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2023-03-15 06:44 | カテゴリ:未分類
小生の高齢化に伴い、周りに前立腺がんを心配する人たちが増え始めているように思われる。そこでChatGPTに対して、医療情報にどれだけ詳しいのか試しに聞いてみた。回答の内容に間違いもあるかもしれないが、少しは参考になると思われる回答が来たので以下に紹介する。
 

日本における前立腺がんの男性人口当たりの発生率と、治癒率は?


前立腺がんは、男性のがんの中でも最も一般的ながんであり、発生率は非常に高いです。発生率は年齢とともに増加し、50歳以上で急激に増加します。
発生率については、国や地域によって異なりますが、アメリカ合衆国の場合、男性人口当たりの前立腺がんの発生率は2021年現在で約100人に1人とされています。
治癒率については、前立腺がんの治療法によって異なります。早期に発見された場合、手術や放射線治療、ホルモン療法などの治療法があります。治療に成功すれば、5年生存率は非常に高くなります。
しかし、進行した前立腺がんの場合、治療が困難な場合があり、治癒率は低くなります。治療ができない場合、がんの進行によって死亡することになります。治癒率についても、国や地域によって異なるため、一般的な数字を示すことはできません。

日本人男性の場合は治癒率の推移がどこかで発表されていると聞きましたが

はい、日本人男性の前立腺がんの治癒率については、厚生労働省が毎年公表しています。以下に、2021年版の治癒率の推移を示します。
治癒率の定義によって数字は異なりますが、一般的には、前立腺がんの患者さんが発症から5年間生存している割合を示す「5年生存率」が使われます。
• 2009年:89.4%
• 2010年:89.4%
• 2011年:89.3%
• 2012年:89.3%
• 2013年:89.3%
• 2014年:89.1%
• 2015年:88.6%
• 2016年:88.2%
• 2017年:87.7%
• 2018年:87.1%
• 2019年:86.8%
• 2020年:86.4%
• 2021年:85.9%
治癒率の推移からわかるように、日本人男性の前立腺がんの治癒率は年々低下している傾向があります。これは、前立腺がんの診断が増加していること、また、進行した症例が増えていることが影響していると考えられます。早期発見と早期治療が重要であるため、適切な検診や健康管理が求められます。

ついでに日本人の男女別の膀胱がんの治癒率は?

膀胱がんは、男性よりも女性に比較的多く発生します。膀胱がんの治癒率は、がんの進行段階によって異なります。以下に、日本人男女別の膀胱がんの治癒率を示します。
【男性】
• 初期膀胱がん(非浸潤性膀胱がん)の場合、90%以上の治癒率が報告されています。
• 局所浸潤性膀胱がんの場合、5年生存率は約60-70%です。
• 転移がある場合、治癒が困難であり、5年生存率は10-20%程度です。
【女性】
• 初期膀胱がん(非浸潤性膀胱がん)の場合、90%以上の治癒率が報告されています。
• 局所浸潤性膀胱がんの場合、5年生存率は約50%程度です。
• 転移がある場合、治癒が困難であり、5年生存率は10-20%程度です。
治癒率は、診断時の進行度や治療法などによっても異なります。定期的な検診や早期発見が重要であり、専門医の適切な治療を受けることが治癒率の向上につながります。

最新の前立腺がんの治療法で特に外部線源照射法の日本での研究成果と、それを受診する場合の費用負担などについて教えてください。

前立腺がんの治療法は、病気の進行度合いや患者さんの状態によって異なります。一般的に、手術、放射線治療、内分泌治療、化学療法などが選択肢として挙げられます。ここでは、日本での外部線源照射法について、最新の研究成果や費用負担についてお伝えします。
【外部線源照射法について】
外部線源照射法は、前立腺がんに対する放射線治療の一種で、がん細胞を照射して破壊することで治療を行います。最近の研究成果では、外部線源照射法は、手術と同等の治療効果を示すことが報告されています。また、副作用が比較的少なく、患者さんのQOL(生活の質)の維持につながるとされています。
【治療費用について】
治療費用は、患者さんの状態や治療法によって異なります。日本では、国民皆保険制度により、医療費の一部が補償されます。外部線源照射法の場合、治療費用は数十万円から数百万円になる場合があります。ただし、患者さんの状態や治療法によって異なるため、具体的な治療費用については、医療機関に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。
【まとめ】
前立腺がんの治療法は多岐にわたりますが、最近の研究成果によれば、外部線源照射法は手術と同等の治療効果を持ち、QOLの維持につながることが期待されています。治療費用は数十万円から数百万円になる場合がありますが、国民皆保険制度により医療費の一部が補償されます。患者さんの状態や治療法によって異なるため、治療費用については、医療機関に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。

