FC2ブログ
2020-02-20 16:40 | カテゴリ:未分類

「スパイク」の立体構造解明 新型コロナ、ワクチン開発に貢献―米国立研究所など 。(jiji.com)

 
202002200934

 新型コロナウイルスが人の細胞に侵入、感染するのに使う「スパイクたんぱく質」の立体構造を解明したと、米国のテキサス大と国立アレルギー・感染症研究所の研究チームが19日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。人の免疫システムに攻撃対象と覚えさせて発症を抑えるワクチンや、侵入を阻害する抗ウイルス薬の開発に広く利用されることが期待される。

 

 コロナウイルスは遺伝情報を担うリボ核酸(RNA)が入った粒子の表面にスパイクと呼ばれる突起があり、人の細胞表面にある受容体たんぱく質と結合して侵入、増殖する。新型ウイルスのスパイクたんぱく質が結合する受容体たんぱく質は、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスの場合と同じ「ACE2」であることが分かっている。

 

 ただ、研究チームが新型ウイルスのスパイクたんぱく質をACE2と結合させる実験を行ったところ、SARSより結合力が強いことが判明。新型ウイルスの感染が拡大する要因となっている可能性があると指摘している。

  
 

(森敏)
 
付記1: 「スパイク」は以下のアミノ酸配列の HKU-SZ-005b にあたる 「青色で囲んだ長いアミノ酸配列部分」であるタンパクであると思われます。つまり

FTVEから:::::NFNFまで。
 
コウモリのコロナウイルス(Bat SL-CoV ZXC21 や Bat SL-CoV ZC45) や、ヒトのサーズウイルス(Human SARS-CoV)とも異なるアミノ酸配列が多い。

サイエンス誌が大学の図書館にまだ入っていないらしくて読んでおりませんが、そこで述べていることは、このアミノ酸配列の違いが、人の側の受容体タンパク 「ACE2」 とスパイクタンパクとの結合力を強くしているので、COVID-19ウイルスの感染後、実際の発症までに最長14日という長い潜伏期間がかかることに関係しているのだろう、という説ですね。
  


COVID-19spike部分 

    
この配列の出典は、先日出たばかりの以下の電子ジャーナルです。
Emerging Microbes & Infections
2020, VOL. 9
https://doi.org/10.1080/22221751.2020.1719902
2020-02-20 08:15 | カテゴリ:未分類

  NHK NEWSの 「新型肺炎クルーズ船」というカテゴリーで、過去の記事をずっと読むと、当初クルーズ船に入った災害派遣医療チーム「DMAT」は感染症対策の専門家ではなかったのだ。これは実に驚きだね。船内をただ医務作業をして回るだけで、医者自身の装着物が汚染してることは確実なので、その脱着には細心の注意が必要だ。これが厳密に行われていなかったとなると、医師自身が汚染を拡大していた可能性を否定できないだろう。神戸大学の
感染症対策の実践家である岩田健太郎教授がクルーズ船の現場を見て「驚愕した」のもむべなるかなである。
   
  昨日も「追記2」で示した、以下の動画は必見だ。これに対して、政府は火消しに躍起だ。
 
https://youtu.be/W3X3RSmf7ds

  熊本在住の知人によると、岩田氏のこのu-tubeの画像は、地方の民放局では放映されたということだ。NHKは本人(自身が感染したかもしれないと、家族からも離れて現在「隔離環境」にいるので)インタビューができないからか、いまだに放映していない。
   
  われわれが放射能調査の帰還困難区域に入る時は防護服を着て、出るときはクリーンセンターで汚染のチェックを受けて、防護服や手袋やマスクは全部捨ててくる。原子炉作業員の場合は当然だ(現在それが原発敷地内での膨大な廃棄物になっている)。だが、最近は行政の側が「住民帰還」に前のめりになり、住民に対するこの対策が、非常に甘くなっている。防護服でいると住民からも白い目で見られかねない。

