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WINEPブログ内で「 研究 」を含む記事

(5件づつ表示されます)

2024-05-14 04:09 | カテゴリ:未分類
   國際学会で主催者側に預けていたスライドが(当時は今と違ってスライドだった)紛失してしまって、心臓がでんぐりがえるぐらい慌ててしまった。その会場での一番バッターだったので、消えたスライドが見つかるまで、発表の順位を入れ変えてくれないか、と司会者と交渉しているところで、スライドが持ち込まれてきた。しかし、頭が動転してしまって、スライドの発表の順番を忘れてしまった。。。。。

という夢で先ほど夜中に2回目の目が覚めた。足のくるぶしが攣って実に体調が不快だった。

   このところ体調が不良で、不快な夢ばかり見ている。明らかに体調と夢は相関があるように思う。寝ていて体調がいい時は月に一度もない。だから楽しい夢をほとんど見なくなった。若い時は不快な夢など金輪際見なかったのだが。

   最近、筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史さんがマスコミに出まくっている。オレキシンという催眠抑制物質を発見して、政府から多額の研究費をもらっているので、自らの基礎研究の成果を社会に実装する義務を感じての社会貢献的な積極的な行為だと思う。

   柳澤先生の言っている催眠に関するあらゆる示唆は、小生にとってはことごとく納得のいくものである。

   若い人に比べて老人が夜中に覚醒する頻度が高い(つまり細切れに覚醒している)のは先生が例示されているポリグラフを見れば歴然です。

   先生の説明ではこれは脳の老化(?)せいでオレキシンの分泌が乱れるためだとおしゃっりたいようです(間違っていたらすみません)。

   しかし、小生の場合は、夜中に大体2度目の覚醒の時から、いったん起きます。なぜならこの後すぐにベッドに入ると1時間もしないうちに下半身のどこかが攣るので、そこでリラックス体操で体の筋肉や関節やリンパの流れなどを、ものの本を読んだり、整体師に実技をしてもらって、自己流に調整して、またベッドに入るのですが、3回目の覚醒の時も2-3時間後には又強烈な攣りで覚醒するのです。

   この時の夢は大体なぜか郊外に出かけて、電車に乗って自宅に帰るまでに駅にたどり着けなかったり、そもそもどこ行きの電車に乗ったらいいかわからなくなったりして、目が覚めるのです。

   このように体調と悪夢が連動しています。仕方なく起きるのですが、起きて30分ほどは頭はまだ朦朧境です。

   そこで最近は柳澤先生のご指摘のように、朝の強烈な太陽を浴びるのですが、これは確かに効果があります。実は完全な目覚めのためには「朝日を浴びろ!」とはもう何十年も前から言われていたことですが、若い時はそんなことをしなくても、夢から覚めてすっきりと起きられたのです。

   だいぶ脳がおかしくなってきました。
 
(森敏)

付記1:ところで、テレビや週刊誌で見る柳澤正史先生の顔はいつもすこし眠そうです。ご本人自身もマスコミの対応に追われて、睡眠時間が足りていないように思いますが。(余計なお世話か?)

付記2:昨日はコロナが明けたらしいので、3年ぶりに、対面で、老友7名と3時間以上ビールとコーヒーとお菓子で、パーテイーをしてすごく楽しかったのに、今朝は悪夢で目が覚めて、仕方なしに、このブログを書いております。これから三回目の睡眠に入ります。おやすみなさい。

2024-05-12 14:20 | カテゴリ:未分類
  以下の日本学士院のホームページに、極めて重大な注目すべきことが、学士院会員喜田宏氏によって寄稿されている。

タイトルは「新型コロナウイルス感染症パンデミックを振り返る」である。

https://www.japan-acad.go.jp/japanese/publishing/pjanewsletter/016topics.html

または

PJAニュースレターNo.16 日本学士院

から検索できます。

 2019年11月に中国武漢市で認められた肺炎集団感染事例に始まる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)は、これまでに7億6千万を超える人に感染し、約700万人を死亡させた未曽有のパンデミックを起こし、世界を翻弄した。