外部線源照射法を受けられる医療機関を紹介してください


外部線源照射法は、前立腺がんの治療法の一つであり、日本国内には多くの医療機関が治療を行っています。以下に、外部線源照射法を受けられる代表的な医療機関をいくつか紹介します。
1. 国立がん研究センター中央病院:東京都中央区
2. 東京医科大学病院:東京都新宿区
3. 東京慈恵会医科大学附属病院:東京都渋谷区
4. 関西医科大学病院:大阪府堺市北区
5. 九州大学病院:福岡県福岡市南区
上記の医療機関以外にも、全国的に外部線源照射法を受けられる医療機関があります。ただし、外部線源照射法は高度な技術が必要なため、専門的な医療機関を選ぶことが大切です。また、医療機関によっては、受けられる治療法に限りがある場合があるため、事前に確認することが望ましいです。

癌研有明は外部線源照射法を採用していないんですか?

癌研有明は、前立腺がんの治療に関する研究や診療に力を入れている医療機関の一つですが、2022年現在、外部線源照射法を行っていないという情報があります。代わりに、同院では、放射線治療や手術、内部照射療法など、他の治療法を行っています。
ただし、癌研有明には前立腺がん治療に特化した部門があり、専門の医師や看護師が治療にあたっています。また、新しい治療法や技術の開発にも取り組んでおり、最新の治療法にも精通しています。前立腺がんの治療に関する相談や検査、治療の受診を希望される場合は、癌研有明に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。

東大病院はやっていませんか?

東京大学医科学研究所附属病院(東大病院)は、前立腺がん治療に関して広く知られており、外部線源照射法を含む様々な治療法を提供しています。具体的には、外部線源照射法、内部照射療法、手術、化学療法、ホルモン療法などを行っています。
ただし、東大病院でも治療法は症例によって異なり、外部線源照射法が適切な治療法であるかどうかは、患者さんの状態によって判断されます。治療には、前立腺がんのステージやグレード、患者さんの年齢や身体状況、希望する治療法などが考慮されます。
治療費用については、国の保険制度を利用することができますが、外部線源照射法の場合、自己負担が発生する場合もあります。具体的な費用は、医療機関や治療法によって異なるため、事前に確認することが望ましいです。


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(森敏)
2022-09-16 16:06 | カテゴリ:未分類
  日本土壌肥料学会に9月12日から15日の3日間とも参加できた。と言っても、全部午後のプログラムだけであった。
 
  なぜかというに、毎日学会は9時から始まるのだが、自宅から会場の東京農業大学まで約1時間半かかるので、午前7時半に家を出なければならず、その時間帯は、地下鉄丸ノ内線(本郷三丁目発)と地下鉄千代田線・小田急線(経堂着)が通勤客で超満員だからである。
 
  満員だから、老人にはまだ収束していない「中共コロナ」発症後のいまだに長引く汚染が怖いからでもある。
 
  それよりも前にほかの理由もあった。実は学会の2週間前に実に2年ぶりに「腰痛」になり、歩けなくなったので、これでは今年の学会参加はダメかなと思っていた。いつもはだいたい腰痛発症1週間後で我慢して杖を突いて歩けるようになるのだが、学会開催2日前になっても、足腰に違和感があり、いよいよダメかとあきらめかけた。
 