  見えないものに対しては、人は最初は恐怖を感じるが、緊張を維持できなくなるので、無意識に手抜きを始めて、その案件は「ない」こと、「なかった」ことにしてしまいたいのである。現在進行形のこのCOVID-19ウイルスは、感染してもすぐには顕在化しない場合があるようなので、潜伏期間中に本人が自覚せずに周辺の人を感染させしている可能性が大である、という特徴を持っている。だから非常に厄介である。
     
  だから、小生の知人は「全日本国民が2週間の外出禁止令」というロックアウト宣言を国が出して、「引きこもり生活」を指令すべきだと提案している。むろん物流や交通は全面ストップである。こんなことを提案すると、喧々諤々の猛反発が起こるだろう。しかし武漢ばかりでなく中国の多くの地方都市では、自治体が国よりも先にそれを実践してウイルスの拡散から防衛しているようだ。ウイルス増殖のラグフェイズの今ならまだ間に合うのではないか。ログフェイズ(対数増殖期)になると制御不能。2週間という目安はもちろん「COVID-19の潜伏期間」を指している。
     
        
クルーズ船 客室待機後も感染広がったか 国立感染症研究所
2020年2月19日
 
新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船について、国立感染症研究所は、船内で検疫が行われ客室での待機が始まったあとも、感染が一部の乗客や乗員で広がったとみられると、研究所の英語版のウェブサイトで報告しました。

国立感染症研究所が、19日英語版のウェブサイトに掲載した報告によりますと、18日の段階でクルーズ船内で感染が確認されたのは乗客と乗員合わせて531人で、276人に発熱などの症状が出た一方、255人は症状がなかったとしています。
  
この中で発症した日の記録があるのは184人で、このうちの23人は感染を広げないよう、乗客の客室での待機が終日で始まった今月6日以降に、感染が確認された同室の乗客から感染したとしています。

とくに今月13日以降について見ると、発症したうちの13人は乗員で、5人は同室の乗客から感染したとしています。

研究所は、船内で実質的に感染が広がったのは、客室での待機が始まる前だったとする科学的な根拠があるとしていますが、その後、検疫期間の終了日に近づくにつれ、感染のほとんどは乗員や客室内の乗客どうしで起きたとみられるとしており、乗員は業務を続けなければならず、すべての人を隔離することは困難だったとしています。
  
国立感染症研究所は、この報告を英語版のウェブサイトに掲載しましたが、19日午後6時の時点で日本語では掲載していません。
  

汚染防護服の医師 クリーン区域入ることも

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の中で、活動した医師が電話取材に応じました。
  
この男性医師は、災害派遣医療チーム「DMAT」の一員として、クルーズ船内に派遣され、船内のレストランに設けられた対策本部で、医療業務に従事したといいます。
   
当時の対策本部の状況について男性医師は「本部はいわゆるクリーンと言われているはずの所でしたが、すでに汚染された防護服を着た医師が、誤って入ってしまうこともあった」と証言しました。
   
そのうえで、男性医師は「主に救急医で構成されるDMATは、派遣要請があれば出動するが、初めての感染症が相手で、感染症専門医も数少ない中、もっと統一したオペレーションが必要だったと感じた。見直さなければいけない点もあったと思う」と振り返りました。

    

   

(森敏)
2020-02-07 16:53 | カテゴリ:未分類

  小生はウイルスの専門家ではないのですが、コロナウイルスに関する、以下の一連の報道には、真底から注目せざるを得ません



https://www.visiontimesjp.com/?p=4490
      
https://www.visiontimesjp.com/?p=4447&
     
https://www.visiontimesjp.com/?p=4463
    

  インターネット情報は、国ごとの虚々実々の情報戦でもあるので、慎重に記事の一字一句から事実を極める必要があります。

  これらが事実なら、日本政府はいくら検疫を厳しくしてもしすぎることはないでしょう。
    
  国立感染症研究所はこれまでの数名の隔離患者から早急にウイルスを抽出して、ウイルスの全塩基配列を読み、それを開示して、世界で報道されている配列が本当に正しいかどうかを、日本国民に、早急に丁寧に報道する義務があると思います。
      
