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2019-10-16 14:43 | カテゴリ:未分類

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        多摩川流域の武蔵小杉駅前の水浸で161メートル643戸のタワーマンションの地下3階に設置されている配電盤が水没して、エレベーターが止まり、水道水のポンプアップができなくなり、住民が苦闘している。

 

一方で、北陸新幹線の車両基地の車両が水没して120両の車両が水没し、再生不良に近い状態になっている。

 

以上の二つは、いずれも想定外と言いたいだろうが、ハザードマップではちゃんと水没水深の最高位が予想されていたことのようである。自治体が配るハザードマップは100年に一度の最悪事態を想定しているのかもしれないが、まさに100年に一度の事がつい先日起こったわけである。いずれの場合も関係者がハザードマップを軽視していたとしか思えない。

   

以下無断転載です
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 台風19号の影響で、東急東横線武蔵小杉駅近くの47階建てタワーマンション1棟が、24階まで停電したまま、エレベーターが使えない状況になっている。川崎市が取材に明らかにした。地下3階の電気系統の設備に浸水したためで、断水は全戸に及んでいる。

 高さ約161メートル、643戸のマンションは、ポンプで水をいったん上層階までくみ上げ、各世帯に供給する仕組みとなっているが、停電によりポンプが動かず、全戸で断水、トイレも使えない。管理会社が水や携帯するタイプのトイレを住民に提供している。

 電気系統のシステムは、1階から24階までと、25階から上階に分かれている。エレベーターが動かない階の住民は、階段を使わざるを得ないという。

 住民らによると、エレベーターが止まっているため、真っ暗な非常階段を、懐中電灯を使って移動している。高層部分に住む女性は「管理組合から『長引きそうだ』との説明があった。しばらく別の場所に行く」と話し、スーツケースを持って駅に向かった。

 住宅と工場の街だった武蔵小杉駅周辺は2007年の工場移転をきっかけに開発が進み、10年のJR横須賀線武蔵小杉駅開業で開発はさらに加速。新宿、渋谷、横浜、成田空港がJRや東急線でつながる交通の利便性が人気を呼んでいる。現在、駅周辺には11棟のタワーマンションが完成している。(石原剛文、大平要)

 

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台風19号による千曲(ちくま)川の堤防決壊でJR東日本の「長野新幹線車両センター」(長野市赤沼)の車両基地が浸水、北陸新幹線の車両120両が水没した。水没車両が運用する全車両の3分の1にあたり、修理には大幅な機器交換などが必須。北陸新幹線の全線再開は少なくとも12週間かかる見通しだが、仮に復旧しても運転本数は56割にとどまる見通しだ。

 当初、湖のようになっていた現場は15日には水が引き、作業員らが浸水後、初めて被害状況の確認を行った。JR東の担当者は「なぜ、こうなったのか分からない」とこぼした。

 高崎(群馬県高崎市)-金沢(金沢市)間を結ぶ北陸新幹線は、高崎-上越妙高(新潟県上越市)間がJR東、上越妙高-金沢間がJR西日本の管轄。1編成12両の計30編成(360両)を運用している。

 基地はJR長野駅の北東約10キロ、氾濫した千曲川からは西に約1キロ離れた場所にあり、営業運転を終えた車両を収容、検査などを行っている。当時は両社保有の車両が1編成12両ずつ、計10編成止められていた。

 千曲川から基地までの間には新幹線の線路や田んぼ、民家が並ぶ。鉄道評論家の川島令三氏は、「実際に見たことがあるが、川からあそこまで水が来るとは考えられなかった」と驚くが、長野市のハザードマップでは洪水時の基地付近の浸水を「最大10メートル以上」と予想していた。(20191016産経新聞)

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現場検証中の河川工学の専門家によれば、荒川が氾濫寸前だったことが放映されていた。これが氾濫すると東京の地下鉄網が水没し多くの人命が失われ、多くのタワーマンションが機能不全になっただろう。

 

テレビを見ていて、先日散歩した隅田川のプロムナードのベンチが、ちゃっぷちゃっぷと水浸し始めたのを見て、ちょっと怖気づいた。ここで東海大地震が来て隅田川の堤防が決壊するというダブルパンチに見舞われたら、東京はアウトである。今後決してありえないことではないだろう。

 