から始まるこの短い報告は、喜田氏が

WHOの国際保健規則COVID-19緊急委員として、2020 年1月22日と23日に開催された第1回緊急委員会(EC)電話会議から2023年5月4日の第15回オンライン会議すべてに出席して、パンデミックの克服に向けた議論に参加した経験からの報告です。

小生はCOVIDー19(別名中共ウイルス)が流行して以来ずっと、日本政府の専門家会議やマスコミに喜田氏の名前が登場しないことが非常に不思議でした。彼は、世界一の鳥インフルエンザウイルスの権威であることをよく知っていたからです。この件に関して、喜田氏は

:::::::::::WHOの緊急委員会(EC)に参加する会議ごと秘密保持契約を交わしたので、メデイアの取材は、すべて断っていた。いまこのCOVID-19の緊急委員会を卒業し、国際機関と各国の限界を知った今、日本の対応を改善するための意見を述べたい。:::::::::とのことで論説を続けている。

喜田氏の論説は細部にわたって端正に描かれているので、なかなか簡潔に引用しにくいのですが、小生にとって重要と思われる部分に限って赤字を入れて強調して無断転載させていただきます。おそらくマスコミも含めて多くの方には、この日本学士院のニュースレターは目に留まることがないと思われますので。  

 第1回のECでは、中国の委員から、「本病は武漢の海鮮市場で発生した人獣共通感染症で、人から人への感染は僅かであり、収拾に努めている。」との説明があった。私は、「人獣共通感染症対策の要は、病原体の自然宿主と人への伝播経路を明らかにすることである。先ずCoV-2の人への伝播経路を明らかにするために、海鮮市場の動物、まな板、下水と人の疫学調査を実施すべきである。」と述べたところが、翌23日に武漢の海鮮市場は閉鎖され、立ち入り禁止となったことに驚いた。23日のEC会議でも納得できる情報が提供されなかったので、1週間以内に正確な情報を収集した上でEC会議を開催するよう提案した。

 2020 年1月29日に開催された第2回EC会議で本感染症が国際的に懸念される公衆衛生危機PHEIC (Public Health Emergency International Concern) 状態であることが確認された。WHOの事務総長のDr. Tedrosはこれを受けて1月30日にPHEIC宣言を発出した。

 2021年7月15日に開催された第8回EC会議では、研究、診断、変異ウイルス株とワクチンに関して議論された。その中で、2回のワクチン接種の上に3回目をブースターワクチンとして接種する提案が先進国から出されたことに対する意見を求められ、私は、「ワクチンは、2回接種で、感染による発症・重症化予防効果を示すものでなければならない。2回接種後に感染した場合こそ真のブースター効果が期待される。ワクチンを3回以上接種する意義はないものと考える。ワクチンが余っているなら、足りない国に回すべき。」との意見を述べた。その後これがWHOの方針となった。日本では7回も接種を受けた人が大勢いることを恥ずべきではないか。

 2021年10月22日の第9回のEC会議では、ワクチンの接種率が5%に満たない某国の委員がCOVID-19の致命率が季節性インフルエンザと同程度となったので、PHEIC宣言を撤回すべきであると提案した。私はそれに強く反対し、次の意見を述べた。「死亡率などは、数値のみに頼ってはいけない。感染が全世界に拡がっているので、一般の人々の免疫状態が、重症化と致命率を低く止めていると捉えるべきである。免疫機能障害者や高齢者の重症化と死亡例が減少していないことに注意を払うべきである。さらに、世界の感染者数は増加している。ワクチンと治療薬の開発が未熟である。このウイルスの病原性が高いのは、Sタンパクにフリン開裂部位(塩基性アミノ酸の連続配列)があるために、全身感染を起こすからである。この部位が、何時、何処で如何に挿入されたかを明らかにしなければ、本当の解決につながらない。」