  もしコロナウイルスが、報道されるとおりの、これまでと異常に異なる、ありえない変異の人工加工ウイルスと考えられるならば、日本のウイルス研究者のこれまでの経験はあまり役に立たないことになります。彼らはマスコミで間違った、感染力や、感染速度や、毒性や、終息時期などの予測報道を流し続けることになります。
     
  また中国本土への日本企業人の現業復帰は、生物戦争の戦場に行く従軍戦士ようなものかもしれません。中国大陸での感染収束の予測が不可能だからです。
     
  あらためて、中国政府の異常なまでの強権的な「戒厳令体制や」急ピッチの野戦病院的な病院建設等が理解できます。現状では中国は完全にコロナウイルスの制御不能に落ちいっているとみなさざるを得ません。
    
     
 
(森敏)

追記1.予報的に投稿されたインド人の論文は、論文にアクセスしたところ、以下のように、専門分野から批判されて、撤回されたようだ。再度投稿されるかどうかはわからない。小生のような素人には真相がわからない。ひとさわがせだね。(2月8日 記)

Uncanny similarity of unique inserts in the 2019-nCoV spike protein to HIV
-
This paper has been withdrawn by its authors. They intend to revise it in response to comments
received from the research community on their technical approach and their interpretation of
the results.
If you have any questions, please contact the corresponding author.
.


追記2:転載です。
      

 新型肺炎、くすぶる「兵器用ウイルス説」当局に不信感―中国

2020.02.09.07.08
   

【北京時事】中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の死者は8日、700人を超え依然猛威を振るっている。感染源について、中国当局は「海鮮市場で売られていた野生動物」としているが「生物兵器用ウイルスが流出した」という見方もくすぶる。背景には情報を隠そうとする当局への不信感もある。
 
   

「流出説」の根拠は、海鮮市場から約30キロ離れた武漢市内の研究施設。この施設は、国際基準で危険度が最も高い病原体を扱える「バイオセーフティーレベル(BSL)4」に位置付けられるが、英科学誌ネイチャーが2017年2月に「病原体が流出する恐れ」を警告していた。
     
米紙ワシントン・タイムズ(電子版)は今年1月26日、この施設は中国の生物兵器計画に関係し「新型コロナウイルスが流出した可能性がある」というイスラエル軍元関係者の分析を伝えた。
     
中国メディアによると、インドの研究者も「人がウイルスをつくった」という推論をネット上に投稿した。中国内でも「施設の実験用動物の管理はずさん」と批判されている。
 
これに対し、2月4日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版は2ページにわたる長文で「コロナウイルスを人為的につくることはできない」と反論。問題となっている施設の研究者、石正麗氏は「新型コロナウイルスは(施設と)関係がないと命を懸けて保証する」と訴えている。
    
 「流出説」には具体的な根拠が示されていない。武漢の施設に懸念を示したネイチャーの記事には今年1月に「感染源は海鮮市場の可能性が最も高いとみられている」という注釈が加えられた。
      
 一方でネイチャーは、施設の安全性を保つためには高度な技術だけでなく「自由にものが言える組織や情報公開が重要だ」と指摘している。しかし、新型肺炎発生の公表前に警鐘を鳴らした医師が警察に「デマを流した」として処分されるなど、中国当局は自由な問題提起や情報公開に消極的だ。

   

  
追記3.  ウイルス学者は、「新コロナウイルスが人工物であるのか、自然発生的なものであるか」などを、なぜ早急に証明できないのだろうか? 以下にバノン氏が言うとおりだと思う。
    
https://www.visiontimesjp.com/?p=4521
       
NHKなどマスコミでは、「デマに踊らされずに、正しく恐れましょう」などといっているが、それは違うでしよう。ウイルス学者はウイルスの実体の解明に全力投球すべきです。腕の見せ所でしょう。 
 


追記4。 本日2020年2月11日、国連(WHO)によりこの新ウイルスは
COVID-19と命名された。
On 11 February 2020, the WHO named the disease caused by the virus
COVID-19, short for "coronavirus disease 2019", stating "We now have a name for the 2019-nCoV disease: COVID-19."
(Wikipediaより)

追記5.

