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2020-05-12 20:19 | カテゴリ:未分類


  以前にも述べたが、羽山神社は原発から650m地点で山頂にあり、小さな神社周辺は住民が表土を除染しているが、それは山頂のごく一部に過ぎない。
   
  その露出した地面に集団でセンブリが生えていた(図1)。(センブリは漢方でも有名な胃腸薬である)。ここのは栄養失調で背丈が15センチもない。
      
  しかし見事に異常なくらい多くの花をつけていた(図2)。多分この花の生え方や背丈の短さや、分枝の仕方はいじけていて異常だと思う。放射線障害だろう。それを根から掘り起こして採取してきた。
  
      
  オートラジオグラフに取ると花器の種子になる部分が濃く撮像されている(図3、図4)。この現象は他の植物と同様である。 
  
  8本の植物の撮像のされ方が少しずつ強弱が異なっている。それは同じ集団でも土壌に降下した放射能が均質ではなく、したがって土壌への収着の度合いも異なっていたためと思われる。
  
  これまで、我々が調べた長靴や箒や洗剤の箱やTシャツなどの非生物の表面に付着した固形物は、不溶性の濃い大きな粒子と、その10分の一以下と思われる細かな粒子と、可溶性のイオン状のセシウムが見分けられる。
         
  植物が吸収しているのは、可溶性(雨水に溶ける)セシウムイオンだけである。
     
      表1に部位別放射能を示している。根は土壌が取り切れなく付着汚染しているので最も高い値である。しかし地上部は図3、図4から見ると、完全に内部汚染のみで外部汚染は全くない。これらのオートラジオグラフ画像からは、花器が非常に高く撮像されているが、この表1の放射能の乾物重あたりの実測値からすると、植物の地上部全体がほぼ均一に内部汚染していることがわかる。
    
 こんなものは到底まだ漢方薬には使えない。
    
   




スライド1 
 図1 センブリ


 
スライド2 

図2 図1の左下の植物の部分拡大 異常な数の花の付き方



スライド3  図3 図1のオートラジオグラフ



スライド4

図4 図3のネガテイブ画像

  
  




表1 センブリの部位別放射能

センブリ1 


注:図1の8本の植物を全部部位ごとに一緒にして測定した。





   
   

(森敏)
2020-03-11 03:07 | カテゴリ:未分類
  本日は原発事故後9年目である。

 昨年の11月に双葉町の原発から1km地点の山頂のヤツデをその頂点から手折ってきた。(図2)
  
  ヤツデの頂点は太い枝の上にあり、ここでは大小の葉が密集してあるので、オートラジオグラフがとりづらいので、何枚かの葉は取り除いて、新葉と旧葉を一枚ずつと、花器を残してBASで撮像した(図1)

  太い枝が平らにならないで、IPープレートに密着していないので、その近辺はオーとラジオグラフの像がぼけている(図3、図4)

  
  部位別放射能の測定では、新旧の葉の葉柄の部分と、生殖器である花器の部分が値が高い。(表1)
    
  これまでも、ヤツデの実生の放射能を何回か測定した経験があるが、いずれも、葉の放射能濃度は最も高くて<数千ベクレル/kg乾物重>であった。 

  しかし今回のヤツデは、原発事故で木が直接被曝したり、ヤツデが生えている土壌が、多分一度も除染していないと思われる被曝した付近の木々の8年半たった落葉有機物層のままなので、そこから依然として、植物に吸収されやすい可溶性の放射能が雨水で溶けだして、根から吸収されて、植物全体に移行していると思われる。とりわけ新鮮な生殖成長組織である花器に移行していることがわかる。






スライド4 

図1.ヤツデの木の頂点を採取した。左上のもじゃもじゃは花器




スライド3 

図2 採取した後のヤツデの木の頂点切断面






スライド1 



図3 ヤツデの木のオートラジオグラフ 花器の強い汚染が印象的である。

  

スライド2 

図4  図3のネガテイブ画像




表1 ヤツデの部位別放射能濃度
ヤツデの放射能1 



(森敏)
2020-02-01 15:11 | カテゴリ:未分類
以下転載です

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NHK News Web

林業再生へ 森林除染の研究発表

1月1日22時08分


https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20200131/6050008789.html