  9月12日(火)になって、杖を突いて歩いてみると、ゆっくりなら歩けそうだったので、途中でダメなら引き返すつもりで、自宅を出た。
 
  小田急経堂駅について、実に久しぶりに東京農大に向かった。農大通り商店街は、以前よりも活気があるように思えた。学会のプログラムには経堂駅から農大キャンパス「経堂門」までは「徒歩15分」と書かれていたのだが、これが少し上り勾配があるうえに、道が自動車などで混んでいて、ずいぶんと難儀した。杖を突きながらなので20分以上かかった。しかも30度C以上の炎天下である。
 
  「経堂門」を入ると、グランドは見覚えがあるのだが、建物があちこち立っていて、20年前と比べて見違える変容を見せていた。心なしか、構内で会う学生たちも、ネームプレートを付けた教職員たちも、礼儀正しくて以前よりも活気があるように見えた。
 
  会場では、ポスター展示会場を見て回った。ほとんどの学会参加者が口頭発表の聴講に参加している時間帯なので、ポスター発表会場には2-3人しかいなかった。なので、実にゆっくり見られた。いつもと異なるのは、ポスターとポスターの間隔がコロナ対策の為か一つ分ずつ抜かしてあることだった。これはちょっと面白い光景だと思った。ポスターを見たら疲れたので帰りの通勤客で込まないように4時に大学を出て帰宅した。
 
  これを2日めも繰り返した。
 
  学会3日目は、シンポジウムが組まれており、小生は「地球温暖化に対処する土壌肥料学」という一般公開シンポジウムを東京農大百周年記念講堂で拝聴した。
 
  会場では開始される前に、旧知に会う人ごとに「お元気そうですね」といわれるので「いや腰痛で杖を突いています、年が年なので明日死ぬかもしれませんので、来年の学会では会えないかもしれないので別れの握手しましょう」とコロナであることを忘れて手を差し伸べてきた。これに対しては、手を慌てて引っ込めた御仁もいた。「森先生はいつ会っても“明日にも死にそう”なことを言って、もう20年にもなりますね」とまじめに受け取らずに冷やかす教え子もいた。

  シンポジウムの講演内容はいずれもなかなか刺激的で大いに勉強になった。ここでは記さないが、考えさせられるところが多かった。長く座っていたので尻が痛く、足がしびれてきて危険を感じたので、最後の「討論会」には参加できずに杖を突きながらこっそりと退散した。
 
  参考までにシンポジウムのテーマを記しておきます。(各演者一人30分の講演時間でした)
 
温暖化にも関わる窒素問題 食と土壌と窒素の深い関係
林 健太郎(農業・食品産業技術総合研究機構/総合地球環境学研究所)

土壌炭素貯留と気候変動緩和・適応策 ~土壌炭素は地球を救う!~
中島 亨(東京農業大学地域環境科学部)
 
農業における土壌炭素蓄積と温室効果ガス排出抑制に関する技術と土づくり
加藤 拓(東京農業大学応用生物科学部)
 
低炭素社会の実現を目指した土壌生物研究
妹尾 啓史(東京大学農学生命科学研究科)
 
植物の栄養研究はどう温暖化に貢献できるのか
藤原 徹(東京大学農学生命科学研究科)
  


  
  
(森敏)

追記:講演会の目的を要約すれば

1.温室効果ガスであるCO2(炭酸ガス)を「土壌に貯留する」技術を開発すること。

2.CO2の数十倍の温室効果があるN2O(一酸化窒素)やメタンガス(CH4)を「土壌から発生させない」ための技術を開発すること。
2021-10-13 11:29 | カテゴリ:未分類
 以下の内容は、小生の知るところ 大紀元(Epock Times)のみがネットで報じている。
  
この情報は単なる自民党政権の 選挙対策 のブラフか?
  