最新の1月14日のThe Lancet誌に香港の研究グループによって人から人への感染を証明する情報が掲載されています。全遺伝子配列の解析から今回のヒト・コロナウイルスとコウモリのコロナウイルスとの類似性が強調されていますが。詳しい解析はこれからのようです。
A familial cluster of pneumonia associated with the 2019
novel coronavirus indicating person-to-person transmission:
a study of a family cluster
Published:January 24, 2020DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30154-9




 
追記6.
   

患者急増は「人災」…知識人ら医師の死亡受け声明

2020/02/12 20:13

 【北京=比嘉清太】中国の改革派知識人や人権派弁護士ら50人以上が、新型コロナウイルスによる肺炎患者の急増は「言論の自由を圧殺したことが招いた人災だ」と中国当局を批判し、言論や報道の自由を要求する声明を連名で出した。当局の公表前に警鐘を鳴らした湖北省武漢市の医師、李文亮さんが今月7日に亡くなったことを受け、インターネット上で公表された。

 声明は「知る権利を奪われたことが数万人の感染と1000人以上の死につながった」と指摘し、デマを流したとして李さんを処分した警察の謝罪や報道統制の停止を李克(リークォーチャン)首相に求めた。改革派の元雑誌編集長、呉思氏らが名を連ねた。中国の人権擁護活動を支援する海外サイト「維権網」によると、ネット上で声明の賛同者は11日時点で300人以上に達した。
   

   
(森敏)


  
2019-12-31 06:59 | カテゴリ:未分類

         朝日新聞に加賀乙彦著の『湿原』がかなり前に連載されているときに、挿画がいかにも暗いイメージで、まったく読む気がしなかった。それまでも、加賀乙彦氏が東大卒の精神病医出自の作家ということで、しちめんどくさそうな病理の描写が多そうで、彼の著作は敬遠して全く読んだことがなかった。ところが半月前に朝日新聞の文芸欄で朝日新聞編集委員の駒野剛氏が「多事奏論」というコラム欄で90歳の加賀乙彦氏にインタビューして、この『永遠の都』の執筆の動機について紹介していた。

 

       その記事を読んで、これまで敬遠してきた彼にいきなり興味が湧いてきた。「永遠の都」は1936年から1945年ぐらいの間を舞台にしており、作者がこの作品を「遺言」のつもりで書いた、と述べていたからである。

 

       この時代は小生が生まれる前から戦後の<強烈にひもじい>と物心がつき始めたころの物語で、もしかしたら、そのころの具体的な世相の歴史的知見が得られるのかもしれないとも思った。これまでも第2次世界大戦中の兵士たちのすざまじい戦場体験記や特攻隊の手記などは、いくつも読んでいた。しかし、市井の人々の詳しい戦前・戦中・戦後の15年間の時系列的生活に関しては、小・中・高の歴史の教科書でもほとんど学ばなかったので、すっぽりとそこが抜け落ちている。そもそも小生より若い日本人は誰に聞いても、そのあたりの現代史は日本史の授業時間切れで、まともに学んでいないようなのである。今も事態はあまり変わってはいないのではなかろうか。

 