原発事故後の林業再生に向けた放射性物質を取り除く森林の除染について研究発表が行われ、専門家は、放射性セシウムは森林の内部を循環していて、効果的な除染のためには、樹木や土にどう分布しているか把握することが重要だと指摘しました。

この発表会は、福島大学環境放射能研究所が二本松市で開き、県内の林業関係者などおよそ60人が参加しました。
 
チェルノブイリ原発事故のあと、ウクライナで研究してきた福島大学のヴァシル・ヨシェンコ特任教授は「放射性セシウムは樹木と土の間を循環して、なかなか減っていかない。効率的に取り除くためには、樹木や周辺の土にどう分布しているか、把握することが重要だ」と指摘しました。
 
そのうえで、どの季節に、どのような除染を行うのが効率的か、研究を進めていることを紹介していました。
 
環境省の担当者も出席し、林業関係者からは今後の森林除染の見通しや帰還困難区域での除染などについて、盛んに質問したり、意見を述べたりしていました。
 
ふくしま中央森林組合の水野郁夫組合長は、「沿岸部では広い範囲で林業を再開できていない。森林の除染には多額の費用がかかるので、政府が乗り出すのか、気になります」と話していました。
 
2019-11-15 16:23 | カテゴリ:未分類

福島県双葉郡双葉町細谷 の道路から150段ぐらい上がると山頂に羽山神社というのがあり、そこから南西を眺望すると、1.3kmぐらい先に東電第一原発の原子炉の5号機や6号機があるはずである。しかし、現在すでにいろいろの建物が建設されてきているので、この角度からは2つの原子炉は隠れて見えない(図1)。
スライド2 
図1.東電福島第一原発敷地を羽山神社から南西に眺めると。。。。。

   

さかのぼって、東電の平成27年の資料の図面によるとこの地域に「雑固体廃棄物焼却設備」が<建設中>と記されていた。が、その後、東電の2019年1月31日の資料の図面では、この「雑固体廃棄物焼却設備」は完成したようである。
  

https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/osensuitaisakuteam/2019/2-3.pdf

  

それが図1の左の煙突が立っている全面が白色で覆われている建物と思われる(この写真では煙突はぼけて見えるが実際は2本が重なって立っている)。この東電の資料の図面には、敷地内のこの新規建造物の周辺には毎日の除染作業員から出た膨大な「使用済み保護衣服」や敷地内の森林伐採汚染雑木などの置き場があちこちに散在して、結構な敷地面積を占めているように描かれている。なので、ここではこれら原発敷地内で生じた「放射能汚染雑固体」を東電はいよいよ焼却による減容化処理に踏み切るのかもしれない。煙が出ていないので実際の焼却はまだ可動していないようだが。(どこかで東電は敷地内での減容処理に関する発信をしているのかもしれないが、小生はニュースでは確認していない)

     

この建物以外に図1では中央右側にしっかりした高い煙突のある建物が急ピッチで建設中である。これは東電の2019年1月31日の資料の図面では全く示されていないが、何かの放射能汚染物質の焼却場であると思われる。木の枝に隠れて見えにくいのだが、高い煙突がそびえている。11月9日の段階では建物の白い壁の面積がほぼ完成に近くおおわれており、2週間前に眺めた10月27日の時点から比べて急ピッチで進捗していた。

  この2つの建物群を見ながら過去8年間の減容化の動きについていろいろなことを思い出した。

  

過去にさかのぼれば、このような焼却による減容化施設はすでに平成26年度から環境省によって飯館村蕨平(わらびだいら)で住民の苦渋の選択により施設が稼働実施されている。(しかし小生はこれまで、この施設の現場を外からでも見学してはいない)

https://www.vill.iitate.fukushima.jp/uploaded/attachment/2083.pdf

飯舘村蕨平地区における可燃性廃棄物減容化事業について
   
スライド1 

図2.減容化施設か?   
     