 これが他の委員の賛同を得て、PHEIC宣言の終了提案は却下された。以後2023年1月7日の第14回ECまで反対を続けた。同年5月4日の第15回委員会で、委員長の指名に応え、PHEICの終了を是とする発言をした。その理由として、感染者数の増加が減速し、良い治療薬(ゾコーバ: シオノギと北大の共同研究成果)が開発・実用化されたことに加え、良いワクチンの開発に目途がついたことを挙げた。ただし、PHEICの解除にあたり、次の条件を付すべきことを強調した。すなわち、「SARS-CoV-2の起源が不明のままであることと、そのSタンパクにフリン開裂部位の挿入があるために全身で増える特徴があることから、引き続き警戒を怠ってはならない。また、流行が終わったわけでもない。」5月5日にTedros事務総長は、これに沿ったPHEIC 終了宣言を発出した。

 WHOのECは、19カ国から1人ずつ選ばれた専門家で構成されていた。さらに、国際機関や研究所を代表する専門家12名のアドバイザーが参加して活発な議論が展開された。また、会議の冒頭でWHOの専門職員5名が、それぞれ10 分間で現時の世界の疫学情報を要領よくまとめて提供し、その後にECの議論が3~4時間にわたり進められた。

 これまでの日本のパンデミック対応には不安を感じる。政府と専門家会議のやりとりだけで対策を決めているのは日本だけである。対策も研究も主に米国に追従している。日本の関係予算は極めて少ないので、米国の真似はできない。日本独自の研究と対策を推し進め、世界を先導する術があるはずである。産・官・学(特に基礎、臨床、病理、免疫アカデミア)の連携で的確な研究と対策を進めなければならない。次のパンデミックに備えて、システムを改善、確立しておくべきものと考える。



付記:いささか専門的すぎるかもしれませんが、喜田先生が強調する
Sタンパクのフリン解裂部位のウイルス感染における存在意義とは、AIによれば、以下の通りです。

SARS-CoV-2のSタンパク質(スパイクタンパク質)には、フリンというプロテアーゼによって切断される「フリン開裂部位」が存在します。この部位はS1とS2の境界に位置しており、12個のヌクレオチドが挿入されていることで形成されます。この挿入部位はSARS-CoV-2が他のコロナウイルスと比べて高い感染性と伝播性を持つ一因とされています。

SARS-CoV-2の感染プロセスは次のように進行します:

ウイルスのSタンパク質が宿主細胞のACE2受容体に結合します。
Sタンパク質はフリンとTMPRSS2というプロテアーゼによってS1/S2部位で切断され、融合ペプチドが露出します。
この融合ペプチドが宿主細胞の膜と融合し、ウイルスのRNAが細胞内に放出され、ウイルスの複製が始まります。
フリンによるSタンパク質の切断は、ウイルスの感染性と細胞間の融合を促進しますが、必須ではありません1。フリンが欠損している場合でも、S1-S2の切断は完全には防がれず、SARS-CoV-2の感染と細胞間の融合は減少しますが、完全には阻止されません。これは、フリンを標的とした抗ウイルス療法がSARS-CoV-2の感染を完全に防ぐわけではない可能性を示しています。

以上の情報から、SARS-CoV-2のSタンパク質に存在するフリン開裂部位がウイルスの感染と複製に重要な役割を果たしていることがわかります。しかし、フリンの役割はまだ完全には解明されておらず、今後の研究が待たれます。
2024-05-08 09:03 | カテゴリ:未分類
  以下はWINEPホームページのほうに書いたものに、多少手を加えた文の転載です。

  小生は大新聞の投書欄はほとんど読まない。なぜなら,
「新聞社が自社の主張に合った投書を取り上げている場合が多い」という長年の間に培われた先入観があるからである。しかも投稿原稿の長さに編集部が手を加えている。(実際加えられた経験がある)