    この本では加賀乙彦氏が作家の遠藤周作氏の導きでクリスチャンに転向していく心的経過も行間に読めるかもしれないと、期待した。昔読んだことがある遠藤周作氏の病床での随想録には、そのことが少し触れられていたからである。加賀乙彦氏は現在軽井沢文学館の館長を務めているとのことである。実は小生は毎年秋にこの文学館を訪れているのだが、あいにく今年は諸般の事情で行けなかった。ここには、この『永遠の都』のネタになる祖父の日記が展示されているということで、史実に割合忠実に小説が展開されているのだろうと想像した。

 

   近所の図書館に行って探すとハードカバーの『永遠の都』全7巻がすぐ見つかった。あまり読まれている様子がなかった。それを全巻借り出して、10日間かけて一気に根を詰めて読了した。おかげでその間はブログを書く時間がなかった。実は最近は、記憶が3日ぐらいの半減期で猛スピードで低下し、直近の記憶がすぐに消滅していくので、一気に読み終えないと、小説の全体像が散漫になりかねなかったからである。(村上春樹の「1Q84」などは、ちんたら娯楽的に読んでいたので、今では全巻のストーリーが記憶の中では五里霧中である)。根を詰めて「一気読み」したおかげで、少し <目に蚊が飛ぶ> ような危険な状態になったので、眼医者に行く羽目になった。驚いたことに、少し眼底出血していた。

 

    読む前に危惧したことは、多彩な登場人物のお互いの家系譜を覚えられるだろうかということであった。若いころ流行った翻訳版のトルストイやツルゲーネフやドストエフスキーなどのロシア作家の長編小説を鮮明に読了できなかった理由の一つに、多くのロシア人の登場人物の名が延々と長くて(比ゆ的に云えば、例えばイワン・デニソビッチ・ウラジミール・プーチン・カタチンコフ(笑))、覚えられなかったことがあった。長編のこの小説も登場人物が錯綜して途中で投げ出すかもしれないな、と思った。ところが、本を開いてみると、なんと! 親切にも登場人物の系譜が各巻の最初のページに記載されていて、これは非常に重宝した。これを拡大コピーして、本の横に置いて読むことにした。

 

  『永遠の都』は中学生の時に教師から進められて読んだ『ジャン・クリストフ』のような一人の人物が幼少から成人に至るいわゆる<成長小説>ではないが、「岡田利平」という人物が、日露戦争で海軍軍医として、ロシア軍バルチック艦隊に勝利した日本海海戦に参加した時点から始まって、その後多彩な才覚を発揮して病院経営や発明品で隆盛を極めたのだが、1945年の東京大空襲でこれまで築いてきた建物や機材が全焼し、以後没落して死亡するまでの過程を描いたものであり、一種の成人の生涯小説といえるだろう。小暮家の「裕太」は著者(加賀乙彦氏)の分身で、彼が成長していく過程は当時の秀才が成長して「幼年学校」を通過していく過程としてごく自然に一番詳しく無理なく描かれていた。波乱万丈の多彩な人間模様や、諸般の思想の展開はその周辺の係累の人物に仮託して多彩に開陳されていた。科学とは、芸術とは、キリスト教とは、共産主義とは、神道とは、などなど、異なる意見の展開は今風で云えば裁判で云う「両論併記」の形で非常に控えめに紹介されている。断定的でないそれが、「なんとも、もどかしい!」と読者に思わせるところが、作者の精神分析医としてのテクニックなのかもしれない。

 

    関東大震災、2.26事件、日米開戦、東京大空襲、敗戦と時代はめまぐるしく展開する。2.26事件以降の、軍部の跳梁、報道管制、フェイク報道、敗北を勝利と言いくるめる大本営発表、「特高」による苛烈な思想監視、その流れに次第次第にごく普通のまじめな国民が批判精神を喪失して生真面目に踊らされていく、言論の自由を失っていく、その人心の流れをくどいぐらいに細やかに記述している、小生には全巻に臨場感があった。

 

    読後感としては、市井の歴史を学ぶことによって、最近の世界を覆い始めた一国主義(XXファースト)という排他的な流れが、小生には非常にわかりやすく解釈できるようになったと思う。