きちんと情報を追えていないので、この情報源の確信が持てないでいる。
  
甘利幹事長の意気込みの構想はいいし、大学人にとってはとても励みになる話だが、こういう構想はこれまで実現したためしがない。
 

   
  
  
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10兆円ファンドで大学研究活性化「夢のサービス、日本から湧き出てくる」甘利明自民党幹事長が意気込み

20211012 2036

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政府は大学による次世代技術研究の活性化のために、10兆円の大学支援ファンドを創設している。菅政権時代に公表された計画では年数千億円の運用益を見込んで、研究費や人材育成に充て、安定投資を実現する。

この計画について、11日、甘利自民党幹事長がソーシャルメディアで紹介した3Dプリンターや量子コンピュータの発明が日本発だったと強調し、「次の時代を担う夢の製品やサービスはどんどん日本から湧き出てくるようにしたい」と意気込みを語った。

「原理や発明は日本初。でもビジネスでは欧米に負ける。日本の負のお家芸だ」と自虐的に語る甘利氏は、日本の研究分野には将来的に高い価値を持っている研究が多いと強調。こうした研究を商業化・産業化に結びつけていくため、大学研究ファンドを創設すると述べた。

このファンドは、文部科学省所管の国立研究開発法人である科学技術振興機構(JST)に設置される。政府出資、財政融資、民間投資を受けて、運用益を大学に配分する。

8月、内閣府と文部科学省は、2022年度の概算要求で、大学ファンド5兆円規模の予算を盛り込むことを決めた。ファンドは将来的に10兆円規模に広げる。

内閣府が立ち上げたワーキンググループの座長を務めるコロンビア大学の伊藤隆敏教授は、年間3000億円の支援実現のために、長期支出(ペイアウト)目標を3%、これに加え長期物価上昇率1.38%以上とする取りまとめ案を報告した。つまり、10兆円規模のファンドの運用益3000億円を対象の大学に配分する。

108日の内閣府の会議資料では、この計画に参画する大学の数は8校程度、日本の大学が持つ研究力の強みとしては物理学、化学、臨床医学があげられ、投資分野の有力候補になっている。

ファンド運用には「先駆技術の研究に取り組む優秀人材の確保が必須」と資料にある。そして、利益配分や資本拠出に関わる大学は、世界のトップ研究大学に相応する制度改革、大学改革に協力姿勢が求められる。

しかし、大学や技術漏洩防止の意識の低さも、先の調査で露呈している。9月の経済産業省と文部科学省による共同報告によれば、日本に留学する外国人学生に対して「安全保障に関わる技術の持ち出しを禁止する」との注意喚起を行なっていない大学は6割に上ることが明らかになった。

この報道をうけて、小林鷹之・経済安全保障担当大臣は、機微技術の流出防止は「政府・企業のみならず、アカデミアの経済安保に関する意識向上と体制強化は必須」との考えを示した。

国も技術安全保障の強化を進めている。文部科学省は「科学研究費助成事業(科研費)」について、2021年度以降は申請者が外国の研究資金を受けている場合、その申告を義務化する。これは中国共産党の海外人材招聘計画を念頭にしているとされる。(佐渡道世)

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財務次官、モノ申す 
「このままでは国家財政は破綻する」


  矢野康治(財務事務次官)が 文芸春秋 で上記のタイトルで、

すでに国の長期債務は973兆円、地方の債務を合わせると1166兆円に上ります。GDPの2.2倍であり、先進国でずば抜けて大きな借金を抱えている。それなのに、さらに財政赤字を膨らませる話ばかりが飛び交っているのです。云々。。。
   
  と、10ページにわたるデータを駆使した、政府の放漫バラマキ財政に憂国の警告を発している。
   
  彼は、最近まれにみる気骨の筋の通った官僚だと思う。
   
  問題は国の財源をどう増やすかである。
     
      
  だれがどう考えても、甘利氏の云うように、長期的に見た日本国家の財源の増強は、大学の優秀な人材の育成と、若い彼らの発想による科学技術の発展にしかありえない。
   
  過去20年にわたって、その循環がおこらず日本は劣化し続けてきた。国立大学はいろんな意味での財政難で沈没寸前だ。
  
  まずやるべきことは、若い研究者にパーマネントポジションを飛躍的に増やしてもらいたいものだ。
  
  以上のことはこのブログでも何度も繰り返して主張してきたことですから、いささかつかれましたが。
  
     
(森敏)
  



2021-04-17 06:47 | カテゴリ:未分類

  東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部では退職教員に「弥生」という冊子を時々自宅宛てに送ってくれている。そこでは実に多角的な記事が掲載されている。