  ところが本日(2024年5月7日)、なぜかこどもの週にかこつけてか、朝日新聞は10代の意見をいくつか取り上げていた。その中の一つに、  
  
板書の丸写し本当に必要なのか」
という16歳の高校生の投書が載っていた。昔から興味があったテーマなので、珍しくも、思わず引き込まれてしまった。以下氏名は臥して全文無断転載です。
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学校の一部の教科では「ノート提出」なるものがある。授業で撮ったノートの内容が評価されるのだが、私の点数は毎回低い。「板書をきちんと写していない」からだそうだ。
授業の理解をより深め、あとで復習もできるように、ノートを取ることは大切だ。だが本当に、先生が書いたものを全て写さなければならないのだろうか。
私は最初から知っていることは写さないことが多いので、ノートの点数が低い。一方、先生が書いたものを全て写し、色ペンできれいにまとめた友人のノートの点数は高い。
これは生徒の何を評価しているのだろうか。私には生徒の従順さや、言われたことを淡々とこなす能力を評価している気がしてならない。
ノートを取る時間よりも、先生の話を集中して聞き、自分で考える時間を大切にしたい。全て写すと、その時間が減ることになる。
板書を全て写すことと、先生の話を集中して聞くこと。どちらが能動的に授業を受けているだろうか。

 
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実は、小生は昔から全くノートを取るのが苦手です。大学に入ってからも、教養学部の駒場キャンパスの授業でも、まともにノートが取れた記憶がありません。デモで疲れて栄養失調で目がかすんでいたせいもありますが、教師の板書に対して、ノートを取る手が全く追いつかないのです。この投書の記事にあるように、教師の話に疑問が湧いたら、頭がそちらの方に夢想してしまって、ノートなんか取れませんでした。昭和天皇の植物分類学の御典教師であった湯浅明教授のラテン語の羅列の分類学などは、最大の苦手でした。
 
本郷キャンパスでの農芸化学科に進学しても、生化学の舟橋三郎先生や、食糧化学の桜井義人先生の板書の化学式などは何とかノートにとれるのですが、話の筋は記録するのは無理でした。三井進午先生の肥料学の授業は、すべてが放談で、筆記する必要がありませんでしたが、時々高等な博士論文の刷り物を渡されて、皆さん動転したものです。ちんぷんかんぷんでしたね。授業は一学期に3コマしかなく、「躁」の時にしか講義がなく、試験は「脱窒について述べよ」ということで、全員「優」だったのではないでしょうか。

弘法健三先生の土壌学の粘土鉱物の細かい構造などはとても板書する気にもなりませんでした。ぼそぼそ声が聞き取りにくくて退屈でした。試験は「可」でした。これについては後日談があります。2011年に東電福島第一原発が爆発して、放射性セシウムが土壌の粘土鉱物に固着して出てこない、という話が流れて、植物栄養肥料学研究室の2年先輩の土器屋由紀子さんが、弘法先生の授業のノートを、まだ自宅に保管している、ということで送ってもらいました。そのノートには駒場での2年生の土壌学の弘法先生の授業のあの退屈だった板書が実にきれいに写されていました。カオリナイトやモンモリオナイトなどの粘土鉱物の構造も。これには本当に驚きました。ここで初めて弘法先生の授業の偉大さが認識されたというわけでした。神戸女学院の英才がいつも生真面目に板書をノートに写し取る授業風景思い浮かべましたね。
    
以前のどこかのWINEP ブログでも紹介したことがあるのですが、松井正直先生の有機化学の授業はロジカルで大いに興味を持ったのですが、先生は自分が「不斉合成」に世界で初めて成功したビタミンAの全合成法などを、反応触媒なども含めて、いきなりすらすらと20行程ぐらい書き進めるのですが、一通り書き終わって、「というわけで、全合成に成功し、これは住友化学で大量生産されて実際に売られています」と言って、黒板拭きでさぁーっと、消してしまわれました。菊酸やロテノンなどもすべてそういう方式でした。
「君たち、こんなの写しても意味ないよ。興味があれば僕の論文に書いてるんだから」と板書のノートへの写しには否定的でした。教科書は Fisher & Fisher著 の Organic Chemistryでした。
    