 

       もう一つの感想としては、さすがに精神科の医者の出自だけあって、松沢医院などのいわゆる<狂人>やモルヒネ中毒患者の錯乱状態の記述が実に秀逸で驚嘆した。小生が日頃から感じている、「脳内での4次元空間のランダムな組み合わせ」が印象的だった。最近の「文学界」誌に横尾忠則氏が「原郷の森」で過去・未来・現在の著名な人物を4次元空間に登場させて一見モダーンでわけのわからない錯乱状態の衒学的芸術論を連載で展開しているのをついつい思い出した。 ただ、この時代にも「発達障害」は居たと思うのだが、この小説にこの専門用語が一言も出てこないのは、やはり新時代の精神神経科学をこの作家がフォロウできていないせいかもしれないと、勝手に思ったことである。その後の著作では登場しているのかも知れないが。

 

      愛知ビエンナーレへの政府出資金の不払いなど、表現の自由に関する、国民全体の自主規制ムードがびまんしている。多方面からのIT/AIを用いた不気味な深層心理操作社会が実現しつつある。賀川乙彦氏は、昭和の現代史で緩慢に日本国民が陥っていった自己呪縛の構造に警鐘を鳴らしている、と深く感じた。深読みしすぎかもしれないが。
    
  本日で2019年(令和元年)が終わります。
  皆様、よいお年をお迎えください。
 
 
(森敏)

2019-12-19 06:23 | カテゴリ:未分類
  以下の日経新聞と朝日新聞と毎日新聞の記事は、日本の「研究者育成政策」の現状を紹介したものだが、危機的状況であることがわかる。
    
  毎年のノーベル賞受賞者などが、日本の研究者育成政策が危機的状況であることをいくら叫んでも、なぜかそれが政策に遅々としてしか反映されてこなかった。なぜそうなのかを、大学人、経済界、政治家はこの際根本的によく考えるべきだと思う。政治家がよく使う、言語明瞭意味不明瞭な言葉「抜本的」政策ではだめな状況に追い込まれているのである。
      
  以前にも(10年以上前から)このブログでも同じことを口を酸っぱくして、何回か述べてきた。

  

          2019/04/18 : 1兆2180億円の戦闘機投資
     
          2018/01/11 : 地上配備型の新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基の値段2000億円は、日本の文科省の科学研究費(日本の全大学の研究者の生命線!)と同額

         2018/03/31 : 何をいまさら! 国の科学技術人材育成に対するたとえようもない鈍感さ

         2016/10/04 : 大隅良典先生おめでとうございます
            
          2013/12/15 : 先端技術と民生技術





だが、事態はさらに悪化する一方である。以下の記事からも、連動して科学研究成果の生産が急速に低下していることがわかる。



   


 

 

博士生かせぬ日本企業 取得者10年で16%減

 

    世界は新たな「学歴社会」に突入している。経営の第一線やデジタル分野では高度な知識や技能の証明が求められ、修士・博士号の取得が加速する。主な国では過去10年で博士号の取得者が急増したのと対照的に、日本は1割以上減った。専門性よりも人柄を重視する雇用慣行を維持したままでは、世界の人材獲得競争に取り残されかねない。

    「日本人だけでは定員を埋められない。経済学の修士課程は7割が留学生だ」。データ分析を駆使したミクロ経済学を研究する、東京大学の渡辺安虎教授は危機感を募らせる。今夏までアマゾン・ドット・コム日本法人で経済学部門長を務めた経験から「社会的なニーズは必ずある」と断言するが、日本人の大学院への進学意欲は乏しい。

    科学技術・学術政策研究所によると、欧米各国では2016年までの10年間に博士号の取得者が2ケタ増えた。修士号でも傾向は同じだ。企業などで上級ポストを射止めるには、高度な学位が必要だ。