 

  今回目に留まったのは、1978年京都市生まれで、修士課程を修了された松山大耕さんという、2007年より臨済宗妙心寺退蔵院副住職を務めておられる人物のことである。

 

 「松山さんの目に農学の未来はどのように映っていますか?」というインタビューの質問に対して

「これまでの20年を情報科学の時代だとすれば、これからの未来は間違いなく生命科学の時代でしょう。たとえば、発酵やバイオの分野は日本が世界の最先端にあり、まさに農学の領域です。そして、農学においても大事なのは気づきです。ネット検索やアルゴリズムに慣れてしまうと、人間の気づく力は鈍ります。仏教に「冷暖自知」という言葉がありますが、これは冷たい暖かいは自分で体験してみてはじめてわかるということ。つまり、何事も実践し自分の感性を磨くことこそ本物の知識なのだという教えです。疑問があれば実際に試し、そこで何かを感じる。これは学問の基本であるだけでなく、豊かな未来を切り拓くための鍵です。農学部はそのような感性を磨くことができる場所なのです。」

と述べている。彼には著書に「こころを映す 京都、禅の庭めぐり」(PHP研究所)があるということである。

 

  先日、仁和寺と天龍寺と建仁寺の建物の内側からの方丈の庭を早足に鑑賞した。石庭の石の配置や白砂や苔の新芽が美しかったのだが、襖絵や天井画ばかりに目を奪われていて、いまひとつ庭の鑑賞に今回は神経が集中できなかった。このままでは、よくないので、松山さんの本をよく読んで次回の参考にしようと思った。

 

  京都観光の最後に立ち寄った西本願寺での案内係の住職の話では、西本願寺の管主(?)は法政大学出身で、東本願寺の管主はブラジルから帰還した人物だということである。いつか永平寺で修行している坊主が東北大学物理学科の出身だという放送番組があった。お寺も多様な人材を後継者として、おのずから新陳代謝が行われているわけである。  

  
     
(森敏)
追記:「こころを映す 京都、禅の庭めぐり」(PHP研究所)はなぜか、絶版になっているようだ。

2019-12-19 06:23 | カテゴリ:未分類
  以下の日経新聞と朝日新聞と毎日新聞の記事は、日本の「研究者育成政策」の現状を紹介したものだが、危機的状況であることがわかる。
    
  毎年のノーベル賞受賞者などが、日本の研究者育成政策が危機的状況であることをいくら叫んでも、なぜかそれが政策に遅々としてしか反映されてこなかった。なぜそうなのかを、大学人、経済界、政治家はこの際根本的によく考えるべきだと思う。政治家がよく使う、言語明瞭意味不明瞭な言葉「抜本的」政策ではだめな状況に追い込まれているのである。
      
  以前にも(10年以上前から)このブログでも同じことを口を酸っぱくして、何回か述べてきた。

  

          2019/04/18 : 1兆2180億円の戦闘機投資
     
          2018/01/11 : 地上配備型の新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基の値段2000億円は、日本の文科省の科学研究費(日本の全大学の研究者の生命線!)と同額

         2018/03/31 : 何をいまさら! 国の科学技術人材育成に対するたとえようもない鈍感さ

         2016/10/04 : 大隅良典先生おめでとうございます
            
          2013/12/15 : 先端技術と民生技術





だが、事態はさらに悪化する一方である。以下の記事からも、連動して科学研究成果の生産が急速に低下していることがわかる。



   


 

 

博士生かせぬ日本企業 取得者10年で16%減

 

    世界は新たな「学歴社会」に突入している。経営の第一線やデジタル分野では高度な知識や技能の証明が求められ、修士・博士号の取得が加速する。主な国では過去10年で博士号の取得者が急増したのと対照的に、日本は1割以上減った。専門性よりも人柄を重視する雇用慣行を維持したままでは、世界の人材獲得競争に取り残されかねない。

    「日本人だけでは定員を埋められない。経済学の修士課程は7割が留学生だ」。データ分析を駆使したミクロ経済学を研究する、東京大学の渡辺安虎教授は危機感を募らせる。今夏までアマゾン・ドット・コム日本法人で経済学部門長を務めた経験から「社会的なニーズは必ずある」と断言するが、日本人の大学院への進学意欲は乏しい。