完成目前の「止ん場ダム」が幸い貯水テストを始めた時期で、満水になるまでの余裕があったので、ダムの放水をしなくてよかったために、利根川が氾濫しなかったのだ、などとも報じられている。(誰も指摘しないので個人的な想像だが、田中正造の怨念がこもる「渡良瀬遊水池」も効果的に渡良瀬川からの緩衝地帯として作動したのかもしれない

   

しかし全国で多くの河川が機能不全を起こして決壊したということは、これまでの国土保全の基準が甘かったということである。この基準を早急に根底から見直す必要があるだろう。河川工学と土木工学の出番である。

 

福島原発処理対策、東京でのオリンピックの準備工事、今回の災害地での復旧対策など、日本の土建業界は人員不足で、急きょ外国人労働者の大量雇用が必須だろう。
 
  今や地球規模での自然現象の異変は100年に一度の確率論は全く意味がなく、寺田寅彦が言うような「天災は忘れられたる頃来る」のでもなく、天災は今すぐにでもやってくる。

       

小生は台風19号襲来前から、自宅で懐中電灯の電池のチェック、ロウソクとマッチのありか、小型ラジオのありかと機能チェック、携帯電話の充電、ペットボトル水の大量確保、風呂水を満タンに、などなどにわか点検して回った。だが台風一過3日後のこれを書いているいま、、いまさらながら、わがマンションの配電盤がどこにあるのかなどは全く知らないことに気が付いた。さっそく管理人に聞きに行かなくっちゃ!

 

 

 

(森敏)

追記1。以下転載。

 国が来春の完成を目指し、利根川上流の吾妻川で試験貯水中の八ツ場(やんば)ダム群馬県長野原町)が12日から13日にかけ、一昼夜でほぼ満水になった。台風19号による記録的な大雨の影響。ダムの一夜城のような変貌(へんぼう)ぶりに、周辺には観光客らの人だかりができた。

 前橋地方気象台によると、ダム上流の同県嬬恋村田代で11日午後2時ごろからの48時間に、年間降水量の3分の1相当で観測史上1位の442ミリを観測するなど、記録的な雨が降った。

 国土交通省の発表では、八ツ場ダムには11日午前2時から13日午前5時の間に約7500万立方メートルの水が流入した。この結果、水位は54メートル上昇。その後も水量が増え、15日午後6時ごろ、満水位に達した。今月1日からの試験貯水では3~4カ月で満水位まで水をためる予定だったが、半月で満水になった。

 計画上は、降水量が増える7月… 
(朝日新聞 
丹野宗丈 20191015)
  
   
追記2.上記に




「渡良瀬遊水池」も効果的に渡良瀬川からの緩衝地帯として作動したのかもしれない

      

と書いたが、河川工学の先生に電話で伺っても、「たぶん渡良瀬遊水地も満水になっているんじゃないか」というおぼろげな返事だった。
     
そこで、本日(10月17日)気になったのでネットで調べたら、なんと

「台風19号」フィンランドのレーダー衛星が撮影した午前3時の渡良瀬遊水地
https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20191015-00146887/

という素晴らしい署名記事が出てきた。どうやら普段は 「アシ野原」である渡良瀬遊水地は、今回満水になり、初めて、所期の目的通り、洪水調節機能を発揮してくれたようである。河川工学の成功例かもしれない。
   
そこで、本文と少し趣旨がずれるのだが、まだ国民があまり注目していない国土交通省による渡良瀬遊水地の写真を追記で最前線に掲載した。
  
 
追記3.以下のように産経新聞10月19日号が渡良瀬遊水地が19号台風に対して、辛くも機能したことを報じている。
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 ■渡良瀬遊水地、過去最大量に…利根川、江戸川守る

 各地の河川事務所などによると、茨城、栃木、群馬、埼玉4県にまたがり、利根川に流れ込む渡良瀬川などの水の量を調節する役割を持つ日本最大の渡良瀬遊水地は、今回の台風で総貯留量約1億7千万トンのうち、過去最大となる約1億6千万トンをため込んだ。

 渡良瀬川が利根川に合流する埼玉県久喜市の栗橋観測所では、13日午前1~10時まで、水位が氾濫危険水位の8・9メートルを超えていたが、利根川から分かれて東京湾に注ぐ江戸川は氾濫危険水位に達しなかった。
:::::::