    グーグルなど米IT大手に先端分野の技術者として入社するには、修士・博士号が最低条件だ。中国は自 国での育成に加え年5000人超が渡米して博士号を取得。帰国した人は「海亀族」と呼ばれ民間企業などで活躍する。

    一方、日本の博士号取得者は16年に15000人と10年間で16%減った。少子化は関係ない。この間に4年制大学の入学者は一貫して増えている。学生が専門課程への進学をためらい、日本は世界の中で相対的な「低学歴化」に沈んでいるのが実情だ。

大学などの研究者の収入が不安定な面は否めないが、企業の機能不全も深刻だ。

博士課程でAIを専攻した大山純さん(仮名)は今、国内電機大手でインフラ分野の営業と開発に従事する。採用面接では専門知識はほぼ問われず、逆にこう求められた。「学位取得より入社を優先してほしい」。結局、博士号は取らなかった。

    経団連は毎年、加盟各社が「選考時に重視した点」を調べている。上位を占めるのは「専門性」ではなく、「コミュニケーション能力」など人柄に関する項目ばかり。

    入社後も専門性は評価されにくい。30歳前後の平均年収を比べると、日本の学部卒人材が418万円なのに対し、修士・博士の大学院卒は524万円。その差は1.25倍だ。米国の修士の平均年収は763万円で、学部卒の1.4倍を稼ぐ。博士では915万円と1.68倍まで開く。

    高学歴者に高収入で報いるのは、世界の常識だ。社会学者の小熊英二・慶応義塾大学教授は「グローバルの人材評価基準から日本市場は隔絶されている」と指摘する。倍以上の年収で外資に転じる博士が後を絶たないのは、国内企業の待遇の悪さの裏返しだ。

    「社会」に出ても稼げないため、日本の博士号保持者の75%は大学など研究機関に所属する。日本では1990年代に政府主導で博士を増やしたが、民間で受け入れられずに雇用が不安定なポスドク問題の温床となった。科学技術振興機構の永野博研究主幹は「採用されるような人材を、大学側が育ててこなかった面もある」と振り返る。

    米国では博士の4割が企業で働き、イノベーションの原動力になっている。高度人材の育成と確保は、国家の競争力も左右する。雇用慣行と教育現場。2つのアプローチで改革を急ぐ必要がある。(北爪匡、小河愛実、生川暁。 NIKKEI)

    

40歳までの研究者に年700万円 政府支援へ

20191242155

 政府は若手研究者に最長10年間、年700万円の支援にのりだす。検討中の経済対策に盛り込む方針。任期付きの雇用が多い若手研究者が長期間、研究に専念できる環境づくりをめざす。

 500億円規模の基金を新設し、40歳までを目安に対象とする。数年間で最大700人を選び、追加で所属する大学や研究機関での研究環境の整備費用なども上乗せされる。期間は原則7年間だが、最大3年間の延長もできるようにするという。

 日本の研究環境をめぐっては、注目度の高い論文数の世界シェアはこの10年間で4位から9位に落ちた。40歳未満の国立大学の教員のうち、任期付きの人の割合は2007年の38・8%から17年は64・2%に増加。士課程から博士課程への進学率も減少傾向で、研究力の強化には、若手研究者の支援が不可欠だという意見が出ていた。(合田禄 。朝日新聞)

 


自民党内で「企業優遇丸もうけ」批判、センセイ大丈夫? そして結果は

毎日新聞20191212 1320(最終更新 1212 1523)

深津誠

 

 124日、自民党税制調査会の「平場(ひらば)」と言われる、議員なら誰でも参加できる小委員会。この日は、「マル政」と呼ばれる案件を議論する日だった。「マル政」とは、政治の「政」を「○」で囲った記号のこと。政治決着が必要な案件を指しており、この審議で税制改正項目が最終的に絞り込まれる。いつものように審議を取材しようと自民党本部9階の廊下で待っていると、「自民党らしからぬ」発言が耳に入った。