一方で、これもいつかのブログで書いたのですが、発酵学の有馬啓先生は、いつも模造紙数十枚を束ねて木枠に吊るして講義室に秘書に運ばせてきて、それを猛烈なスピードで説明しながら、一枚一枚ピリピリはがしながら授業を進行するので、ノートを取るどころではありませんでした。「集中して俺の話をよく聞け!」という態度でしたね。いつも「躁状態」でした。
    
農芸化学科では実験台が4人一組でしたが、同じ机の村山昭君は、板書のノート取りの天才でした。一回の授業に一冊のノートの半分を消費するのです。いつも期末試験の時には彼のノートを借りるのですが、1ページにキーワードが2,3個大きく書かれているのが常でした。キーワードの周辺情報は彼の頭に収蔵されていたのでしょう。彼の成績は「全優」だったと思います。こんなノートの取り方があるんだと驚嘆しましたね。
  
栄養学の神立誠先生は、英語の栄養学の原書を教壇上でぽつぽつと翻訳しながらの講義でした。板書はほとんどしませんでした。先生は強いずーずー弁(茨城県神立村出身)なので聞き取り辛い上に、時々「もとい、翻訳し間違った、一からやり直し」などというものですから、到底筆記する気にはなれませんでした。ですから途中から欠席して、受験の時は一夜付けで体系的な栄養学は別の教科書を買って独学しました。答案の裏に「質問」を書いたら、授業に出席していないことが明らかなので、質問に答えていただけず、冷たく「可」がつけられていました。
   
微生物利用学の山田浩一先生は、ひたすら有用微生物の分類学でした。これも湯浅明先生と同じく、ラテン語の羅列ばかりなので、誰も板書の引き写しができなかったと思います。先生の授業で覚えているのは、「台所の流しには、でんぷんなどがこびりついて流しが詰まるので、それを微生物発酵法で強力なアミラーゼを生産して商品化する時代が来るだろう」みたいな話でした。板書しなくても、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、などの商品開発の基礎知識は農芸化学徒としては叩き込まれたかもしれません。

    
 以上、板書の丸写し は必ずしも必要がない例を示しました。
   
 いろんな個性的な授業の仕方があるのですが、IT時代はもっともっと合理的に生徒や学生の理解を高める授業のやり方があるでしょう。

  小生の現役の時は、大学での講義は、資料配布と、板書と、パワーポイントの併用で行ってきましたが、それも善し悪しと思います。生徒の集中力を高めるためには、自らの研究の体験を、躍動的に魅力的に語ることにつきますね。

  三井進午先生の場合の様に、「漫談」だけでも、結構生徒に影響力を与えるものです。実際今からよく考えてみると、小生は三井先生のたった3回の講義で「あの研究室に行きたい」と三井先生の教授室に直接大学院入学の相談に出かけたのですから。
  
 
(森敏)
2024-04-28 16:58 | カテゴリ:未分類
文京区立森鷗外記念館が 「教壇に立った鷗外先生」という特別展を開催している【4月13日(土)―6月30日(日)】。小生はこの記念館の年会員になっているので、本日はあまりの日照りの良さにかこつけて出かけた。ここのレストランで昼食をとる意図もあった。
 
今回の見学の目的は、これまでは森鴎外の作品などに興味があったのだが、実際には彼がドイツ帰国後、本当は小説を書きたいのに、陸軍省の勧めで陸軍軍医学校教官、校長としてや、陸軍軍医総監・陸軍省医務局長として、無理やり力を傾注せざるを得なかった栄養学や衛生学の分野での活躍を知る意味もあった。