    科学技術・学術政策研究所によると、欧米各国では2016年までの10年間に博士号の取得者が2ケタ増えた。修士号でも傾向は同じだ。企業などで上級ポストを射止めるには、高度な学位が必要だ。

    グーグルなど米IT大手に先端分野の技術者として入社するには、修士・博士号が最低条件だ。中国は自 国での育成に加え年5000人超が渡米して博士号を取得。帰国した人は「海亀族」と呼ばれ民間企業などで活躍する。

    一方、日本の博士号取得者は16年に15000人と10年間で16%減った。少子化は関係ない。この間に4年制大学の入学者は一貫して増えている。学生が専門課程への進学をためらい、日本は世界の中で相対的な「低学歴化」に沈んでいるのが実情だ。

大学などの研究者の収入が不安定な面は否めないが、企業の機能不全も深刻だ。

博士課程でAIを専攻した大山純さん(仮名)は今、国内電機大手でインフラ分野の営業と開発に従事する。採用面接では専門知識はほぼ問われず、逆にこう求められた。「学位取得より入社を優先してほしい」。結局、博士号は取らなかった。

    経団連は毎年、加盟各社が「選考時に重視した点」を調べている。上位を占めるのは「専門性」ではなく、「コミュニケーション能力」など人柄に関する項目ばかり。

    入社後も専門性は評価されにくい。30歳前後の平均年収を比べると、日本の学部卒人材が418万円なのに対し、修士・博士の大学院卒は524万円。その差は1.25倍だ。米国の修士の平均年収は763万円で、学部卒の1.4倍を稼ぐ。博士では915万円と1.68倍まで開く。

    高学歴者に高収入で報いるのは、世界の常識だ。社会学者の小熊英二・慶応義塾大学教授は「グローバルの人材評価基準から日本市場は隔絶されている」と指摘する。倍以上の年収で外資に転じる博士が後を絶たないのは、国内企業の待遇の悪さの裏返しだ。

    「社会」に出ても稼げないため、日本の博士号保持者の75%は大学など研究機関に所属する。日本では1990年代に政府主導で博士を増やしたが、民間で受け入れられずに雇用が不安定なポスドク問題の温床となった。科学技術振興機構の永野博研究主幹は「採用されるような人材を、大学側が育ててこなかった面もある」と振り返る。

    米国では博士の4割が企業で働き、イノベーションの原動力になっている。高度人材の育成と確保は、国家の競争力も左右する。雇用慣行と教育現場。2つのアプローチで改革を急ぐ必要がある。(北爪匡、小河愛実、生川暁。 NIKKEI)

    

40歳までの研究者に年700万円 政府支援へ

20191242155

 政府は若手研究者に最長10年間、年700万円の支援にのりだす。検討中の経済対策に盛り込む方針。任期付きの雇用が多い若手研究者が長期間、研究に専念できる環境づくりをめざす。

 500億円規模の基金を新設し、40歳までを目安に対象とする。数年間で最大700人を選び、追加で所属する大学や研究機関での研究環境の整備費用なども上乗せされる。期間は原則7年間だが、最大3年間の延長もできるようにするという。

 日本の研究環境をめぐっては、注目度の高い論文数の世界シェアはこの10年間で4位から9位に落ちた。40歳未満の国立大学の教員のうち、任期付きの人の割合は2007年の38・8%から17年は64・2%に増加。士課程から博士課程への進学率も減少傾向で、研究力の強化には、若手研究者の支援が不可欠だという意見が出ていた。(合田禄 。朝日新聞)

 


自民党内で「企業優遇丸もうけ」批判、センセイ大丈夫? そして結果は

毎日新聞20191212 1320(最終更新 1212 1523)

深津誠

 

 124日、自民党税制調査会の「平場(ひらば)」と言われる、議員なら誰でも参加できる小委員会。この日は、「マル政」と呼ばれる案件を議論する日だった。「マル政」とは、政治の「政」を「○」で囲った記号のこと。政治決着が必要な案件を指しており、この審議で税制改正項目が最終的に絞り込まれる。いつものように審議を取材しようと自民党本部9階の廊下で待っていると、「自民党らしからぬ」発言が耳に入った。