 「(企業の)内部留保が積み上がったのは、過去に法人税を下げたからだ。法人税を下げても給料や設備投資に回らないと証明されている。そのうえ、ベンチャーへの投資を減税したら企業が丸もうけになる」

 歴代自民党政権は、消費税率を引き上げた一方で法人税を減税してきたため、「企業優遇」という批判が野党側にある。そんな野党に似た発言が自民党の議員から出るとは正直、驚いた。

 議員が言及したのは、減税をテコに企業の内部留保をベンチャー投資に向かわせて共同研究開発を促す「オープンイノベーション税制」のことで、今年の税制改正の目玉のひとつだ。企業の内部留保のうち現預金は240兆円に膨れ上がっている。これを吐き出させれば経済全体の活性化につながる――との考えから、大企業なら1億円以上を設立後10年未満のベンチャー企業に投資すれば、投資額の一定割合を控除して法人税負担を軽くする。

 要望した経済産業省が議員に配った資料には、「自前主義では新たなビジネスの芽は生み出せない」「240兆円を解放し経済成長に回す。今が最後のチャンス」といったやや扇動的な文言が並ぶ。資料でオープンイノベーションの成功例として挙げられているのは、ソニー、富士フイルム、トヨタ自動車。なるほど、新税制の恩恵を受けるのは、こうした大企業なのだろう。昨年は研究開発減税を拡充して自前の研究開発を優遇し、今年は自前主義の限界を示唆――。矛盾しているようにみえるが、大企業にあの手この手で助け舟を出すという点で首尾一貫していると感じる。平場の議論では、賛成多数だ。

 この日の小委員会の審議では、元財務政務官の大岡敏孝衆院議員(47)も「オープンイノベーション税制」に反対の論陣を張った。「四面楚歌(そか)、多勢に無勢だが反対。(企業が)損したら税金で補塡(ほてん)し、得しても税金で追い銭がある。ベンチャーへの大企業支配が強まる」と訴えた。

 自民税調の「甘利明会長肝いり」(ある議員)とされるこの税制に、真っ向から反対する…


(森敏)
付記:

以下小生の独断と偏見です。

 受験産業界の連中や経団連などの企業人が、文科省の大臣や官僚とつるんで、小、中、高、大学への受験制度をいじくりまわして、「グローバルに活躍できる人材育成を」と大学に迫って、産業競争力の強化のための教育改革を狙っている。実にばかげたことである。
藤原正彦氏は、雑誌文芸春秋で、最近の文科省の英語教育改革について
・英語教育が国を亡ぼす
・英語教育は国民のエネルギーの壮大な無駄
・語学ができるほどだんだん馬鹿になる(英文学者中野好夫の言)
・英語、IT、プレゼンは小手先技術
と徹底的にこき下ろしている。
   

  大企業はリーマンショック以降につぶした自前の研究所を、本気で復活して大学からの博士課程卒業者を優先的に積極的に受け入れるべきである。大学に金を出さず口だけ出すなと言いたい。いつまで企業人は「会社では博士出身者は融通性がなくて使い勝手が悪い」と言い続けるのだろうか? 今日、多様な個性を生かせないのは、会社の上層部の指導能力の欠如のせいだろう。

  博士課程に学生が進学してこなくなっているので、日本の大学のほぼ全分野で戦力が低下して、大学発の先端的研究成果の発出力が低下し続けていることは明々白々である。

  科学技術という抽象的な課題は国民うけがいまひとつなので「選挙の時の票に結びつかない」と国会議員選挙の候補者は考えているのだろう。研究者育成推進のみを選挙のスローガンにワンイッシューとして掲げる候補者が出ないだろうか。大学は危機である。大学人は団結すべきである。自衛隊は団結して国会議員佐藤正久 1等陸佐 (参21回(比例区)、参23回(比例区)、当選2回)を当選させているではないか。大学人は自衛隊の結束力に学ぼう。




FC2 Management