今回も、偶然発見したのだが、11月9日に郡山から浪江町に至る道路の途中に図2のような施設があり、煙突から白色の水蒸気様の煙が立ち上っていた。この施設は一見して、真っ白な壁で囲われた閉鎖系であるので、単なるごみ焼却場ではなく放射能の汚染物を処理する焼却場ではないかと思われる。車で急いでいたのでよく確認できなかったのだが、建物の看板に「安達地方広域行政統合」などの文字と6社のロゴが示されていたので、コングロマリットであると思われた。大中小の土建業者などが相応に利権を分け合ってこの工場は建設されて可動しているものと思われる。

 

     

実は、小生は以下のブログで述べているように、原発事故暴発の年である2011年の9月の段階で、放射能汚染土壌などの減容化を頻繁に提案した。その後、あまりにも行政の動きがちんたらしていたし、基本的には除染技術の実践は住民の説得と土建屋さんの談合のテーマなので、途中で、この件には関わらないことにした。関わりようがなかったといった方が正しい。

  

第2回除染学会で、小生が、会場で「ダイオキシン処理施設や高温ロータリーキルンなどによる焼却による減容化をなぜ進めないのか?」と質問した時に、ある通産官僚のOBが小生に囁いてくれた言葉が忘れられない。

   

「大手各社が足並みを揃えて、除染技術を確立しなければ、どこか一社が突出したら各社が膨大な除染予算の利権にありつけないからだよ」。


    

減容化に関して、以下のWINEPブログをご参考ください。

  

2014/06/30 : 意外に早く「放射能汚染土壌の減容化技術」は達成するかもしれない

2012/08/29 : 再論:ロータリーキルンによる放射性セシウム汚染土壌の減容化について

2012/03/24 : 環境省による減容化実験の公募採択課題について

2012/02/22 : 今度こそ本物であってほしい

2012/01/20 : 「灰は危険」とばかり言わずにそこから「教訓」を導き出すべきだ

2012/01/03 : 大成建設はやる気らしい

2011/09/19 : 農水省の「ふるさとへの帰還に向けた取組」は剥離表土の出口が問題

2011/09/03 : 提案17:放射性セシウム濃厚汚染表土は汚染現場で焼却処理すべきである

        

現在上記に紹介したように少なくとも草木の減容化技術はほぼ実証試験で確立して、減容化事業は、詳しく報道はされていないが、放射能の強度汚染地域で、住民が帰還できていない地域では、避難住民がやむなく受容できる事業として、あちこちで行われているものと思われる。

 


(森敏)
2019-08-18 16:20 | カテゴリ:未分類

福島原発による放射性セシウム汚染対策関連の発表題目
(氏名は長くなるのでfirst,second・・・・  last authorのみを示している)の紹介

日本土壌肥料学会 於:静岡大学にて開催予定 (2019年9月3~5日).

 
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土壌―水稲系での放射性セシウムの移行を規定する物理化学的および時間的要因

吉川省子・井倉将人・江口定夫

 

放射性セシウム対策実施水田におけるカリウム収支

錦織達啓・久保田富次郎・宮津進

 

森林生態系における安定セシウムの分布と循環

伊藤優子・小林政広・今矢明宏

 

福島県内農耕地土壌におけるセシウム133固定ポテンシャルと粘土鉱物組成

加藤 拓・今野裕也・・・・・前田良之

 

有機物除去に伴う放射性セシウム吸着能の変化

中尾淳・田代有希・・・・矢内純太

 

白花ルーピンのカリウム欠乏下における不可給態カリウムおよびセシウムの可給化機構

藤本久恵・高雄惇英・・・・・渡部敏裕

 

ラジオアイソトープを用いた植物体内の元素動態のイメージング

鈴井伸郎・河地有木・・・・松本幹雄

 

塩化ナトリウム施用下でのキノアによるセシウム吸収について

磯部勝孝・肥後昌男

 

水稲におけるセシウム体内輸送へのOsHAK5の関与の可能性

頼泰樹・古川純・・・・・服部浩之

 

Contribution of SKOR gene to Cs and K absorption and translocation in plants

菅野里美・Ludovic Martin・・・・Nathalie LEONHARDT

 