2019-09-27 07:20 | カテゴリ:未分類

昨年の夏の終わり9月初旬に、雨の翌日が絶好の天気であった。軽井沢で散歩をしていると、あちこちに実に多様なキノコが散見された。そこで突然思いついて、キノコを2日間にわたって採取した。

      残念ながら秤を持参してこなかったので、生体重を測定できなかった。うっかりしてキノコの種類によっては、一日で萎れてしまったので、そういう種類のキノコは、東京に持ち帰って徹底的に乾かした後に、乾物重を測定し、乾物重当たりの放射能値を算出した。比較的硬くて萎れにくかったものは、帰ってすぐに生体重を秤り、生体重当たりで、のちの放射能値を算出した。全部で26点を放射能測定した(表1)。

     表1には乾物重当たりで9種類、生体重当たりで10種類を示している。未掲載の7種類は検出限界以下であった。以下採取時の26種類のキノコの写真は図1から図7までの組み写真にして示している(画像が出るまでには、多少時間がかかるかも)。
  
 
スライド1
図1

 
スライド2
 
図2 
 

スライド3 
図3

 スライド4 
図4.左上は カイメンダケ(直径約25センチ) 

 
スライド5
図5. 
 
 
スライド6 
図6.右下はサルのコシカケ 
 
 
 
 スライド7
図7 右は黄色の塗料のようなキノコ。


なお、すべてのキノコは詳しい同定をする時間がないので、未同定である。直径25センチばかりのカイメンダケは同定した。サルノコシカケも俗称である。

    

結果を簡単に整理すると、

1.生体重1kg当たりの放射能値が100 ベクレルを超えるものは2点しかなかった。

2.キノコによっては水分含量が95%以上もあると思われので、乾物重当たりの放射能値は20倍以上に濃縮された値になっているものと思われる。この中にはもしかしたら、生体重1kgあたりで100ベクレルを超えるものがあったのかもしれない。

3.        サルのコシカケは放射能値が低い。

4.        20113月の福島第一原発から軽井沢に飛来したフォールアウトが、草や樹木を汚染し、2018年9月でもそれらが枯死した遺体から、なお多種類のキノコが放射性セシウムを吸収していたことは確実である。

 
 
表1.

キノコ軽井沢の整理1

2019-09-21 16:45 | カテゴリ:未分類

福島県大熊町役場は原発10キロ圏内にある放射能高度汚染地域であるが、なぜかガードが固くて、小生たちはいまだに調査には入れていない。そんなときに、NHKの某氏から「某大学の調査団の大熊調査に同行できることになったので、面白い花を根付きでサンプリングしてきましたが、ご入用でしょうか?」というメールが届いた。
 
  願ってもないことなので、「できれば、根をできるだけきれいに洗って、ただちに新聞紙に強く押し葉にして、毎日新聞紙を取り替えて、1週間ぐらい経った後の完全に乾燥した“押し葉”サンプルを送ってください」と強引に頼んでおいた。その後2本の押し葉サンプルが送られてきた(図1、図2)。花の名前はショウジョウバカマと同定されていた。
 

スライド1 
 図1 ショウジョウバカマ-1 (根の部分の土がとり切れていない)
 
 

スライド2 
図2 ショウジョウバカマ-2  (根の部分の土はほぼ取り切れている)
 
 
スライド3 
 図3 図1の放射線像 (ネガテイブ画像:土の強い放射能によるハレーションがある)
 
 
スライド4図4.図2の放射線像(ネガテイブ画像)  花びらの基部の〇に注目。
 
 
 表1.ショウジョウバカマの部位別放射能(NaIスペクトロメーターによる)
ショウジョウバカマ1 

      

この植物は根と比べて、茎・花器の放射能濃度が、他の植物に比較して極端な差がない(表1)。いったん根に吸収されさえすれば、セシウムは容易に地上部に移行するものと考えられる。おそらく、いったんセシウムは根圏土壌から根に吸収さえすれば、根にとどまることなく、導管への排出のカリウムトランスポーターを通じて膜の抵抗なくセシウムは導管に排出されて、地上部に移行するのだと思われる。

    

特徴的なのは、花びらの基部に種子が形成されつつある部分(たぶん子房)が色濃くセシウム汚染されている(図2と図4の花器参照)。2019年春の大熊町の根圏土壌の放射性セシウム濃度の約4分の1の濃度に花器に放射性セシウムが濃縮されている(以降係数0.248)ので、この植物はセシウムを次世代にも吸収移行しやすいのかもしれない。
  

