメントを出した。
刑事裁判では、勝俣氏ら3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された。一審は無罪で、刑事と民事で判断が分かれた。23年1月に控訴審判決が予定されている。
追記2:
本日(7月14日)の朝日新聞での小さな囲み記事で以下の内容が紹介されていた。
裁判官が現地視察することは非常にまれで、日本の裁判では裁判官が現地を見ない書面審査で判決を下す場合が主である。現地の状況は検察や原告自体が証拠書類を出しているはずだからそれで充分であるというのが言い分である。
実況見分の報告書がいくら精緻に描かれていても、これらはいわば二次情報である。実際の被害の現場で感じる被害の状況は写真や言葉では表現尽くせていない。
「現地進行協議」を受け入れたこの裁判官には人としての誠意が感じられる。
上昇志向が強い東京地裁の裁判官では、彼は珍しい存在かもしれない。
裁判長福島第一を視察(朝日新聞囲み記事7月14日)
今回の判決を言い渡した朝倉佳秀裁判官(54)は1993年に判事補佐官。今回の株主代表訴訟は2012年3月の提訴時から数えて4人目の裁判長として担当した。21年10月には「現地進行協議」を実施。原発事故をめぐる関連訴訟で裁判官として初めて福島第一原発の構内まで視察した。
2021-11-15 06:44 |
カテゴリ:未分類
水戸市在住の写真家である関根学氏は、いまだに飯舘村の帰還困難区域である長泥地区で、原発事故以来、定点観測写真を撮影して風景の変遷を内外の写真誌で発信しておられる。
それと同時に2013年以来、長泥地区の各地に巣箱を設置して、シジュウガラや、ヤマガラの巣材を、小生のところに送って、放射能の測定依頼をして来ている。
今年も送って来たので、それを関根氏の同意を得て、以下に紹介した。
今回送付していただいた2つの巣材は主がシジュウガラかヤマガラか不明であるが、長泥地区でも空間線量が高い飯館村に近い高台の民家(長泥ー1)と低い地区(長泥ー2)だということである。両者ともに周辺の林縁などは昨年から今年にかけておおがかりな除染をおこなっていたとのことです。
関根氏のホームページでは巣材の小鳥の動画が掲載されているのでぜひ見てあげてください。
https://www.manabusekine.com/portfolio2

図2.図1のオートラジオグラフ。図1と比べて図2の放射能の濃い汚染物質がどれがどれとは同定できないが、粒状に分布しているので、根についた汚染土の成分と思われる。ぼやけた部分がコケの本体。拡大すると繊維状にも見えるところがある。台座の部分はくぼんでいるので、強く圧着してもIPプレートから少し浮いているので、薄く写っている。

図3。図2のネガテイブ画像

図4。長泥ー2の鳥の巣材 台座は少しくぼんでいる。主成分はコケと樹皮を解体した繊維成分である。
図6。図5のネガテイブ画像
表1。図1と図4に示す長泥地区の異なる2か所の巣材の放射能

ちなみに2013年に関根学氏から送られてきたシジュウガラの巣材の測定データは
Cs-134 511,000 (Bq/kg乾物重)
Cs-137 1,057,000 (Bq/kg乾物重)
と、べらぼーに高かった。このCs-137値を表1の 長泥ー1 の巣材のCs-137の放射能と子細に比較してみると、今年の巣材の放射能は、2013年当時の約10分の1強にまで減少していることがわかる。放射性セシウムの半減期減衰による効果と、道路端除染による効果の両者によるものと思われる。
除染すればそこのコケなどの植生の放射能はゼロにならなければならないが、表1の今年の巣材のコケ類はそうなっていないので、この巣材に使われた苔の一部は未除染の森林から運ばれてきたものであることが明らかである。
(森敏)
それと同時に2013年以来、長泥地区の各地に巣箱を設置して、シジュウガラや、ヤマガラの巣材を、小生のところに送って、放射能の測定依頼をして来ている。
今年も送って来たので、それを関根氏の同意を得て、以下に紹介した。
今回送付していただいた2つの巣材は主がシジュウガラかヤマガラか不明であるが、長泥地区でも空間線量が高い飯館村に近い高台の民家(長泥ー1)と低い地区(長泥ー2)だということである。両者ともに周辺の林縁などは昨年から今年にかけておおがかりな除染をおこなっていたとのことです。
関根氏のホームページでは巣材の小鳥の動画が掲載されているのでぜひ見てあげてください。
https://www.manabusekine.com/portfolio2