鷗外は、陸軍衛生教程、衛生学教科書(上・下)、衛生新編(小池正直との共著:日本人による最初の衛生学教科書)、衛生学大意(談話の記録)を著わし、衛生学実習を指導した。研究面では小池正直と共著で「壁湿検定報告」、大井玄洞・飯島新吉と共著の「兵食検査の成績中タンパク及び温量多寡の事」という分析結果にもとづいて「戦時糧食品区分表に関する意見」、「戦時の兵食(鉄糧を除く)」などを上層部に上申している。(この件「付記」に後述)
 
さらに、新設の東京美術学校では岡倉天心に乞われて、美術解剖学で嘱託講師を務め、「芸用解体学」、「芸用解剖学 骨論之部」(久米桂一朗との共著)を表している。これはダビンチやミケランジェロの影響を受けたもののようで、ドイツの解剖学書者コールマンによる美術解剖学書「造形的解体学」の引き写しが散見されるようである。
 
鷗外は早稲田大学、慶応義塾大学でも教鞭をとり、国定教科書の編纂には死の直前の2年前までの長きにわたって参画している。
 
一通り特別展示の部分だけを見終わって(通常展示は飽きているので)、11時半ごろに一階のレストランで軽食をした。W字パンと、ヨーグルトと、ザワークラウトと、キュウリとオリーブの酢漬けとコーヒーで、しばし森鴎外が留学していたころのドイツを思い浮かべた。
 
(森敏)
 
付記:会場で880円で購入した「教壇に立った鷗外先生」というパンフレットによれば、
「明治22年、鷗外は兵食試験委員となった。兵卒など19人に米色、米麦混合食、パン食をとらせ、排せつ物からタンパク質、炭水化物などを定量分析し、たんぱく質の吸収量、摂取カロリー(温量)を比較した。そして米食が優位の結果を得る。結果をもとに、戦争時の兵士の糧食(食料)の増加量について、「戦時糧食品区分表に関する意見」を取りまとめた。これらは「携帯糧食審査に関する第一報告」として印刷され、携帯糧食改良の資料となった」
 
これが実は以下に記すように災いの元になっているのである。
   
以下生成AIが簡単にまとめてくれた、森鷗外が関係した「脚気論争」を紹介しておきます(昔のWINEPブログでも小生が独自に紹介しております)
    
森鷗外(本名:森林太郎)の時代には、日本の陸軍と海軍の間で脚気の原因と治療法について大きな論争がありました。

この論争は、特に日清戦争と日露戦争の間に顕著でした。陸軍では、森鷗外が主導し、脚気は「脚気菌」による細菌感染症であるとする説(すなわち主食は白米で良しとする)を支持していました。その結果、日清戦争では4000人以上、日露戦争では2万7000人以上の陸軍兵士が脚気で死亡しました。

一方、海軍では高木兼寛が脚気の原因が食事にあるという見解を早くから持っていました。彼は兵食に麦飯を取り入れ、海軍の脚気を大幅に減少させました。その結果、日清戦争では海軍兵士の脚気による死亡はゼロ、日露戦争ではわずか三人でした。

この論争は、後に「脚気論争」と呼ばれ、日本の医学史上の重要な出来事となりました。森鷗外の細菌説と高木兼寛の栄養欠陥説の間のこの論争は、脚気の真の原因と治療法の理解に大きく寄与しました。

最終的には、脚気はオリザニン、(のちにビタミンB1(チアミン)と命名された)の欠乏によるものであることが東大農芸化学科の鈴木梅太郎により明らかになりました。

2024-04-23 11:08 | カテゴリ:未分類
文京区の図書館で雑誌の棚を眺めていると、すでに

雑誌「科学」の2024年2月号で
特集:AIのリスクと可能性 
をテーマに掲載していることが分かった。

AI(人工知能)の性能が向上し、社会で広範に利用されるようになるにつれ、そのリスクの把握と対策の重要性も増す。多岐にわたるリスクと対策を紹介するとともにAIをよりよく活用する未来を展望する。