  
(森敏)
2019-09-11 14:34 | カテゴリ:未分類

     小生は、中学生のころは、六甲山のシダ植物を50種類ばかり採取して押し葉にして、夏休みの理科の宿題として提出したことがある。その時は牧野富太郎編集の「牧野植物図鑑」が最高の指南書であった。押し葉の標本にラテン語の学名を付すのでなんとなくアカデミックな気分を味わえた。
 
  灘高では、生物は1年生の時だけ授業があったが、この生物の教師は牧野富太郎の弟子とかを自称していて、フィールドワークには強いということであった。しかし、灘高では野外実習がなかったので、この教師の特技を学べなかった。この生物学の授業は何をしゃべっているのか脈略がなく、教師の不勉強が顕著でつまらなかった。

 

  その後、駒場の東大教養学部では湯浅明教授の授業を受けたのだが、これがまた最初から最後まで生物の分類学で、分類名や種の名前をラテン名で黒板の全面にずらずらと書くという教え方で、本当に何の感動もなかった。睡魔が襲ってきて、分類学がすっかり嫌になった。しかし、同期の某君等は、期末試験の時に「先生、回答用紙は何枚書いてもいいのでしょうか?」などと、えんえん「生物進化」に関する回答を書き連ねていたので、彼我の知識量の差に圧倒された。一方生理・生化学などの授業はクラス担任の菅原先生(お名前は忘れました)が教えていたが、この先生の専門はウニの発生学ということで、生化学がとんと弱かった。柴谷篤弘などが紹介する当時台頭する分子生物学をフォローできていなかったのだと思う。

  本郷の農芸化学科に進学してからは植物栄養肥料学(三井進午教授)研究室では選択的除草剤の研究を石塚皓造助手(現筑波大学名誉教授)が行っていたので、田畑や大学構内の雑草の名を 当時めずらしいカラー印刷の「日本原色雑草図鑑」とにらめっこで必死で覚えた。が、記憶力の悪さに我ながら嘆息した。その時覚えた雑草の名前が最近はほとんどすぐには思い起こせない。
     
  三井研究室では現地見学を兼ねて、毎年夏休みには、泊りがけの研究室旅行をしていた。ある年に埼玉県の国立の北本農業試験場(現在は廃止されている)を訪れた。この時は出井(名前は忘れました)場長ご自身が場内を案内してくれた。出井さんは土壌肥料学が専門だったのだが、この試験場では当時の流行の試験研究課題として、水田や畑の作物は殺さないが、雑草のみを殺すための「選択的除草剤」の開発試験もされていた。現場での説明では雑草の名前が彼の口からすらすらと出てくるのに感心した。「出井さんは水田雑草などの植物の名前をどのようにしておぼえられたのですか?」と伺ったところ、「はずかしながら、自分が知らない雑草は小学生の自分の子供の夏休みの宿題にして、子供と一緒に採取して押し葉にして、学名などを覚えたんです」という返事が返ってきた。偉くなっても地道に苦労されているのだなーと感動した。
          
       

     このように 草花や動物の名前を覚えるには、徹底的に幼少の時からきちんとした博物学の教師に連れて行ってもらって、生きている現場で学ぶことが重要であると痛感しているが、もう遅い。
              

  名古屋大学の植物栄養学教室の教授であった谷田沢道彦先生(故人)は、東大農芸化学科の出身だが、若い時にイギリスの国立公園「キュー・ガーデン」に留学しておられて、土壌肥料学会のエクスカーションなどでいっしょになると、そこら辺の雑草の名前をラテン名で諳んじており、次から次へとメモに書いて、小生に見せてくれるほどの博覧強記であった。分類学者でもないのにこの先生の頭の構造はどうなっているのだろうと驚嘆したものである。先生は、生前に自分が持っている「貴重な数多くの植物分類の原書などをどう処分しようか」などと悩んでおられたが、その後どうなったのかは知らない。

 

  原発の放射能汚染地帯の調査に行くと植物の採取も行うので、必然的に学名を正確に同定しなくてはならない。ほとんどが通常の雑草や樹木だから、ほぼ同定の間違いは起こらないはずだが、最近は名前がすらすらと出てこなくなった。とくに樹木は持ち帰った葉の形や種子だけでは分類が難しい。だから専門家に同定していただいている。