K減肥水田土壌での放射性Csの玄米への移行抑制に必要な非交換態K量の検討

黒川耕平・中尾淳‥‥‥矢内純太

 

牧草中放射性セシウム濃度の経時変化と土壌の放射性セシウム存在画分からの移行推定

山田大吾・塚田祥文・・・栂村恭子

 

土壌から牧草とイネへの放射性セシウムの移行実験と移行モデルの評価

植松慎一郎・・・・・・Erik Smolders

 

イネ玄米中の放射性セシウム含量品種間差をもたらす原因遺伝子

大津(大鎌)直子・福原いずみ・・・横山正

 

ダイズの放射性セシウム吸収に関与する異伝因子の探索 その1:QTL-seq解析による大豆の放射性セシウム吸収に関与する遺伝子領域の解明

宇田真悟・山田哲也・・・・横山正

 

福島県内の水田におけるカリ収支とカリ集積量

藤村恵人・若林正吉・・・・・遠藤わか菜

 

福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第46報) 中山間地域における除染後水田での均平対策後の牛糞堆肥による地力回復効果

松岡宏明・斎藤正明・・・信濃卓郎

 

試験水田における灌漑水・間隙水中137Cs濃度と変動要因

塚田祥文・斎藤隆

 

除染後圃場での堆肥施用がダイズ生育と放射性セシウムの移行に及ぼす影響

久保堅司・木田義信・・・・・信濃卓郎

 

放射能による樹皮汚染の立体可視化の手法について

森敏・加賀谷雅道・・・・中西啓仁

 

福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第47報) 

低カリウム条件下における飼料用米・品種系統のCs-137移行リスク評価手法の開発

斎藤隆・菅野拓郎・・・・横山正

 

土壌還元が水稲の放射性セシウム移行に及ぼす影響

若林正吉・藤村恵人・・・・太田健

 

セシウム吸着シートを用いた畑地土壌における溶存態放射性セシウム量の変動把握

井倉正人・吉川省子・杉山恵

 

溶存有機物による風化花崗岩土壌中のセシウムの移動促進効果

辰野宇大・濱本昌一郎・・西村拓

 

天水田における作土中137Csの滞留半減時間の推定

原田直樹・鈴木一輝・・・吉川夏樹

 

ダイズ子実の放射性セシウム濃度を効果的に低減させるために必要な時間の検討(1)

関口哲生・木方展治・井倉将人

 

土壌表層へ附加された底泥からイネへの放射性Cs移行

安瀬大和・松原達也・・・・・鈴木一樹

 

灌漑水田由来放射性Csの水田土壌表層への蓄積

星野大空・荒井俊紀・・・・原田直樹

 

異なる耕起法による更新を行った除染後採草地の土壌中放射性セシウムの濃度分布について

渋谷岳・伊吹俊彦・新藤和政

 

ドローン空撮を用いた除染後水田における土壌炭素・窒素濃度の面的予測の試み

戸上和樹・永田修

 

蛍光版を利用したオートラジオグラフィー技術で植物体内の元素動態を見る

栗田圭輔・鈴井信郎・・・・・・酒井卓郎

 

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(森敏)
付記:
  以上のように、今年は31課題の放射能汚染関連の研究発表がある。大学の研究者や現場の農業技術者は、福島農業の復興のために、2011年に発生した福島原発事故のしりぬぐいを8年間にわたって延々とさせられているわけである。実に地道な研究活動というべきであろう。
 
  しかし、原発事故という人類にとって未曽有の負の遺産を逆手にとって、これを契機にして、新しい自然現象の発見や新規技術開発をおこない、次世代人類生存のための学問も新しく発展していくべきなのである。そうでなければいつまで経っても被災者心理は救われないだろう。

  過去に遡れば、古河鉱業(足尾銅山)による渡良瀬川流域の銅による鉱毒汚染、神岡鉱山による神通川流域カドミウム汚染(イタイイタイ病)、窒素水俣工場による水俣湾の水銀汚染(水俣病)などなど、鉱毒、公害、による人体・環境汚染は、皮肉なことに、それを修復回復させるための医学・生物学・環境科学などを遅々とではあるが発展させてきたのである。

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