と、まえがきして、以下の専門家による解説がなされている。専門家による論述なのでとてもかたぐるしいので読むのに難儀した。文章の半分も理解できなかった。なので、ここでは各解説文の副題だけを紹介する。

〇AIによる判断がもたらすリスクとAIセキュリテイ・・・・ 佐久間 淳
AIが安全であるとはどのような状態か。
AIとそのシステムにおける気密性
AIとそのシステムにおける完全性

〇生成AIが誘発する現状固定化のリスク・・・・ 中川裕志
短期的リスクと長期的リスク
生成AIと利用者の仲介システム
組織内向け生成AI
生成AIが誘発する現状固定化
現状固定化の打開策
将来への展望

〇人間とAIの感情コミュニケーション--- その可能性とリスク・・・・ 鈴木晶子
感情への注目
感情をどう捉えるか
感情科学と感情コンピューテイング研究の連携
人と機械の感情コミュニケーションにおけるリスク
人間と機械の間の感情コミュニケーションを支える文化の知恵

〇パーソナルAIとサービスのガバナンス・・・・ 橋田浩一
中央集権AI
パーソナルAI
サービスのガバナンスとメタガバナンス
オープン市民科学

〇人とAIの共生を考えるには「文化」が重要である・・・・ 前田春香・翁岳?・佐倉統
社会が技術を変えていく
AI/ロボットの規制のあり方
AIが引き起こす差別の文化差
AIが人の社会を逆照射する

〇AIにおけるバイアスの課題・・・・ 荒井ひろみ
AIのバイアスはどのような形で問題になるか
バイアスの種類
バイアスの由来
バイアスへの対策

以上で述べられている内容は、今後生成AIが急速に発展していくときの、原点的なリスクの判断基準となるものであると思う。だからこの特集ページを図書館でコピーして、保存しておくことにした。
   
(森敏)
付記:以下、いささか専門的になりますが、

永田和宏京大名誉教授・JT生命誌研究館館長さんが この雑誌「科学」の同じ号の巻頭言で、

2021年に RoseTTAFold  と AlphaFold2 という生成AIソフトウエアが開発されて、これはたんぱく質のアミノ酸配列を入力すれば瞬時にそのたんぱく質の立体構造が発出できるソフトである。

と書かれていました。

また、先日このブログでも紹介しました、
日本語版の Diamond Harvard Business Review 5月号には

これまでの科学界は、50年を超える期間、大変な苦労をして研究を重ね、わずか17万種類のたんぱく質の構造を明らかにしただけであった。ところが AlphaFoldは2億種類のタンパク質のほぼすべてについて、その構造予測を、わずか5年間で成し遂げ、その結果を公表したのだ。世界中の科学者たちがすでにその成果を利用しており、薬効研究からプラスチック分解法まで様々な分野で研究が加速している。AlphaFoldはこの偉業を、前例がなく創造的で、AlphaFoldを設計したエンジニアや科学者さえも予測しなかった検索方法を見つけることで成し遂げたのである。

という記述がありました。

実におどろくべきAIの進歩です。

小生は現役を離れているので恥ずかしながらこの事実を知りませんでした。そこで後輩にこのAlphaFold2というソフトへのアクセス方法を教えてもらいました。そこで東大の「ムギネ酸研究グループ」がこれまでにクローニングした遺伝子(またはタンパク)のすべてを検索してみました。するとこれら、TOM1, MIT, IDEF1, IRO2, IDS1, IDS2, IDS3, IDS6, NAS1, DMAS, NAAT, YSLの
すべてのタンパク質の立体構造が同定できました。

現在、この立体構造をくるくる回しながら、いろいろ想像をたくましくして遊んでおります。
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