 

  先日本屋をぶらついていると、以下の文庫本が4冊が同じところに置かれていた。本屋さんの販売戦略だとは思ったのだが、この4冊を買って日本の普通の身近な植物をどのように表現しているのか、どれが素人に一目で分かりやすく描けているか、などを比較検討してみることにした。

 

新編 百花譜百選 木下杢太郎画/前川誠郎編 岩波文庫

柳宗民の雑草ノート 柳宗民 文/三品隆司 ちくま学芸文庫

シーボルト 日本植物誌 大場秀章監修・解説 ちくま学芸文庫

身近な雑草の愉快な生き方  稲垣栄浄 文/三上修(画)

  一番親しみが持ててわかりやすく描かれていると思われたのは「百花譜百選」で、木下杢太郎が 東大の皮膚科の教授でありながらこれらの絵をまさに第二次世界中(昭和18年3月から年-20年7月)の間に描いていることに一種の感慨を覚えた。それらの絵には寸書きがあり、身近な出来事やあるいは戦時の局面が抑制的に記載されている。東京の空襲下で、食糧難である上に、深刻な胃腸病で本人が衰弱しつつあるのに、1種類の草木を何時間もかけて描く執念の深層心理ががどこにあったのだろうかと、描画を見ながら深く考えさせられるものがあった。戦時でほとんど戦況については絶望的心境にあったのではないだろうか。小生は20年以上前に、伊豆で科研費の会議があって、いちど医学部の友人の案内で伊東市にある木下杢太郎記念館を訪れたことがあるが、その時は木下杢太郎は単なるデイレッタンではないか、としか印象がなかったのだが、実際は才能が溢れすぎる人材だったことが、前川誠郎氏によってこの本の「あとがき」に記されている。 


(森敏)
付記1:
文藝春秋2015年4月号に「本草学の現在」というテーマで 前掲のシーボルトの本の監修者である大場秀章東大名誉教授が以下に述べている。
::::高等教育研究機関である大学では、設立当初日本の生物相の解明を大きな研究課題に据えたが、第二次世界大戦後は消滅は免れたものの気息奄々(きそくえんえん)の状態が続いた。その余波といっては語弊があるかもしれないが、多様性研究を担う施設の博物館さえあわや不要の烙印を押されそうになったこともあった。:::::::

  つまり東大理学部植物学教室や他の大学からも、新しい生理学や分子生物の台頭に抗しきれず、早々と分類学の講座が消滅してしまったようである。しかし現在では付属博物館や付属植物園の教員が分子生物学と形態学をドッキングした新しい研究領域に気を吐いて、世界的な研究成果を挙げつつあるようである。


付記2. 上記の記事は2015年に書き留めていたものに若干手を加えたものです。

 

 

 

2019-08-18 16:20 | カテゴリ:未分類

福島原発による放射性セシウム汚染対策関連の発表題目
(氏名は長くなるのでfirst,second・・・・  last authorのみを示している)の紹介

日本土壌肥料学会 於:静岡大学にて開催予定 (2019年9月3~5日).

 
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土壌―水稲系での放射性セシウムの移行を規定する物理化学的および時間的要因

吉川省子・井倉将人・江口定夫

 

放射性セシウム対策実施水田におけるカリウム収支

錦織達啓・久保田富次郎・宮津進

 

森林生態系における安定セシウムの分布と循環

伊藤優子・小林政広・今矢明宏

 

福島県内農耕地土壌におけるセシウム133固定ポテンシャルと粘土鉱物組成

加藤 拓・今野裕也・・・・・前田良之

 

有機物除去に伴う放射性セシウム吸着能の変化

中尾淳・田代有希・・・・矢内純太

 

白花ルーピンのカリウム欠乏下における不可給態カリウムおよびセシウムの可給化機構

藤本久恵・高雄惇英・・・・・渡部敏裕

 

ラジオアイソトープを用いた植物体内の元素動態のイメージング

鈴井伸郎・河地有木・・・・松本幹雄

 

塩化ナトリウム施用下でのキノアによるセシウム吸収について

磯部勝孝・肥後昌男

 

水稲におけるセシウム体内輸送へのOsHAK5の関与の可能性

頼泰樹・古川純・・・・・服部浩之

 