 「(企業の)内部留保が積み上がったのは、過去に法人税を下げたからだ。法人税を下げても給料や設備投資に回らないと証明されている。そのうえ、ベンチャーへの投資を減税したら企業が丸もうけになる」

 歴代自民党政権は、消費税率を引き上げた一方で法人税を減税してきたため、「企業優遇」という批判が野党側にある。そんな野党に似た発言が自民党の議員から出るとは正直、驚いた。

 議員が言及したのは、減税をテコに企業の内部留保をベンチャー投資に向かわせて共同研究開発を促す「オープンイノベーション税制」のことで、今年の税制改正の目玉のひとつだ。企業の内部留保のうち現預金は240兆円に膨れ上がっている。これを吐き出させれば経済全体の活性化につながる――との考えから、大企業なら1億円以上を設立後10年未満のベンチャー企業に投資すれば、投資額の一定割合を控除して法人税負担を軽くする。

 要望した経済産業省が議員に配った資料には、「自前主義では新たなビジネスの芽は生み出せない」「240兆円を解放し経済成長に回す。今が最後のチャンス」といったやや扇動的な文言が並ぶ。資料でオープンイノベーションの成功例として挙げられているのは、ソニー、富士フイルム、トヨタ自動車。なるほど、新税制の恩恵を受けるのは、こうした大企業なのだろう。昨年は研究開発減税を拡充して自前の研究開発を優遇し、今年は自前主義の限界を示唆――。矛盾しているようにみえるが、大企業にあの手この手で助け舟を出すという点で首尾一貫していると感じる。平場の議論では、賛成多数だ。

 この日の小委員会の審議では、元財務政務官の大岡敏孝衆院議員(47)も「オープンイノベーション税制」に反対の論陣を張った。「四面楚歌(そか)、多勢に無勢だが反対。(企業が)損したら税金で補塡(ほてん)し、得しても税金で追い銭がある。ベンチャーへの大企業支配が強まる」と訴えた。

 自民税調の「甘利明会長肝いり」(ある議員)とされるこの税制に、真っ向から反対する…


(森敏)
付記:

以下小生の独断と偏見です。

 受験産業界の連中や経団連などの企業人が、文科省の大臣や官僚とつるんで、小、中、高、大学への受験制度をいじくりまわして、「グローバルに活躍できる人材育成を」と大学に迫って、産業競争力の強化のための教育改革を狙っている。実にばかげたことである。
藤原正彦氏は、雑誌文芸春秋で、最近の文科省の英語教育改革について
・英語教育が国を亡ぼす
・英語教育は国民のエネルギーの壮大な無駄
・語学ができるほどだんだん馬鹿になる(英文学者中野好夫の言)
・英語、IT、プレゼンは小手先技術
と徹底的にこき下ろしている。
   

  大企業はリーマンショック以降につぶした自前の研究所を、本気で復活して大学からの博士課程卒業者を優先的に積極的に受け入れるべきである。大学に金を出さず口だけ出すなと言いたい。いつまで企業人は「会社では博士出身者は融通性がなくて使い勝手が悪い」と言い続けるのだろうか? 今日、多様な個性を生かせないのは、会社の上層部の指導能力の欠如のせいだろう。

  博士課程に学生が進学してこなくなっているので、日本の大学のほぼ全分野で戦力が低下して、大学発の先端的研究成果の発出力が低下し続けていることは明々白々である。

  科学技術という抽象的な課題は国民うけがいまひとつなので「選挙の時の票に結びつかない」と国会議員選挙の候補者は考えているのだろう。研究者育成推進のみを選挙のスローガンにワンイッシューとして掲げる候補者が出ないだろうか。大学は危機である。大学人は団結すべきである。自衛隊は団結して国会議員佐藤正久 1等陸佐 (参21回(比例区)、参23回(比例区)、当選2回)を当選させているではないか。大学人は自衛隊の結束力に学ぼう。




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