図2.図1のオートラジオグラフ。図1と比べて図2の放射能の濃い汚染物質がどれがどれとは同定できないが、粒状に分布しているので、根についた汚染土の成分と思われる。ぼやけた部分がコケの本体。拡大すると繊維状にも見えるところがある。台座の部分はくぼんでいるので、強く圧着してもIPプレートから少し浮いているので、薄く写っている。

図3。図2のネガテイブ画像

図4。長泥ー2の鳥の巣材 台座は少しくぼんでいる。主成分はコケと樹皮を解体した繊維成分である。
図6。図5のネガテイブ画像
表1。図1と図4に示す長泥地区の異なる2か所の巣材の放射能

ちなみに2013年に関根学氏から送られてきたシジュウガラの巣材の測定データは
Cs-134 511,000 (Bq/kg乾物重)
Cs-137 1,057,000 (Bq/kg乾物重)
と、べらぼーに高かった。このCs-137値を表1の 長泥ー1 の巣材のCs-137の放射能と子細に比較してみると、今年の巣材の放射能は、2013年当時の約10分の1強にまで減少していることがわかる。放射性セシウムの半減期減衰による効果と、道路端除染による効果の両者によるものと思われる。
除染すればそこのコケなどの植生の放射能はゼロにならなければならないが、表1の今年の巣材のコケ類はそうなっていないので、この巣材に使われた苔の一部は未除染の森林から運ばれてきたものであることが明らかである。
(森敏)
2021-11-02 16:49 |
カテゴリ:未分類
以下、転載です。
日本土壌肥料学会主催、学術会議、農研機構、福島大学共催:
シンポジウム「原発事故から10年~これまで・今・これからの農業現場を考える~」(2021.11.5)
の参加登録は11月2日まで。
東日本大震災と、それに伴う原子力発電所の事故から10年が経過した節目に標記のシン
ポジウムを開催します。シンポジウムでは、農業現場に発生した問題に対して、土壌肥料
学会の基盤的な知識と経験に基づいて多くの解決策を示したことを総括するとともに、今
後の学術的な貢献の道筋や課題についても展望します。
貴重な機会ですので、是非とも皆様のご参加、会員以外の皆様への周知をお願いします。
詳細は学会HP(下記URL)を参照ください。
http://jssspn.jp/event/symposium/2021102021115.html
参加申込は、11月2日までに以下のサイトから申込ください。
https://forms.gle/XXHvmB9AWfAc5STR6
講演者は以下の通りです
◇プログラム:
「日本土壌肥料学会・日本学術会議からの挨拶」;波多野隆介(北海道大学・日本土壌肥料学会前会長)
「はじまりは地震と共に-成果を繋ぐ研究の進展」;塚田祥文(福島大学)
「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」;前島勇治・高田裕介・神山和則(農研機構)
「除染後農地の問題点と農業復興に向けた取り組み」;齋藤 隆(福島県農業総合センター)
「動きにくいセシウムの3つのかたち」;山口紀子(農研機構)
「作物を放射能汚染から守る黄砂の力」;中尾 淳(京都府立大学)
「カリウム肥料を撒くことの効果-水稲―」;藤村恵人(農研機構)
「ダイズの放射性セシウム濃度が高い理由」:二瓶直登(福島大学)
「水稲におけるセシウムの吸収と体内での動き」;古川 純(筑波大学)
「これから歩む道-日本土壌肥料学会・日本学術会議の役割」;信濃卓郎(北海道大学)
「総合討論(パネル形式)」;司会 信濃卓郎・中尾 淳
「閉会の言葉」;妹尾啓史(東京大学・日本土壌肥料学会会長)