Contribution of SKOR gene to Cs and K absorption and translocation in plants

菅野里美・Ludovic Martin・・・・Nathalie LEONHARDT

 

K減肥水田土壌での放射性Csの玄米への移行抑制に必要な非交換態K量の検討

黒川耕平・中尾淳‥‥‥矢内純太

 

牧草中放射性セシウム濃度の経時変化と土壌の放射性セシウム存在画分からの移行推定

山田大吾・塚田祥文・・・栂村恭子

 

土壌から牧草とイネへの放射性セシウムの移行実験と移行モデルの評価

植松慎一郎・・・・・・Erik Smolders

 

イネ玄米中の放射性セシウム含量品種間差をもたらす原因遺伝子

大津(大鎌)直子・福原いずみ・・・横山正

 

ダイズの放射性セシウム吸収に関与する異伝因子の探索 その1:QTL-seq解析による大豆の放射性セシウム吸収に関与する遺伝子領域の解明

宇田真悟・山田哲也・・・・横山正

 

福島県内の水田におけるカリ収支とカリ集積量

藤村恵人・若林正吉・・・・・遠藤わか菜

 

福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第46報) 中山間地域における除染後水田での均平対策後の牛糞堆肥による地力回復効果

松岡宏明・斎藤正明・・・信濃卓郎

 

試験水田における灌漑水・間隙水中137Cs濃度と変動要因

塚田祥文・斎藤隆

 

除染後圃場での堆肥施用がダイズ生育と放射性セシウムの移行に及ぼす影響

久保堅司・木田義信・・・・・信濃卓郎

 

放射能による樹皮汚染の立体可視化の手法について

森敏・加賀谷雅道・・・・中西啓仁

 

福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第47報) 

低カリウム条件下における飼料用米・品種系統のCs-137移行リスク評価手法の開発

斎藤隆・菅野拓郎・・・・横山正

 

土壌還元が水稲の放射性セシウム移行に及ぼす影響

若林正吉・藤村恵人・・・・太田健

 

セシウム吸着シートを用いた畑地土壌における溶存態放射性セシウム量の変動把握

井倉正人・吉川省子・杉山恵

 

溶存有機物による風化花崗岩土壌中のセシウムの移動促進効果

辰野宇大・濱本昌一郎・・西村拓

 

天水田における作土中137Csの滞留半減時間の推定

原田直樹・鈴木一輝・・・吉川夏樹

 

ダイズ子実の放射性セシウム濃度を効果的に低減させるために必要な時間の検討(1)

関口哲生・木方展治・井倉将人

 

土壌表層へ附加された底泥からイネへの放射性Cs移行

安瀬大和・松原達也・・・・・鈴木一樹

 

灌漑水田由来放射性Csの水田土壌表層への蓄積

星野大空・荒井俊紀・・・・原田直樹

 

異なる耕起法による更新を行った除染後採草地の土壌中放射性セシウムの濃度分布について

渋谷岳・伊吹俊彦・新藤和政

 

ドローン空撮を用いた除染後水田における土壌炭素・窒素濃度の面的予測の試み

戸上和樹・永田修

 

蛍光版を利用したオートラジオグラフィー技術で植物体内の元素動態を見る

栗田圭輔・鈴井信郎・・・・・・酒井卓郎

 

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(森敏)
付記:
  以上のように、今年は31課題の放射能汚染関連の研究発表がある。大学の研究者や現場の農業技術者は、福島農業の復興のために、2011年に発生した福島原発事故のしりぬぐいを8年間にわたって延々とさせられているわけである。実に地道な研究活動というべきであろう。
 
  しかし、原発事故という人類にとって未曽有の負の遺産を逆手にとって、これを契機にして、新しい自然現象の発見や新規技術開発をおこない、次世代人類生存のための学問も新しく発展していくべきなのである。そうでなければいつまで経っても被災者心理は救われないだろう。

  過去に遡れば、古河鉱業(足尾銅山)による渡良瀬川流域の銅による鉱毒汚染、神岡鉱山による神通川流域カドミウム汚染(イタイイタイ病)、窒素水俣工場による水俣湾の水銀汚染(水俣病)などなど、鉱毒、公害、による人体・環境汚染は、皮肉なことに、それを修復回復させるための医学・生物学・環境科学などを遅々とではあるが発展させてきたのである。

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